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【 和 訳 】
五行相生第五十八
 この天地を(はじめとする世界を)構成する気は、合わせれば一つであり、分かれると陰陽となる。更に区別をすれば四時となりまた五行となる。(この五行の)行とは働きのことである。その働きは同じものではなく、であるから五行(五つの働き)と呼ぶのである。五行の五つの働きは五つの官職の役割に相当する。(この五つの働きの関係は)隣り合ったもの同士で相生の関係にあり一つおきの場合には相勝の関係になる。であるから政治の要諦もこの五行の法則に逆らえば乱れ、従えばうまく治まるのである。
 東方は木の働きを持ち、それは農業の根本である。司農は仁を重視して、経世済民に優れた人物を推薦し、帝王の道によって君主を導き、君主の長所はそれを更に引き伸ばし、短所はそれを改めさせるようにする。コンパスによって円を描くように万物を生み出し、民衆には極めて温和に接し、地形・土壌・適不適を踏まえ、物事を始めるには必ず法則を立て、その土地の適性に合わせて行なうのである。召公がその例である。自分自身で田圃の中に入り、民衆が土地を開墾するさまを観察し、穀物を植え、収穫が上がって蓄えができ、どの家庭もどの人もそれぞれ満ち足りるようになり、蔵も満たされるのである。そして司馬はその穀物を消費する。馬は国家そのものであり、国家は火の働きである。であるから木は火を生むと言うのである。
 南方は火の働きを持ち、それは朝廷の中の官位で言うならば司馬に当たる。司馬は智を重視して、賢人聖人を登用する。上は天の運行を把握し、何ら兆候が発現せず、何ら端緒が形を見せないうちに、はっきりと司馬だけは国家存亡の機微や利害得失の要諦、更には国家治乱の根源を見極め、悪いことが発生する前にあらかじめ防ぐのである。物差しを当てて線を描くように万物を育て、非常に忠義で仁に厚く、君主を補佐するのである。周公がその例である。成王がまだ幼いために周公は補佐役として、管叔蔡叔を討ち滅ぼして天下を平定したのである。天下が既に治まったので、次には君主を安定させるのである。それを担当する官は司営である。司営の職務は土の働きである。であるから火は土を生むというのである。
 中央は土の働きを持ち、それは朝廷の中の官位で言うならば君主直属の官である。その上に立つ司営が信を重視して、身を粉にして働き、朝は早く起き夜も遅くなってから寝付き、往時の出来事を述べ語っては、君主の心を奮い立たせるのである。事の成否を見通し、それとなく君主に意見して、君主も善言を聞き入れ、君主の欠点・短所を改めさせ、原因を絶ち綻びを繕う。縄を張って整然と区画するような政治を行なって四方を治め、非常に忠義で信頼を裏切らず、君主に仕え、義に基づき情に流されない。太公望がその例である。天の理に則り時勢の推移に従い、武力を振るって外敵を防ぎ新しい世を作ったのである。その秩序を作るのは司徒の役割である。司徒の職務は金の働きである。であるから土は金を生むと言うのである。
 西方は金の働きを持ち、秩序を作る司徒に当たる。司徒は義を重んじる。臣は君主のために命を捨て、人々は父親のために命を捨てる。親族の中に尊卑の分があり、身分にも上下の別があるが、それぞれの分に邁進し、それを越えることはしない。秤に基づいて秩序を乱す者を討伐する。軍隊は道義に悖る勝ち方はせず、無差別に金品を略奪することもない。必ず道義に照らして問題がなければ初めて行動を起こす。極めて清廉潔白で威厳を兼ね、折り目正しく強靭なのである。伍子胥がその例である。罪の有る者を征伐し、道義に悖る行ないをする者を討ち平らげたのである。そのため人々は帰順し、国境は平穏無事で逆賊が暴れまわることはない。村々に裁判沙汰が無ければ、皆仲良く暮らすことが出来る。法を運用するのは司寇の役割である。司寇の職務は水の働きである。であるから金は水を生むと言うのである。
 北方は水の働きを持ち、法を運用する司寇である。司寇は礼を重んじる。君臣の間には位の差があり、年長者と年少者の間には序列が定められている。朝廷の百官にはそれぞれ爵位が与えられていて、村々では年齢による序列がある。公の場では堂の上り下りにも譲り合い、ひれ伏して拝謁し、曲がる時は定規を当てたようであり、立ち上った状態では磬のように体を曲げ、拱手の礼をする時は太鼓を抱くようにする。秤でものを測るように正確に計量して租税を蔵に納め、その仕事振りは極めて清廉潔白で公正である。賄賂を贈っても受け取らず、頼み事や願い事も聞き入れない。法に従って訴訟を吟味し、どちらの側にも偏らない。孔子がその例である。孔子は魯の国の司寇になり、訴訟の処理は誠実で、民衆と意見を交え、決して独断専行しなかった。そのため判決によって死刑に処せられた者も恨まず、そうでなかった者も不平を言わなかった。職人たちは時節に合わせて道具を作り、それらの道具が出来上がると司農に渡される。司農は農業をつかさどる官職である。農業をつかさどる者は木である。であるから水は木を生むと言うのである。

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