残念ながら……

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新聞やウェブから我田引水?

日曜日の朝日新聞から。

まずはフランスの政教分離に関する記事です。こういったテーマですとさすがクセジュです。

 

フランスにおける脱宗教性の歴史』『世界のなかのライシテ』といった、そのものズバリといった論考があります。「ライシテ」ってわかりにくいですか? 最近でこそ、この手のニュースでも使われるようになりましたが、政教分離とか脱宗教性という意味の言葉です。

続いては、中国の天安門事件に関する話題。

 

天安門事件について、日本ではこうして報道されますし、香港でもデモや運動が起こったりしますが、大陸ではそんな事件を知らない若い世代が多くなっています。教科書にも載らなければ報道もさせない、ネットに現われればたちまち削除される、そんな中国の暗部については『中国 消し去られた記録』に詳しいです。ただし『不屈 盲目の人権活動家 陳光誠の闘い』の陳光誠に言わせると、天安門事件はおろか文化大革命ですら終わっていないようです。

続きましてはテレビ東京のウェブサイトです。卓球とテニスを全力で中継してますね。おかげで、「乃木坂工事中」や「欅って、書けない?」が放送中止になって悲しい限りです。

 

それはともかく、中継を必死に見ている方には『ピンポン』や『ラブ・ゲーム テニスの歴史』がお薦めです。

SF、ミステリー、そして……現実社会

本日午後は下北沢のB&Bで伊格言さんと大森望さんのトークイベント。昨日の黒川さんとのイベントでは、原発事故とか、ノンフィクションとフィクションの間のような内容になっていたと感じましたが、今回は対談相手が大森さんなので、また別な一面が見られました。

訳者・倉本さんによる『グラウンド・ゼロ』全体に対する解説、伊格言さんの創作に関する講演は昨日とほぼ同じ、それを受け、大森さんとのやりとりとなりました。

実在の人を登場させているけれど、それに対する反応は、という質問に馬英九はじめ、ほぼ皆がスルーしたようで、美人と書かれた国会議員だけが自身のラジオ番組に呼んでくれたとのこと。日本では実名を使うと訴訟騒ぎになったりする可能性があると聞くと、台湾でもその可能性はなくはないそうですが、それよりもなかなか本作のように実在の人物を登場させる作品を書く機会もないので、今回はあえてこういう方法を選んだという答え。伊格言さん曰く、本作のように現実との距離が近い作品を「低空飛行(地面飛行)小説」と呼んでいるそうです。

台湾は日本とは違い首都に近いところに原発がある。危険なものを辺鄙なところに作るというのは不公平であり、それは階級的な圧迫にもなるとも述べる伊格言さんに対し、80年代には日本でも「東京に原発を」という議論があったことを大森さんが紹介、それに対し伊格言さんは、台湾は日本よりも小さい国なので、どこに原発を作っても首都や都会に近いところになってしまうとのこと。また電力会社の体質などは日台でよく似ているとも。

福島の事故の衝撃が本作のきっけになったのかという質問には、台湾でも反原発運動は以前からあったけれど、原発は危険という意識は一般の人には共有されてなおらず、福島を機に危険という認識が広く共有され、反原発運動が盛り上がるようになったとのこと。事故の前と後では温度差があるとも。

大森さんから本作について、破滅に向かうサスペンスと事故をめぐるミステリーという非常によくできた構成になっているけれど、こういう構成にしようとしたのは何故かという質問に、以前書いた長篇2作はミステリーっぽいもので、自分は短篇は詩的なものという意識がある、それに対して長篇は長いので、いろいろな要素を取り入れられる、だからいろいろな側面を見せることができる、と考えているそうです。また伊格言さんは謎解きのストーリーが好きで、それは読者をある方向に誘えるからだとか。

作品冒頭に出てくる夢の画像化は、本作の中では数少ないSF的な部分で、SFだと自由に書け、ファンタジーなシーンを作ることができる、と考えているそうです。本作が日本ではSFとは思われないのでは、という大森さんの指摘には、あまりジャンルは気にしていないとのこと。中国語圏のSFの賞を本作で授賞したけれど、実はやや困惑したとも、

本作は反原発派や社会運動の活動家が読んでくれているが、原発指示の人からは批判が来るそうで、そういう人にはちゃんと本書を読んでから批判して欲しいとのこと。

本作は非常にメッセージ性が強い作品だという指摘には、本人はそれほど政治的なメッセージをこめたつもりはないそうですが、安全署長については、よい目的のためなら悪いこともするという、やや複雑な人物を描いたつもりだそうです。

本作がどの程度現実に影響を及ぼしたかはわからないが、反発もそれなりにあったので、一定の影響は与えたのではないかと思っているそうです。小説を読まないような人にも読んでもらえる訴求力はあると思う、とのこと。また福島の事故を経験した日本人にも訴えるところがあると思う、とも。

本作は前半は原発問題を扱い、後半では生活問題を扱っている。原発事故が引き越した、主人公カップルの生活スタイルの差、こういったものをやや極端に描くことで自分に置き換え、自分の生活を振り返るきっかけを与えられるのではないかと思う、とのこと。

以上、記憶違いもあるかと思いますが、あたしのメモを元に。ですので、伊格言さん、大森さんがこの通りのことを主張していたと自信を持って言えるわけではありません。あしからず。

核のゴミ

グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』の著者、伊格言さんが来日中です。

今日も午後から、こんどは下北沢のB&Bでイベントがありますが、まずは昨日の台湾文化センターでのイベントについて。ちなみに、台湾文化センターの場所は虎ノ門、台北駐日経済文化代表処がある白金台ではありませんのでご注意ください。

 

さて、昨日の対談相手は『岩場の上から』の黒川創さん。簡単に昨日を振り返りますと、まずはセンター長のご挨拶、続いて訳者・倉本さんの作品紹介、続いて伊格言さん、黒川さんのミニ講演、最後に伊格言さんと黒川さんのミニ対談に質疑応答という流れでした。

冒頭、センター長の挨拶では、このところ台湾関係の書籍の刊行が続いている白水社に対して過分な御礼の言葉があり、特に新総統誕生に合わせて『蔡英文 新時代の台湾へ』を刊行したり、台湾の脱原発宣言のタイミングで本書を刊行したりと、非常にタイミングもよいとのこと。

 

続いて伊格言さんの講演演題は「私使用的媒材是文字、以及現実」というもの。まずは前総統・馬英九にまつわる「死の握手」の話題から。彼と握手をした人には軒並み不幸が訪れるそうで、国共両党首の歴史的会談となった習近平との握手写真では毒舌もチラリ、そして馬英九は日本の安倍総理とも握手しているのですが、なぜか安倍には不幸が訪れないと語って笑いを誘っていました。「死の握手」、日本語で言うなら「デス握手」といったところでしょうね。

話はデュシャンの「」に及び、ただの便器を美術館に展示することで美術品にしてしまうところに、伊格言さんは非常に興味を持たれたそうで、こういった取り組みが伊格言さんの創作活動にインスピレーションを与えているようです。

『グラウンド・ゼロ』は台湾で反原発運動が盛り上がった2013年の執筆で、できるだけ現実に近づけるように書いたとのこと。そうすることによって現実からのリアクションを期待したわけで、いわゆるパフォーマンス・アートだそうです。そんな現実とのインタラクティブを試みた本書が、こんどは日本でどんなリアクションを生み出すのか、非常に楽しみであるそうです。本書の世界は、日本人から見たら遠い国の出来事に感じられるかも知れないが、言うまでもなく『グラウンド・ゼロ』は福島の事故に着想を得て書かれた作品であり、台湾電力よりも東京電力の方がはるかに悪い会社なのではないでしょうか、とも話されました。

黒川さんは、ご自身の若い頃の体験、特にハンフォードを訪れたときのことを印象深く話してくれました。『岩場の上から』は、時間を30年後に設定して書いたが、現在のことだと思って読んでもらうと実感が湧くのではないかとのこと。また、近未来には核廃棄物をクリーンなものにする技術が開発されているという世界をSFで描くこともできなくはないが、自分はそういうものは書かないとも。

さて、トークを聞いていてあたしなりに感じたことですが……

まず、『グラウンド・ゼロ』では原発事故が起こり、台湾の北部3分の1か、4分の1が立ち入り禁止になり、もちろんそこには首都・台北も含まれているので、台湾は台南に遷都したことになっています。そして憲法も停止され、総統選挙も延期されている世界です。仮に日本を舞台にした場合、首都圏が立ち入り禁止になるような非常事態が起こった場合、憲法停止のようなことまで踏み出すことができるのかな、と思います。そんな状態でも日本なら非常事態宣言は出さずに行くのではないか、そう予想するのですが、最近の自民党政権はやたらと権力を振り回したい輩が多いようなので、これ幸いと非常事態宣言を発令するかも知れませんね。台湾でこうした設定が可能なのは、少し前まで戒厳令が敷かれていたという歴史が身近だからなのでしょうか?

ちょっとそんなことを思いました。

「3」というのは何かと収まりのよい数字なのでしょうか?

『フランス・ルネサンス文学集』の第三巻が来週配本になります。今回の副題は「旅と日常と」です。

 

これまで『第一巻 学問と信仰と』『第二巻 笑いと涙と』と刊行してきましたが、これで全三巻が完結です。

残念ながら、並べてもフランスのトリコロールにはなりませんが、なかなかおしゃれな装丁だと思いませんか? ちょっと値段が張りますが、ぜひ三冊揃えて欲しいものです。

そして三冊揃ったといえば、こちらもそうです。Uブックスのサキです。

週明けには最新刊『平和の玩具』の見本出しがあります。これで『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』に続いて三冊目です。

 

今回も前二作と同様、エドワード・ゴーリーの挿し絵が収録されています。こちらは持ちやすく、読みやすい新書判ですので、お値段もお手頃になっておりますので、やはり三冊揃えていただけると嬉しいです。

どちらも、どうぞよろしくお願いします。

これからの大学について考えるなら

書店店頭に並んでいました。

「週刊 東洋経済」の増刊『本当に強い大学2017』です。やはり2018年問題を控え、大学の生き残りは深刻なようです。

また安倍首相が経団連創立70周年記念パーティーでしたあいさつの中で、やはり地方大学の許可について触れていたそうです。国を挙げて大学問題に取り組むつもりなのでしょうか?

でしたら、手始めに首相みずからが『消えゆく「限界大学」』などを読んだら如何でしょう? あたしはそう思います。

足並みを揃えてケインズ

もう店頭に並んでいるかと思います。

 

新刊の『ケインズを読み直す 入門現代経済思想』のことです。

あたしも店頭で見ました。ところが、なんとすぐ隣にこんな本が並んでいるではないですか!

中央経済社の『ケインズ 最も偉大な経済学者の激動の生涯』です。あたしの勤務先の新刊より少し前に出ていたみたいですね。ほぼ同時期にケインズの新刊が並ぶとは奇遇です。一方はケインズの経済思想の入門、他方はケインズの評伝ですから、併せ読むとケインズについて理解できるようになる、というところでしょうか?

しかし、イラストのケインズと写真のケインズ、同じ人物に見えますか?

 

それに、この中央経済社の新刊って、装丁があたしの勤務先の既刊『ガルブレイス 異端派経済学者の肖像』や『アメリカの資本主義』にちょっと似ていませんか? これでは、どれとどれが同じ出版社の本なのか……(汗)

注文殺到中で重版に

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