右肩下がりの場合

わかっていたこととはいえ、こんなニュース。

年賀状、減少止まらず…「嵐」2年連続で起用も

前年比6%減というのは、昨今のSNS隆盛、高齢者へのスマホの普及から考えると、あたしに言わせれば十分健闘していると思えるのですが、如何でしょう?

昨年末、営業回りの途次、駅の改札口を出ると目立つところで郵便局のスタッフが年賀状を販売していました。会議机のようなものを置き、のぼりを立て、職員(?)数名で一生懸命声を枯らして売っていました。ほぼどの駅でも見かけましたので、各郵便局ごとの販売ノルマがかなり厳しく設定されているのではないだろうかと思われます。その割には、立ち止まって買っている人をほとんど見かけなかったのも事実です。背に腹はかえられないと局員総出で必死になって努力して、なんとか6%の現象で食い止めることができたのでしょう。

しかし、この際、嵐の起用の是非、年賀状を出し合うのは伝統文化だ、といった議論はさておき、もう年賀状の発行、発売が増加に転じるのはありえないと考えて、毎年の目標発行枚数を決めるべきだと思います。もちろん、いたずらに「昨年比5%減なら御の字」といった目標を立ててしまうと、発行枚数はどんどん減っていってしまうでしょう。やはり昨年並みの販売枚数を目標に掲げるからこそ、なんとか6%程度の減少で食い止められるのだと思います。

翻って、あたしの属する出版界。年賀状の発行枚数同様、否、それ以上に減り続けています。個々のジャンルとか時季によっては昨年比プラスのところもあったりしますが、全体としてはもう20年近く減り続けている業界です。いい加減、昨年比プラスなんてことを目標に掲げないで、マイナス5%以内に収める、といった現実的な目標を立てるべきなのかも知れません。

が、それをやってしまうと、実際にはもっと下がるでしょうし、売り上げから様々なものが決まっていくわけですから、目標の売り上げをマイナスに設定するということは、われわれの給料もマイナスになることを覚悟しないとなりません。「それはちょっと困る」と言うのが本音ですが、実際のところ、既にここしばらく収入は右肩下がり、いまさら減ると言われても驚きはしませんし、「とっくに減っているじゃないか」と言い返したくなります。

アベノミクスが効果を上げているという実感はまるでなく、一部のアナリストが言う「景気は上向いている」という説にも納得できず、上層と下層との乖離が激しくなっている気がします。こういうの中流の崩壊というのでしょうか? 本の売れ方を見ても、ものすごく売れる一極集中と、ほとんど売れない大多数の書籍という二極化がますます進んでいる気がします。昔はもう少し、なんとなくでも本を買ってくれる人が多かったような気がするのですけどね。