2006年09月13日
人民に奉仕する
『人民に奉仕する』読了。
「人民に奉仕する」は中国語では「為人民服務」と言い、中国に行けば、そこらじゅうで見かける標語の一つです。
それはそうと、中国で発禁になったということ、訳者があたしのよく知っている方だという二つの理由で読んでみましたが、この手の作品、中国ではまだまだかしら(?)という感じでした。詳しい感想はこちらに。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:24 | コメント (0)
2006年08月22日
雲上的少女
『雲上的少女』読了。
中国が舞台とは思えない小説。でも上海、北京はとっくに東京と変わらないライフスタイルになっているのよね。詳しい感想はこちらに書きましたけど、16歳の少女の描く青春恋愛学園小説に四十目前の「オヤジ」(でも心はオバサン)が胸キュンで読み耽っていいのかしら?
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 08:21 | コメント (0)
2006年08月14日
ドラママチ
『ドラママチ』読了。
よくよく考えてみると、角田さんの作品って、これが最初かしら?
それはともかく、中央線を舞台にした短編集。もとは某雑誌に発表された(連作?)ものを一冊にまとめたもので、一つ一つの話には特に関係はなく、それぞれが独立した話です。
中央沿線に住む女性の視点で描いた恋愛模様というか生活模様で、女性もだいたい20代半ばから30代半ばといった角田さんがついこの前までそうであった年頃です。つまり、その年代ごとに角田さんご自身が体験とまではいかなくとも、ふと考えていたことがきっかけになって書かれた作品ではないかな、などと思いながら読みました。
へえ、女性ってそういう風に考えるものなんだ、とかっていう新鮮な驚きはあまり感じられないのですが、むしろ男性側の不器用さというか女性の意識との差違が興味深かったです。(女性の意識の方は、なぜかメチャ共感できてしまう!)
そんないくつかある作品の中の一つに、やはり三十代半ばの女性の友達との会話の中で、彼氏イナイ歴がもう十四年にもなるっていうのは、小学校へ入ろうって女の子が短大を卒業するまでの年月と同じなんだよ、そんなに長いこと彼氏もいないと恋愛の仕方だって忘れちゃうよ、というようなセリフがあるんです。
あたし、このセリフが一番心に残りました。別に自慢するわけじゃないですが(←自慢にならないよ!)、あたしみたいに実年齢が彼女イナイ歴と同じ人の場合(←別に「彼氏」がいたわけでもありません!)、それこそ恋愛の仕方なんてわかりませんよ。そもそも「仕方」どころか「恋愛」って何(?)っていう状態ですから(涙)。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 11:29 | コメント (0)
2006年08月10日
なんとなく懐かしい
まだ読みかけなんですが、角田光代さんの短編集『ドラママチ』を読んでます。
中央線沿線の町を舞台に、世間的には若いと若くないの狭間に位置するような年齢の女性たちの物語集です。
その中の一作「ワタシマチ」。舞台は荻窪です。
冒頭に登場する喫茶店「邪宗門」。あたしも大学時代に先輩に連れられて行ったことがあります。細くて暗い階段を上っていった記憶が残っています。
小説の中では主人公が子供の頃、家族でよく行ってパフェを食べたと書かれていますが、あたしの印象では(後にも先にも一回しか行ったことがないので……汗)、パフェなどを出すようなお店ではなかった気がしてます。あたしがメニューをよく見てなかっただけかも?
その後、主人公が店を出て荻窪駅の南側へ向い商店街を歩くシーン。途中で間口の狭いケーキ屋が出てきます。小説の中で主人公らが歩いている商店街が、あたしの想像している商店街だとしたら、このケーキ屋って、あたしの高校時代のクラスメートがやっている店です。(当時はもちろん父親がやっていて、そのクラスメートが今ごろ後を嗣いでいるのかは不明。)
そして善福寺川。角田さんはあたしと同い年。主人公はもう少し若い年齢が設定されているみたいですが、その主人公が子供の頃の善福寺川って、今とはかなり異なっていたはずだと思うのです。
あたしは小学校に上がるときに杉並区高井戸(善福寺川よりも神田川が近く)に越してきて、井の頭線を主に使っていたので、荻窪っていうのはそれほど頻繁に行っていたわけではないんですが、多少は知っています。
で、その記憶では神田川も善福寺川ももっと浅かったんです。なにせ、大雨になると氾濫して、側道までが川になってしまい、環八にも水があふれることがよくありましたから。(最近でも、杉並・中野って大雨で川の氾濫や床下浸水のニュースが多い地区ですよね。)
その後、善福寺川、神田川ともにかなり深い川になって、ところどころに人工中州も作られ、側道も整備され現在のような姿になっているのです。井の頭線の高井戸駅は環八をまたいでいますが、またがれた環八の方は駅のところが低くなっていて、すぐ脇を神田川が流れています。
大雨で、この低くなっている環八に水がたまり通行不可になったことがあったのを覚えています。それくらいの雨になると、実は井の頭線の明大前駅も地面より低い位置にホームがあるのですが、線路が冠水して井の頭線がストップしてしまうこともよくありました。そうなると渋谷明大前間は不通、吉祥寺・永福町間の折り返し運転、という事態もありました。
さて、主人公二人が歩きついた公園ってどこなのか、小説の中にはヒントらしいものがありませんが、善福寺川公園というのが無難なところでしょうか? でもそれだと荻窪からかなり歩いてしまってますね。前夫字側からは少し離れますが、太田黒公園でしょうか?
でも小説の中ではその後にバスで吉祥寺に向かうわけです。太田黒公園あたりなら荻窪駅へ戻った方が便利でしょうから、やはり善福寺川公園でしょうか? そうすると、五日市街道に出てバスとなります。
そこまで行くと、あたしの母校・豊多摩高校のすぐ裏手です。どうしても高校時代の甘酸っぱい記憶が蘇りますねえ。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 08:17 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年07月21日
仕事より読書が大事と思いたい
あたしの勤務先のウェブサイトに情報が出ていますが、今、啓文堂書店吉祥寺店でUブックスのフェアをやっています。このことは既にこのダイアリーでも書いてますね(笑)。
このフェアはUブックスをこよなく愛するサラリーマン集団・白水Uブックス研究会に、書籍の選定をお願いし、POP・帯なども作成していただいた企画だっていうことも、既に書きました。
このフェアの会場で、同研究会によるフリーペーパー『仕事より読書が大事と思いたい』が配布されています。このフリペ、こういうフェアをやってますということで社内を回覧していたのですが、これが数日前ようやくあたしの手元へ戻ってきました。
実は、たくさん作ったフリペは、一部の関係者に配布した以外はすべて啓文堂書店さんに持って行ってしまったので、あたしの分を回覧している間、あたしはそのフリぺを読むことができなかったのです。
初めて手にしたときにザッと目を通したくらいだったので、今回ようやくじっくりと読んでみました。
まずタイトルからしてそそります(笑)。
表紙をめくって関東の挨拶文に続いては、U研メンバー7人がそれぞれテーマを決めて選んだUブックスのベスト5です。
・少数派腐女子のための妙なる世界文学5選(←腐女子は誤植ではありません)
・映画化されたUブックス5選
・生きることは文学することだと思える5選
・室内干しの洗濯物と過ごすときに読みたい5選
・地球上からなくさないでほしい5選
・今どき?憧れのヨーロッパ5選
・Uブックスを持って街に出よう5選
以上です。うーん、スゴイです。何がスゴイって、こんな風にUブックスを眺めたことなんてなかったものですから、ただただ驚嘆です。そしてU研の方々の愛を感じます。
振り返ってみると、例えばあたしなんか学生時代に中国のことを勉強していたんですけど、もし知り合いの高校生に「大学で中国学を学ぶんで、いい参考書を教えて」と言われたら、簡単に5冊を選べるでしょうか?
「面白そうだなと思ったのを手当たり次第に読んでみれば」なんて答えそうです。でもそれってなんのアドバイスにもなっていませんよね。それにパッと具体的な作品を挙げられないってのは、あたし自身が実は真面目に本を読んでこなかったってことの裏返しじゃないかとも思えるのです。
なので、それぞれ個性的で、もちろん説得力のある選書リストを眺め、驚嘆とともに畏敬の念を覚えてしまうのです。
さて話をフリペに戻しますと、この7つのベスト5の後に、極楽寺坂みづほさんによるトリビュート小説『若きWのあらたな悩み』があります。これも珠玉の短篇と呼んで差し支えないでしょう。
そして最後に、今回のフェア会場で各Uブックスの上に貼ってあるPOP18枚が、縮小されて載っています。このPOPもまた面白いです。あたしの場合、Uブックスは読んだことのない本ばかりなので(←それでいいのか!)、ああ、こういう本なのか、と読書熱を惹起されることしきりです。
〔管理人による補足〕
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2006年07月20日
日中関係
『日中関係―戦後から新時代へ』読了。
中華人民共和国成立以来の日中関係の歩みをコンパクトにまとめた一書。その問題意識は昨今の日中関係の悪化の原因を探り、解決方法を見出したいというところにあります。
論調はおおむね公平で、特にどちらの国の肩を持つという感じはありませんが、それでも昨今の嫌中・反中的な日本人には中国に媚びていると映るのかもしれません。
この手の本としては比較的珍しく、最後に著者なりの解決案が提示されています。どれももっともだと思うのですが、二国間関係である以上、著者の提言を日本側が真摯に実行したとしても中国側も同じように実行してくれるのか何の保証もありません。だからこそ、反中的な人は「まず中国が行動すべきだ」といった論調になるのだと思います。確かに、中国にも著者の提言を実行してもらうには相当な苦労・困難がありそうですが、それをどう乗り越えるか、そこまで著者は触れていません。
さて、象徴的な懸案事項として靖国問題があげられています。著者は現時点では外交問題になっている(つまり、一個人の心の問題ではない)と見なし、ひとまず中止すべきではないかと言っています。
その前段階として日本ではこの数年来、戦後は終わったという論調が盛んであるが、中国では逆にインターネットの普及や市場経済化などによって、以前よりは自由に意見を表明できる社会が出現し、戦後抑えられてきた不平・不満をようやく述べることができるようになったという、日中間の意識の差をあげています。
しかし、あたしなどから見ると、靖国に参拝する、しないなどにこだわっているなんて、日本だってまだまだ戦争を引きずっているとしか思えません。
ただ、あたしは一般の国民も含めてお互いに不平不満を正直に表明できるようになったというのは、実は言い時代になったと考えています。もちろんどちらにも、相手のことを知らないための誤解や、それに基づいた暴論もあります。でも、これまで長いこと「日中友好」という言葉に惑わされて、うわべだけ握手をしてお互いのことを本当に知ろうとしてこなかった両国には、一度このくらい本音でやり合う時期があってもよいのではないかと思うのです。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:05 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年07月18日
ヒストリアン
上巻に比べ下巻は一気に読んでしまいました。一言で言ってしまえばドラキュラ伝説モノなんでしょうけど、別にドラキュラが現われて人を殺しまくるというホラーではありません。でも、人は数名殺されてしまいます。
内容的には主人公の父、その父の若いころ、父の恩師の若いころ、といくつかの時代が重なって進行していくので、最初はやや戸惑いました。実際に、死なざるもの=ドラキュラが存在するのか、そうではなくてドラキュラに名を借りた殺人者がいるのか、最後までわかりません。それは「ヒストリアン」という書名にもあるように、最後までは実に歴史を文献的実証的に追っているからではないでしょうか?
そのせいなのか、実は最後になって「えっ?」と肩すかしを喰わされた感じです。こんなんでいいの(?)という気がしてしまうのは、あたしだけでしょうか? むしろ、東西冷戦時代にアメリカ人が東側に足を踏み入れる、その緊張感の方が面白いと感じました。
ところでこの本、出た当初はかなり書店の店頭にも積んであり、今もそれなりに並んでいますが、実際に売れているのでしょうか? 大々的な登場のわりにはその後噂を聞きませんねえ。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:04 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年07月04日
ジプシー
『ジプシー 歴史・社会・文化』読了。
ジプシーというのは一つの民族だと思っていましたが、本書を読むとそうではないということがわかります。
これまでの通説では、インド北西部を起源とし、西へ西へ流れてヨーロッパ各地に住み着いた(漂流している?)とされてきましたが、どうやら資本主義社会、近代社会の発展に伴って発生した流民層が起源のようです。
なので、ジプシーとひとくくりにしても、言葉・習慣などでかなりの違いがあるわけです。もちろん共通項もありますが、それはジプシーとしてひとくくりにしてしまったが為の先入観が原因ではないでしょうか?
ところで一般に言われるように、インドから流れてきて、地元の人と融和せず独自の生活形態を維持していた、と聞かされると、あたしなどは中国の「客家(ハッカ)」をイメージしていまいます。
現在のジプシー研究の成果からすると、この連想はあまり感心しませんが、それでも比較研究の対象としては面白いのではないでしょうか? 本書には日本のサンカにも触れている章がありますし、あながち的外れとも思えませんが…。
〔管理人による補足〕
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2006年06月27日
30代未婚男
『30代未婚男』読了。
書店回りの途次、新書コーナーで積まれているのを発見。
さあ、買いなさい。あたしを買うのよ。あなたが買わなくて誰が買うのよ!
というメッセージがこの本から発せられていました。
そうね、あたしが買うべきよね。あたしのために書かれた本なのよね、と思い一気に読了。タイトルのわりには、きちんと帖佐・統計資料などを利用した真面目な本です。決してキワモノ本ではありません。
さて、なにゆえ結婚しないのか、できないのか? この手の事情、少し前にテレビでもやってまして、そこでは男ばかりの職場にいて出逢いがない、男子校出身で女性と話せないという人が数名取り上げられていました。そういう人がカウンセリングを受け、女性と話す訓練をし、お見合いパーティーに挑戦する、というテレビ的にはそういうパターンが受けるからなのでしょう、構成としてはそうなっていました。
でも、本書を読むと、いわゆる「女性と話せない」といった人は少数のようで、女性とフランクに話せる、彼女もいるという人が何名も取り上げられています。その点がまずは意外でした。つまりは、結婚に踏み切れない、ということですね。
もちろんその前段階、恋愛できない人ってのも取り上げられていますが、率直に言ってしまえば、あたしがそうね。
あたしの場合、共学校出身なので女性との接点がないなんてことはなく、昔から男女関係なく話ができました。女の子のお友達もいっぱいいました。
ただ、高校の頃から既に「お姉ことば」だったので、仲良くなると「女友達」の感覚になっちゃうのよね。恋愛に発展するなんて考えられないわ……。
さすがに本書では、オカマ系の人は取り上げられていないので、困ったものです。さて、どうしたらいいのかしら?
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 17:40 | コメント (0) | トラックバック(1)
2006年06月20日
わくらば日記
『わくらば日記』読了。
構成としては、もういい歳のおばあさんが自分の子供の頃の、姉との想い出を回想する形式です。「おしん」とか「野菊の墓」もこういうスタイルだったような……
このお姉さんという人が、ちょっと特殊な能力を持っていて、そのことは母親も知らなくて、語り手である妹だけが知っている(後々、数名の人に知られてしまいますが…)秘密です。
この能力を使って難事件を解いていく、と言えばオカルトっぽい探偵小説ですが、そうではありません。ほとんど事件が犯人はわかっているのです。ただ、どうしてそんな事件を起こしてしまったのか、その心の暗部を照らし出すのに、姉の能力が発揮されるのです。
それは探偵ものと言うよりは、人の心の性のようなものを掘り下げた、ちょっぴり切なくもの悲しい物語です。
そして、このような悲劇的な事件に立ち会うことになった姉が、どこまでも心根の優しい、どんなときでも人を信じる人であることが、いっそう運命の悲しさを引き立てます。
本書は数篇の短篇からなっていて、この姉妹の家庭環境など、いくつかの疑問が徐々に明かされるようになっていますが、すべてが明らかになってはいません。また「続・わくらば日記」のようなもので、更にこの続きが描かれることになるのでしょう。
〔管理人による補足〕
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2006年05月12日
ユダヤ教VSキリスト教VSイスラム教
『ユダヤ教VSキリスト教VSイスラム教―「宗教衝突」の深層』読了。
なんといっても昨今の世界情勢は、イスラム教世界とキリスト教世界の対立が軸になっているわけで、どうしてそんな風になってしまったのだろうということをわかりやすく解説してくれている本です。
と言っても、対立ばかりを取り上げている本ではなく、同じ根っこから生まれたこの三つの宗教の違いや共通点を歴史の流れや人物なども交えながら示してくれます。
記述の中には、キリスト教やイスラム教などの宗教的知識、ヨーロッパや中東の歴史的知識といったものを持ち合わせていないと、やや難しいところもありますが、全体としては平易で、最初の一冊としてはわかりやすいものではないでしょうか。
文庫というサイズ、それにあくまで書名にある三つの宗教を概観するという本書の性格上、仏教やヒンズーなどアジア(中央アジア以東)の宗教などには触れられていませんが、本書のような感じでそれらにも言及してくれると、手頃な世界の宗教ガイドになりそうです。
〔管理人による補足〕
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2006年05月06日
かたみ歌
『かたみ歌』読了。
東京の下町のとある商店街とその周辺に暮らす人々に怒った不思議な短編物語集。各物語はそれぞれ独立した話ですが、同じ商店街を舞台にし、登場人物も重なり合い、全体でも一つの物語を構成しています。なので、収録されている順番に読むのがオススメです。
前編を通じてキーとなるのは、商店街のレコード屋がいつもかけているレコード(書店街の名前を意識している選曲?)と、この不思議な出来事を引き起こしたと暗示される場所・覚智寺というお寺。そしてもう一つ、都電。
今の東京には都電はこの一本しか残っていませんが、かつては現在の地下鉄よろしく、かなり縦横無尽に走っていたようです。かくいう、あたしは小学校入学前まで巣鴨(おばあちゃんの原宿!)に住んでいて、ちょうど都電が近くを走っていたということもあり、この物語の世界は、非常にノスタルジーを感じました。もちろんあたしは巣鴨の地蔵通商店街をフィールドとしていたわけで、小説の中の商店街よりははるかににぎやかなところだったはずです。
さて、朱川氏の『都市伝説セピア』に比べると、この作品はオカルトっぽさが薄く、また『花まんま』に比べると、ほろっとさせるようなセンチメンタルなところが薄く、では何が印象深いのというと、時の流れを味わいながら生きていた、今から三、四十年ほど昔の東京の下町の人々の生活です。
もちろん、そう思うのはあたしの勝手な感想であって、当時の人がそんな風に生きていたとは思えません。たぶん、当時は当時なりに必死に目一杯全速力で走るように生活していたと思うのです。
たぶん、最近ブームの昭和三十年代懐古趣味なのかもしれないですが、同じ東京でも都電の近所に住んでいる人っていうのは、今でも独特な生活感覚を持っているのではないかと思いますが、違うんでしょうか?
〔管理人による補足〕
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2006年04月20日
都市伝説セピア
『都市伝説セピア』読了。
『花まんま』を読んで、なかなか面白かったので買ったのですが、買ってしばらくして<文庫版>が出ちゃうなんて……。まあ、でも、本当に読みたい本は文庫よりも単行本で読みたいし、まあいいや。
さて、この本、『花まんま』に比べると、もう少しおどろおどろしい感じがして、『花まんま』は読後に爽やかさとまでいかなくても、なんとなくしみじみとしたものを感じたのですが、こちらはもっとドロドロしたものを感じました。うまく表現できませんが、人間の業とでもいうのでしょうか? たぶん著者もそれを描きたかったのではないかと思うのですが。
ただ、都市伝説というわりには、あたしの年齢のせいなのか、あまり身近に感じられなかったのは残念です。このあたり、各人の幼少期の体験にもよるのでしょうけど。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 08:20 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年04月05日
秘密結社の世界史
『秘密結社の世界史』読了。
古代から現在までの秘密結社の歴史をコンパクトにまとめた一書。最後の方にタリバーンや中国の結社にも少し触れているものの、それらはあくまで付け足しという感が否めないですね。やはり秘密結社といって思いつくのは西欧のものではないでしょうか? 本書の記述も9割方はそちらです。
やはりキリスト教徒の関係というのが結社を考える上で鍵になるのだと思いますが、そこまで深く突っ込むと、とても新書では収まりきらないので、ある程度割愛して本書のようなスタイルになるのはやむを得ないでしょう。
また秘密結社の陰謀説が現在でも現われてくる云々ということにも触れ、ただ著者は基本的にはそういった説は妄想の類であると一蹴しています。でも、秘密結社というものがそもそも秘密の存在なので陰謀説だけでなく、本書で著者が書いていることも、果たしてどこまでが真実でどこからが根拠薄弱な部分なのか、素人のあたしには判別しにくかったです。
こういった本を読む場合には、更に自分で調べるという姿勢が大事なのでしょう。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:47 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年03月15日
他人を見下す若者たち
『他人を見下す若者たち』読了。
新書なので気軽に読める本かと思いきや、心理学的実験を踏まえた実証的な記述でまとめられた本でした。ただ、決して取っつきに悔いないようではなく、多少の心理学的な知識があると理解しやすい面もあるのでしょうが、やはり人間観察を中心とした身近なテーマなので、そんなものは抜きでも十分読めます。
若者がどうのこうの、といったものではなく、あくまでデータを踏まえた分析が主となっていて、著者の造語「仮想的有能感」をキーワードに現代若者気質というものが腑分けされていきます。
ただ、この手の本を読んでいていつも思うのは、「でも、こういう若者を作り出したのは、あんたら大人でしょ?」という疑問です。目の前の若者についてああだこうだと語る前に、なんでこういう若者を作り出してしまったのか、この数十年間の日本の教育とか躾とかってのはどうなっていたのか、そういったものを概説してくれる手頃な読み物が欲しいところです。いろいろな概念や方法を用いて若者を分析していますが、何でそうなったかも考えないと、結局何の解決にもならないと思うのは不遜な考えでしょうか?
でも、幸いにして(不幸にして?)あたしはいまだ独身で子供もいないのですが、犯罪の低年齢化が叫ばれる昨今、「親は何をしている!」と叫んだ時に、本当ならあたしもそういう子供たちの親の世代なんだなあ、としみじみ思ってしまいます。
〔管理人による補足〕
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2006年03月07日
魔王
『魔王』読了。
伊坂作品は初めてだったのですが、なかなか面白くあっという間に読み終わりました。
結末は「えっ、これで終わり? 続きは?」という感じがありますが、「あとは自分で考えろ」というのが作者のメッセージなのでしょうか?(「考えろ考えろ」と「考えない考えない」がこの本のキーワードでもありますけど)
憲法改正や軍隊保持など、ストーリーの状況設定は、まさしく現代を写しているようで、非常にリアルですが、主人公の特殊能力(本当にそんな能力を持っていたのか、最後まで不明)があまりにも唐突で、そのギャップが面白かったです。こういうのをファンタジーって言うのでしょうか?
最初に書きましたが、伊坂作品は他のを読んでいないので、この続きに当たるような作品を氏が発表しているのか不明ですが、主人公が何一つ主人公らしい活躍をしていない作品なので、是非とも続きが読みたいと思います。
著者は、上に書いたような憲法論議などの政治の話題がテーマの本ではないと言っていますが、これは高校の政治・経済などの授業で取り上げたら面白い(考えさせられる)本ではないでしょうか? ただし、授業で取り上げるには、本書に出てくるような意見・議論をきちんと裁ける行司役がいないとならないでしょう。いまどきの高校教師にそれを期待するのは無理だと思いますが……
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 20:56 | コメント (0) | トラックバック(0)
2006年03月03日
ハルカ・エイティ
『ハルカ・エイティ』読了。
回っている書店の女の子(複数)から「乙女だったら読まなきゃダメよ」と言われたので読みました。
戦前というか戦中に結婚した主人公・ハルカの一代記ですが、小説の中でハルカさんはまだ生きています。まだまだ生き続けそうです。なので半生記と言った方がよいのかも。
戦中戦後を生きてきた女性の物語、なんて言うとNHKの連続テレビ小説のような物語を想像するかもしれませんが、本書の主人公・ハルカさんの人生にはそんな劇的な物語はありません。劇的なエピソードもありません。誰の人生にも起こりそうな事柄が起こる程度で、クライマックスと言えるような場面も見当たりません。
え、じゃあ、つまらない小説なの(?)と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。個人的に、特に何か劇的なことが起こるわけでもなく淡々と流れていくストーリーって好きなので(例えば、中国映画「北京の想い出」なんか)、この手の物語は苦にならずに読めます。なにしろ、ハルカさん、迷うことなく真っ直ぐに生きてる、そんな印象を受けます。迷ったり悩んだりしている場面も描かれていますが、そんな深刻な問題には描かれていません。
さてさて、ハルカさん、ちょっと変わった人っぽいです。80歳になったハルカさんは、確かに一風変わった人っぽく描かれていますが、戦中戦後を生きている時のハルカさんは、あたしにはそれほど変わった人には思えませんでした。むしろ、その普通さがリアルな感じを与えてくれます。
先にハルカさんは真っ直ぐに生きていると書きましたが、最後まで読んでみた印象では、ハルカさんは家族にも友人にも他人にも、どことなく一定の距離をおいているような印象を受けます。非常に親しい人に対しても、悪く言えば突き放したような目線を持っています。すべて他人事のように受け流すと言えばいいのでしょうか。なんとなく、そんな印象を受けました。そこにシンパシーを勝手に感じて読んでいたと言えるかもしれません。
登場人物の中では、後半はかなりはじけた感じですが、ハルカの姑が非常に魅力的です。一言ひとことが非常に輝いています。この人がいたからこそのハルカさんではないかと思えるほどです。いわゆる助演女優賞ですね。
この本、装丁も含めた印象としては中学生・高校生にも読めそうなのですが(あたしが子供の頃はこの程度分量の本も案外読んでたものですが…)、性的な描写が所々に出てくるので、ちょっとマズイでしょうか(笑)。
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 22:21 | コメント (0) | トラックバック(1)
2006年02月22日
千日紅の恋人
『千日紅の恋人』読了。
少し前に、書店回りをしていて何気なく目にとまった本です。
恋愛なんて もう、あきらめていた……38歳、老いた母を助けて暮らす女性を描いた、感涙の物語
っていう帯のコピーに、ものすごーくシンパシーを感じて購入し、この数日寝る前に寝床の中で読んでました。
恋愛モノは、いまさら若者の恋愛モノなんてついていけないし、かつて流行ったトレンディードラマのような大人の恋愛なんてシチュエーションも全く縁がなさそうだし、そういった、人生に潤いのないあたしのような人には、ちょっと渇きを癒してくれそうな、そんな作品でした。
感涙はしませんでしたけど、基本的にはほのぼのとしてゆったりとした物語です。帯にも書いてある主人公の前に、突然現われた年下の男性なんですが、第一印象からしてお互い好印象なんて、あたしにはありえない。
それに相手につきあっている人がいるかどうか、気にしないのでしょうか? 恋は盲目、なんていって、好きになっちゃったんだから恋人がいようがいまいが関係ない、なんて言う人もいますけど、あたしの場合、恋人のいる人は絶対好きになれないので、まずそれを確認してからでないと、その先へ進めません。
その点、やはり小説だなあって感じるように、この作品は淡々と進んでいきます。特に危機があるわけでもないし、トラブルがあるわけでもないし、二人の仲を邪魔する人が出てくるわけでもないし……。主人公の女性、38歳で×(バツ)2なんですよね。あたしにも、いい出逢いって巡ってくるのかしら?
〔管理人による補足〕
投稿者 rockfield : 21:57 | コメント (0) | トラックバック(0)