名著だらけ(?)の岩波文庫

書店店頭で配布されていました。今年の岩波文庫フェアの小冊子です。

「名著・名作再発見!」とあります。

こうやって堂々と言い切れるのは、さすが、岩波文庫、という感じです。確かに、名著が綺羅星のごとく並んでいる、そんなイメージが岩波文庫にはあります。

あたしの専門とする中国学についても、いまでこそ品切れになってしまっているものがたくさんありますが、「えっ、こんなものまで岩波文庫で出ていたの?」と驚かされるようなものが、かつては数多くラインナップされていました。

そんな岩波文庫の名著の列に間違いなく並ぶであろう古典の一つが完結しました。『文選』です。

全6巻がこのほど完結したのですが、これは『文選』の「詩」の全訳です。文選と言えば「賦」も大きな柱ですから、訳者の方々には引き続きよろしくお願いします、とエールを送りたいところです。

欲を言わせていただくなら、『文心雕龍』なんかも岩波文庫で出して欲しいですね!

ところで最近の若手作家は?

閻連科について書いたので思い出したのですが、最近の中国の若手作家の状況というのはどうなっているのでしょうか?

このところ中国作家の邦訳も刊行はされていますが、閻連科にせよ、残雪にせよ、もう中堅以上の存在です。少し前に出た李昂だってそれなりのお歳ですし、張愛玲に至っては戦前生まれの作家です。

若手の作家にはどういう人がいるのでしょうね? と考えると、郝景芳(ハオ・ジンファン)などは80年代生まれ、いわゆる八〇后の作家ですが、こういうSF作家が伸びてきているのでしょうか?

韓寒や郭敬明なども八〇后の作家だったと思いますが、最近も書きつづけているのでしょうか? 少なくとも日本では翻訳がまるで刊行されませんよね。大陸ではヒットを飛ばしているのでしょうか?

この手の作家が出て来た頃、ネット上などでも日本の作家の真似、亜流だと言われたり、日本のケータイ小説をパクっているなどと酷評されていたりもしましたが、そんなこともあって最近は下火になってしまったのでしょうか?

ちょっとそんなところの事情、知りたくなりました。

2019年6月9日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

この振り幅!

今日の書店営業回りはやや遠いところへ。

移動時間の友(供?)、カバンにしのばせていたのは『腐敗と格差の中国史』です。ただし、3分の2くらいまで読み進んでいました。今日は移動時間が長くなるのが予想されたので、もう一冊カバンに入れていたのが『キャッシュレス国家 「中国新経済」の光と影』です。

結局、移動の途中で前者を読み終わってしまい、後者も持っていてよかった、という結果になったのですが、同じ中国を扱った新書とはいえ、この両者を続けざまに読むと、果たしてこれが同じ国について書かれた本なのかと思うくらいです。

かたや二千年以上にわたって基本的な社会構造が変わっていないと解いたかと思いきや、一方は日本をはるかに追い越した近未来的な社会に至った現在の姿。本当に中国というのは、いろいろな意味で広い国だと思います。

2019年5月14日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

台湾と大陸の記事が背中合わせになっていた!

今朝の朝日新聞です。

いよいよ日本にオープンする、台湾の誠品書店に関する記事が載っていました。「いよいよ」と書きましたが、オープンは秋なのでまだずいぶんと先な気もしますが……

記事を読む限り、誠品書店というのは日本でも最近流行りの提案型セレクトショップのような書店だと思うのですが、ただ日本の場合は小規模なお店が多いのに対し、誠品書店は非常に大きな、それこそジュンク堂書店のような規模でそれをやっているところが特徴なのでしょうか? いずれにせよ、日本進出が吉と出るか凶と出るか、楽しみではあります。

そんな今朝の朝日新聞ですが、上掲の台湾の書店に関する記事が載っていたページをめくると、次のページに現われたのは大陸中国の話題。

習近平体制も曲がり角、剣が峰に立っているのですかね? 危なっかしいからますます強硬な姿勢が目立つようになってくるかもしれません。嫌中派の人なら習近平体制が倒れて中国の台頭がストップするのを歓迎するのでしょうが、お隣の大国の政情が不安になることは日本にとってよいことではないと思いますので、日本政府の対応が気になるところです。

とはいえ、いまの日本政府に本当に中国のことを理解できている人材がどれほどいるのか、中国のことより日本のことの方が不安を掻き立てられてしまいます。

2019年2月27日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

说曹操,曹操就到。

今朝の朝日新聞一面。

三国志の英雄、魏の曹操の墓から白磁が見つかったそうです。

白磁というと青磁とともに展覧会などで展示されているのを見たことがありますが、優れた作品は本当に美しいものです。

ただ、あたしも専門家ではないので詳しいこと、正確なことはわかりませんが、印象ではもう少し後の時代、と思っていました。それが三国時代の墓ですから、記事にもあるように数百年遡ってしまったそうです。

捏造なんてことはないですよね? 日本でも土器でそういう事件がありましたから。

2019年2月20日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

また一人改革派が逝く

朝、新聞を開いたら飛び込んできました。

毛沢東の元秘書・李鋭氏が亡くなったそうです。書棚を漁ってみましたら『中国民主改革派の主張 中国共産党私史』が出て来ました。岩波現代文庫からはもう一冊『無風の樹』というのも出ていますが、こちらは架蔵していませんでした。

毛沢東の周囲の人の回想録や手記などはいくつか出ていますが、改革派として最後まで筋を貫いた李鋭氏の死去は習近平の個人崇拝路線の現在、どういう意味を持つのでしょう? またこのニュース、中国国内ではどの程度の扱われ方なのでしょう?

2019年2月17日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

全訳ではないのですね? そりゃそうか!

ちくま学芸文庫から『資治通鑑』が出ます。いや、もう出ているのかしら?

で、『資治通鑑』の邦訳というのは、たぶん手軽なものでは、かつて平凡社の『中国古典文学大系』全60巻の第14巻に入っていたものくらいしかなかったと思いますが、函入りの全集の一冊ですから、さすがに手軽とは言えませんね。ですので、こうして文庫のような形で読めるようになるのは嬉しいことです。

が、オリジナルの『資治通鑑』はそれなりの大著です。ご覧のように中華書局版『資治通鑑』を架蔵していますが、全部で20冊になります。筑摩の学芸文庫と言えば、『三国志』をはじめ、これまでもしっかり全訳の中国古典を出していますので、今回も日本語版で10冊くらいになるのかなと思ったところ、なんと一冊こっきりです。その辺はちくま学芸文庫版も心得ていて、ウェブサイトの紹介には

全二九四巻にもおよぶ膨大な歴史書『資治通鑑』のなかから、侯景の乱、安禄山の乱など名シーンを精選。破滅と欲望の交錯するドラマを流麗な訳文で。

と書いてあります。ちょっと残念な気もしますが、コンパクトに一冊でエッセンスを読めるようにした方が今の時代には合っているのかも知れませんね。

ちなみに、左の写真のように、わが家には『通鑑紀事本末』や王夫之『讀通鑑論』なども架蔵しておりました。我ながら、学生時代によく集めたものだと思います。残念ながら『国譯資治通鑑』は架蔵していませんが、上述の『中国古典文学大系』は全60巻を所持しています。

なお『資治通鑑』は「しじつがん」と読むのは改めて断わらなくともよいでしょうか? 「しじ」の方はまだわかりますが、なんで「つうかん」ではなく「つがん」なんでしょうね? そう言えば、中国古典には『通典』という書籍もありますが、これも「つうてん」ではなく「つてん」と読みますね。

2019年2月9日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

友好とは単純なことではありませんね

東京国立博物館で開催中の「顔真卿展」に関して、台湾新聞にこんな記事が載っていました。

左側は、開幕セレモニーの様子を伝えるもので、台湾故宮博物院から貸し出された宝物のことにも触れつつ、極めて友好ムード漂う記事になっています。

その一方で右側の記事は、大陸、台湾双方から国宝の貸し出しに対して疑義が呈されていると伝えています。このあたり、文物の海外、館外貸し出しについてはそれぞれの博物館や政府で法令が作られていて、それに則っているのだと思います。しかし、そこに政治的な思惑、外向的な駆け引きも絡むことが多々あるのも予想されます。

逆の立場で考えてみた場合、東京国立博物館が所蔵している伝世の名宝があったとします。それこそ常設展はおろか特別展で陳列されることもほぼないような逸品が海外の博物館に貸し出されたとしたらどう思うでしょうか?

外国人に見せる前に自分のところの国民に見せろ、と思うのは当然のことだと思います。日本人としては「よくぞ請来してくれた」と喜びたいところですが、一筋縄ではいかない問題なのでしょうね。

しかし、そんなことよりも、せっかくそんな紆余曲折がありながらも日本に来ているのですから、顔真卿展、早いとこ見に行かないとなりませんね!

2019年2月7日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

ちょっとしたテキスト代わりになりそう?

中国奇想小説集 古今異界万華鏡』読了。

中国の志怪小説や伝奇小説を翻訳・翻案して紹介するアンソロジーはいくつかありましたが、本書もその中の一つです。

ただ、中国のその手の小説の流れ、幅広さを体系的に紹介しようとしているところに本書の特色があり、本書を読み通せば、編訳者の意図したところは十二分に伝わるのではないでしょうか?

特に作品の後に付された解説は、長すぎず短すぎず、たぶん作品だけを楽しく読めばよいようなアンソロジーであれば不要と言えるかもしれませんが、あたしからすればむしろここが真骨頂、中国文学専門ではない人がそれでもちょっとした知識は得たいなあと思った時に重宝すると思います。

また装丁もきれいなのですが、各作品の扉もデザインがきれいです。編訳者や担当編集者のこだわりでしょうが、視覚的にも愉しめました。

2019年1月6日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

ちょうどよいタイミングで!

今朝の朝日新聞で、ちょっとした中国特集の記事がありました。

習近平政権の経済政策を現時点でまとめたような内容ですが、一番左の記事に出てくる「雄安新区」について、ちょうど読んでいた『さいはての中国』に出ていたので驚いてしまいました。なんというタイミングでしょう。

中国としては習近平肝いりで何としても成功させたいプロジェクトのようですが、過去の例を見ますと中国北方では経済特区は成功しないようなので、先行きが興味深いものです。

2018年12月18日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー