香港と沖縄

国家安全法施行以来の香港に関するニュースを見ていると、いや、それ以前からですが、一国二制度が踏みにじられて、どんどん北京の、中国共産党の色に染められていくのがわかります。

地元の声を無視して、中央が強権的に権力を振るう、時には暴力も辞さず強制的に民衆を排除してしまう。

と、ここまで書いて、沖縄の状況とよく似ているなあと思いました。

沖縄も、何度選挙によって民意が示されても中央は、自民党は歯牙にもかけず、沖縄の人たちを排除して強制的に基地問題を先へ先へと進めていきます。長くて先の見えない闘い、香港も沖縄も同じです。

さらに考えてみますと、成田空港の問題もなんとなく印象としては似ている気がします。これもやはり地元の人、そこに暮らす人の声を無視して中央が、自民党政権が強引に事業を進めた事案だったはずです。「多くの国民が成田空港を使って海外へ出かけている、結果的に国民のためになっている」と開き直るのでしょうが、正直なところ、海外へ行く前にあんな遠くまで行きたくはありません。だから、なし崩し的に羽田の国際化が進められ、ちょっと高いけど羽田利用のツアーを使う人が増えているのだと思います。

閑話休題、香港と沖縄。

体制が共産主義であるか否かは、こうなってくると関係ないようです。中国は一党独裁体制だから云々という議論も、沖縄の現状を前にするとどれだけ真実なのか疑問に感じます。だって、日本だって自民党の一党独裁だし、むしろそれを民主的な選挙で選んでしまっているところに、日本の宿痾があるような……

って、あんまりこういうことばかり書いていると、中国へ旅行へ行ったときに上海や北京の空港で逮捕される可能性があるんですよね、国家安全法の規定によると。

既に原書を手にされている方へ

いよいよ配本になったミルハウザーの新刊『ホーム・ラン』ですが、原書のタイトルは『Voices in the Night』で、ミルハウザーの16の短篇が収められた作品です。

原書まで追いかけている熱心なファンであれば、原書と比べて「おやっ」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか? なぜなら今回の『ホーム・ラン』には8作品しか収められていないからです。そのあたりの事情は公式サイトにも

スティーヴン・ミルハウザーの最新短篇集Voices in the Nightは、2冊に分けて刊行する。まず1冊目が、それぞれ多彩な奇想に満ちた8つの宇宙が詰まった本書『ホーム・ラン』だ。(2冊目は『夜の声』[仮題]として2021年刊行予定。)

と説明されています。「訳者あとがき」でもう少し言葉を補いますと、

(前略)本来ならその十六本を翻訳書でもそのまま一冊の本に収めればよいはずなのだが、そこで生じるのが、厚さの問題である。一般に、アメリカで出版される小説は日本より厚めである。人気作家であれば毎年二、三冊本を出すことも多い日本とは違って、アメリカでは作家が数年かけて一冊の長篇を出すだけのことも珍しくない(生活の手段は、大学で教えるなど、別のやり方で確保する)。勢い、一冊一冊は厚くなる。これは短篇集でも同じで、日本だったら二冊、三冊分あるんじゃないかと思える分量が、一冊のなかに収められていることも多い。そしてこの Voices in the Night もまさにそうで、このまま翻訳書を出すとおそらく五百ページを超える分量になる。それは日本の出版事情を考えるとさすがに少し長いのではないかと…(後略)

ということで、ミルハウザー氏に断わって二分冊にして刊行することになったのです。残りの8作品刊行まで、楽しみが増えたと思って、いましばらくお待ちくださいませ。

今日の配本(20/07/09)

ホーム・ラン

スティーヴン・ミルハウザー 著/柴田元幸 訳

精緻な筆致、圧倒的想像力で名匠が紡ぐ深遠な宇宙。表題作や「ミラクル・ポリッシュ」など奇想と魔法に満ちた8篇と独特の短篇小説論。