ヒト・本・旅

昨日午後は神楽坂の出版クラブで梓会のセミナー。今回は出口治明さんの講演でした。

さすがに出口さんのお話は面白く興味深くあっという間の一時間半でした。

それにしても、出口さん学長をされている立命館アジア太平洋大学がそんなに人気な大学になっているとは! 海外からの評価もかなり高いようですし、驚きました。

正直なところ、出来た当初は「あんな田舎に大学なんか作ったって、ろくな学生が集まらないだろうなあ」というのが大方の予想だったのではないでしょうか? あたしもそうでした。しかし海外からの留学生も取り込み、多文化、多宗教な環境でタフな学生が育っているようです。秋田にある国際教養大学と似た感じなのでしょうか?

なんというのでしょう、偏差値とかそういうのではなく、今の時代に合った確固とした理念や理想を掲げた大学運営が支持されているのでしょう。コンセプトとしては似たような高校が軽井沢にあったと記憶しています、確かアイザックだったような……。

それはともかく、出口さんのお話でいくつか印象に残ったものを……

まず大事なことというのでしょうか、キーワード的に上げていたのが「ヒト・本・旅」です。つまりは人脈と知識と経験ということのようです。うーん、本を読むのは好きですが、人づきあいが苦手、出歩くのも好きではないあたしなど、まるでダメですね。

また、好きな人物としてはぶっちぎりでフビライ・ハンだとのこと(出口さんはクビライ・カーンと発音していました)。ヨーロッパでは十字軍など他宗教に不寛容な施策を行なっていた時代に、彼は宗教など見えないものはどうでもよい、何をやるか何ができるかだけで人を使ったところがスゴい、との評価。ちなみに「日本史では」とか、「現代なら」といった質問をよくされるそうですが、フビライにしろ、近現代の人物にしろ自分は会ったことがなく、書かれたものなどでしたか知らないのだから、日本か世界か、今か昔かなどという区分けは意味がない、とも。

と、初めに書いたように、あたしは外向的ではないので、せめて本を読むくらいは人一倍やらなければと思った次第です。

フェア、などなど

書店で見かけたフェアを二つほど。

まずは紀伊國屋書店新宿本店でやっていた「アナろぐのための80冊」というフェア。「じんぶんや」選書フェアです。

人文のフェアですが、こういうテーマなので『盆栽/木々の私生活』『ユニヴァーサル野球協会』『第三帝国』といった海外小説も選んでいただいております。

で、小冊子に書いてありました。「アナろぐ」とは誤植ではなく、「アナログ」と「くつろぐ」の合成語なんだそうです。「堅い本ばかり」「眠くなりそうな本ばかり」という先入観で人文書フロアにふだんは立ち寄らないような方にこそ覗いてもらいたいフェアです。

続きましては、ブックファースト新宿店でやっていた、東京大学出版会の恒例のフェアです。

今回も立派な冊子が用意されていますが、その巻頭言は石井洋二郎さん。

となると、あたしの勤務先の『分断された時代を生きる』『科学の最前線を歩く』などが、このフェアの傍らに置いてあっても何の違和感もないところだと思います。

あっという間だと思います

東京の九段にあるイタリア文化会館で「イタリアブックフェア」が始まっています。

上の写真はそのパンフレットです。会期が14日までですので、興味がおありの方はお早めにどうぞ!

そして、そのパンフレットの中にも書いてありますが、同意開催で須賀敦子没後20年の記念展示も行なわれています。こちらも貴重な展示品が見られますが、やはり会期が14日までですので、ファンの方はこちらもお急ぎください。

話題の本棚、気になる本棚

新宿の紀伊國屋書店の二階、エスカレーターで昇ってきて入ってくると、最初の柱のその向こうに「新刊・話題書」を並べている棚があります。そこはしばしばフェア的な展開もしているコーナーなのですが、ただいまはこんな企画が……

おわかりいただけますか? では、タイトル看板の部分をアップにいたします。

はい、これでおわかりいただけましたよね? えっ、岸本さんって誰って? 看板にも書いてありますが、翻訳家の岸本佐知子さんのことです。岸本さんが選んだ本のフェアが開催中なのです。

ということで、改めて棚の書籍たちをもう少しアップで……

ちなみに、岸本さんが選んだけれど出版社で絶版や品切れになっていて今回のフェアに並べられなかった書籍のリストというのがありまして、フェアの書籍を購入時にレジでその旨を告げるといただけるそうです。

うーん、いったい何が選ばれていたのでしょう? そのうち、あたしも手に入れなければ!

あたしの場合、それは書店だったわけですが……

今宵は、代官山蔦屋書店にて、『バー「サンボア」の百年』の著者、新谷尚人さんと松尾貴史さんのトークイベントへ行って来ました。

いやー、面白かった。あと二、三時間聞いていても飽きないでしょうね。そんなお二人のトークでした。面白かった話柄は参加した者のアドバンテージとして、ここでは印象に残った話を少々。

新谷さんは、サンボアを日常の中にあるお店にしたいと話されていました。どういうことかと言うと、高級なお店ではなく、しょっちゅう来てもらえるようなお店を目指しているとのこと。実際問題、毎日寄ってくれる常連さんも多いようで、そういう人たちにとってはサンボアへ寄ってちょっと飲んでいくというのが日常生活の一部になっているわけで、そんなお店でありたいとのこと。

そんな話を聞きますと、「サンボア」でググってみるとヒットするのは「京都へ行ったので、あの有名なサンボアへ行ってみた」的な書き込みばかりです。もちろん、今なら本書がヒットする率も高いでしょうし、先日行なわれた百周年のパーティーについてもヒットすると思います。が、本書刊行前後にあたしが検索してみると、ほとんどはそんな記事ばかりでした。ただ、今日の話を聞き、また京都・大阪・東京で行なわれたパーティーに伺った感想からすると、やはり新谷さんが話された、日常生活の中でサンボアを利用している大勢の人たちに支えられての百周年なんだなあと感じます。

日常の一部になっているということでわが身を振り返ってみると、あたしの場合はバーなどの飲み屋ではなく本屋なのかも知れません。やはり旅先とかでも本屋があると時間が許すのであれば覗いてしまいます。これって、よさげな飲み屋があれば暖簾をくぐってしまう面々と同じ心情なのかも知れません。

そして、たぶんイマドキの若者の場合、その座はコンビニが占めているのではないかと思います。松尾さんも、酒の席でこそ先輩から教わるものがあるはずだと話されていましたし、新谷さんも、そういうコミュニケーションの断絶が起きているのだとしたら哀しいことだと話されていましたが、あたしなどの世代は、そういうよさを理解しつつも、面倒臭さを敬遠しだした世代なのかも知れないと思いながら聞いていました。

数年おきにブームがやってくる

須賀敦子さんがブームです。新刊がいろいろと刊行になるようです。

上の写真は、青山ブックセンター六本木店のフェアの様子です。一階奥にある階段の壁棚で透明の什器を使って展開中です。

ご覧のように、Uブックスも一緒に並べていただいております。

須賀敦子ブームは数年おきにやってきて、そのたびにそれなりの売り上げを残します。ということは、新しい読者が毎回生まれているということなのでしょう。こういう作家って、そうそういるものではありません。須賀敦子はスゴいです。

あたしも、こんど読んでみようと思います。

イベントにかこつけて?

新宿の紀伊國屋書店で見かけました。

 

永田千奈さんのトークイベントの告知ポスターです。どこかで見覚えのある名前だなあと思っていたら、ポスターの略歴にも記載がありますが、『印象派のミューズ』の訳者でした。イベントは今月下旬ですね。

そのすぐ近くにもう一枚。こちらは鼎談です。テーマは塚本邦雄。

 

となりますと、『わが父 塚本邦雄』も気になるのではないでしょうか? こちらもお忘れなく!

やはり傍観者であると実感

昨夜のイベントで購入した『福島第一 廃炉の記録』を眺めながら、TBS系の報道特集を視聴。ちょうど福島の問題を扱っているところでした。

西澤さんは原発に賛成でも反対でもなく、とにかく廃炉という作業をきちんと記録に残しておかなければならないという信念で写真を撮り続けているのだそうです。その苦労は、笑いながら軽く、半ば冗談めかして話されていましたけど、相当なものだったと推察されます。

あたし個人としては、東京でぬくぬくと電気を使って便利な生活を送りながらも、福島の現状に思いを馳せることもない日常です。それではいけないとわかってはいても何ができるわけでもなく、こういったイベントに足を運んで、たまには立ち止まって考える時間を持つことくらいしかできません。

報道特集を見ていて感じるのは、原発問題って沖縄の基地問題と似ているなあということです。厄介な問題を地方に押しつけて、札束で頬を叩くとまでは言いませんが、事実上お金の力にものを言わせて不満を抑え込み、そういったことの上で安穏な生活を送らせてもらっている東京の人間は何の痛痒も感じていない。あたしももちろんそんな東京の人間の一人です。

西澤さんの話の中で印象的だったのは、撮影の時にはフラッシュを使わない、望遠レンズを使用しないという点でした。前者は、現場の雰囲気を伝えるのに明るい光を使ってしまうのは余計なことであるという判断だそうで、後者は、望遠レンズを使うと傍観者の視点から撮った写真になってしまうからだそうです。

そして福島の廃炉作業、現在でも数千人の方が働いているそうです。かなりの人数の人が関わっているは思っていましたが、それほどの人数だったとは知りませんでした。そんなところにも、自分自身の不勉強さ、福島を他人事と考えている自分の姿勢が垣間見られます。

話を聞きながらふと思ったのですが、来年退位される天皇陛下。退位後は現在の皇太子一家が住んでいたところを改装して住まわれるというような報道を聞きましたが、もし飯館村とか双葉町に住むと言い出したら、政府や東電はどう対応するのでしょう?

あたしは震災直後から、本当に復興を考えるのであれば、期限を5年とか10年と区切って首相官邸や国会議事堂を福島へ移転させるべきだったと思っていましたし、周囲にもそんなことを話していたのですが……。それくらいしないと政治家だって、あたしと同じように当事者意識をモテないのではないかと思ったからです。

そして、明日が3月11日。

亜細亜旋風?

今年もTwitter文学賞が発表になりました。海外文学部門の結果、ご覧になりましたでしょうか?

 

ピンポン』が第二位、『10:04』が第九位をいただきました。どちらも《エクス・リブリス》の一冊、お陰様で同シリーズも海外文学ファンの方に厚く支持されているようで……

念のため、ベストテンを振り返っておきますと、

1)地下鉄道、2)ピンポン、3)13・67、4)穢れの街/廃都、三美スーパースターズ最後のファンクラブ、5)ネバーホーム、6)嘘の木、7)隣接界、湖畔荘(上・下)、ビリー・リンの永遠の一日、8)中国が愛を知ったころ、オープン・シティ、9)神秘大通り(上・下)、10:04、10)ギリシャ語の時間、母の記憶に、私の名前はルーシー・バートン

でした。4位が2作品あったら次は5位ではなく6位ではないか、という突っ込みは置いておき、あたしの勤務先のものが二つも入っていました。ありがたいことです。

この中で読んだことあるのは、その二作品を除きますと『13・67』『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』『中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選』『ギリシャ語の時間』です。自分の読書傾向だからかも知れませんが、今回のベストテンはアジア圏の作品が目立つような気がします。それだけ翻訳が日本で出版されたということ、そしてそれが読者に支持されたということなのでしょう。個人的にはとても嬉しい傾向です。

  

なお、第一位の『地下鉄道』、第五位の『ネバーホーム』も次に読みたい本の最右翼なのですが、これらを支持してくださった方なら、既に『地図になかった世界』は読んでいますよね? もし未読であれば、こちらも是非お薦めです。

最後は帝国

昨晩は、東京でのサンボア百周年記念パーティー、そして京都、大阪と行なわれてきたパーティーの最後になりました。会場は帝国ホテル、押しも押されぬ、日本一の格式のホテルではないかと……

今回も京都、大阪に引き続き、会場販売を致しました。

スポットライトがテーブルにあたっているので、右側のポスターがやや暗くなってしまいましたが、それでも写真を撮っている方がいらっしゃいました。

今回は会場入り口のすぐ横です。この前をお客様が通るので、人通りは賑やかでした。お隣のシガー販売ともども足を止めてくださる方が多かったです。

本を並べ準備万端です。3会場目ともなると手慣れたものですし、サンボアの方々とも顔なじみになりました。

そして三つの会場で話題になったかどうかは知りませんが、今回もサンボアのネクタイ(非売品)を締めて会場入りです。ブラウスは鳥が舞う柄です。会社の同僚に「サンボアと鳥でサントリー?」と言われましたが、そんなこと全く考えてもみませんでした。しかし、サントリーの副社長の挨拶もありましたし、それほど悪い語呂合わせでもないような……(汗)

右上に写っているのは、大阪のサンボアでいただいた百周年記念の缶バッヂです。全部で9種類くらい作られたようで、来店者にランダムでひとつずつ配布していたようです。

そして最後、『バー「サンボア」の百年』に、サインをいただきました!

追伸:

パーティーの最後に全オーナーが登壇し、締めの挨拶は最年少オーナー、数寄屋橋サンボアの津田さん。千両役者を思わせる見事な、そして感動的なスピーチでした。