懐かしの拡材

間もなく書店店頭にも到着するでしょうか? ミルハウザーの新刊『ある夢想者の肖像』のことです。ミルハウザーは『ナイフ投げ師』以来だと思います。

 

2008年、『ナイフ投げ師』が刊行された当時もよく売れたのを覚えていますが、それに合わせて書店で「ミルハウザー・フェア」を展開してくださるところが多かったのも記憶に残っています。そして、フェアをやってもらうからには何か拡材を、と思って小冊子を作りました。訳者の柴田さんにも許可を得て「訳者あとがき」からコメントを採ってまとめたものです。

今となっては品切れになってしまった本もいくつかありますね……(汗)

そして更に、この時柴田さんが作ってくださった手書きポップをスキャンしたものが、あたしのPCの中に残っていました。こちらです。

さて、今回もミルハウザー・フェアができるよう、やってもらえるよう、あたしたちも頑張って営業しないとなりませんね!

フランス語、比較広告

来週には書店に並び始めると思いますが、こんな新刊が出ます。

徹底整理フランス語 動詞のしくみ』と言います。

「えっ、またフランス語の動詞活用の本?」とお思いの方も多いと思います。「本屋へ行くといろいろ出てるじゃない、何が違うの?」と思いますよね? 確かにその通りなのですが、それだけフランス語学習にとっては動詞活用が大事ということでもあります。ただ、あたしはフランス語はからっきしなので、担当者から本書の特徴を聞きましたので、それをここでご紹介したいと思います。

まずは本書のライバルとなる類書は以下の通りです。

  

フラ語動詞、こんなにわかっていいかしら?』『標準フランス語動詞変化表』『フランス語 動詞活用ドリル』の三つになります。他にもまだ数冊ありますが、売れ筋や出版年などから考えると以上になると思います。

まず『フラ語動詞』ですが、これは本当に初歩の初歩、仏検だと5級、4級レベルをフォローしているだけですが、とにかく語り口がわかりやすい清岡節、第二外国語でフランス語を選択したけれどチンプンカンプンという人には、すべての動詞に仮名ルビまで付いている本書がお薦めです。

次に『変化表』ですが、これは逆に潔いまでにシンプルです。とにかくタイトルどおり、動詞の活用が表の形で載っているだけです。どうしてそういう活用をするのかといった理屈は抜き、とにかくある動詞の活用がどうなっているのかを調べるだけならハンディで値段も手頃な本書がお薦めです。

『活用ドリル』はタイトルでもわかるようにドリルですから、書き込みながら勉強していく学習書です。言語は異なりますが、『書き込み式 ドイツ語動詞活用ドリル』と似たタイプの本と言ってよいでしょう。とにかく書くことによって体で覚えよう、身につけようという方にはお薦めです。

という三者に対し新刊の『徹底整理』は何が違うのか、何がウリなのか?

まずは仏検で言えば2級レベルまでを網羅しています。また動詞活用の基本をしっかりと解説していますし、活用パターンがすべて網羅されています。つまり、第二外国語で単位を取れればいいやという人よりも、もう少ししっかりと動詞活用をマスターしたいんだという人向けです。『変化表』にもう少し解説が付いていればいいのに、という人にはもってこいだと思います。またこの手の動詞活用の本ですと動詞しか載っていないことが多いようですが、本書ではイディオムや用例まで載っているので、応用の幅も広がります。

とまあ、こんな説明で少しご理解いただけたでしょうか? 上で担当者から聞いたと書きましたが、あくまであたしなりの理解ですので、もしこの説明に誤りなどがあっても担当者の責任ではありませんし、もちろん本書の瑕疵でもありません。フランス語を勉強している方、あるいは書店の語学書担当の方、少しはお役に立ちましたでしょうか?

あとは、実際に並んだ本を手に取ってご自身の目でお確かめください。

大リーグ対リトルリーグ?

下の写真は、ジュンク堂書店プレスセンター店で行なわれているフェアの模様です。ようやく訪問できたので写真を撮らせていただきました。

すでに同店のTwitterでもご紹介いただいておりますが、今回は新潮社クレストブックスとの合同フェアとなっています。

いや、合同などとは畏れ多い。これまでも時々、書店さんから「新潮社のクレストのフェアをやるから一緒にエクス・リブリスも並べたいんだけど」というありがたいお申し出を受けることがありましたが、言われるたびに思うのですよね、「まるで、大リーグのチームに胸を借りて練習試合の相手をしてもらったリトルリーグじゃないかな」と。だって天下の大手出版社・新潮社のクレストブックスですよ? これまでの実績、知名度すべてにわたってエクス・リブリスよりはるかに上、雲の上の存在です。でも、やっぱり嬉しいものです。

ちなみに、このフェア、今月頭から一ヶ月ですのでもうじき終了です。プレスセンターというとビジネス街、官庁街のど真ん中という印象でしょうが、ビジネス書などの堅めの本ばかりでなく、こうして文芸書、それも海外文学のフェアもやっていますので、残り少ない会期ですが、霞ヶ関界隈で働いているガイブンファンの方、是非お出かけください。

あと、プレスセンター店のTwitterは以下のように、しばしばあたしの勤務先の本を取り上げてくださっています。

これまたありがたいことです。

柴田元幸ゼミ?

午後から、ブックファースト新宿店で柴田元幸さん、小林久美子さんのトークイベントでした。柴田元幸さんは言わずもがな、シルバーウイーク明けにはミルハウザーの久々の翻訳『ある夢想者の肖像』がいよいよ発売になります。小林さんはそれに一ヶ月ほど先だって『生まれるためのガイドブック』を上梓したばかり。お二人に、この両翻訳書、並びに昨今のアメリカ文学について語っていただきました。

さて、イベントのスタートを待つ会場はこんな感じです。あとはお二人の登場を待つだけ。

もちろん、ミルハウザーの既刊や小林さんのもう一つの翻訳『ぼくは覚えている』もテーブルには並んでおります。これで準備万端ですね!

もちろん、先行販売の書籍もほら、この通り、しっかり用意してあります。ミルハウザーの新作を鶴首で待ち焦がれていたお客様にとっては、今日この会場で初めて目にするわけですよね。どんな感想を持っていただけるか、気になります。

さて、トークイベントの内容ですが、いらっしゃった方がブログやSNSなど書いてくれるのではないかと思いますので贅言はしません。それに、あたしのようなアメリカ文学ド素人には語れるほどの力量はございませんし……(汗) なので、ざくっとした感想を述べるに留めたいと思います。

一言で言って、小林さんと一緒に柴田ゼミを受けているような感じでした。最初の写真でわかっていただけるかも知れませんが、もし会場の椅子に小さなテーブルが付いていたら、ドラマや映画で見るような、アメリカの高校の教室のような感じです。小林さんと柴田さんの丁々発止のやりとりは、「ああ、たぶん柴田さんは大学出こんな風に授業をなさっていたんだろうなあ」と思わせるものでした。

そして、一番すごいと感じたのは、柴田さんの実に若々しい吸収力、飽くことなき好奇心です。柴田さんと言えば日本におけるアメリカ文学の第一人者であると誰もが認めている方ですが、その柴田さんが若い小林さんから、さらにいまのアメリカ文学について学ぼうという姿勢が見えますし、自分とは異なる小林さんの感じ方、読み方に感心してしきりと頷いていらっしゃいました。決して大先生としてふんぞり返るのではなく、誰からも教えを受けるという謙虚さ、これには頭が下がります。先生がこういう感じだからこそ、生徒である小林さんものびのびと思ったことを開陳できるのではないでしょうか。羨ましい師弟関係です。

そして、このトークイベントを聞いていて思いだしたのは、数年前に新宿のジュンク堂書店で行なわれた柴田さんと藤井光さんのトークイベントです。藤井さんも小林さん同様、柴田さんとは異なる視点からアメリカ文学をチョイスして日本語に翻訳紹介してくださっている方ですが、この時も柴田さんは藤井さんの話に熱心に聞き入り、あたしの記憶が間違っていなければ、「これからのアメリカ文学については藤井さんに聞かないと……」とまでおっしゃっていました。

若い研究者を前にして、決して偉ぶることなく、知らないことについては熱心に話を聞き、旺盛な知識欲でどんどん吸収していく。この謙虚さ、すごいです。たぶん今日のトークイベント、お客さんよりも柴田さんと小林さんが一番楽しんでいらっしゃったのではないか、そんな風な感じです。その楽しさに巻き込まれたからなのか、最後の質疑応答も、あたしの印象では、ゼミの学生が「先生、じゃあ、これはどうでしょう?」と質問を投げかけている感じを受けました。

さて、『ある夢想者の肖像』をご購入いただいた方、このシルバーウイークで読んでみてください! 長編だからこその面白さ、小林さんも力説されていましたし!

ジャスミンティーを飲みながら

今宵は東京堂書店神保町本店で行なわれた小倉孝誠さんと堀江敏幸さんのトークイベントに行って来ました。お題は、このほど完結した、マルグリット・ユルスナールの三部作「世界の迷路」です。

  

追悼のしおり』『北の古文書』『なにが? 永遠が』のうち、第二巻「北の古文書」を小倉さん、第三巻「なにが? 永遠が」を堀江さんが訳されているということで、お二人のユルスナールとの出会い、翻訳の作業について、この作品について、時間がまるっきり足りないほどの自由なトークでした。

会場はほぼ満席でしたので、恐らくいろいろな方が今宵のトークについてブログで、あるいはTwitterやFacebookに投稿されると思いますので、あたしもあたしなりに面白いと感じたことを思い出せるままに書きたいと思います。あたしは仏文科出身でもなければ、仏文に造詣が深いわけでもなく、それにフランス文学をよく読んでいるというわけでもない三重苦ですから、もしかするとまるで見当違いのことを書いてしまうかもしれませんが、門外漢は門外漢なりにこう感じた、という風に受け取っていただければ幸いです。

まず、小倉さんと堀江さんの年齢差から来る、ユルスナールとの出会いの差です。ユルスナールが一躍時の人となったのは1980年にアカデミー・フランセーズの、女性としては初の会員に選ばれたことだそうです。そのころ、小倉さんは初めてフランスに留学した大学院生。フランス語の授業の合間に街へ行き、時の人ユルスナールの本を買っては読みあさったそうです。ちょうどフランス語研修の教材にいち早くユルスナールが使われていたそうで、その文章に衝撃を受けたとのこと。一方堀江さんはそのころはまだ高校生。将来、仏文に進むなどとはまるっきり思ってもいなかった時代です。数年後、大学に進学してからユルスナールを翻訳で読み始めたそうですが、そのころはユルスナールの最晩年、当時はやっていたヌーヴォーロマンにかぶれつつも、ユルスナールも気になっていたそうです。

さて本作ですが、簡単に言ってしまえばユルスナールの自伝です。ただし、第一巻で母方の家系を辿り、第二巻では父方の家系を辿り、そして第三巻でようやくユルスナール自身の人生を描いたものです。が、第三巻は彼女の死により未完に終わっていて、その体調や周囲の状況のせいなのか、第三巻は第一巻、第二巻に比べると文体などもかなり異なるようです。そして、第一巻、第二巻が自分にとっては遠い存在であるために自由に創作する感じで書けているのに対し、自分の見知っている、あまりにも近すぎる人びとを描く第三巻は、非常に書きづらそうな印象を受けるとのことでした。

また小倉さん曰く、第一巻、第二巻は時代として19世紀を扱っているので、19世紀を彩る綺羅星のごときフランスの文学者たち、そして彼らの作品世界を彷彿とさせるものだそうです。挙がった名前としてはスタンダール、バルザック、ボードレールなどです。これらの作家の作品も読んでいないあたしにはとても歯がゆいものがありましたが、逆にこれから読む楽しみが生まれたとも言えます。

 

 

ユルスナールの作品では『東方綺譚』『とどめの一撃』『黒の過程』、そしてこれは絶対に外せない『ハドリアヌス帝の回想』なども何度もトーク中に名前が出ました。どれも未読なので、ますます楽しみが増えました! それにしても、約2時間弱のトークではまるで時間が足りません。やはり30日の渋谷の丸善&ジュンク堂書店の堀江さんのトークにも行かないとなりませんね。

翻訳をめぐる対話

上智大学の中にある書店が丸善から紀伊國屋書店に変わりました。よくある話とは言いませんが、街中の書店にしろ、大学内の売店にしろ、経営が変わることはよくあるので珍しいことではありませんが、営業としては店員さんがガラッと変わってしまうと、イチから関係を築かないとなりませんから、それはそれで大変でもありますが、楽しい緊張感を味わえたりもします。

さて、上智大の丸善はかつて担当していたのですが、ここ数年は担当が代わり訪れることもなかったのですが、その新担当が新装オープンした紀伊國屋書店・上智大学店を訪問してきたとのこと。

ご覧のように、OGである翻訳家・岸本佐知子さんのトークイベントが近々あるとのことで、お店でもこんな岸本フェアを開催中だったそうです。そう、あたしの勤務先からも岸本さんの翻訳、何冊か出ていますので、しっかり並べていただいています!

きわめて個人的な四六判宣言

新刊『ある夢想者の肖像』の著者はスティーヴン・ミルハウザーです。ミルハウザーの作品は、ほぼすべて邦訳はあたしの勤務先から出ているのですが、今回の新刊以外はすべてUブックスという新書サイズの、ハンディーなタイプです。他社で言うところの「文庫」です。

持つにも手ごろですが、お値段も手軽になるので、どうしても文庫化の流れは止めようがありませんが、前著『ナイフ投げ師』はUブックス版の他に、まだ単行本も在庫があります。

 

ご覧のように、装丁も単行本を意識したものになっていますが、ちょっと寂しいでしょうか? それともすっきりしていると感じますか? 値段と重さが異なりますから、もうこれは人それぞれ、好き好きとしか言いようがありませんね。

で、Uブックスと今回の新刊を並べてみますと、上のような感じです。これはこれでいいじゃないか、と思う方もいらっしゃることでしょう。

でも、上のように単行本で並べてみると如何でしょう? やはり、この方がバランスがよい、ゴールデンコンビという感じがしませんか? あたしは断然、こちらの方が好みです。装丁は本にとって大事な要素ですから疎かにはできません。そう考えたとき、やはり単行本には単行本をペアリングさせたいものです。

四六判の風合い、たまりません! この機会にミルハウザーを買ってみようと思っている方、上掲以外の既刊は新書サイズのUブックス版しかありませんが、『ナイフ投げ師』だけは是非、四六判、単行本をお買い求めになっては如何でしょう。

今日のネクタイ~またサル?[2015.9]

ども、染井吉野ナンシーです。どうも不定期な連載になっていて申し訳ありません。

さて、今回はこちら。

って、このネクタイ、前回と同じじゃない! というご指摘、ごもっともです。はい、同じです。正真正銘、同じものです。サボったのか、手を抜いたのか、と指弾されれば、はい、その通りです、と謝るしかないのですが……

で、今回はブラウスがおニューなんです。

おニューと言われても、どっかで見たことあるような柄。はい、そうですね。風神・雷神です。風神・雷神モチーフのブラウスは既に登場していたのですが、今回のはまた異なるバージョンです。如何でしょうか?

とはいえ、今回は全体としては非常に地味ですよね。なんかお葬式にでも行くみたいに目立たないコーディネートよね。

次は頑張ります!