トラ、トラ、トラ

まずは本を並べてみます。

新潮クレスト・ブックスの『タイガーズ・ワイフ』、2012年8月刊。

早川書房の『夜が来ると』、2015年6月刊。

そして再びクレスト・ブックスの『あなたを選んでくれるもの』、2015年8月刊。

どうでしょう? なんでこんなに虎ばかり……。それも、なんとなく似たテイストの虎が……

他にも、絵のタッチは異なりますが、早川書房の『雪山の白い虎』もトラが表紙です。

いや、単に新潮社と早川書房がトラ好きなだけ?

対訳本の新たな流れ?

語学書の棚でこんな本を見つけました。

やさしいロシア語で読む 罪と罰』です。ロシアの文豪ドストエフスキーの名著を親しみやすくした語学書という感じです。が、IBCパブリッシングと言えば、この前に『ロシア語で読む罪と罰』を出していたはずです。

 

この両者を比べてみますと、前者は完全にロシア語の文章だけです。かなりダイジェスト版になっていますが、ある意味「原書」と呼んでよいかも知れません。それに対して後者は対訳です。ちょっとした注もついていますから、いわゆる対訳形式の語学書です。

きちんと比べたわけではありませんが、後者がほぼ一年前に刊行され、前者がつい最近刊行になったばかりの本です。まず最初に対訳ものを出版し、その後、対訳を省略し本文(原文)だけのものを刊行したという形になりますが、「訳なんか要らない」という学習者の需要や要望がかなりあったのでしょうか?

しかし、このところ対訳の語学書はなかなかの盛況です。IBCパブリッシングの対訳本については以前にも書きましたが、ロシア語でもこうして刊行が続くとなると、ますます対訳本人気は高まりそうですね。

最近なんか目につくような……

書店店頭でこんな本を見かけました。

  

頭山満伝 ただ一人で千万人に抗した男』です。「頭山満って誰?」という人がほとんどかも知れません。いや、そもそも「頭山満」が人名だと認識していない方も多いのではないでしょうか? はい、歴とした人名です。近代の日本人です。

この本が出たのがこの8月ですから、まだまだ出来たてホヤホヤの新刊です。なんでこの時季なのでしょうか? 別に今ブームという感じはしませんが。

いや、実は密かなブームなのでしょうか? だって『玄洋社怪人伝 頭山満とその一派』が出たのが2013年ですから、わずか2年で二冊。歴史上の超有名人ならともかく、頭山満クラスが2年で2冊というのはちょっと注目が集まっているのではないかと思いたくもなります。ちなみに更に遡ること10年、『人ありて 頭山満と玄洋社』が刊行されたのが2003年になります。

ちなみに、同じような流れで語られることも多い内田良平や宮崎滔天などの関連書も気づいてみるとちょこちょこ刊行されています。こういったところが静かなブームになっているのでしょうか? ちなみに、あたしはどうしても近代中国史との関係でこういう人たちを見てしまいます。ですから、政界では近衛や犬養なども気になるところですし、山田良政や純三郎兄弟など、孫文の周囲の人には関心があります。でも、恩師の受け売りになってしまうのですが、やはりこの時代の人物で一番気になるのは中江丑吉橘樸といったところでしょうか?

2015年9月1日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー

呉越同舟? 同床異夢?

安保法案反対の国会デモ。

ニュースによると安保法案賛成の街頭行進もあったのだとか。まあ、いろいろな意見を表明できるのが民主主義社会でしょうから、それはそれでよいとして。

安保法案反対のデモって、どれだけ間口が広いのでしょうか?

ニュースではほとんど伝えていたないと思いますが、いま審議されている安保法案、そういった法案を作るのには賛成だけど、憲法違反の法律の制定は許せない、という考えの人もいると思います。つまり、きちんと憲法改正から手を着けるべきだ、という意見です。

もちろん、合憲か違憲かには関係なく、とにかく安保法案は戦争法案だから反対、という意見も人も多いと思います。

今回のデモ、国会包囲、果たして、皆さん、同じ目標を抱いているのでしょうか?

こういうのを同床異夢というのでしょうか? それとも呉越同舟?

殺人鬼がブーム?

タイトルはふざけているように感じられるかも知れませんが、もう少し真面目な話です。

書店回りの途次、店頭で『殺人鬼ゾディアック』という本を見かけました。

おや、と思ったのですが、そもそも皆さん、ゾディアックって知ってますか? 映画のタイトル? はい、そうですね。でも、映画のもとになった実話、連続殺人鬼の話があるんですよ。その事実の方を検証したのが本書のようです。

 

この映画の「ゾディアック」はスカパー!などのCS放送では最近しばしば放送されているのが目についていました。「なんで今ごろゾディアック?」と思っていたのですが、こういう本が出るところを見ると、史実の掘り起こしなどがアメリカでも進んでいるのでしょうか?

そう考えると、少し前に『切り裂きジャック 127年目の真実』なんて本が評判になっていましたよね。どうも殺人鬼にスポットライトがあたる時代のなのでしょうか? それとも戦後70年で、ナチスの狂気からの派生なのでしょうか? 確かにヒトラーをはじめとしたナチの面々は極めつきの殺人鬼と言えなくもないですし……

ナチスとこじつけるわけではありませんが、『テロルと映画』という本が出ました。これなど『映画大臣 ゲッベルスとナチ時代の映画』と併せて読むと面白いのではないでしょうか?

  

今年はナチ関連書籍も例年になく多く、『ナチス・ドイツとフランス右翼』なんていう、実に興味深いタイトルの本も刊行されたようです。

ショッピングモールの近未来?

今朝の朝日新聞にこんな記事が載っていました。

アメリカでショッピングモールが苦境にあえいでいるという記事です。日本もこの数年来、大都市近郊から地方に至るまでショッピングモールが乱立しています。状況はアメリカと変わらないのではないでしょうか?

出版社の営業という立場から見ると、郊外にショッピングモールが出来、そこに大型の書店が入ると言うのは販売機会が増すということになりますから、一概に否定すべきことではありません。特に巨大モールですと、中に入る書店の坪数もかなり大きくなりますから棚はふんだんにあります。小さな書店ですと語学書売り場は英語ばかり、せいぜい中国語や韓国語、仏独をちょっと置いていますということになりがちですが、大型店ならマイナー言語まで置くスペースが出来ます。文芸だって、日本人作家のものだけではなく、海外文学を並べることが可能になります。もちろん必然的に専門書などの棚もそれなりに充実してくるでしょう。

とまあ、よいことづくめのような感じですが、その一方で、昔からの商店街にあった老舗の書店の客が奪われ、経営状況が厳しくなるということもあり、なかなか難しいところです。特に、老舗書店で本を買ってくれていたような人が郊外のモールにまで足を延ばすのか、そのあたりがわかりません。郊外のモールはどうしても中高生や若い夫婦、家族が中心という印象がありますから。でも、こういった現象は書店に限ったことではなく、他の業種でも同じようなことが起きているのではないでしょうか?

さて、以上は一般論で、実際に出張で地方へいったときに、あるいは首都圏の郊外のモールなどへ行ったときに、実際に目にしてどう感じるのか……

訪れるのは平日の昼間が多いので最も集客ある土日の状況はわかりませんから、多少は一方的な見方、偏見が混じっているかと思いますが、その前提で書かせていただきますと、意外とお年寄りが目につきます。午前中からおじいさんやおばあさんが娘と孫と一緒に買い物に来ていたりするのが目に留まります。あるいは娘や孫抜きで、おじいさんやおばあさんだけでドトールなどのコーヒーショップで珈琲なんか飲んでいる姿を見かけます。

あたしの一方的な思い込みでは、お年寄りがそういったファストフード店へ入るという予想はなかったので、これは意外な、そして新鮮な驚きでした。そして、午後になると、2時や3時すぎくらいからは学校帰りの学生が多くなるのは予想どおりです。こういった平日の客層を見る限り、諸外国語や海外文学や専門書を売るのは難しいなあと思うのが正直な気持ちです。もちろん、若者向けのファッションブランドも書店以上に厳しいのではないでしょうか?

厳しいだろうと感じる、その証拠と言ってはなんですが、遠いので頻繁には行けませんが、それでも年に一回か二回訪れるようなモールでは「ニューショップ、オープン」とか、「リニューアルオープン」というテナントの貼り紙をよく見かけます。新しいお店が出来ると言えば聞こえはよいですが、つまりその前に入っていたテナントが立ちゆかなくて撤退したということですよね。売れないから諦めた、はっきり言ってしまうと、そういうことではないでしょうか? こういう貼り紙が増えれば増えるほど、そのモールは調子悪いんだな、と感じてしまいます。

 

こういった郊外論もこの数年来、いろいろな本が出ています。それなりに売れた先駆的なのものは『ファスト風土化する日本』ではないかと思いますが、いかがでしょう? そして論点こそ少しズレますが、あたしの勤務先からも少し前に『ショッピングモールの法哲学』という本を出しております。カバー写真が、妙に朝日新聞の記事に載っている写真と似ている気がするのはあたしだけでしょうか?

ブロウディ? ブロディ?

近々、あたしの勤務先から『ミス・ブロウディの青春』という本が出ます。海外小説です。作者はミュリエル・スパーク。スコットランドの作家です。

彼女の作品は、数日後には『死を忘れるな』という作品が、あたしの勤務先から刊行になりますので、続けざまの刊行ということになりますが、実は河出書房新社からも『ブロディ先生の青春』という彼女の作品が刊行になるのです。

あれ、「ミス・ブロウディの青春」? 「ブロディ先生の青春」?

同じ作者で似たようなタイトルの作品と気づいた方、ご明察。はい、これは同じ作品で、役者が異なるのでタイトルも異なるという結果です。ちょうど『ライ麦畑でつかまえて』と『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の関係のようなものと思ってください。

 

今回の場合、「ミス」の方がかつて筑摩書房から出ていた岡照雄訳、「先生」の方が今回新たに訳された木村政則訳です。古典的名作の新旧両訳揃い踏み、是非両方読んで味わい比べて欲しいと思います。

ところでこの作品のタイトル、ブロウディとブロディ、どちらがよいのでしょう? 原題は「Jean Brodie」で、あたしにはこの綴りを正確に発音することは叶いませんので、読者の皆さまにお任せします。ただ、英文のスペルこそ違え、同じく「ブロディ」と題する雑誌が発売になりました。「BRODY vol.1」です。

乃木坂46がフィーチャーされているようなので、これはミュリエル・スパークの翻訳よりも買わないとなりませんね(汗)。なにせまなったんとなあちゃんのポスターも付いてくるようですし!

「でもわたしのことも愛してくれるのよね?」と少女は訊いた。「まさにそれこそがぼくのやることだよ」と少年は言った。

<エクス・リブリス>の最新刊、『生まれるためのガイドブック』読了。既にFacebook似書きましたが、とりあえず女子高生に読んでもらいたいです。

タイトルには「生まれるための」とありますが、本書全体読むと生まれることだけでなく、死ぬこと、生きること、誰かと生きていくこと、そういったものの意味を考えさせる内容を含んだ短篇集です。ただし、行くrことや人を愛することの喜びを描くのではなく、むしろのその逆。難しさ、辛さ、苦しさ、そういったものを抱きながら、それでも前へ進まなければいけない人の心、前へ進んでいる人の状況を描いた作品です。

いろいろなマタニティーブルーの世界と言ってしまうと、ちょっと違うのはわかっていますが、生まれるってどういうこと、新しい生命を生むってどういうこと、そして生があるなら死があるわけで、死とは何か、喪失感とはどうやって乗り越えるのか、そんな人の命をかけがえのなさをさまざまなストーリーで描いていると言えばよいのでしょうか?

さて、現代の医学では、どんなに頑張っても子供を産むのは女性です。ですから本書の読者としてはまずもって女性だと思います。しかし本作では男性も悩み苦しみ葛藤しています。本書を男性が読めば女性の悩みに思いを致すことができると思いますし、女性が本作を読めば男性の苦しみに気づくことができるのではないでしょうか?

収録作は、それぞれかなり異なります。正直に言ってしまうと、最後の「支流」が今一つ理解しづらい、否、あたしの読解力では理解できていません。手がいくつも生えてくるというのは何を象徴しているのか、まだ飲み込めずにいます。それ以外の作品は、上に述べたように、どれもしみじみと生きるということ、命の重さと儚さを考えさせる、バラエティ豊かな作品群です。恐らく誰もが、作品の中の一つには思い当たるところがある、お気に入りの一編を見つけ出せるのではないかという気がします。

なお、このダイアリーのタイトルは「老いも若きも」からの一節です。

夏が過ぎゆく

タイトルだけを見ると、どこぞの曲のタイトルが歌詞の一節のようですが、棚卸しも終わり、夏も終わるという感じがします。気温としてはもう秋、もうすぐそこまで冬が来ているのではと思えなくもないような肌寒さになっている東京ですが、たぶんもう一度暑さは戻ってくると思っています。なにせ、暑さ寒さも彼岸までと言うじゃないですか!

それはそうと、昨今は既に二学期が始まっている小中学生も多いそうで、なんかかわいそうだなあと感じます。やはり二学期は9月1日から出ないとおかしな感じです。まあ、その分、冬休みが長いところもあるようですが……

で、この季節になると聞きたくなるのがこの曲です。ZONEの「Secret Base」です。

やっぱりいい曲ですね。でも、このPVを見ていて思い出したのです。バスに乗って友達との別れを描くって、この曲もそうじゃないかって。

AKB48の「十年桜」です。バスでの別れですね。

ちなみに、この曲のころはまだAKB48も全国区ではなかったですよね。というよりも、全国区になったころには辞めているメンバーも何人か映っています。篠田麻里子がロングヘアだったり、まゆゆもずいぶんと感じが違うなあと思います。月日のたつのは早いものです。

が、夏の終わりと言えば、やはり、あたし的にはこの曲です。

鈴木祥子の「夏はどこへ行った」です。たぶん、多くの人が知らないと思いますが、実によい曲ですので、もっと知ってもらいたいと思います。

うーん、ライブバージョンよりも、こちらのオリジナル(CD版?)の方がいいかしら?