2006年12月04日
中国人の宗教・道教とは何か
『中国人の宗教・道教とは何か』読了。
中国というと儒教の国という印象がありますが、民間レベルでは実は道教がかなり根を張っている国です。もちろん知識人もかなり入れ込んでいます。そんな中国の隠れた宗教・道教の手軽な入門書です。
隠れた宗教などと書いたのは、これまで日本の中国学の偏りのためであり、最近は道教についてもかなりの研究成果が上がっています。本書はそういった研究成果の土台の上に立ち、もっと身近にコンパクトに道教というものを知ってもらうための本です。
ただ、前半の道教儀礼の部分は、やはりド素人には歯ごたえがあります。全くの初心の方なら、中ほど以降の道教の歴史から読み始めた方がよいかも知れません。もちろん、その前に中国史の全般的な知識というものを持っておいた方がよいですが……。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:52
2006年11月28日
巷談 中国近代英傑列伝
『巷談 中国近代英傑列伝』読了。
中国近代史の主人公たちを十数人取り上げた評伝集。各人物の評伝は数ページのコンパクトにまとめられているので、簡単に読み進めることができます。
ただ、あたしのような中国史の専門家や中国史好きにはよく知った人たちばかりかも知れませんが、一般の方には数名を除いてなじみのない人ばかりかも知れません。
でも、中国の近代史を語るには欠かせない人ばかりですので、これくらいは是非知っておいて欲しいと思います。
さて、本書の著者は陳舜臣さんです。例によって豊かな知識に裏打ちされた、偏りのない記述を見せてくれます。ただ、本書の場合「です・ます調」と「た・ある調」がかなり錯綜しています。これがよいリズムで現われるのであれば問題ないのですが、本書の場合、読んでいてかなり違和感が感じられます。編集者がもう少し手を入れてもよかったのでは、と思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:55 | コメント (0)
2006年10月25日
中国・アジア・日本
印象としては、嫌中でも媚中でもなく、極めて中立的に日中関係を眺めている論調です。
最後にまとめて、これからの日中関係をどうするか、日本はどう振る舞うべきかを述べているので、その途中では「じゃあ、日本はどうすべきなのか、我々に何ができるのか?」といった思いを抱きながら読み進めないとなりません。
正直、それが非常にもどかしくもありました。しかし、最後に、この手の本の中ではずいぶんと具体的な処方箋を示してくれているので、根気よく最後まで投げ出さずに読むべきだと思います。
取り立てて、びっくりするような新事実だとか、裏の裏の探るようなエピソードが紹介されるわけではありませんが、だからこそ、地に足の着いた議論という感じがします。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:15 | コメント (0)
2006年10月20日
日中2000年の不理解
日本人は感性の国民であり、信念を持っていて何事にもその信念を基準として行動する中国人や欧米人(キリスト教徒)、イスラム教徒とは根本的に異なる、という指摘はこれまで専門家なども指摘していたような気もしますが、王敏さんは非常に身近な例をあげて説明してくれるので非常にわかりやすいです。
恐らく、王敏さん自身が、まだ確固とした論拠を自分なりに構築できていない(構築途中である)ので、われわれ読者と一緒に問題提起し考えていこうという姿勢があるからだと思います。
もちろん、このような議論を極端に進めてしまうと、だから日本時は世界の中で特殊であり他国とは理解し合えないんだという偏狭な議論に行き着いてしまいますが、そのことにもきちんと筆を伸ばしています。
ただ、一点、日本人は神社や寺院に熱心にお参りしていると述べていましたが、確かに表面的には毎年元旦の初詣など、日本人がかなり信心深く思われるような現象もありますが、あれって、あたしには一種のレジャーであって、遊園地に行く、買い物に行くといったことと同じような乗りなのではないかと思うんです。
むしろ中国の寺院や道観などの方が、よっぽど熱心に祈りを捧げている中国人を見かけるような気がするんですけど…
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:41 | コメント (0)
2006年10月02日
中国 大国の虚実
『中国 大国の虚実』読了。
先に読んだ『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』が、いわゆる「反日」活動家へのインタビューを中心にまとめているの対し、本書は日本経済新聞の紙上連載特集記事ということもあり、中国全般にわたる内容でした。そのため、一つ一つの事柄に対する掘り下げが足りないように感じてしまうのはやむを得ないでしょう。
論調は、取り立てて反中でも嫌中でも、はたまた親中、媚中でもなく、むしろ経済活動やマクロな数字をもとに淡々と叙述が進んでいく感じです。もう少し個々人の肉声に触れてみたいと思ってしまうのは最初にも書いたように『反日とは…』を先に読んだからだと思います。
それでも、日経だから仕方ないのかもしれませんが、中国の政治動向にももう少し目配りがあってもいいんじゃないかな、という気がします。
ただ、ほとんど先進国と変わらない沿海地区のイマドキの起業家ばかりを追ったのではなく、さまざまな階層の人々を過不足なく取り上げているな、という感じはします。この先、いやおうなく世界経済に取り込まれて行くであろう中国の現在をレポートしたものですから、アメリカを中心とした欧米の見方にも触れているのは当然ですが、そのあたりをもう少しふくらませてもよかったのではないでしょうかね。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:42 | コメント (0)
2006年09月29日
「反日」とは何か
『「反日」とは何か―中国人活動家は語る』読了。
本書の特徴は、著者自身の言葉で語るよりも、その副題にもあるように、日本のマスコミではしばしば「反日活動家」などと紹介される中国人活動家へのインタビューを中心に構成されています。著者の意見や言葉は全体の1割か2割といったところでしょうか。
本書に登場する活動家がほぼ一致して語るのは、自分たちは決して「反日」なんかではない、ということであり、反日デモなどで暴力行為を働くことには断固反対するし認めない、ただ日本のマスコミもそういったごくごく少数の人が起こした暴力沙汰ばかりを報道するのには不満がある、ということです。
まず中国人全体で「反日」とまでは行かなくても「嫌日」野一色が広まっているの事実だと思いますが、中国政府首脳から庶民まで、できることなら日本と中国は仲良くやっていきたいと願っているのも事実だと思います。
上海で「反日」デモが行なわれたその同じ時に、すぐ近くで日本人観光客のガイドをしていた中国人もいれば、日本人との商談で盛り上がっていた中国人もいたことは、確かにあまり日本では報道されていません。一部の過激な人だけを取り上げていたずらに「嫌中」「反中」感情を煽るのは、彼らが指摘するようによくないことだと思います。
ただ、それならば靖国神社参拝や作る会の教科書などを支持しているのも日本人の一部であって、そこだけを取り上げて、あのようなデモにまで突き進んでしまう中国も同じことではないかと思うのです。
彼ら活動家の意見を聞いていて気になったのは、確かにそれはそれで十分筋の通った意見ではあると思いますが、「小泉が悪い」「日本がきっかけを作った」というように、なんでも日本のせいにしてしまう姿勢です。もう少し自分たちの側を客観的に見る姿勢があってもいいんじゃないかと思います。
それとインターネットをかなり高く評価していること。日本人ならネット上の論調は確かに庶民の声や心理をとらえていることもあると思いつつも、一方で非常に冷めた目で見ていることが多いと思います。ところが彼らは、もちろんネット上の暴論を認めつつも、日本人に比べるとはるかにネットを信用し肯定的にとらえているなあと思いました。
ところで、本書に登場した活動家には日本留学経験のある人もいます。日本語が堪能な人、日本の事情ってものをよく知っている人もいます。日本に留学までした人がどうして「反日」「嫌日」に走ってしまうのか(←彼らは自分を反日だとは考えていませんが)、日本人としてこの点はしっかり考えないといけないと思います。
作る会の教科書一つをとってみても、中国人の多くは、あの教科書の主張は日本政府の立場を語っている、日本の学生は全員あの教科書で間違った歴史教育をされると思い込んでいるようですが、そういう誤解を一つ一つ解いていくことが肝要なんだと改めて気づかされます。
最近のショーと化したテレビ番組では、ほとんど中国のことを知らない評論家連中や政治家が出てきて口角泡を飛ばす勢いで中国を非難していますが、やはりそういう番組に本当に中国のことを知っている、理解している人が出て、正しい情報を伝えなくてはいけないのではないかと思う次第です。(このことは逆に中国においても、今後はますます日本のこときちんと理解している人の役割が高まることにもなると思います。)
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 07:47 | コメント (0)
2006年09月05日
漢字伝来
『漢字伝来』読了。
漢字に関する本はたくさんありますが、本書は日本語として、日本語を書き表わす道具として漢字が定着していく過程を丹念に解説したもので、専門的な書籍を除けば、他に類を見ないものではないでしょうか?
ただ、最初にも書きましたように、漢字に関する雑学的で面白おかしい本がたくさん出版されている中にあっては、本書は新書とはいえ、やや堅い本です。
また比重が日本古代史に置かれているため、古代の日朝中の関係史などに興味のある人には面白いでしょうが、そうでない人には歯ごたえがあったと思われます。
それ以上に、音韻学的な記述の部分が、どうしても紙面では伝えにくいものですから、漢字の蘊蓄などを手軽に知りたい読者にはあまりにも本格的すぎるのではないでしょうか?
個人的には、漢字の日本への伝来となると、当然中継地である朝鮮の事情ってものが知りたくなります。本書では中国周辺国での漢字や文字の事情ってものに章を割いている部分がありますが、朝鮮における漢字の伝来、定着、朝鮮語化について、もう少し紙幅を費やしてくれると面白かったと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 12:21 | コメント (0)
2006年08月30日
歴史の嘘を見破る
『歴史の嘘を見破る―日中近現代史の争点35』読了。
いわゆる対中強硬論者のテーマ別論説集です。どちらかといえば親中派のあたしには、うなずけない論もあれば、それなりに首肯できる論もありました。それほど感情に流れず、引用なども比較的出典を明示しているので、その引用が正しいのかどうか検証しようと思えばできるでしょう。
しかし、こういった論が、どうやったら中国人の心に届くのでしょう。はなからそんなこと考えていないように見受けられますが、それでは未来がないと思います。やはり、本書の議論について、冷静かつ客観的な中国人の反論や欧米人の第三者的意見・見解を聞いてみたいものです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:21 | コメント (0)
2006年08月28日
中国10億人の日本映画熱愛史
『中国10億人の日本映画熱愛史—高倉健、山口百恵からキムタク、アニメまで』読了。
中国映画の本ってのは、決してないわけではなかったですが、この本は中国に於ける日本映画の受容史とでも言うべき内容であるところに特色があります。中国で高倉健や中野良子が人気であった(ある)のは知っていましたし、コン・リーがデビューした頃に「中国の山口百恵」と言われていたことも覚えています。
そういう断片的な知識を持っている人ってのは日本にもかなり多いと思いますが、本書を読めば、何故人気があったのか、中国で受け入れられたのかがよくわかります。
ただ、筆者の関心がそうであるからなのか、高倉健が人気を得た、文革直後の日本映画需要については社会背景なども含め非常に中身の濃いものになっていますが、民国以来の中国映画史や最近のドラマの需要などについては紙幅の関係もあるのか、今ひとつ突っ込みが足りないというか、掘り下げて欲しいといううらみが残ります。
あくまで「映画」に焦点を当てていますので仕方ないと言えばそれまでですので、映画に変わル、昨今のドラマの受容史について、次の一書を期待します。
個人的な体験で言えば、私もこの十年来毎年のように中国へ行ってます。晩にホテルの部屋で現地のテレビ番組をボーッと見ていますが、かつては本当に日本のトレンディードラマの放映が多かったです。それこそ、どこを回してもやっているという感じでした。それがこの数年はほとんど見られなくなり、韓国のドラマが主流となりました。本屋などのDVD(ビデオCD)コーナーでも、日本のドラマより韓国ドラマの方がたくさん並んでいます。
そういう体験があるからこそ未来の姉妹篇「ドラマ熱愛史」に期待したいところです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:35 | コメント (0)
2006年08月24日
上海狂想曲
上海狂想曲読了。
戦前の日本人作家や新聞記者の上海体験を通して、当時の日本人にとっての上海を描いた作品。
本文中で「最も近い外国の都市」というフレーズで上海が紹介されているのですが、戦時中ということもあるのでしょうが、ほとんど外国としての一面が出てこない気がします。
もちろん、日本と中国が交戦中で、その緊張感とか悲惨さなどは感じられますが、いわゆる「魔都」上海というイメージがからはほど遠い感じです。あまりにも日本人の書いたものに依拠しすぎたからではないでしょうか?
当時の日本人にとって上海とは何か、どういうところか、何故引きつけられたのか、今ひとつ伝わりづらかったです。
あえて、日本から訪れた短期滞在者の書いたものを資料として使ったところがミソなんでしょうけど、当時上海に住んでいた多くの日本人の肉声が伝わってきませんし、もちろん中国人や租界のフランス人、イギリス人などの様子、息づかいも伝わってきません。それが、今ひとつ深みの欠けるものになってしまった原因なのではないでしょうか?(著者は、中国語を解するのか、ちょっと疑問に感じたところもありましたので……)
といった感じで、あたしはもっと現地の人の声が聴きたかったのですが、逆に考えると、実は当時住んでいた人の書いたものってのは意外とあるのかもしれません。むしろ、こういう作家や記者などの記録を手軽にまとめた本の方がなかったかもしれません。そういう意味では貴重な一緒です。ただ、やはり当時の上海の地図は入れて欲しかったです。目次のところに当時の俯瞰図のような上海-南京周辺図が載っていますが、それでは本書に出てくる地名などの位置関係がほとんど掴めません。それが残念な点です。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 08:32 | コメント (0)
2006年08月09日
起業するなら中国へ行こう!
『起業するなら中国へ行こう!-北京発・最新ビジネス事情』読了。
著者は大手商社の北京駐在員から、そこを辞めて北京で起業した人です。経歴から見たところ、いわゆる中国思想とか中国文学や中国語ってのを専門に学んで、中国が好きで好きで、中国絡みの仕事がある小社を選んだ、というわけではなさそうです。
なので、いわゆる中国専門家の視点とは異なるところが多々あって面白い読み物になっています。タイトルからすると、中国で起業するための、あるいは企業とまではいかなくても中国で働くための日本人向けノウハウを満載したハウツー本のようですが、著者自身の略歴に絡めてそのあたりのことが簡単に書かれているくらいで、むしろ実際に中国で起業した目で見た中国と中国人、というスタイルです。
具体的な企業の苦労だとか、起業してからの苦労というものが、あまり詳しく書かれているわけでもなければ、こうしたらいいとかっていうアドバイスが満載なわけでもなく、そういう意味では物足りなさがあるかもしれませんし、このくらいの内容だったら他の中国在住ビジネスマンでも書けるよ、と言われそうです。
ただ、一般にある中国モノの本って、全く中国を理解していないで暴論を述べているのは論外としても、学者先生の著作ってのは得てして一般の人の視点に欠けることがあるので、そういうところを補うものとして面白く読めます。
たぶん、この路線をもっと面白おかしく、フィクション仕立てにしたら『中国てなもんや商社』になるのでしょう。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 09:15 | コメント (0)
2006年08月07日
溥儀
『溥儀―清朝最後の皇帝』読了。
数奇な一生を送った、中国二千年の皇帝制度の最後を飾った宣統帝・溥儀の評伝。数奇な一生、激動の生涯など溥儀の一生を形容する言葉には困りませんが、比較的淡々と描かれている、むしろ大きな出来事、劇的な場面もないかのような印象を受けるほど静かな一生に感じてしまうのは気のせいでしょうか?
時代背景などの説明に多少紙幅を費やしているためか(←それはそれで、当時を知るには、そして溥儀の置かれた立場を知るには仕方ない)、溥儀という人の性格への言及があまり深く掘り下げられていないうらみが残ります。
個人的には、溥傑と浩夫妻の記述が興味深かったです。先年テレビドラマで竹野内豊と常盤貴子が演じたこの夫婦はお互いを思いやり時代に翻弄される二人でしたが、溥儀の立場から見ると浩はかなり嫌な女性だったようで、それが印象的でした。
また学生時代に溥儀の最後の妻・李淑賢の手記を元にした映画を見ましたが(「火龍」だったかな?)、これでは本当に仲のよい夫婦に描かれていたのですが、どうも実際にはそれはきれい事、あくまで映画の中の話だったようで、そんなところも楽しく読めました。
さて、結局のところ、激動の時代、そして中国の長い皇帝制度の最後を飾る末代皇帝、そして相継ぐ戦争と革命、そんな時代を生き抜いた溥儀という人物は、それだけで格好の小説のモデルでしょう。
ただ、知れば知るほど、溥儀という人の小人さが見えてきて、小説に仕立てる(こういった本を書く)ことがばかばかしくなるような感想を覚えるのはあたしの偏見なのでしょうか?
なにせこの時代、西太后、袁世凱、孫文、蒋介石、毛沢東、周恩来と歴史上の英雄があまた出てくるじゃあありませんか。そんな中で溥儀という存在はあまりにも軽いです。
もちろんこういった人物(さらには日本をも!)向こうに回して、見事天寿を全うしたと考えれば、溥儀もなかなかどうしてやるじゃないかという見方も出来るのかもしれませんね。『三国志』の蜀漢二代皇帝・劉禅のような印象です。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:02 | コメント (0)
2006年07月28日
貝と羊の中国人
『貝と羊の中国人』読了。
中国人の特性を貝と羊で表わした日中比較文化論。と言っても小難しい話は出てきません。また、取り立てて、数多い中国論を批判している本でもありません。
確かに著者は多くの中国脅威論などを暗に批判していることは読み取れますが、その目線はもっと素朴なものであるように感じられます。
もう生理的に中国は嫌いという人はともかくとして、特に中国にこれといった嫌悪も好意も抱いていない人なら、著者のような目線・視点で、まずは中国のこと、日中関係のことを見つめてもらいたいとつくづく思いました。
もちろん著者は中国礼賛者ではありませんし、狂信的な親中派というわけでもないようです。お互いのことをまずはよく知って、その上で言うべきことはいい、直すべきことは直そうという、極めて常識的なメッセージを送っているようです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:18 | コメント (0)
2006年07月24日
「権力社会」中国と「文化社会」日本
『「権力社会」中国と「文化社会」日本』読了。
著者は「社会特質」という言葉を使って日本社会と中国社会の違いを比較しています。日本と中国で同じような事柄に対して反応が異なるのもこの社会特質の精だというのですが、それぞれの社会特質がどうして形成されたのかについてはほとんど述べられていませんので、結局中途半端な議論になってしまっているのが残念です。
また、さまざまな日中間の問題を取り上げていますが、客観的なデータなどを全く挙げていないため、ほとんどが著者の主観に感じられてしまい、説得力に欠けます。面白い比較や論点も散見されるだけに残念です。
もう少し統計データなどを駆使すればよかったのに、と思うのですが、あくまで学術的な書ではなくエッセイと割り切れば、著者の日本印象記として気軽に読めます。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:35 | コメント (0)
2006年07月07日
君子の交わり、小人の交わり
『君子の交わり、小人の交わり―日中関係を90度ずらす』読了。
売れに売れている養老孟司さんと王敏さんの対談集。サブタイトルにある「90度ずらす」という言葉、本文中に一、二か所ほど言及がありましたけど、これといってメインテーマになっていない憾みが残ります。せっかく90度ずらした地図まで載せているというのに……。
それに対談だからなのか、全体的にまとまりがなく、何が言いたいのか伝わりにくいところがあります。もう少し編集してもよかったのではと思います。
それと養老氏はほとんど中国については詳しくはないようですので、養老氏が聞き、王敏さんが答えるというスタイルに徹した方がよかったのではないかとも思います。全体的には養老さんの話を王敏さんが感心しながら聞いているという印象が強いです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:41 | コメント (0)
2006年06月10日
三国志人物外伝
『三国志人物外伝-亡国は男の意地の見せ所』読了。
この手の本はいろいろあります。いろいろな人がさまざまな角度から書いています。そんな中、この本の新味といえば、正史『三国志』や小説『三国志演義』にも記載されていないエピソードを極力拾っているというところでしょうか?
もちろん、これだjけ読まれている三国志ですから、既に紹介されているエピソードなどもありますが、それでも、あたしなどは知らないものがかなりありました。
さて本書ですが、ふつうの三国志ファンならば、有名な人や場面の記述が少ないので(つまり、知っている人があまり出てこないので)つまらないと感じるかもしれません。逆に、ディープな三国志ファンなら「これくらい知っているよ」ということになるかもしれません。
三国志ファンというと、専門家や学者顔負けの<熱い>ファン・読者が多数いますので、本書がそういう人の中でどのように受け止められるのか興味があります。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:31 | コメント (0)
2006年05月26日
中国人、会って話せばただの人
『中国人、会って話せばただの人―近くて遠い隣人との対話』読了。
著者の田島氏が本文中でも述べているように、中国の「いま」を伝えるレポートとも言えるし、肩の凝らない旅行エッセイとも言えます。
中国について学者らしく分析的に欠いている部分と、田島氏の珍道中や中国人とのふれあいを楽しく欠いている部分もあり、それがごちゃ混ぜに並べられています。
でも、決して錯綜していて読みにくいという印象は受けません。中国モノを読んだことがない人には違和感を感じさせるかもしれませんが、たぶん、それも稀だと思います。あえて言うなら、この手の中国モノっていうのは、しばしば東京よりも近代化が進んでいるかのような上海など沿海地区を舞台にしたモノが多いですが、そういう日本人にも比較的馴染みの場所があまり出てこないので、そういう取っつきにくさがあるかもしれません。
さて、本書で田島氏が述べていますが、文書からは中国へ対する暖かな目線というのが随所に感じられます。ある国なり地域なりを研究する場合、この視線というのは大事だと思います。昨今は、ともすれば敵対的に見る風潮がありますが、国や地域を研究しようという場合、特殊な人を除いてはその国や人々ともっとふれあいたい分かり合いたいと思うものだと思います。その前提になるのは、出来る限りその人たちの立場に立って考えることだと思いますので、あたしも忘れないようにしなければと改めて思った次第です。
本書が評論でもなければエッセイでもないような体裁を取っているのは、ある意味正解だと思います。評論にしてしまうと、原因、結論、分析といった体裁にならざるを得ませんが、中国は国土も広ければ住む人も多く、いろいろな面で差が大きな国です。なので、中国の原状や将来に対し、確信を持ってモノが言える人ってのはほとんどいないと思います。もし言っていたら、それは嘘、デタラメだと思います。ですから、本書のように、そういうスタイルをあえて避け、その時その時思ったこと感じたことを書くスタイルがベストではないにしてもベターなのだろうと思いました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 12:40 | コメント (0)
2006年04月15日
中国、核ミサイルの標的
『中国、核ミサイルの標的』読了。
中国軍(人民解放軍?)の不透明さというのは、例えば何がどこに配備されているのか、予算は実際にはどのくらいなのかなど、いろいろ言われています。実際問題としてそれはその通りなんでしょうけど、本書のように中国の怖さばかりを強調するのは、どんなものなのだろうとも思います。
中国のことを勉強し、毎年のように中国へ行き、中国人の友人もいる身からすると、本書にあるように中国が武力行使をする可能性というのは極めて低いと思います。中国という国は、確かにいざとなれば武力を用いる国だと思いますが、その一方で最後の最後まで武力に訴えることを回避しようとする国でもあります。
日本も中国もお互いに日中友好の大切さは認識しているはずなのに、どうも解決しようというメッセージの発信が弱く、またそれに輪をかけてそのメッセージを受信するアンテナが機能していないような昨今、本書のように対決姿勢ばかりを強調するギスギスした日中関係は果たして将来に対して(別に日中関係に対してだけでなく)いいことなのだろうか、と思ってしまいます。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 18:30 | コメント (0)
2006年04月10日
あらすじでわかる中国古典「超」入門
『あらすじでわかる中国古典「超」入門』読了。
本当に、大雑把に中国文学(古典)の世界を概観した本です。駆け足で、どころか猛ダッシュでと言った方がふさわしいくらいです。なので、かなり端折っている部分もあれば、取り上げているものに偏りがあるかもしれません。でも、大筋は掴めるでしょう。
この本の趣旨は主な作品のあらすじを紹介することにあるようで、でも、その作品が書かれた(成立した)時代背景などに、燃すウコしつっこんだ記述があればよかったと思うのですが、そうなると<超入門>ではすまないでしょうし、そもそもこの紙幅では不可能でしょう。
それは別の本に委ねるとして、むしろこの形で近現代についてもあると便利ではないかと思いました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:18 | コメント (0)
2006年04月01日
台湾 したたかな隣人
』読了。台湾在住の著者による、台湾を理解するための指南書。著者が本文中で何度も指摘するように、日本では蒋経国・李登輝の治世をかなり高く評価していますが、実は市民運動など下からの動きが台湾の民主化を導いたという点が見落とされがちです。かくいう、あたしもそういうところへの視点が欠けていたわけでして、目から鱗が落ちる思いで読み切りました。
台湾の歴史や現状を民進党の誕生、発展の流れを軸に描く台湾史は中国史の一部ではなく、<台湾>の歴史という意味で非常に興味深いものです。
しかし個人的に一番面白く読んだのは、最後に取り上げている、これからの台湾について書かれた部分です。アメリカが台湾を一国家として認めてしまったら、という仮定はとても面白く、台湾に住み台湾の人々の気持ちをよくわかっている著者だからこその視点ではないかと思います。
著者が、この立場やものの見方を維持しつつ、今度は大陸中国に数年暮らしたら、いったいどんなアジアの未来図が見えてくるのか、そんなことを夢想しながら読み終わりました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:53 | コメント (0)
2006年03月28日
世界史のなかの満洲帝国
『世界史のなかの満洲帝国』読了。
ふつうの日本人が気軽に読める満洲国、満洲帝国史の本を書きたいという著者の目的はある程度は果たされたと思いますが、やはり東洋史、中国史、アジア史や日本史、それも近代史を学んだことのない人には歯ごたえのある本だと思います。
世界史の中に位置づけようという意識のために、中国史をずいぶん古代にまで遡り、日本や朝鮮、それにモンゴル/ロシアの歴史にまで筆を進めて満洲をとらえようとする試みは、非常に面白いものでしたが、そのぶん肝心の満州国・満洲帝国についての記述が薄まってしまったような気がします。
もちろん満洲帝国の歴史はまだまだ歴史学の分野で確定できていない部分も多く、そういうところは意図的に避けて論を進めているのでやむを得ないのかもしれませんが、もう少し満洲帝国の部分を多くした方がよりストレートに入ってきたのではないかと思います。
またこの時代を扱う場合、どうしてもくだらないイデオロギー論争や自虐史観などに振り回されてしまう嫌いがありますが(同じ一つの史実に対して全く異なる評価を下されることがある!)、それを避けるのではなく、両論併記のような形を取ってみても面白かったのではないかと思いました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:52 | コメント (0)
2006年02月23日
漢文の素養
『漢文の素養 誰が日本文化をつくったのか?』読了。
漢文は漢字によって表現されるわけですので、少し前に読んだ『日本の漢字』と通じるところもあり、なかなか面白く読めました。記述の多くは、漢文読解力の歴史と括ってしまうと間違っているかもしれませんが、日本の歴史と漢文との関わりについてで、簡単な日本漢文学史といった感じもします。
記述中には結構たくさんの引用が挟み込まれていて、実際の漢文に触れながら読み進めることができますが、漢文にあまり慣れていない人には、その部分がちょっとしんどいかもしれません。でも、引用には必ず訳が添えてありますので、原文を飛ばして訳だけ読むことも可能です。(って、漢文だって日本語の一種なので<訳>ってのもおかしな話なんですけど……) でも、たぶん著者は、この本を手に取った人には、このくらいの漢文は読んで欲しいという思いもあるだと思います。ここは、ぜひとも漢文素読を味わってもらいたいものです。
個人的には、漢文の歴史をもう少し端折って、近代以降、現在までの漢文の衰退と現状、それに対する著者の意見部分をもっと読んでみたかったと思います。
〔管理人による補足〕
著者の加藤氏は、以前あたしのサイトにリンクを張らしてください、と連絡をいただいたことがあり、著作だけでなくご自身のウェブサイトでも精力的に情報発信をされている方です。
投稿者 rockfield : 08:09 | コメント (0)
2006年02月18日
日本の漢字
『日本の漢字』読了。
タイトルこそ<日本の…>ですが、漢字全般について書かれていますので、漢字マニアには興味深く読めるでしょう。
漢字の日本独自の発達・諸相といったものを幅広く紹介していますが、焦点が何なのか、ちょっとぼやけ気味という漢字もします。取り立てて大きな問題提起というのが全般を通じてないからなのかもしれません(あたしが見つけられなかっただけ?)。
否、幅広く、様々な話題を、わかりやすく丁寧に書いているので、そういう印象を受けるのかもしれません。
漢字は古来多くの人が研究をしてきましたし、現在もそれは続いています。コンピュータや携帯電話など文字をめぐる環境もめまぐるしく変わっていますので、漢字に関する書籍は過激なもの、キワモノも含め数多く出版されています。そんな中にあって本書は、非常に静かな本です。それだけに、うんうんと頷かされることも多く、素直に読める本です。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 16:33 | コメント (0)
2006年02月10日
チンギス・カン
『チンギス・カン―“蒼き狼”の実像』読了。
ユーラシア大陸全域にまたがる巨大帝国を築いたジンギス・カンとなると、一般の中国史からはちょっと外れるような気もしますが、元王朝は中国の正当王朝の一つですし……。
考古学と文献斯学をミックスして、その成果をわかりやすく解説してくれている一書です。決して英雄礼賛になることもなく、かといって、一般にはつまらなくなりがちな考古学的記述に陥ることなく読めました。なにしろ、今のところ、あれだけの世界帝国を作り上げたにもかかわらず、古代エジプトのような金銀財宝のような考古学的成果が何も出てこないわけですから。
比較的地味な内容を飽きさせずに読ませてくれるわけですから、著者はなかなかの文章力だと思います。写真や図版なども適宜挿入され、理解を助けてくれます。
実は意外とごくごく平凡な一遊牧民、それが読後に感じたジンギス・カン、否、チンギス・カンの印象です。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:08 | コメント (0)
2006年02月03日
中国が「反日」を捨てる日
中国が「反日」を捨てる日読了。
日中関係のこのところの軋轢を、主として中国共産党首脳部の権力闘争などとの関わりで述べた本です。いわゆる愛国教育のせいだ、小泉の靖国参拝がといった表面的な現象の裏にある、共産党幹部の政争や中国の社会事情にまで言及しており、「そうか。そういう見方があるのか」と目からウロコもしばしばでした。
それにしても、中国側は日本に対していろいろなチャンネルを使って対日関係改善のメッセージを送っているのに、それを感知できない日本の政治家って、どうなっているんでしょう? 外務省もしかり。彼らの情報収集のアンテナはすべてアメリカの方だけを向いているような気がします。
救いがたい日本の政治家・役人もそうですが、それでは著者のようなチャイナ・ウォッチャーが機会を捉えて政治家に物申しているのか、提言・アドバイスをしているのか、という疑問というかもどかしさも感じます。もちろん「行っても聞き入れない」ような頭の固い連中が、永田町には多いのでしょうけど。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 08:06 | コメント (0)
2006年01月30日
日中一〇〇年史
現在の日中関係に関して、楽観論から悲観論まで、それこそ数え上げたらきりがないほど出版されていますが、そういった書籍に対し本書は淡々とした語り口調で、日中近代史と知識人の群像を描いています。
<日中>とは言っても、いわゆる中国モノと言うよりも、日本近現代思想史といった感じが強く、竹内好、尾崎秀樹といった面々は、古代や漢文偏重の大学(中国文学科)などでは意外と扱われていなかったりしますので、やや難しくもあり新鮮でもあると思います。
この時代の中国史に興味のある人には、いろいろ示唆に富む言説も見受けられます。ただ、「です・ます調」という文体のせいもあるのでしょうが、扱われている話題がいろいろ横道にそれ、今ひとつすっきりとした論理構成になっていない感がします。あれも言いたい、これも書いておかなくちゃという感じで、著者みずからが整理し切れていない印象を受けるのは、むしろあたしの勉強不足のせいなのでしょうか?
しかし、上にも述べましたが、著者が発する疑問の数々は、中国学を志す者にとって、著者の解答を待つのではなく、自分自身で考え解答を用意すべき問題だと、改めて感じさせられました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:34 | コメント (0)
2006年01月19日
出身地でわかる中国人
『出身地でわかる中国人』読了。
この本、別に客観的なデータで各省ごとの特色・特質を述べた本ではありません。著者が何度も訪中した経験のみを頼りに中国各地のことを書いたもので、言葉を悪く言ってしまえば「単なる旅行の感想」です。
なので、タイトルは偽りあり、だと思います。それに著者本人なのか、あるいは編集担当者なのかわかりませんが、ルビの誤植がとても多いです。中国学の専門家ならあり得ないような間違いがありますので、これは担当編集者の仕業だろうと思いたいです(著者が自分で付けたルビなら、この本の著者は全く信用ならないと断ぜざるを得ません)。
さて、内容ですが、旅の友としては肩もこらずに読めます。あたし自身が行ったことのない土地の紹介も多いので、そういう部分は上に述べたように批判的な目を維持しつつも楽しく読めました。比較的写真が多く挿入されているので、そういうのを眺めるのは楽しいです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:33 | コメント (0)
2006年01月12日
「小皇帝」世代の中国
『「小皇帝」世代の中国』読了。
既に一人っ子政策の第一世代は社会人となり、購買力や学歴など様々な面で、社会への影響力を増しつつあります。そんな一人っ子世代の有り様を描き出した一冊です。
中国の場合、日本や西欧諸国がそれなりの年月をかけて歩んだ道のりを、わずか十余年、場合によっては数年で駆け抜けてきたわけで、その「駆け足」は今も続いている状態、否、ますます加速度を増しているように思えます。
急激な社会変革が巻き起こす様々なひずみ・ゆがみに加え、一人っ子という問題(甘やかし、対人関係などなど)、社会主義から事実上の資本主義への転換。そういったものが一気に出現し、なおかつ広大な国土と人口を持つ国だけに、ひずみや格差が日本などの数倍にもなって現われているのが今の中国なのでしょう。
ですから、本書は別に中国のお話として読まなくとも、<主語>さえ見なければ、現代日本若者事情としても読めてしまいます。そんな中国のこれからをになっていく若者と日本人はどうつきあっていけばよいのか? 著者の解答は交流を広め深めていくしかないってことのようですが、これだけ中国の若者の中へ飛び込んでいった著者だけに、研究者やジャーナリスト、ビジネスマンには思いもつかない処方箋を示して欲しかったと思うのは、虫のいい話でしょうか?
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 07:33 | コメント (0)
2006年01月06日
人民元は世界を変える
『人民元は世界を変える』読了。
中国モノと言うよりは、経済モノと言った方がいいような本でした。経済・金融などに疎いあたしには少々骨が折れました。
ただ、中国モノというと「とんでも本」が多い中、むしろ本書のように必ずしも中国問題専門家でない人の著作の方が客観的かつ冷静に視点を提供してくれる感じがします。
それに、自分は客観的に見ているつもりでも、やはりあたしだってそれなりの偏見を持って中国を見てしまっているわけで、そういう自分に気づかせてくれる意味でも、この手の著作って、たまには読むべきかと思います。(中国のこと何も知らない人が、印象だけで勝手に議論を進めてしまうような本も多数ありますが……汗)
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:46 | コメント (0)
2005年12月23日
東アジア「反日」トライアングル
この前に読んだ「俺様国家…」に比べると、著者が大学の教員だけに、話の進め方に乱暴さは少ないです。著者の専門は北朝鮮や韓国と言うことで、中国に関しては著者独自の論と言うよりも、他人の著作やマスコミ報道などからの情報で構成した感があり、朝鮮問題ではなかなか面白い話が書かれているのでちょっと残念です。
ただ、全体としては好きであるからこそ、その反動で嫌いになってしまったとでも言うのでしょうか、中国・韓国・北朝鮮を見下している風が感じられました。
それでも、韓国・台湾を近代の真っ只中、中国を近代に入りつつある頃、北朝鮮を中世と見るのは興味深い視点です。たぶん明治から昭和初期にかけての日本って、当時の欧米の先進国から見たら、今の中国・韓国のような感じだったのかなあ、と思いました。
さて、著者は長い間韓国に滞在し、それなりに韓国という国を見たと思います。だからこそ見える、見えてしまう負の面というのはわかります。でも、それを本にまとめて日本人に知らせるというのも理解できます。
でも本当なら、そこから一歩進めて、それを乗り越えて隣国として分かり合えるためにはいかにすべきかを述べて欲しいと思いました。本書中で全く触れられていないわけではないのですが、本書全体のトーンとしては、中国・韓国・北朝鮮は今のところどうしようもない国、という印象を抱かされてしまいます。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:39 | コメント (0)
2005年12月19日
”俺様国家”中国の大経済
”俺様国家”中国の大経済読了。
あまり後味のよい本ではありませんでした。いわゆる中国脅威論の一角を占める書籍なのでしょうが、どうしてこうも中国を敵視するのだろうかと思います。
確かに書かれている内容でうなずける部分も多々あります。ただ、そこから先が賛成できないことが多いです。
それと読んでいて気になったのは、著者がほとんど論拠となるものを示さない点です。こういった新書だからなのかもしれませんが、中国や日本、あるいは欧米の新聞・雑誌・書籍などに書かれていることを論教にしているのであれば、それを挙げて欲しいものですが、ほとんどすべて論拠なしなので、言葉を我好く言えば「著者の勝手な思い込み」という感じがしてしまいます。
でも、昨今の日中関係をみてみると、日本ではこういった論調の本が受けるのだろうな、とも思います。まず対決ありき、という姿勢は非常に危険だと思うのですけど……。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:06 | コメント (0)
2005年12月12日
中国経済のジレンマ
『中国経済のジレンマ』読了。
この手の本は、もう何冊も読んでますが、この本は経済学や実際の貿易・経済の現場を心得ていないと、ちょっと難しいかなと感じます。あたしのように、経済学の数字がからきしな人間には、読み進めるのがかなり大変でした。
ただし、著者がトータルで主張していることはよくわかりますし、さすがに中国人だなと思わせる視点で興味深いところもあります。その一方で、日本在住だけに中国国内に暮らしていては気づかない部分にも目が行き届いていて、そういう意味でバランスの取れた記述だと思います。
格差が開きすぎてしまった中国は、日本やアメリカはその台頭をかなり驚異に感じているようですが、砂上の楼閣に近い経済発展、沿海地区の反映という気がします。
「そんなことはない、驚異だ」と主張する人も多いのでしょうが、少なくとも中国の指導部はかなりの危機意識をもって現在の安定を如何に維持するか、腐心しているのではないでしょうか。こういった論著を読むたびに、そう思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 18:42 | コメント (0)
2005年11月02日
中国人の愛国心
中国人が日本文化に憧れ親近感を持ちつつも、親しくなったが故に、自分たちの生活にかなり浸透してきたが故に、逆に反発心を持ってしまうということはよく理解できました。
また、例えば反日デモにおいて、日本が領事館などへの投石・破壊に対する謝罪と賠償を求めたのは対症療法的であり、そもそも原因を作ったのは日本であると中国が主張して謝罪しないのは枝葉ではなく根本からの解決を求めているからだ、という著者の解説はそれはそれでわかるのです。
ただ、自国にある外交施設に対していかなる理由があるにせよ破壊行為に及んだというのは、国際的に見て許されない行為だと思います。日本と中国の間だけならば上述の理屈で通るのでしょうが、果たして国際的には通用するのだろうか、という疑問が起こります。残念ながら著者はそれについては何も答えてくれていません。
本書は、この春の中国の反日デモの数ヶ月前に刊行された前著に引き続き、そのデモを受けて、著者なりの解説を試みたのが本書です。ただ、問題が複雑なだけに、ストレートな解説・回答にはなっていません。結局は自分で考え行動するしかないのでしょう。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:10 | コメント (0)
2005年10月31日
ほんとうは日本に憧れる中国人
『ほんとうは日本に憧れる中国人- 「反日感情」の深層分析』読了。
中国の若者は意外と日本に憧れている、という内容。中国国内の反日・嫌日の人が読んだら怒るかもしれませんが、確実にこういう若者は増えているのだと思います。ただ、中国の若者がみんなそうなんだと短絡的に考えるのもいけないでしょうし……。
本書は、この春の中国反日デモの前に書かれた(出版された)ものなので、この本で中国の若者に対する好意的印象を持った人には、現実とのギャップを感じるかもしれませんが、本書をよく読めば、決して一筋縄ではいかない中国の若者の感情というものにも触れられています。
ところで、この手の本の論調として、そしてそれはもちろん正論だと思うのですが、日本人は偏った報道や表面的な現象にばかり目を向けず、もっと中国のこと、中国人のことを知る必要がある、という言説を耳にします。もちろん知りたいと思う日本人が多いから、日本人・中国人のさまざまな立場の人が書いた、こういった本が数多く出版されていると思うのです。
でもって、こういう本を読んだ時に思うのは、中国では「日本と日本人をもっと知ろう」という本は出ているのだろうか、そして日本のこの手の文庫・新書がそれなりに全国津々浦々の本屋にまで行き渡り、多くの日本人の目にとまる現状に対し、中国はどうなのだろうか、ということです。
たぶん中国でもこの手の本は出ているのかもしれませんが、どれだけ中国人に読まれているのでしょう。それと、日本ですと、かなり中国べったりな論調の本から嫌中・反中の過激な本まで幅広く出ていますが、中国ではどうなのでしょう? 別に中国は言論の自由のない国だ、政府批判的な本なんか出版できないとは思いません。純粋に、そういった書籍はどのくらい出ていて、国民に浸透しているのかが知りたくなるのです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:30 | コメント (0)
2005年10月27日
満鉄調査部
満鉄調査部の歴史というよりは、必然的に満洲国史、日本近現代史といった内容になってしまいます。「あとがき」で「人物を中心に論を進めたために、日本の国内政治や満鉄と調査部の関係が後景に退いた感がなきにしもあらず」と書いていますが、確かに満鉄調査部以外の話題に筆が及んでいる部分が少なくありません。それが満鉄の面白さでもあるのでしょうが。
それにしても、最近は満洲国関係の書籍が、意外と書店店頭を賑わしているような感じがします。やはり戦後60年という節目だからなのでしょうか。でも、ほとんどの書が「満洲」を「満州」と表記しているのは、やはり「いかがなものか?」と思ってしまいます。(高島俊男さんの著書をお読みください!)
なお、本文中157ページの表、一番左に載っている「鈴江源一」は「鈴江言一」の、205ページ後ろから3行目「少なくしようと、し憲兵隊に」は「少なくしようとし、憲兵隊に」の誤植ではないかと思われます。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:35 | コメント (0)
2005年10月24日
反日と反中
『反日と反中』読了。
直前に読んだ『…永遠のミゾ』に比べると、資料も豊富で、研究者の説を多く紹介してあり、かなり濃い本です。極めて対照的と言えます。
著者の立場は私から見ると非常に公平だと思いますが、やはりいろいろなところからクレームが来るのでしょう。しかし、それは仕方ないことだと思います。できうれば、著者が書いていることについて、予想される反論についてももう一言添えて欲しかったと思います。
著者の言は、別の書籍でも耳にする言説ですが、巷にはそれらに対する反論・反対意見も多数存在します。そういったものについて、もう少し紙幅を割いてもらえれば、より説得力がある本になったのではないかと思います。
本書に登場する中国人研究者は、かなり本音を語ってくれていますが、それでもまだ中国政府、あるいは共産党に遠慮した公式発言的なものが目につきます。彼らにとって忘れられないのは、実は日本の侵略という歴史ではなく、文化大革命で徹底的に弾圧された歴史の方ではないかと、読みながら思いました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:42 | コメント (0)
2005年10月20日
日本人と中国人永遠のミゾ
サブタイトルに「ケンカしないですむ方法」とありますが、決して解決方法を具体的に提示しているような本ではありません。日本語・日本文化を専攻し、日本にも長く生活している著者が、身近に感じた日本と中国とのギャップを語るという、よくあるパターンの本です。
ただ、著者が何度も述べているように、お互いの違いを認め合い、そしてきっと解りあえると信じることが大切なんだということを感じる読後感です。つまり「ミゾ」を埋めるのではなく、橋を何本も架けることを目指すべきだと思いました。たぶん、著者もそんなことが言いたかった・書きたかったのではないかと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 18:35 | コメント (0)
2005年10月19日
鬼子たちの肖像
中国の画報に描かれた日本人像をたどった一冊。中国人は中華文明に含まれない生き物をすべて「鬼」と見なしていたので、怪物も幽霊も妖怪も、異形の動物も、挙げ句の果てには外国人(西洋人)までもすべてひっくるめて「鬼」と呼んでしまっていたようです。つまり、自分たちと自分たち以外っていう至極単純明快な分け方ですね。
そんな鬼の系譜のしんがりに、日本が位置するわけでして、歴史的には「倭寇」という言葉が有名なように「倭奴」などの呼称が多かったのが、日清戦争以後、日中戦争までの敵対関係の中でめでたく(?)鬼の仲間入りしたという次第。
高島俊男さんほどではないですが、武田さんの文章も時折ピリッととした辛みの含まれる洒脱な文章で読ませます。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 07:48 | コメント (0)
2005年10月15日
阿片の中国史
『阿片の中国史』読了。
手軽な、近代中国の阿片問題簡史としては読みやすい本です。新書なので掘り下げた分析とか資料の提示はあまりないので、そこがやや物足りないですが、概略(大きな流れ)を知るにはこの程度がちょうどよいと思います。
ただ、日本の明治維新と阿片問題を述べる部分では、かなり著者の主観に傾きすぎているような印象を受けました。もう少し傍証が欲しいところです。それと中華人民共和国になって数十年の阿片禍をたった三年で終息させたと言いますが、その過程があまりにも表面的で説得力に乏しいものとなっているのは残念なところです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 14:18 | コメント (0)
2005年10月08日
だれが中国をつくったか
著者は中国人の歴史を観る眼が数千年来変わっていないということを『史記』以来の正史を例にとって述べているのですが、どちらかというと本書は代表的な正史とその編纂に関わった人の紹介という読後感が残ります。つまり「はやわかり!中国の正史」といった感じです。
確かに最初に中国人の歴史観概論を述べているのですが、各正史を扱った部分では、正史の成立過程やそれに携わった人々の伝記の記述に紙幅のほとんどが割かれていて、著者の最初のテーマをきちんと証明していく形になりきっていません。ですから、本書はあまりそういったことを考えずに代表的な中国の正史の概論書と思って読んだ方がわかりやすいでしょう。
たぶん、新書という性格上、一般読書に配慮してこのような形になってしまったと思うのですが……。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 17:08 | コメント (0)
2005年10月06日
西太后
清末の女傑・西太后の評伝でありながら、その時代が現在の中国の出発点になっているという視点で書かれた「清末史概説」でもある書です。新書という形態から、なぜ現在の中国の元になっているのかという点では、証明が言葉足らずな面もありますが、「うんうん、確かにその通り」とうなずけるところが非常に多かったです。
女傑、権力の亡者、冷酷な悪人、といった従来の西太后の一般的なイメージ(あたしは、あまりそういったイメージを持っていなかったのですが…)をかなり一変させてくれるのではないでしょうか。西太后は良くも悪くも「女」であったという指摘は、呂后や則天武后と比較した時によりはっきりしますが、個人的にはこのような非政治的な存在を政治の中心に据えようとする中国政治世界の特質を今一歩掘り下げてもらいたかったとも思います。本書には、清末の諸点が現在の中国の出発点であるという指摘が随所に見られますが、紙幅の都合上なのでしょう、上述のように更にもっと突っ込んで現在との類似点・相違点を吟味・検討して欲しかったと思います。(それは各自が考えることもかもしれませんが。)
現在の中国の歴史学のあり方(しばしば歴史事実を無視した極端な反日な態度を表わしますが…)を、ところどころ辛辣に指摘していますが、そんなところだけが昨今の嫌中派・反中派の論客たちに利用されないことを願います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 17:26 | コメント (0)
2005年09月07日
「日中友好」は日本を滅ぼす!
『「日中友好」は日本を滅ぼす!―歴史が教える「脱・中国」の法則』読了。
日本史において中国と距離を置いた平安時代や江戸時代は日本が発展し、中国にかかわった時期は日本は混乱に陥ると述べる導入部。そういう見方もあるのかなという気持ちで読みました。この論をきちんと肉付けしていけば、それはそれで面白い日中関係史の本が出来上がりそうなのですが、著者の説明はごく簡単にあっさりとすまされてしまい、論拠も弱く、とてもうなずけない意見だと感じてしまいました。それがちょっと残念です。
本書の大部分は、おのずと近代以降の日中関係で、中国とほとんど無関係に脱亜入欧を目指した明治、復興に励んだ戦後は日本の発展期となり、昭和の大陸侵略や国交回復後の中国と関係を持った時期は混乱期であるという論調です。
このような立場に立ち、果たして日本は今後も中国と友好的にやっていけるのか、アメリカと手を切ってまで中国に肩入れするのは果たして得策なのかという意見。これには啓発を受けました。日本は非常にたくさんの国と国交を結んでいますが、どの国との間でも「友好」なんて声高に主張しておらず、中国と国交を結んでいる欧米諸国も別段「友好」を叫んではいない、なぜ日中だけが「友好、友好」と騒ぐのか、著者の石林氏はそう言います。友好なんて謳わなくてもいいから、ごく普通の国と国関係でいいじゃないか、という主張には、実際大陸で事業を展開している企業人には「そんな簡単なものじゃない」と言われそうですが、今後の日中関係で、意外と大事な視点なのかもしれません。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:45 | コメント (0)
2005年09月04日
中国は社会主義で幸せになったのか
中国の近代以来の歴史を、共産党を中心に俯瞰したもの。中国の革命の歴史、特に共産党の革命が、社会の土台を変革することなく、マルクス主義の教条に引きずられて進んでしまったため、中華人民共和国も、その内実は中国伝統の封建王朝と変わりはなく、毛沢東はましさくその皇帝であったという。
中国がその実態は何も変わっていない、という議論は別な人の著作でも読んだことがあるような気がしますが、本書は非常に明快な論調です。ただ、清末以来の歴史を俯瞰するには、やはり紙幅が足りなかったかなという気がします。
中国がなぜ国民党でなく共産党によって治められるようになったか、また文化大革命などの悲劇がなぜ起こったのか、という疑問には簡単には答えられませんし、答えはそんなに単純明快なものでもないでしょう。ただ本書はそれなりに納得できるわかりやすい回答を用意してくれています。
それにしても、周恩来をはじめとする当時の指導者は、なぜに毛沢東の独裁を抑制できなかったのか、という点については、やはりまだ疑問が残ります。個人的には、あれだけの国土と人工を持つ国は、多少の誤りがあろうともカリスマ性を持った指導者が強引に引っ張っていかないと前へ進めなかったからではないかと思っているのですが……
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:20 | コメント (0)
2005年08月12日
人名用漢字の戦後史
『人名用漢字の戦後史』読了。
著者は大修館書店で長年にわたって漢和辞典の編集を担当された方で、人名用漢字や当用漢字、常用漢字の変遷が、戦後政治の軌跡と重なるということを中心にまとめたもので、そういう視点からの「漢字モノ」はあまりないので面白く読めました。
審議会などの政府の組織の手続きなどは、門外漢にはよくわからず、著者はかなり丁寧に記述してますが、それでもよく飲み込めない部分がありました。そんなところが、政府やお役人のダメな部分なのではないかと思います。もっと一般の人にもわかるようにしないと! ちょっとした手続き一つで、延々と本質は無関係な議論に時間を費やして……。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 18:12 | コメント (0)
2005年07月29日
中国激流
先日読んだ莫邦富氏の著作に比べると、中国に対する見方は厳しいものがありますが、決して嫌中・反中的な立場ではなく、きわめて中立的な立場で書かれていると思います。中国人からすれば、偏狭な見解と言われるかもしれませんが、国際的に見ても妥当なところに落ち着いているのではないでしょうか?
インターネットなど、新しいメディアに対する評価も、実際のところはこんなところだと思います。ネット人口は、中国ではまだまだ少数ですが、知識人など中国をリードしていく人々が中心になりますから、やはりそれなりに重視しないとならないと思いますが、一方で都会と地方(農村)との格差が、恐らくあたし達が思う以上に開いているんではないかと思います。
そんな中国だからこそ、やはりきちんと中国語を学んで、正しく中国を理解し、思いっきり中国人とつきあえるようになることが大切だと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:00 | コメント (0)
2005年07月15日
日中はなぜわかり合えないのか
莫氏の著作はそれほど読んでいるわけではないんですが、これは新書で電車の中で読むにはちょうどいいし、なにしろこんな日中関係の時期だからこそ知日派中国人の意見を知っておこうと思って…。
論調はいたって中立な感じを受けます。嫌中・反中人士から見れば、もってのほか、という意見なのかもしれませんが、あたしから見ればごくごくまっとうな意見に思えます。
ただ、日本人は中国人のことを理解していないと莫氏が語る時、それ以上に中国人は日本のこと知らないでしょ、という感想も抱きます。莫氏は中国のインターネット世論の影響力や留学生をはじめとする訪日経験者が多数いて、そういう人たちの言説が中国人にも伝わっていると言いますが、それについては日本人の方がはるかに数が多いはずです。
少なくとも日本では、あまりにも中国側に偏った意見・書籍であれ、逆に徹底的な嫌中・反中の言論でも、こうやって発表・出版できるわけで、この面では中国に比べかなり進んでいると言えるでしょう。ただ、こう書くとすぐに、中国は言論の自由がない、何も知らされていないという極端な意見が出てしまうのが哀しいところです。
また、日中のこれからを何とかしなければならないと機会あるごとに警告を発してきたと書いていますが、本書を読む限り具体的にどうすればよいのか、具体的には何も書かれていません。もちろん企業人・留学生・一般旅行者など、立場によって出来ること・すべきことは異なりますので、書きづらいところはあるでしょう。一般論を書いても抽象的になってしまえば、あまり意味があるとも思えませんし。ただ、それでももう少し具体的な処方箋を開陳して欲しかったところです。(そういうのは金をもらわないと話してくれないものなのでしょうか?)
ただ、こういった不満を感じるものの、やはり今の日中関係をよりよいものにするためには、いったん不満を仕舞った上で、莫氏の意見に謙虚に耳を傾け、ささやかでも、できることからやり始めるという態度が一番大事なのではないかと感じました。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:50 | コメント (0)
2005年07月07日
中国艶本大全
『中国艶本大全』(土屋英明、文春新書)読了。
前半、といっても半分より少なく、三分の一くらいは、中国の淫書の簡単な歴史概説で、後半が主な淫書・艶本の抄訳になっています。
この抄訳部分、同著者による徳間文庫『房中秘記―中国古典性奇談』とほとんど同じと言ってよいような中身です。
さて、内容が内容だけに肩の凝らないさっと読める本ですが、説明などがやや端折りすぎていて、中国文学や中国史を専門としてない人などには、やや理解しづらい部分があるかと思います。
また土屋氏は後半の各翻訳の最初に付けた書誌学的解説が邪魔かもしれないと書いていますが、中国学専門の私には、むしろこの部分をもう少し学術的に膨らませて欲しい、と思うことしきりでした。(翻訳は徳間文庫の方を読めばいいのだから……笑)
ただ、こういった解説を加えたから『…大全』なんていう書名なんでしょうけど、このタイトルは、やや大上段に構えすぎの感がありますね。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:25 | コメント (0)
2005年06月24日
現代中国の禁書
『現代中国の禁書 民主、性、反日『(鈴木孝昌、講談社+α新書)読了。
中国のメディアに自分の信念を一度は発表できたものの、その後当局により発禁とされた人々へのインタビューを中心としたノンフィクション。著者は長らく香港、北京で新聞社の局長として取材に当たり、表面だけではなく、その裏にある事情・状況にもきちんと目配りの届いた文章だと思います。即今の中国ものといえば極端に右か左にぶれているものが多いのですが、その点で本書は非常に公平な感じがします。なので、ぶれている書籍になれてしまった人には物足りないのかもしれませんが、現在の日中関係は庶民も含め、双方ともに頭に血が上った状態ですので、こういう冷静な意見にもっと耳を傾けるべきだと思います。
惜しむらくは、こういうバランスのとれた本だからこそ、もっと現在の日中関係に対する見解に紙幅を裂いてもよかったのではないかなと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 19:40 | コメント (0)
2005年05月30日
中華文人食物語
『中華文人食物語』(南條竹則、集英社新書)読了。
中華の名菜と、それにまつわる著名人のエピソードを、著者の南條氏が実際に統治へ足を運んで食べ歩いた経験とともに軽妙洒脱にまとめた一冊です。
南條氏があとがきでいみじくも自ら述べているように、自分が何を食べてきたかを書き連ねているようなところもありますが、中国史の著名人やそれほど有名でない人も織り交ぜ、文章自体は面白く厭きさせません。
ただ、もう少し面白いエピソードでないと、中国史に興味を持っている人以外にはつまらないかもしれません。なぜなら中国史はとてつもなく面白いエピソードにあふれていて、またそのようなエピソードの数々が様々な形で日本人に紹介されているので、そんじょそこらの物語では読者の興味をなかなか引けないからです。
しかし、こういった本を読みを終わってつくづく感じるのは、どの国にも食文化というものはあるのでしょうが、こうして本にまとめられ、それなりの数の読者を獲得できるほどの広がりと深さを持っているのは中華料理とフランス料理くらいでしょうか。
欲を言えば、本書で紹介された歴史のあるメニューが、日本と禹域、今ならどこで食べられるのか、そういう情報も欲しいところです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 10:48 | コメント (0)
2005年05月06日
古代中国の文明観
『古代中国の文明観』読了。
<文明観>とは言うものの、初めのうちは「自然認識(=自然をどう見るか)」といった印象でした。古代中国の主要な思想学派-儒墨道-の自然観・文明観を考察するという、中国哲学モノには珍しい視点が新鮮でした。
中国古代の春秋戦国時代、大自然をかなり破壊していたのか、思想家たちの自然観にも現代にも通じる主張が見られます。否、現代を予知していたのではないかと思われるほど、冷徹な視線を感じます。
本書半ばからは、儒墨道それぞれの学派の文明観を語る章になるわけですが、この手の新書の宿命として、まずは儒墨道各学派の概説めいた部分が出てきます。これがやや冗長な印象を受け、肝心の文明観・自然観がつかみにくい嫌いがあるのは残念です。時を現在に置き換えても通用する言説が多いだけに、思いっきりその方面に絞って記述した方が却ってよかったのではないかと思います。
これは、中国思想を専門に学んできた私だからの感想で、一般の方には各思想学派の概説がないと、逆についていけないのかもしれないですね。ただ、そうなると、かなり多めの原文の引用(読み下し)が、直後に現代語訳があるとはいえ、少々うるさく感じるのではないでしょうか。
また、文明観という視点は面白いのですが、結局古代中国の思想家たちが、このような明確な意識を持っていたわけではないので、自然に対する主要三学派の主張が噛み合っているわけでもなく、また著者自らも書いているように、どの学派も一長一短でどれがよいと決めることはできないように、それが本書の結論を曖昧模糊としたモノにしてしまっているような印象を受けました。
個人的には、学派の主張だけではなく、具体的な当時の自然破壊(例えば大土木事業など)を紹介し、それが国家財政や人々の社会生活などにどの程度影響を及ぼしていたのか(なかなか具体的に描き出すのは困難でしょうが)といった部分を書いてもらえると、中国思想が専門でない人にも、より親近感を持たれたのではないかと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 10:47 | コメント (0)
2005年04月02日
多民族国家 中国
岩波新書『多民族国家 中国』読了。
中国は歴史的に多民族国家であった、周辺の文化を蔑視することはあっても、そこに住む人を蔑視したりはしない、という主張は他の研究者、他の著書でも書かれていることはありますが、このようにストレートに書かれると、しっかりと頭に入ってきます。
後半は現代のホットな話題、チベットと東トルキスタンの問題ですが、著者は中国人であるにもかかわらず、清朝から中華民国、人民共和国時代まで、比較的公平なスタンスで中国当局の周辺地域支配、少数民族政策を綴っています。
チベットや東トルキスタンは、近代の帝国主義の影響を受け国際問題でもあり、また中国自身の経済発展によって、必ずしもそこに住む人の大多数が独立を望んでいるわけではない、という記述も確かにその通りだと思います。
中国の歴史は、いわゆる近代の領土国家という考え方とは無縁だったので、国境線という考え方も、まだまだ百年程度の歴史しか持っていません。このような全く異なる基準、物差しでチベットや東トルキスタンに向き合わなければならなくなった近代以降の中国の為政者は大変だったと思います。本書は、新書というスタイルのため、このあたりの記述にもう少し深みがあってもよかったのにという憾みが残ります。また、これはあたし個人の問題なのでしょうが、著者が中国人なので読みながらいつも頭の片隅で、欧米の研究者ならどういう記述をするだろう、日本の学者はどう考えるのか、といった疑問が生まれます。
いずれにせよ、竹島や尖閣諸島など、ここへ来て日本も「領土」という問題を身近に考えざるを得なくなりましたが、周囲を海に囲まれ、それが事実上の国境線を形成していた日本人には、本書は領土問題を考えるきっかけを与えてくれる一冊です。しかし、本書のタイトルは「多民族国家」です。タイトルから、中国の少数民族のガイドブックを予想された方は肩透かしを食うでしょうね。
〔管理人による補足〕
参考までに、少数民族の方に興味をお持ちの方には『中国55の少数民族を訪ねて』をお薦めします。
投稿者 rockfield : 10:46 | コメント (0)
2005年03月02日
奇人と異才の中国史
岩波新書『奇人と異才の中国史』読了。
中国史で、かなりの実績を残しているにもかかわらず、あまり知られていない人物を五十数名取り上げた本書は、新聞に連載されていたものをまとめたため、各人の記事はかなり短めです。なので、ずいぶんと端折ってしまっていて、物足りない部分もありますが、中国史初心者にはドンドン読み進められるので、手頃な一冊でしょう。
ただ、奇人・異才と銘打ってますが、読んでみると「ごくごく普通の常識人」って人が多いような気がするのは、あたしが不感症だからなのでしょうか(爆)。ほとんどの人物は当然知っている人で、数名だけほとんど名前も聞き覚えのない人が交じっていました。うーん、自分の勉強不足がちょっと情けない。
上述のように、入門向けとしても気軽に読めますが、多少中国史を勉強した人でも、各人の記事の少なさが、「もう少し知りたい!」という適度な飢餓感を刺激して、それはそれで面白い一冊ではないでしょうか。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 10:44 | コメント (0)
2005年02月25日
『史記』の人間学
講談社現代新書の『『史記』の人間学』読了。
『史記』の注釈書などの研究書は多いが、人間学に関するものは少ないという著者の考えによって執筆された一冊。『史記』の中から、皇帝・将軍など何人かを選び、その人物像に迫るというものです。ただ、既に中国史を専門にやっている私などにすれば、どの程度人物像に迫れているのか、今ひとつわかりませんが、『史記』を知らない人、読んだことがない人、あるいは中国古代史に詳しくない人には手頃な入門書です。
取り上げられているのは皇帝や将軍に偏らず、『史記』全体の割合に比較的忠実に選び出されていると思います。個人的には、『史記』の著者・司馬遷の筆が冴えるという面からは、第5章から第六章の部分をもう少し広げてもよかったのではと思います。また、ページ数の関係もあるのでしょうが、巻末に人名索引などがあれば、より有効だったと思います。
各人物を取り上げた後の司馬遷の思いを著者が推論するくだりでは、ややビジネス書的な臭いもしますが、そういう方は、ぜひ『史記』そのものを読んでもらいたいと思います。原文では難しくても、翻訳が何種類も出ています。
〔管理人による補足〕
一か所、孔子を扱った部分で「喪家の狗」を「お弔いのあった家の犬」と解釈しているのは、とても気になりました。これが著者の解釈なのでしょうが、研究者の間では一般に「宿無し犬」と解釈されているところだと思います。
投稿者 rockfield : 10:42 | コメント (0)
2005年02月04日
タブーの漢字学
講談社現代新書『タブーの漢字学』読了。
タイトルから、「一般に●●という字が使われてますが、本来の意味からすると間違いで…」的な本かと思ったのですが、性表現や死に関する漢字の使い方(?)などをまとめたもので、「あとがき」によれば、著者の阿辻先生が学生時代から温めてきたテーマだったそうです。
個人的には、最後の実名を避ける<タブー>のところが一番面白かったです。中国学を専門にしている人には当たり前の事柄ですが、気軽に読めてこれだけまとまった分量のある文章は、少なくともあたしには初めてだったので、とてもためにもなりました。
逆に巻頭の性に関する部分は、阿辻先生が妙に気にされていて、言い訳がましい文面が多かったのが気になりました。ちょっと気にしすぎじゃない? というのが、最初読んだ時のあたしの率直な感想でしたが、逆に出版人の一人として、このくらい神経質にならないといけない問題なのかもしれない、と読み進むうちにちょっと考えが変わりました。
漢字については、阿辻先生はこれまでにも一般向けの著作を数多く書かれていますので、そのような本も含めお薦めです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 10:41 | コメント (0)
2005年02月01日
中国文明の歴史
講談社現代新書『中国文明の歴史』読了。
中国二千年(三千年?)の歴史を一冊でまとめたコンパクトな入門書です。が、著者の岡田氏は中国史専門というよりは、もう少し広く世界史という観点から中国史を捉えているので、「ああ、なるほど、こういうダイナミズムの中の一場面なのね」と思わされることがしばしばです。そういう意味で、中国学の専門家が書く中国史に慣れ親しんでいる人は、ちょっと違和感を感じるかもしれません。
また、細かな歴史事実については、あるいは誤認かなと思われるところもあります。中国史の時代区分も、結構学界を割るような論争もありますが、私個人としては、岡田氏の分け方は違和感なく素直に受け入れられます。
中国史を専門に学んでいない方は、この本ともう一冊、中国史専門家の書いた概説書・入門書をあわせ読むとよいかと思います。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 10:39 | コメント (0)
2005年01月25日
中国語はおもしろい
新井一二三『中国語はおもしろい』読了。
英語も堪能で、海外生活が長く、もともとは中国語での執筆を主とされていた著者の文章は、非常に読みやすいです。恐らく、中国語もわかりやすい文章を書かれるのだろうなあ、と思われます。内容は著者のこれまでの中国語、そして中国との関わりを、時間軸を行きつ戻りつしつつ書きつづったものです。
しかし、著者同様大学に入学以後中国語に始めて接した私などから見ると、新井氏はそもそも潜在能力が抜群に高かったのではないかと思ってしまいます。だって、日本語・英語・中国語を操って、それで飯食ってる訳なんですから。
ところで、先日読んだ高島俊男さんの本には、読書人と一般庶民の間は断絶しているわけではなく、比較的容易に行き来ができると書いてありましたが、本書では識字階級と非識字階級が「厳然と分かれて」いると書いてありました(68ページ)。一見、正反対な主張ですが、前後の文脈があるからでしょうが、私にはどちらも正しく矛盾無く入ってきます。でも、同じ中国に関






