語学読み物、復権?

このダイアリーでは過去に二回ほど対訳語学参考書について書いています。一つはフランス語の対訳参考書について、もう一つはロシア語の対訳参考書についてです。どちらも純然たる語学書と言える造りの本でしたが、最近また、こんな本を発見しました。

現代書館の『ボンヘッファーを読む』です。副題は「ドイツ語原典でたどる、ナチスに抵抗した神学者の軌跡」ですから、ドイツ語の対訳読み物のような感じです。

開いてみると、形こそ対訳ではありませんが、語学参考書の体裁にはなっています。それにしてもボンフェッファーとは……

ボンフェッファー、知っている方、どのくらいいるのでしょうか? ドイツ現代史やナチ、第三帝国などに関心のある方であれば知っている人の割合はかなり高いと思いますが、一般の方の中では知名度はそれほど高くないと思います。ですから書店で人文のドイツ史の棚であればボンフェッファーの名前に反応する人も多いでしょうが、語学書の棚ではどうなのか、多少の疑問はあります。

  

とはいえ、これまでのドイツ語対訳学参と言えば、あたしの勤務先から出ている『聞いて読むドイツの詩』や『聞いて読む初版グリム童話』といったあたりが主流で、『レクラム文庫をドイツ語で読む』などはかなり異色だと思っていました。それがとうとうボンフェッファーの読み物が出てしまうとは!

これって、仏露もそうでしたが、語学の読み物、対訳であるかないかを問わず、そういったものがやはり復活、復権しているということでしょうか。