時代劇の行方

惜しまれつつ終わった朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」、あたしも後半は週末のまとめ放送で熱心に視聴していました。

ドラマの内容については、いろいろな人が自分のブログやSNSで論評したり感想を綴ったりしているのでしょうから、いまは置いておくとして、あたしがこのドラマを見ていて思ったのは日本の時代劇はどうなってしまうのだろう、ということでした。

ドラマの中では川栄演じるひなたが映画村で働いていて、その上司と共に、日本の時代劇がどんどん衰退していくのを嘆く場面が納戸なく描かれていました。松重豊演じる虚無蔵の存在は、そんな時代劇の現状を体現したかのようなキャラクターでした。

あたしも子供のころから時代劇をよく見ていたので、ひなたたちの不安や心配、恐れについてはものすごく共感して見ていました、現実はもっと深刻なように感じます。

ところで、日本の時代劇はそんな状況なのですが、スカパー!やWOWOWを見ていますと、中国や韓国のドラマ、それも時代劇が決して少なくはない割合で放送されています。むしろ、両国ともますます盛んに新作が作られているように感じます。

だからでしょう、ここにリンクを貼ったように、中国時代劇のガイドブック的な書籍がこんなにたくさん日本で刊行されています。それも、多くが「2022年版」と銘打っているように、ほぼ毎年刊行されているのです。

これだけの書籍が刊行されているということは、それなりに人気なのでしょう。レンタルビデオショップ(現在の主流はビデオではなくDVDやBlu-rayですかね?)でも中国ドラマや韓国ドラマのコーナーは意外と広いスペースを占めていて、その中には現代劇ではなく時代劇も数多く並んでいますから、やはり日本で一定の需要があるのでしょう。

時代劇が廃れてしまうと、時代劇を演じることが出来る役者が減ってしまうだけでなく、大道具や小道具をはじめとした時代劇を支える多くの技術が継承されなくなってしまい、将来的にいざ新作時代劇を作ろうとしたときに非常に大きな困難に見舞われるのではないでしょうか。あたしはそれを危惧しています。

ちろん時代劇には欠かせない時代考証も大事だと思いますが、そういう人材も減ってしまうのではないですかね。毎度毎度大学教授のような専門家にお願いすることになるのでしょうか?

もっとも数多く作られている中国時代劇がどれくらい正確な時代考証に支えられているのかは、あたしにはよくわかりません。多くの作品は、時代劇というよりも、時代を歴史時代に設定しただけで、美男美女が出てくるラブストーリーばかりです。格好だけは時代がかっていて、背景設定なども歴史時代なのですが、中味は現代のラブストーリーと変わらないものが多いのは、現代劇だと描けない大袈裟な設定も時代劇なら可能だからでしょうか?

こういうラブストーリーの時代劇が日本でも量産されればよいとまでは思いませんが、それによって時代劇の人気が復活し、失われかかっている時代劇文化が生き延びるのであれば、決して悪いことではないと思っています。日本でも、コミックやアニメでは歴史台を舞台にした作品がヒットしているので、決して時代劇人気が廃れてしまったとは思えないのですが、さすがにドラマだと制作費がかかりすぎて、昨今の不景気の日本では無理なのでしょうか?