棚作りについて偉そうなことを言えた身分ではありませんが……

先週後半の研修旅行については、既にこのダイアリーに書きましたが、個人的に目に付いたところなどを、まだ書いていないことを反省を交えつつ書きたいと思います。

旅程に従って、まずは初日から。

朝、羽田を発ち、昼食の後に北海道立文学館で研修会。札幌南高校の司書、成田康子先生に講演をしていただきました。非常に新鮮かつ刺激的、いろいろと考えさせる内容を含んでいました。この研修についてはいずれ『人文会ニュース』に報告が載るのではないかと思います。

その後は書店訪問。最初に向かったのはコーチャンフォーのミュンヘン大橋店です。

 

ご覧のように、手前の平台がそれほど広くないので、目の高さから上の棚は面陳になっています。これがかなり壮観です。こういった専門書コーナーの場合、面陳を増やすとアイテム数が減ってしまうという問題がありますが、そもそもこちらのお店は広いので、アイテム数が決して少ないということはないでしょう。また市街中心部の紀伊國屋書店やMARUZEN&ジュンク堂書店に比べると客層も若いので、あまり堅い物を並べすぎるよりは、面陳を増やして手に取りやすくしているものと思われます。

上の写真は同店の語学書コーナーです。ここも面陳を増やしています。語学書の場合、表紙にその本の特徴などが書かれていることが多いので、こういう展示だと読者にも探しやすくなるのではないでしょうか? 全体として、このチェーンの特徴である白い什器がすっきりとした印象を与えてくれています。

続いては向かったのは大通にあるMARUZEN&ジュンク堂書店札幌店と紀伊國屋書店札幌本店で、初日は以上で終了です。晩は札幌の書店の方を招いての懇親会でした。

二日目は、紀伊國屋書店の営業所を訪ねた後、北海道大学生協クラーク店を訪問しました。あたしは新築なって以降初めての訪問となりました。お店の方の話では以前より少し小さくなったそうですが、以前の大きさが既に思い出せなくなっているので、広々としてきれいな店内にしっかり陳列された書籍に、北海道ナンバーワンの大学の矜持を感じました。それに、とにかく構内がきれいです。学ぶのに最高の環境ではないでしょうか?

さて、その後向かったのは三省堂書店です。人文系の棚などは前のダイアリーに書きましたので、ここではあたしの勤務先とも縁の深い語学書のコーナーをご紹介します。

ご覧のように、あたしの勤務先のナンバーワン学参にポップを付けていただいています。これはお店の方の手作りのようですね。こちらで作成した覚えがありませんから(笑)。

そして、このポップだけでなく、こちらの語学書コーナーには主要な語学書にはこのようなポップがたくさん貼られていました。上の写真はそんなポップのすべてを収められなかったので、韓国語のコーナーを撮ってみたものです。なかなかイラストの才能溢れる担当さんですね。これだけやっていただけると出版社としても嬉しいものです。

二日目は、この後、駅ビル内の弘栄堂書店を見学し、昼食を取った後またも空路で青森へ向かいました。青森空港からはバスで一路、二日目の宿泊地である浅虫温泉へ向かいました。浅虫温泉ではわれわれだけでの宴会、大いに盛り上がりました。

そして三日目、最終日です。浅虫温泉を発ち、バスに揺られること約2時間、八戸ブックセンターが最初の見学地です。

 

ここは図書館でもなく書店でもない、不思議な空間です。一見すると、提案型のセレクトブックストアです。いわゆる代官山蔦屋とか、かつての松丸本舗のようなものです。ただ規模がもっと小さいので、それがあたし的には功を奏していると思うのですが、非常に見やすい棚でした。上の写真は、左が海外文学、右が人文の棚です。

上の写真は八戸ブックセンターの方に、同センターについて説明をしていただいたときに見たスライドのひとこまです。メインのフェアコーナーは定期的にテーマを変えて入れ替えるので返品も発生するとのことですが、上掲の文脈棚は原則として返品はせず売りきりという方針だそうです。

また、客注は受けず、リクエストが合った場合は市内の書店に注文するように誘導しているそうです。このあたりが市が運営する施設の、微妙な立ち位置なのでしょう。それでも、われわれが見学をさせていただいているうちに開館時間が来ましたが、待っていたように入ってくる方が何名かいました。市街地に位置するとはいえ、知名度はまだまだとスタッフの方は言っていましたが、徐々に知られるようになってきたのではないでしょうか?

八戸ブックセンターを見学した後は新幹線に乗り帰京と思いきや、仙台で途中下車して、丸善の仙台アエル店、ジュンク堂書店の仙台TR店、そして東北大学生協文系書籍店を見学し、研修旅行の全行程終了です。

東北大学生協から仙台駅へ戻ってきて、新幹線までの時間、小一時間ほどでしたが、おみやげ購入時間のようなものがあって、あたしは駅ビル内にあるくまざわ書店を訪問してきました。駅ビル、新幹線乗り口と同じフロアということもあり賑わっていましたし、コミックや雑誌ばかりではなく、堅めの本もあえて並べている書店でした。

さて最後は書店とも、今回の研修旅行とも関係ないのですが……

浅虫温泉で泊まったホテルのトイレに貼ってありました。実は、あたしの勤務先のトイレにも同じようなことが書かれているのですが、見るたびに思ってしまうんですよね。「トイレットペーパー以外」は流してはいけないってことは、大小便はどうなるのだろうか、って。もちろん揚げ足取りだということはわかっているのですが……。だったら、どう表現すればよいのだろうかと考えています(笑)。

職業柄、気になって気になって仕方がないのです

お陰様で、『日本の夜の公共圏』が絶好調です。だからというわけではありませんが、否、だからなんですが、やはりスナックという存在が気になります。

ご多分に漏れず、浅虫温泉で泊まったホテル館内にスナックがありました。もちろん宴会の後の二次会はそこが会場です。

さて、翌朝、ホテルの近所を散歩していましたら、ホテルからほど近いところにこんな建物が!

いかにも、という看板の掛かったスナックです。

別の角度から撮ったのが上の写真ですが、どうやらこちらが正面のようですね(汗)。しかし、周囲に民家はあまり見当たりませんから、浅虫温泉の旅館やホテルの宿泊客が主なお客なのではないかと思われます。

しかし、そうなると、地域コミュニティーの核としてのスナックの役割を説いた、あたしの勤務先の刊行物の立場はどうなってしまうのでしょう? ホテル内にせよ、これにせよ、地域コミュニティーがどの程度、この浅虫温泉にあるのか……

ただ、そこに集った人たちのコミュニティーの核としての機能は十二分に堪能できました(笑)。

ちなみに、八戸ブックセンターのすぐお隣にも、上の写真のようにスナックがありました。こちらなどは、街の比較的中心部、繁華な場所にあるので、地域社会のコミュニティーの核としての機能を担っているのではないかと思われます。

以上、上っ面をなめただけのレポートでした(汗)。

北の大地のフェアなど

昨晩、無事に研修旅行から帰京しました。往路は羽田から飛行機、復路は新幹線なので東京駅着という行程。

まずは、今回訪問した書店でやっていたフェアなどをご紹介します。

最初の写真は、MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店のフェア台では「ロシア革命100年」フェアです。いや~、これだけロシアものが並ぶと壮観です。他の地域と比べ、北海道はロシアが身近ですから、都内などとはまた違った反応があるのではないでしょうか?

そして上の写真でもおわかりのように、「ロシア革命100年」フェアでは、あたしの勤務先の刊行物がやたらと目立つような……(汗)

続きましては、三省堂書店札幌店の壁棚のフェア。北海道大学の先生に選書してもらったフェアです。こうしたフェアを定期的に行なっているそうです。「月イチ企画」と書いてありますから、毎月選書の先生が替わるのでしょうね。自分が習ったことのある先生だと興味も沸くのではないでしょうし、先生の専門とはまるで異なるジャンルの本が並んでいたりするとなんか面白いものです。

そんな三省堂書店の別の壁棚では毎月、人文会のお薦め本のフェアを継続中です。こちらもその名の通り毎月アイテムが替わるので、お客様を飽きさせないのではないでしょうか?

上の写真は、書店ではなく図書館でもなく、最近よく耳にする企画も増えたと思いますが、八戸ブックセンターの様子です。非常に興味深い施設でした。

上の写真も同じく八戸ブックセンター。カウンター前の、思いに海外文学を中心とした書籍が並んでいるコーナーですが、ここもありがたいことに、あたしの勤務先の刊行物がちょくちょく目につきます。

セレクトブックショップとしての棚の他に、著名人に依頼してお薦め本を選んでもらい、それを展示する「ひと棚」がありまして、そこに温又柔さんの「ひと棚」がありました。上の写真がそれです。

温又柔さんのプロフィールと選んだ本のリストです。こんな感じでいろいろな方の「ひと棚」があるのですが、それとは別に市民が自分のお薦めの本を選ぶ「わたしの本棚」という企画もやっています。

上の写真が「わたしの本棚」コーナの一部です。これは人気企画だそうで、かなり応募が来ているそうです。ポップを書いてもらうという企画は他でも見ますが、選書にまで参加してもらう、市民を巻き込むというのは八戸ブックセンターならではでしょう。

最後は、ジュンク堂書店仙台TR店の文芸コーナー。《エクス・リブリス》刊行50点突破記念フェアが開催中でした。

並んでますよ! 「書店員おすすめのテーマ」フェア

下の写真は、ジュンク堂書店プレスセンター店、入ってすぐの棚のフェアです。

「書店員が選ぶ おすすめ10のテーマ」フェアです。どんなテーマがあるかは是非足を運んでみてください!

その一角、「動物と文学」というテーマでは『豚の死なない日』が、「台湾」というテーマでは『歩道橋の魔術師』と『蔡英文自伝』を、それぞれ選んでいただきました。

ありがとうございます。

晶文社とふたたび、みたび?

晶文社の新刊『ギリシャ語の時間』、ほぼほぼ読み終わるところです。

タイトルだけですと、「語学エッセイ?」という感じの本ですがガイブンです、韓国文学です。晶文社がこのほどスタートさせた韓国文学のシリーズ《韓国文学のオクリモノ》の記念すべき第一冊目です。

主人公は、あることがきっかけで言葉を話せなくなった女性と、彼女が通う古典ギリシア語スクールの男性教師です。この教師は視力が徐々に失われていく病気を抱えていて、それがかなり進行していて失明寸前の状況です。

そんな二人の、これは大人のプラトニックラブなのでしょうか? あとちょっとで読み終わりますが、結末が楽しみです。

そんな本書には、ところどころギリシア語が引用されています。ギリシア語が読めなくてもストーリーに何ら問題はありませんが、読めた方がより味わえるのも確かです。そんな、本書をきっかけに古典ギリシア語に興味を持たれた方には『古典ギリシア語のしくみ』がお薦めです。

スラスラ読める、新書のような語学入門書《言葉のしくみ》シリーズの一冊です。本格的に古典ギリシア語を学ぼうというほどではないけれど、ちょっとはかじってみたいという方に、このシリーズは非常にピッタリです。

一見すると海外文芸らしくない文芸書と、語学書らしくない語学書の組み合わせ、なんかちょうどお似合いな気がします。

なお、『ギリシャ語の時間』には、主人公の女性と一緒に古典ギリシア語の授業を受けている生徒が何人か出て来ます。その中の一人、大学院生はギリシア語をマスターし、ギリシアへ留学して古代医学を勉強するのだそうです。

そのシーン(P.100-P.101)にガレノスの名が出てきます。ちょうど今月下旬に『ガレノス』という本が、あたしの勤務先から刊行されるところです。なにやら、妙なシンクロが晶文社と続いていますが、興味のある方はこちらも是非どうぞ!

ロシア革命百年、盛り上がってますか?

昨日の朝日新聞夕刊。

個人的には、あまりロシア革命をアピールするよりも、共産主義とは何であったのか、マルクスの理想は奈辺にあったのか、そういった視点で捉えていました。

だからこそ、ピケティや格差社会といったところにも射程が広がると思うからです。あまりロシアというかソ連を強調すると、スターリニズム的な強権主義、個人崇拝、共産党独裁というマイナスイメージばかりになるので、なぜそうなってしまったのかを考究する方が、いまロシア革命を取り上げる意味があると思うのです。来年はマルクス生誕二百年ですし。

で、朝日新聞の記事に載っていた写真。あれはジュンク堂書店池袋本店の棚でしょうか? あたしの勤務先の本がチラホラと見え隠れしていますね(汗)。

別に、あたしの勤務先は左寄りの出版社というわけではないのですが、なぜかこのところソ連ものが増えているような……。この後も刊行予定がありますし(汗)。

社内の流れとしては、第二次大戦を中心とした「近現代史もの」という刊行の中でのソ連、ロシア関連書なのです。ですから、決してロシアものばかりではなく、同じくらいドイツものも出しているんですよ!

とはいえ、上の写真のようにロシア、ソ連関連書だけを並べてもこれだけあるわけですから、書店でコーナーを作ったらそれなりに存在感を出してしまいますよね。

アピール力が足りない?

11月の上旬に、大阪で商談会があります。大阪駅前のグランフロントの中にあるホールが会場です。先日、冊子が出来上がってきました。

一応、今年も出展します。今年で三年目、いや二年目だったかしら? あたし一人、ポツネンと自社ブースでまどろんでいます(笑)。

東京でも今月下旬にあるのですが、こういう場で自社の商品をどうアピールすればよいのかが悩みの種です。ふだん訪問している大型展の方も来場されますが、過半は、いわゆる「街の書店」です。そういう書店に対して、値段も張るし、読者も限られている、わが勤務先の本をどう置いてもらうか。

周囲の、来場するなり書店員が殺到する他社のブースを尻目に、一日無聊を託つようなイベントです。ただ、毎年一つや二つ、うちの本を置いてみたい、試してみたいと言ってくださる書店の方が見えられます。そういう書店の方との邂逅は、立ちっぱなしの疲れを癒してくれるものです。

さて、今年はどんな風になりますか?