在庫が……

世界史の本を紹介させたら日本一(?)な印象もある出口治明さんの新刊『「都市」の世界史』は世界の十都市を取り上げて、出口さんがその来歴などを語るという一冊です。

なぜ、パリは「花の都」と呼ばれるほど美しい都市になったのか。なぜ、イスタンブルは「世界帝国の都」になったのか。なぜ、ローマは「永遠の都」と呼ばれるのか。イスタンブル、デリー、カイロ、サマルカンド、北京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、世界を牽引してきた10の都市の歴史から世界史を知る一冊。

PHP研究所のサイトでは、本書について上のように書いてあります。取り上げられている都市の一つにベルリンがありますが、参考文献には『 ベルリン陥落1945』が挙げてありました。

 

いやー、残念。この本、現在品切れなんです。復刊のリクエストも時々寄せられるのですが……

作品よりも著者本人の方が……

昨晩は下北沢のB&Bで、《エクス・リブリス・クラシックス》の新刊『キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集 不機嫌な女たち』イベントでした。同書の訳者・芹澤恵さんと対談相手に山崎まどかさんをお迎えして、あっという間の二時間でした。

 

ところで、マンスフィールドはニュージーランド出身の作家で、同シリーズでは『潟湖(ラグーン)』のジャネット・フレイムもニュージーランド出身で、いみじくも同シリーズにニュージーランドの女性作家が似た里が収録されるという結果になりました。

が、作品世界は好対照です。『不機嫌な女たち』は誰もがきっと共感したり、「うん、うん」と思わず頷いてしますようなエピソード、オチが秀逸で、昨晩のトークでも、登場人物の気持ちを直接表現するのではなく、情景描写によって示すような書き方をしていて、非常に洗練された作品群である、との発言がありました。当時は相当玄人ウケしたようです。昨晩のメモを見返してみますと、梯子の外し方がうまい、といった発言もありました。

さて、本書ですが、編集を担当した鹿児島有里さんによりますと、芹澤さんの翻訳作業は比較的スムーズに進んだそうですが、どの作品を収録するかの選択に時間がかかったとのことです。

と言うように、本書は日本版独自の短篇集となっています。2015年にマンスフィールドの未発表原稿が数編見つかり、せっかくだからその中からも選ぼうということになったそうです。今回の翻訳のコンセプトが「女たち」に決まっていたので、大人向けに書かれていた一編「ささやかな過去」を収録したそうです(それ以外の作品は子ども向けだったそうです)。ただし、収録された本作は、マンスフィールドには珍しく、自伝的要素の強い作品で、これまで発表された作品の中にはなかったものだそうです。

ところで芹澤さん、山崎さんという女性お二人が、女性作家の、女性をテーマにした短篇集について語る、ということだからでしょうか? 会場のB&Bは予約で満席(40名弱)、なおかつ、その中に男性は3名しかいない、という極めて女性比率の高いイベントになりました。ただし、高校生や大学生のような若い層は見当たらず(もし会場にいらっしゃっていたらゴメンナサイ)、20代後半から30代と言ったところが中心だったでしょうか? やはり、『不機嫌な女たち』の世界を理解するには、多少の人生経験が必要なのかも知れません。だからこそ、背伸びしたい女子高生なんかにも読んでもらいたいし、たぶん、きっと、楽しめること間違いなしだと思います。

さて、今回のダイアリーのタイトルですが、いろいろな女性の機微を描いているマンスフィールドなんですが、実は本人の34年という短い人生の方がよほどドラマチックです。伝記は出ているようですが、ドラマとか映画にはなっていないようです。トークの中でも「BBCあたりが絶対映像化すべき」という話題も出ていました。ちなみに、マンスフィールドの記念館が日本にあります。

 

 

またまた増刷

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初めての方もぜひ!

勤務先のTwitterがリツイート(でいいんですよね?)しているので知りましたが、ジュンク堂書店滋賀草津店の《エクス・リブリス》フェア。

とはいえ、大がかりなものではなく、その中から短篇小説だけを選んだ、海外文学入門的なフェアです。この春のみにフェア企画として、書店に呼びかけているものです。

やはり短篇集は手に取りやすいだけでなく、読みやすいと思いますので、この機会にぜひどうぞ。

この短篇集フェアについては、このダイアリーでも以前ちょこっと触れましたが、毎日一作品。夏までに読破してみてください!

 

なお、企画した時点では未完だった『不機嫌な女たち』もお薦めです。

で、同店のTwitterに載っている写真の左上、『神は死んだ』の左側にチラッと写っているのは、このフェアのために用意した小冊子です。フェア・アイテムの紹介が載っています。って、本当は、あたしの個人的な感想なんです(汗)。

キーワードはユダヤ? 歴史?

先日の日本翻訳大賞授賞式。

選考委員の柴田元幸さんが、最終選考に残った作品群についてコメントされたのですが、曰く、祖父母の時代を自分の言葉で語り直したような作品が多かった、と。そして、通奏低音のようにユダヤ人というのがあったとも。

もちろん全部の作品がそうなのではありませんが、過半の作品に上に書いたような傾向が見られたのは事実だったと思います。また曰く、二世だと親の時代の歴史は生々しすぎるけれど、三世にもなると客観的に捉えることができるようになる。

海外の文学の潮流として、こういった作品がこの数年多くなっているのでしょう。そして、それらをわれわれ出版社も翻訳者の方と一緒になって鋭意刊行しているという流れなのだと思います。

で、自慢するわけではありませんが、あたしもこれまでに授賞した自社の三作品に対してですけど、歴史を語ったものが選ばれている、というような趣旨のことを少し前に書いていたので、その感覚が当たらずと雖も遠からずだったのは嬉しかったです。

今年も大盛況

昨日は、日本翻訳大賞の授賞式、そして懇親会。第三回となる今回の大賞は『ポーランドのボクサー』と『すべての見えない光』で、会場での書籍販売に行って来ました。

 

授賞式会場の一画でしたので、会場販売はかなりの盛況でしたが、それ以上に多くの方が来場し、昨年にも増して盛り上がった授賞式だったと思います。

 

上の写真が、あたしの勤務先の書籍販売の様子です。同時受賞の藤井光さんも、あたしの勤務先からは何冊も翻訳を刊行されていますので、それらも一緒に並べています。

右の写真がメインである『ポーランドのボクサー』です。会場特価で少し割引きしております。

こちらは、お隣で同じく販売していた新潮社ブースです。クレスト・ブックスは装丁がステキですね!

そして、パク・ミンギュ『カステラ』で第一回の翻訳大賞を受賞した斎藤真理子さんが韓国の文芸雑誌を販売されていました。

斎藤真理子さんは、来月、あたしの勤務先からパク・ミンギュの『ピンポン』を刊行予定ですので、お楽しみに!