日韓の非対称が少しでも緩和されれば……

既にSNSでたくさんの写真と共に話題になっていますが、昨晩は神保町で韓国の作家パク・ミンギュさんのトークイベントでした。

いやー、実に面白いお話でした。パク・ミンギュさん、昨晩集まった方はパクさんのファン、作品のファンの方ばかりでしょうから、そもそもパクさんの写真などは事前に見たことがあったと思います。既にその写真からしてインパクトがありますが、いざご本人登場となると、やはりその風貌は抜群のインパクトです。

ただし、だからといって、風貌からイメージされるようなとんがった物腰でもなければ、エキセントリックな語り口でもなく、ご本人は至ってシャイ、訥々と語る姿、やや聞き取りにくいボソボソとした声が印象的でした。

集まりやすさを考慮しての19時スタートは理解できるとはいえ、トークが1時間では実にもったいないところでした。しかし会場からの質問にも丁寧に答えてくれて、実質1時間半ほどのトークタイムだったのでは? その後はサイン会。

来場者のほぼ全員が並ぶサイン会というのも滅多にないものですね。会場は100名弱の人数でしたから、サイン会も時間がかかりました。借りている会場の都合もあるので、急遽サインは一人一冊まで、為書きは省略というスタイルに。

にもかかわらず、パクさんは一人一人に丁寧に立ち上がってお辞儀をし、終わると握手をしてくださるサービスぶり。シャイだけど、一生懸命応えてくれようとしている姿に感動です。

昨晩のイベントは、当然パクさんの来日というスケジュールがありましたから、ずいぶん前から決まっていて、それに間に合わせるように晶文社から『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』という新刊も刊行されました。しかし、その前日、こんな偶然が重なるものかというタイミングで、テレビの人気番組「アメトーク!」でタレントの光浦靖子さんが『ピンポン』をお気に入りの本として番組内で熱く語ってくれていたのでした。もちろん『ピンポン』は注文殺到、重版中です。

 

そして遡ること2年前、3年前でしたでしょうか? 第一回日本翻訳大賞をやはりパクさんの『カステラ』が受賞していましたので、寄せては返す波のようにパク・ミンギュさんが注目される機会が訪れています。もちろん『亡き王女のためのパヴァーヌ』も根強い人気がある作品です。

 

聞くところによると、韓国で紹介される日本作家の作品の量を100とすると、日本で紹介される韓国の作品は10なんだそうです。反日だ嫌日だといろいろマスコミなどでは言われていますが、そんなに多くの日本文学を韓国の人が読んでいるというのは驚きです。その逆に日本人は……

海外文学を読むのはその国のこと、その国の人のことを知るよい方法だと言われますし、あたしもそう思いますが、隣同士の日韓にこれほどの非対称があるとは!

しかし、このところ気づいている人は気づいているようですが、書店店頭で韓国文学を見かけることが多くなってきました。一昔前は韓流ドラマのノベライズばかりだった棚やコーナーが、パク・ミンギュさんをはじめとした韓国の作家の方々の翻訳で埋まりつつある、そんな日が来るとは。それが韓国文学好きの方の感慨だそうです。

これまでずっと「海外文学は売れない、特にアジア文学は売れない」と言われてきましたし、確かにそれは事実でしたが、ここ数年に限って言えば、そうではない事実も積み上がってきています。アジア文学は売れるし、それ以上に面白いんだ、ということがもっともっと伝わればよいなあと思います。

ただ「アメトーク!」で光浦さんが紹介していたように、別に韓国文学だと意識する必要はないのかも知れません。そこにあるのは、ただ単に面白い小説、人に薦めたくなるような文学なのかも知れません。むしろ、アジア文学だとか、そういう風にこちらが肩肘張って刊行しているようではダメなのかも知れない、とも感じます。

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