多様性が肝要

朝日新聞の読書欄で『共通語の世界史』が紹介されました。評者は出口治明さん。

少し前に、他紙で黒田龍之助さんも紹介してくださいましたが、出口さんの評はいろんな語学が大好きな黒田さんのそれとはガラッと趣の異なるもので、こちらも本書の特徴をうまく紹介してくださっています。

どちらも読んで感じるのは、やはり言葉で意思疎通をし思考する人間にとって言語に関する考察というのは興味の尽きないものだ、ということです。言葉によって人は仲良くもなれるし、諍いも起こせます。言葉が異なるから紛争の原因にもなる反面、多様性を担保しているのだと思います。

ところで、本書はヨーロッパを扱っているわけですが、アジアの言語状況については本書に類するものってあるのでしょうか?

記事や広告から我田引水

昨日の朝日新聞夕刊です。夏目漱石と熊本に関する記事が載っていました。

記事の後半に載っている『草枕』のモデルとなった「那美」さんについては『『草枕』の那美と辛亥革命』という本を、あたしの勤務先で出しております。

しかしながら在庫がない状態でして、重版の可能性はあるのでしょうが、今すぐにということにはなっておりません。せっかくこういう記事が出たのに残念です。

ウェブサイトには

父は自由民権派の闘士、養子は漱石の弟子前田利鎌、妹の夫は宮崎滔天。孫文・黄興・宋教仁ら亡命革命家を支援し、男女同権の志を貫き生きた一女性の、波乱の生涯を描き切る力作評伝。

という内容紹介が載っています。まさしく、今回の朝日の記事にドンピシャリの本だったのです。たぶん在庫があれば、小さくとも紙面の片隅で紹介されていたのではないでしょうか? うーん、残念。

続きましては、今朝の紙面、岩波書店の広告欄にご注目。

岩波ブックレットの『うつ時々、躁』が紹介されています。

その紹介文の中に「双極性障害」という言葉が見えるのにお気づきでしょうか。少し前に文庫クセジュで『双極性障害』を出したところです。

岩波ブックレットも文庫クセジュもどちらも書店ではそのコーナーにまとめておいてあることが多いですが、心理学などのコーナーに置いてもらえると効果的だと思います。

日曜に「何を」想う

朝日新聞の《日曜に想う》欄です。そこに石井洋二郎さんの名前がありました。

石井さんと言えば、あたしの勤務先から出ている《知のフィールドガイド》2冊、『科学の最前線を歩く』『分断された時代を生きる』をまとめていただいた著者のお一人。本書は「東京大学教養学部の人気公開講座を書籍化」したもので、前者が理系編、後者が文系編となります。

朝日新聞の記事の中で、石井さんの「言葉はコミュニケーションツールであるとともに思考そのものです。日本語ならば考えられることが、英語では考えられないということがあります。外国語なら日本語とは違うことを考えることもできます」という言葉が紹介されています。さらには「自分を相対化できるのは、違うものがあるからです。差異が存在するから思考が育つ。違うからこそわかろうとする欲望も生まれます」とも。広く教養を身につけることが大事なのではないでしょうか?

《知のフィールドガイド》には

「教養」を意味するcultureという英語は「耕す」cultivateという動詞に由来する。したがって「フィールド」fieldという言葉も、「分野」「領域」である前に、まずは「畑」すなわち「耕すべき土地」という意味で解するべきだろう。〔……〕単にさまざまな「知」の配置を抽象的な見取り図として視覚的に把握するだけでなく、自分の足で複数のフィールドを歩き回り、畑ごとに異なる土の匂いを嗅ぎ、さらには指先で土に触れ、鍬を手にして実際に土地を耕してみることが必要なのだ。そうすることではじめて、「知識」という種子から「教養」という果実を実らせることが可能になるだろう。

という石井さんの巻頭言も載っています。知らないことを知りたいという欲求、知ろうとする努力、そんなことが今後ますます大事になっていくのではないかと思います。

この機会に、《知のフィールドガイド》は如何でしょうか?

受賞しました!

今朝の朝日新聞です。

読売文学賞が発表されました。

なんと、本体価格25,000円の大著『評伝 鶴屋南北』(古井戸秀夫著)が今年度の研究・翻訳賞を受賞いたしました。

まもなく出来上がりますが、なんと現在2回目の重版中です。これだけの巨冊が、ジワジワと売り上げを伸ばしているのです。

スゴいです。

インタビューが載っています

今朝の朝日新聞の読書欄です。

先日刊行された『作家の運 デイヴィッド・ロッジ自伝』の著者、デイヴィッド・ロッジのインタビュー記事です。

写真も載っていますが、インタビュー時の写真ですよね? だとすると、年齢よりも若く見えるのはあたしだけでしょうか?

自伝というのは、イギリスでは一つのジャンルとして定着しているそうですが、日本では如何でしょう。記事にもありますが、ロッジの目を通して見たイギリス文壇史と考えると、非常に興味深い一冊ではないでしょうか?

どこかで復刊されないかしら?

本日の朝日新聞読書欄で『魯迅と紹興酒』が紹介されていました。

同書、読もう読もうと思っているのですが、まだ読んでいないほんの一冊です。

そんな同書にも興味をそそられるのですが、その紹介文の中に李昂の『夫殺し』が更に紹介されていました。実は、こちらも前々から読みたくて生涯作品の一つなのです。

しかしながら、こちらは品切れのようです。古本屋をあたるしかないようです。李昂の作品は、あたしの勤務先が少し前に『海峡を渡る幽霊 李昂短篇集』を出したところですが、その他には国書刊行会から数冊刊行されています。どちらで復刊してくれないものでしょうか?

他に可能性があるとすれば、ちくま文庫とか平凡社ライブラリーといったあたりでしょうか? それとも、光文社の古典新訳文庫から違う訳者で出るとか、なんとかならないものでしょうか?

「全国放送だったらよかったのにぃ」と思ったので、公式サイトをご案内します。動画もアップされておりますので、ご覧ください。

という感じで、ほとんど言いたいことはタイトルに書いてしまったのですが、でも、何のことだかわかりませんよね?

実は、本日、NHKの「首都圏ネットワーク」という番組で、「ライ麦」が紹介されたのです。正確に言いますと、立教大学で「ライ麦畑の反逆児」の試写会が行なわれた模様を紹介したのですが、スタジオではアナウンサーの女性が『ライ麦』と『キャッチャー』を二つながら手に持って、紹介してくれたのです。

 

番組の実際の放送された動画はこちらになります。

こういうのを我田引水と呼ぶのか、牽強附会と呼ぶのか(笑)

今朝の朝日新聞に中島岳志さんが登場されていました。

プロフィール欄には、もちろん『中村屋のボース』が載っています。

本書は「単行本」と「Uブックス」の2タイプが出ております。腰を落ち着けて読むのであれば「単行本」を、手軽に持ち歩いて読みたいのであれば「Uブックス」をどうぞ。

同じ朝日新聞に、ボスニア情勢に関する記事が載っていました。

ボスニアと聞いてもどこにあるのかわからない方も多いと思いますし、そもそも圧倒的に入ってくる情報が少ない国の一つです。

とはいえ、《エクス・リブリス》にはボスニアの作品もあるのです。それが『兵士はどうやってグラモフォンを修理するか』です。

1992年に勃発したボスニア紛争の前後、ひとりの少年の目を通して語られる小さな町とそこに暮らす人々の運命。実際に戦火を逃れて祖国を脱出し、ドイツ語で創作するボスニア出身の新星による傑作長編。

といった内容の一冊です。恐らく他社を探してもボスニアの翻訳作品はほとんどないと思いますので、ご興味を持たれた方は是非どうぞ!

書籍の紹介か、はたまた追悼文か

朝日新聞別刷GLOBEに載っていた「中国のベストセラー」です。紹介者はいつものように泉京鹿さん。

で、今週は何を紹介してくれるのかなと読んでみますと、昨年、突然訃報が飛び込んできた天野健太郎さんのこと。今回の泉さんの文章、ほぼ天野さんに対する追悼文です。非常に心がこもった、素晴らしい文章です。

そして本来の趣旨であるベストセラー紹介は、天野さんの翻訳でもお馴染み、龍応台さんらのアンソロジーです。文中でも触れていますが、龍應台『台湾海峡一九四九』が天野さんの翻訳家デビュー作。確かに、非常に売れた作品ですし、あたしも読みましたが素晴らしい作品でした。

台湾でも大陸でも、本作はロングセラーとして今でも売れているそうです。それも宜なるかな。

こんな風に素敵な作品を紹介してくれた天野さん。存命であれば、今後台湾で出版されたさまざまな作品も紹介してくれたでしょうし、現在刊行されている作品の中にも、翻訳して日本に紹介しようと考えていた作品が数え切れないほどあったのではないでしょうか。

そういえば、そんな天野さんを偲ぶ会が来週の日曜日に台湾文化センターで行なわれるのでした。(定員に達したため、受付は締め切られたそうです。)

「客家」という言葉は聞いたことがあるけれど、それが何であるのか知らないという人って多いのではないでしょうか?

台湾新聞の第一面です。

冬将軍が来た夏』が載っていました。

あたしの勤務先の近所ですと、三省堂書店の神保町本店で、大がかりな客家文学のフェアをやっていました。同書の著者、甘耀明さんは客家出身ですので、フェアの時、棚に並んでいたものが掲載されたのでしょう。

甘耀明さんの来日、講演などもありました。日本の新聞ではそれほど大きく取り上げていなかったかも知れませんが、興味と関心のある方にとってはそこそこ大きなニュースだったと思います。

三省堂書店の神保町本店の、それも一階で、客家文学のフェアが行なわれていたなんて、これはもっと知られてもよかったのではないかと思います。