名前だけは知っているけれど

勉誠出版から『G・E・モリソンと近代東アジア』という新刊が出ました。モリソンといえば東洋文庫、と中国史などを学んでいる人なら当然のことでしょうが、一般の方にはほとんど知られていない人ではないでしょうか?

 

東京在住なら、モリソン所縁の東洋文庫なんていう施設もありますので、更になじみ深いところですが、やはりすぐにはわかってもらえないのでしょうね。本書はその東洋文庫監修の一冊です。

そんなモリソンですが、あたしの勤務先からも一冊関連書が出ていまして、それが『北京のモリソン』です。こちらはモリソンの活動を中心に追ったものです。勉誠出版の新刊と併せて、こちらもよろしくお願いします。

なお、東洋文庫って何(?)という方には、同じく勉誠出版から『アジア学の宝庫、東洋文庫』という本も出ていますので。

創業と守成、いずれが難きや?

近々配本予定の新刊『オスマン帝国の崩壊』です。「オスマン帝国」なんて聞くと、歴史の彼方のような印象を受ける方も多いと思いますが、クリミア戦争とか第一次世界大戦のころまで存続していたと聞けば、「意外と最近まであったのね」と思えないでしょうか?

そんな新刊と似たようなタイトルの本が、あたしの勤務先にはなぜか多いです。なので並べてみました。古代ローマやビザンツ帝国など、人って、やはり生まれてくる過程より、滅びていく過程の方に関心があるのでしょうか?

さて、このダイアリーのタイトルは、『貞観政要』で有名な唐の太宗と重臣たちとの間で交された言葉です。太宗は「王朝を創業するという困難は既に過ぎ去ったことだから、これから皆と力を合わせ、この王朝を維持していくことに力を注ごう」と述べたそうです。これが名君たる所以でしょうか?

「歴史を鑑とする」といった場合も、崩壊過程を吟味することで、みずからは崩壊しないようにと心がけるものではないでしょうか。「成功の本質」では売れません、必要なのは「失敗の本質」なんですね!

この三冊を見て、あとはどうでしょう? 「中華帝国の崩壊」なんてあればよいでしょうか?

コラボフェアが花盛り?

最近は、書店店頭で数社合同のフェアというのが目に付きます。2社での対抗フェアのようなものもあれば、4社か5社くらいで一つのテーマの本を集めたフェアなど、やはり一社は単独のフェアよりも読者の目を惹くし、売り上げも上がるのでしょう。

ただ、フェアと銘打つからには、そこそこの規模、アイテム数が揃わないと難しいものです。「これとこれならコラボできるけど、それだけだとフェアにならないよね」と、もどかしい思いをすることもあります。なので、たまたま思いついた東京大学出版会とのコラボです。

 

まずは『国宝の政治史 「中国」の故宮とパンダ』と『パンダが来た道 人と歩んだ150年』です。中国外交とパンダという切り口です。

 

もう一つが『ケインズとその時代を読む 危機の時代の経済学ブックガイド』と『ケインズを読み直す 入門現代経済思想』です。こちらはタイトルからして似ていますので、説明の必要はないと思いますが……

悪魔に勝てなければ、悪魔と組め

本日、見本出しをした新刊『ローズヴェルトとスターリン』は上下本の巨冊です。いや、この程度なら、あたしの勤務先的には巨冊とは呼ばないかも知れません、ありふれていますので(汗)。

装丁も、これまでにもよくあった、「並べると一枚になる」画像です。今回はタイトルそのままに、有名な写真を使っています。この二人を扱った書籍はこれまでにもいくつか(他社から)出版されていたと思いますが、本書は新史料などを駆使して描いた決定版です。

で、書店店頭で平積みしていただけると上掲のように両巨頭が顔を合わせた格好になりますが、棚に収まってしまうと……

ご覧のように、お互いそっぽを向く構図になります。

オビの惹句は「悪魔に勝てなければ、悪魔と組め」(上巻)、「われわれが恐れなければならないのは恐怖そのものである」(下巻)です。

「悪魔」って誰でしょう?

一見何のつながりもないようですけど、実は併せ読むとよいのかな、と思ったりするのですが、如何でしょう?

下旬に刊行予定の『家族をテロリストにしないために』は副題が「イスラム系セクト感化防止センターの証言」と言います。これは実際にフランスにある組織の名前です。どんな本なのか、ウェブサイトの梗概を引用しますと

フランスでは、ISのような過激派組織に洗脳される若者が増加し、大きな社会問題となっている。著者は、子どもを組織に取り込まれて苦悩する約400の家族に接し、その恐るべき実態を分析した。第1部では、組織による洗脳や取り込みの手口が具体的に説明されている。イスラム系セクトのメッセージはインターネットによって流布され、段階を追って巧妙に若者を洗脳していく。食品・薬品やエコロジーへの批判、消費社会のスキャンダルなど、組織が作成する動画を通じて、若者は「世界は嘘だらけで退廃している」という思いを抱く。自室という安全な空間で、次々とパソコン画面をクリックしていくうちに、その思いは「世界をよくするために何かをしたい」「自分はそのために選ばれた人間なのだ」と変容し、より攻撃的で過激な思想へと飛躍していく。第2部では、組織や洗脳から脱却させる方法を示す。いったん洗脳されてしまった若者を脱却させるためには、家族の協力が欠かせない。脱却に成功した人の体験談や感化防止センターの支援は大きな意味をもつ。これらの事例は他人ごとではないはずだ。全世界に警鐘を鳴らす生々しい証言である。

日本では、中東へ行って「イスラム国」へ入ろうとした学生が捕まったとか、そんなニュースが少し前にありましたが、一般的にはイスラム過激派へ入ろうという人はほとんどいないでしょうし、あまり身近に考えられないと思います。しかし、例えばオウム真理教のような新興宗教にのめり込んでしまって、といったような事例ならかなり身近に感じられるのではないでしょうか?

オウムを新興宗教と呼べるか否かは議論の分かれるところだと思いますが、過激派にせよ新興宗教にせよ、なんとなくわけのわからないものに子供(家族)が入ってしまって困っているという人なら、日本でもそれなりにいるのではないでしょうか? そんな方々に読んでいただきたい新刊です。

で、書店店頭で目に入ったのが作品社の『大量殺人の“ダークヒーロー”』です。こちら、タイトルだけ見ると『家族を…』と何のつながりも感じられませんが、こちらの副題は「なぜ若者は、銃乱射や自爆テロに走るのか?」です。これを見ると、それほど縁遠い本ではないと思えるのではないでしょうか?

事件と犯人の綿密な分析によって、動機・心理・社会背景を解明し、“銃乱射”や“自爆テロ”が生命を犠牲にした“表現行為”であり、現代資本主義の構造的な病理であることを明らかにした世界で話題の書!

ウェブサイトの内容紹介には上のように書いてあります。アプローチの仕方や着眼点に差異はあるものの、非常に近しい本だと思いますので、ぜひ併売いただければと思います。

スナックは九州?

今朝の毎日新聞の社会面です。スナックが九州に多いとは知りませんでした。

 

そして、そもそもこの記事は、絶好調な『日本の夜の公共圏』を踏まえた記事です。こういう記事が、案外この後の売り上げに結びついたりするのですよね。

これまでは、夕刊紙とか地方誌での紹介が続いていたのですが、遂に全国紙でも無視できなくなってきたという証拠でしょうか? 日曜日には朝日新聞の読書欄でも紹介予定ですから、一気に火がつくのではないでしょうか?

いや、スナックですから火がつくというよりは、灯が灯ると言った方がよいでしょうか?

「生存か」と言われても……

朝日新聞に載っていた記事。

死亡説が出ている過激派組織「イスラム国」(IS)の最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者について、有志連合を率いる米軍のタウンゼンド司令官は8月31日の記者会見で「今も生存していると考えている」との見解を示した。…(中略)…バグダディ容疑者を巡っては、今年6月にロシア国防省が空爆で殺害した可能性を発表した。米軍は「死亡は確認できない」と繰り返してきた。

「イスラム国」掃討、いつになったら終わるのでしょうか?

で、この記事に出てくる「バグダディ」という名前で思い出したのがこちらの新刊。

ブラック・フラッグス(上)』『ブラック・フラッグス(下)』です。内容紹介をサイトから引用しますと

「イラクのアル= カーイダ」の創設者ザルカウィの生い立ちから「イスラム国」の指導者バグダディによるカリフ制宣言まで、 疑似国家の変遷と拡大の背景を迫真の筆致で描く。中東取材20年のベテラン・ジャーナリストによる傑作ノンフィクション! ピュリツァー賞(一般ノンフィクション部門)受賞作。

です。お陰様でよく売れていますが、こういうニュースが入ってくると追い風になるのではないでしょうか?

日本人には「ブラウック・フラッグス」という言葉、馴染み薄いと思います。「イスラム国」の旗ですよね。昨年刊行された青土社の『イスラーム国の黒旗のもとに』は「黒旗」としていますが、やはり日本人にはわかりにくいと判断したからなのでしょうか? 原題は「Under the Black Flag」ですから、さらに「イスラーム国の」を補っているわけですね。

筑摩書房と仲良く?

筑摩書房と言えば言わずと知れた伝統ある大手出版社。宣伝力も含めた営業力、影響力、どれを取ってもあたしの勤務先では太刀打ちできません。ですので、同社の新刊と少しでも絡めそうなものがあれば、他人の褌で相撲を取る、ではありませんが、乗っかっていきたいと思います。

まずはちくま学芸文庫の『ムッソリーニ』です。これと併売していただきたいのは、『ムッソリーニ(上)』『ムッソリーニ(下)』です。

 

文庫と単行本とでは書店店頭で置かれる場所がまるっきり違いますが、できれば隣同士で並べてもらいたいところです。

続きまして、ちくま新書からこんな本が出ます。『素晴らしき洞窟探検の世界』です。未刊ですので、刊行時には文庫クセジュの『洞窟探検入門』を併売していただきたいものです。クセジュなら新書判ですからちくま新書と並べてもおかしくないですし、たぶん店頭の棚も比較的近くだと思います。

最後はこちら。筑摩書房が鳴り物入りで刊行する『ヴェルサイユ宮殿』です。豪華な写真集で、ヴェルサイユ宮殿初の公式なものだとか。

ヴェルサイユ宮殿に関する書籍は各社から数多出ていますが、あたしの勤務先としては『ヴェルサイユの歴史』をお薦め。

本当は『ヴェルサイユ宮殿に暮らす』を推したいところなのですが、現在品切れのため、残念です。

それにしても、筑摩書房の同書を核にして、ヴェルサイユ宮殿フェアなんて出来そうですね。フランス革命やベルばらまで射程に加えたら更に大規模なフェアになりそうですが……

中級フランス語、セカンドシーズン開始?

本日見本出しの新刊『中級フランス語 時制の謎を解く』は、フランス語学習者のみならず、フランス語を教える方々にも大評判となったベストセラー「中級フランス語」3冊の続刊です。既刊の3冊と並べてみますとこんな感じになります。

想定は揃えつつも、ちょっとアレンジを加えてあります。ちなみに、既刊3冊を改めてご紹介しますと以下の通りです。

  

中級フランス語 あらわす文法』『中級フランス語 つたえる文法』『中級フランス語 よみとく文法』の3冊です。

第二シーズンとは公式の呼び方ではなく、あたしが勝手に呼んでいるだけですが、でも当たらずと雖も遠からず、だと思っています。

さて、この第二シーズンも第一シーズンと同じく全3冊を予定しています。ラインナップは上掲写真のように、本書のカバー袖に書かれています。具体的な刊行時期は未定ですので、いましばらくお待ちください。

出版社が異なると……

店頭でこんな新刊を見かけました。

日本人になりたいヨーロッパ人 ヨーロッパ27カ国から見た日本人』です。海外滞在経験豊富な著者によるこの手の本、これに限らず時々見かけます。日本を貶しすぎたり、逆に褒めすぎたり、そういったものはちょっと困りますが、海外に行ってみて改めて日本について考え直すというのは誰にでもあることだと思います。

ところで著者の一人、片野優さん、見覚えのある名前だと思ったら、あたしの勤務先の著者でした。

 

ヨーロッパ環境対策最前線』『ここが違う、ヨーロッパの交通政策』という、やや硬めの欧州レポートを刊行しています。とはいえ、ガチガチの学術書、専門書というわけではなく、誰にでも読める内容、文章です。

それでも、宝島社の新刊と比べると、装丁もタイトルもかなり異なります。同じ著者の本とは思えないくらいです。もちろん中味も全然異なるわけですから、ある程度は出版社側の意向、希望もあったのでしょう。それが出版社の個性、カラーというものですし、どちらがよいというものでもありません。むしろ、そういった出版社の希望に合わせて如何様にでも書ける著者の方がスゴいのでしょう。