本がある場所

タイトルは、乃木坂46の「僕がいる場所」をもじりました。

何が言いたいかと言いますと、こちらの意図したところに本を置いてもらうのは難しいなあ、ということです。「意図したところ」と書きましたが、別にお店の入り口付近の一番目立つ場所という意味ではありません。あくまで本来置かれるべき棚、コーナーという意味です。

例えば、好評の新刊『読むパンダ』です。「パンダの本」ということで、理工の動物の棚に置かれていることがあります。しかし、いわゆる自然科学の動物の棚はいかにも自然科学な本が多く、本書のような文芸書のような本は浮いてしまうならまだマシで、むしろ沈んでしまいがちです。

で、次に置かれていることが多いのは、文芸エッセイのコーナーです。特に、著者ではなく選者なのですが、黒柳徹子さんの名前を冠しているので、「日本人作家か行」の棚に置かれていることがしばしばあります。確かにパンダといえば黒柳さんではありますが、パンダの本を買おうと思っている人がエッセイの棚を探しに来るでしょうか?

現在のところ、一番結果が出ているのは、写真や絵本なども一緒に並べている「パンダ」コーナーを作っている書店に置いてもらっている場合です。ただし、パンダコーナーも写真集のコーナーに作られていると、パンダの写真集ばかりが並んでいるだけで、本書のような文字中心の本は置かれていないことが多いです。写真集ではないからあえて置かないのか、本書が知られていないのか……

こういう本を、売れる場所に誘導するのも出版社営業の大事な仕事なのですが、一件一件の書店を回るのは不可能です。やはり本作りの段階からタイトルや装丁に工夫を凝らすとか、否、それ以上にもっともっと本書を知らしめるような宣伝力が大事なのかも知れません。