《私家版》中国語学習ハンドブック チャイ語のいろは【EX】 [ もどる ]
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 私が具体的に使っていた参考書は、『中国語の入門』(山下輝彦、白水社)でした。まさか卒業後、この出版社(=白水社)に自分が就職しようとは思いも寄りませんでしたが、この本は前回述べたような中国語のしくみをコンパクトにまとめている非常にわかりやすい本です。その他に、『中国語概論』(藤堂明保、大修館書店)も概論書として目を通したりしていました。
 『中国語の入門』より、もう少し歯応えのあるものとして『東方中国語講座 総合基礎編』(伊地智善継、東方書店)があり、これにもずいぶんとお世話になりました。これもまさかですが、白水社に入社して、この本の著者である伊地智善継先生の中国語辞典の編集を担当することになろうとは……。ある種の運命を感じます。
 ところで、当時は現在ほど中国語の参考書も種類が多くなく、選択肢も限られていました。確かに中国ブームと言われ、履修者も伸びてきてはいましたが、仏独に比べると参考書や辞書の種類は雀の涙でした。今でこそ「中国語辞典戦争」などと言われるほど中国語辞書もいろいろ出版されていますが、当時は『現代中国語辞典』(香坂順一、光生館)、『中日大辞典』(愛知大学、大修館書店)くらいしかありませんでした。この二冊はかなり厚めの辞典ですから、もちろん授業がある時は鞄に携帯していましたが、先述したような駅の名前調べなどをするのに気軽に鞄から出して調べるというのには向きません。そこで中国で出版されている『新華字典』を買い、もっぱら発音調べと簡体字の確認に使っていました。
 ここで『新華字典』という名前が出たので説明しておきますと、中国語の辞典には大きく分けて「字典」と「詞典」があります。中国語の発音で言えば前者が「ズーディエン」、後者が「ツーディエン」です。
 この両者の違いは「字典」が単漢字つまり、漢字一文字それ自体を解説しているのに対し、「詞典」は熟語にも説明を加えているというところです。例えば「字典」では「山」という漢字に対しその発音・意味などを説明したら、すぐ次の漢字の発音・説明に移ってしまいますが、「詞典」の場合、「山」の説明の後に、「山脈」「山河」「山地」などの「山」を第一字に使う熟語を並べ、その意味を説明しているのです。「詞典」はちょうど漢和辞典みたいな体裁だと思ってください。ちなみに、日本で出ている中国語辞典は、ほぼすべてが「詞典」です。それは中国語の単語のほとんどが二字以上、つまり熟語で構成されているので、漢字一文字だけを扱う「字典」では、中国語学習者向けの学習辞典としては都合が悪いからです。ただ、ある漢字の発音を調べるだけなら比較的コンパクトな「字典」、その代表的なものが『新華字典』ですが、は便利です。熟語まで載せていないので、「詞典」より漢字を大きく掲載できますから、簡体字のきちんとした形を調べるのにも「字典」は役に立ちます。