ドッペルゲンガーの説明はあれで正確なのでしょうか?

録画しておいた「ザ・ハウス 呪縛のAIマンション」を視聴。

ちなみに、販売されているDVDやYouTubeの予告編では「呪縛のAIマンション」とありますが、あたしが視聴したWOWOWでは「呪縛の時計塔」というタイトルでした。まあ原題が「The Charnel House」で「死体安置所」といった意味ですから、邦題はテーマに合わせて独自に付けていて、どっちでもいいや、ということなのでしょうか?

ホラーと「AIマンション」という暢現代的なミスマッチを楽しむか、ホラーなんだから「時計塔」というおどろおどろしい感じの方がよいでしょう、という意見の相違ですね。

さて、内容ですが、舞台となるハイテクマンション、もとは食肉加工工場でした。しかし、そこの経営者が「悪魔のいけにえ」のような快楽殺人者だったようで、従業員を面白半分に殺し解体しては幼い息子にもそれを見せていたようです。このあたりの掘り下げがやや薄っぺらいので、建物に染みついた怨念的な要素は非常に薄いです。

で、結局は警察に発覚し、経営者は息子を抱えて時計塔から投身自殺を図ります。が、その刹那、息子は父親の懐から消え、父親のみが真っ逆さま、息子は警察に保護されますが、時計塔の中にも息子がもう一人。日本的に言えば地縛霊になってしまったのですかね、いや、息子は別に死んでもいないし殺されてもいないので「霊」という存在ではないか……

これが30年ほど前の話で、時は流れ、その加工工場がハイテクマンションにリニューアルされ経営者夫婦(+幼い娘)を含め多くの居住者が入居します。が、徐々におかしな現象が起き、人が死んで(殺されて?)いくのです。幼い娘の前には、食肉工場経営者の息子が当時の姿のままで現われますが、両親は娘の妄想だと思って取り合ってくれません。

そんな入居者の中に、かつての工場で勤務していて死んだ父親を持つ男性がいまして、父の死の真相を究明するため、このマンションに越してきたのです。そして経営者の息子が事件後行方不明になっていることなどから、魂と肉体が分離した工場の息子がいまもこのマンションにいると判断します。

作品の中ではドッペルゲンガーということで説明していましたが、分離した魂と肉体が再び合体しようとしているとのことです。では、当時の息子の姿のままの「魂」はわかったけど「肉体」の方はということで、途中からちょこちょこヒントが出て来ましたが、このマンションの管理人(設計者? 開発者?)の男性がそうだったというオチです。

夫の正体を知った妻は娘を守ろうとしますが、そもそもこの地縛霊というかドッペルゲンガー、単に自分の肉体と合体したかっただけであり、邪魔されない限りは誰かを殺そうとしていた感じはしないのですよね。そのあたりの追い込み方がちょっとヌルいです。

そしてエンディング、娘を抱いて時計塔から飛び降りようとする主人公、しかしここで娘が魂と肉体の分離に見舞われてしまうのです。たぶん、ホラー映画によくある「呪いは終わらない」的なものだと思うのですが、こうなると、建物自体にもっと昔からの呪いがかけられていて、食肉工場の経営者が人殺しを楽しんでいたのも、その呪いのせいだったのではないか、という気がしてきますが、映画だけを見る限り、そういったさらなる大きなストーリーはないようです。