いつものことですが……

張愛玲の新刊が出ています。光文社の古典新訳文庫から『傾城の恋/封鎖』です。訳者あとがきによると、かつて出ていたものをベースに新たに訳し直したもののようです。

 

張愛玲と言えば、ちょっと前に岩波書店から『中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選』が出たばかり。ここへ来て出版が続いたのは何かあるのでしょうか? 特に生誕何年、没後何年というアニバーサリーでもないですし。

それにしても、上の写真を見ていただければおわかりのように、一方は文庫本、一方は単行本です。小規模な書店であれば気づくでしょうけど、大きな書店ですと文庫担当と文芸担当は別の人であることが多く、せっかく同じ著者の作品が出たのに一緒に並べるということに思い至らないことがありがち、よくあることです。

もちろん、古典新訳文庫のファンというのもいるでしょうから、文庫の棚から持ってきて海外文学の棚に置いてしまうと、こんどは古典新訳文庫の棚を見に来た人には見つけられないという問題も起こります。こういう時に、大型書店ですと入荷が一冊なんていうことはないでしょうから、何冊かを古典新訳文庫の棚に置き、残りを海外文学の棚にも並べるということができるのですが、上に書いたように、そういうことに気づく書店員さんには暇も余裕が無いのが現状だったりします。

こういうところを示唆するのも、出版社の営業の仕事なんだと思いますが、これ、どちらもあたしの勤務先の刊行物ではないんですよね……(汗)

脱亜入欧なのか、中体西用なのか?

先日『ネバーホーム』を読み終わり、いまは『地下鉄道』を読んでいます。

 

その前は『海峡を渡る幽霊 李昂短篇集』『中国が愛を知ったころ 張愛玲短篇選』といった中国もの、『あまりにも真昼の恋愛』『野蛮なアリスさん』『殺人者の記憶法』といった韓国ものばかり読み続けていたので、少しは欧米ものを読もうと思った次第です。

 

  

別にアジアより欧米が好きとか、そういった区別はありません。どこの国の作品であろうと面白いと思えるか思えないか、それだけのことです。とはいえ、やはりその国の文化や歴史を意識するしないにかかわらず、作品にはそういったものが反映されるわけなので、やはり国によって同じようなテーマを描いていてもずいぶんと異なるものだということを感じます。

と、意識して脱亜入欧を試みていたのですが、カバンに入れて移動の電車の中で読んでいるのは『傾城の恋/封鎖』とこれまた中国もの。うーん、あたしはやはり中国から、アジアから離れられないのでしょうか? 別にそれならそれでいいんですけどね。

これから読んでみます!

先日もご紹介しましたが、ちくま新書から『欧州ポピュリズム EU分断は避けられるか』が刊行になりました。

アメリカによるエルサレムへの大使館移転がアメリカの中間選挙や大統領選に向けての国内パフォーマンスであることを考えると、「ポピュリズム」はまだまだホットなタームなんですね。そんな中、ポピュリズムのメッカと言っては言いすぎかも知れませんが、ポピュリズムが各国を席巻しているヨーロッパに焦点を絞った最新刊が本書です。

で、「ポピュリズム」と言えば、あたしの勤務先も『ポピュリズム デモクラシーの友と敵』という本を少し前に出したばかりです。『欧州ポピュリズム』の参考文献にも本書の原書が上がっていました。

というわけで、あたしもこれから『欧州ポピュリズム』を読んでみようと思います。