本屋だからこそ見つけられるものがある?

今朝の朝日新聞の声欄です。本屋に関する投稿が二つ並んでいました。ご年配の方とまだ若い方、投稿者も対照的です。

それにしても、買いたい本があったとき大都市圏に住んでいれば、近所の本屋になくたって都心の本屋に行けば、まず目当ての本は見つかります。しかし地方だと中心部の本屋へ行っても置いてあるとは限らないですし、そもそも中心部が遠かったり、中心部と言えるような場がなかったり、中心部に大型の本屋がない地区が数限りなくあります。

いや、東京だって、うちの母などがよい例ですが、まず自分から都心の方へ行こうとはしません。都会に住んでいればバスや電車も頻繁に走っていますが、それでも都会まで足を延ばす人は思いのほか多くはありません。働いている人、学校に通っている人のように、ふだんから動いている人は別ですが、郊外在住で特に都心へ行く機会がない人は本を買うためだけに都心の本屋まで足を延ばすことはほとんどないようです。

だったらもっとたくさん印刷して全国の本屋に並べてもらえばよいではないか、というのはよく聞かれる声ですが、そんなに作っても本当に売れるのか、現在の出版不況では大量に返品となって戻ってくるのが関の山でしょう。もちろん、都会に集中しがちな配本を地方にも目配りするなど、改善の余地はありますが……

むしろ出版社が力を入れているのはネットではないでしょうか? アマゾンを始めとしたネット書店の在庫を切らさないように注意を払い、表紙画像だけではなく、中味も数ページは見られるようにして、実際に本を見てみたいという人の希望に少しでも応えられるように努力しています。

もちろん、たとえ全体の半分だろうと、パソコンやスマホの画面を通して見るのと、本屋で実際に手に取って眺めるのとではまるで印象が違う、という意見もわかりますし、あたしだってそう思います。しかし、全国津々浦々の書店に本を置けない以上、それでもなんとか読者に届けようと考えたら、現状ではこういう方法にならざるを得ないのも事実です。

結局、本が好きな人は都会へ引っ越してこい、ということなのでしょうか? そんなことを思いながら声欄を見ていたら、そのすぐ隣の社説は公共図書館に関する論説でした。

本屋に本が置いていなければ、あるいはそもそも本屋がなければ、まだ図書館があるじゃないか! ということでしょうか? 出版社から見ますと、正直なところ、返品のリスクがある本屋に比べ、まず返品のない図書館からの注文はありがたいことこの上ないものです。だから、図書館にはしっかりと本を並べてもらいたいと思います。

しかし、図書館は基本的には公共施設で、その所属する自治街の予算で運営されています。中で働いている人の給料もそうですが、肝心要の本を買うお金も自治体の予算です。これがいま全国的に減ってきています。購入したのはいいけれど、それ以降一回も貸し出しされたことのない本というのも図書館にはたくさん置いてあります。本に関心のない人から見たら、「そんなのは予算の無駄だ」ということになってしまうのでしょうけど、貸し出されそうな本ばかりを並べておくのが図書館ではありません。とはいえ、予算にも限りがあるので、日本で出版されている全ての本を買うことなんてできっこないですし、難しいところです。

本を取り巻く状況をいろいろ考えさせられる今朝の朝日新聞でした。

選手の自主性を重んじるとそういう発言が出るのですね!

今朝のニュースでは、関東地方を直撃しそうな台風15号について報じていました。画面に映し出された予想進路図を見ますと、ちょうど明日の朝3時ごろの位置、ほぼわが家の真上なんですが大丈夫でしょうか?

3時でこの位置ということは、明日月曜日の通勤時間は荒れる可能性が高いです。ちょうど見ていたテレビで、青山学院駅伝の原監督が「サラリーマンは上司に時差通勤すること申請するべきです」と語っていました。あたし個人としては「ああ、この人、あまり頭よくないな」と感じました。

だって、多くの一般的なサラリーマンの立場からすれば、天気が悪いからといって「明日は昼ごろ出社します」とはなかなか言い出しにくいものです。こういう状況であれば、むしろ会社側が率先して「月曜朝は台風の影響が考えられるので無理に出勤しなくとも構わない」という通達を社員に出すべきだと思うのです。このあたりの感覚、原監督はサラリーマンの常識がわかっていないのかな、と思いました。

しかし、考えてみますと、原監督は駅伝部を率いる指導者です。毎年全国大会で優勝を争うようなチームを率いる上で、何から何まで選手に指示をしないと動かない選手ではダメなんですよね。監督が言わなくても自分で考えて行動するような選手でないと! そう考えますと、原監督が社員の方から上司にといった発言も納得できます。

それはそうと、実際のところ台風はどんなコースをたどって、何時頃やってくるのでしょう? 明日の朝のJR各線や私鉄はきちんと動くのでしょうか?

こういう装丁なのです

本日の朝日新聞読書欄の情報フォルダーに『モンテーニュの言葉』が載っています。

「情報フォルダー」欄なので書影が載っていないのが残念ですので、ここでちょっとご紹介します。『エセー』を通読するのはちょっと大変という人には、エッセンスを凝縮した本書がお薦めです。

ちなみに、本書のサブタイトルは「人生を豊かにする365の名言」です。

一日に一つずつ味わっていけば、一年間でモンテーニュの真髄が身につくはずです。

もしかして、書籍という形より「日めくりカレンダー」形式で販売した方がよかったでしょうか?

ただ、見ていただければおわかりのように、『エセー』の各章は長さにばらつきがありますので、簡単に暗記できそうな短さのものもあれば、小品と言える長さのものもありますので、やはり本という形がふさわしいのでしょう。

違いのわかる男、かつてそんなCMがありましたね

本日が見本出しで、配本が12日ですから、店頭に並ぶのは来週末になると思いますが、何の話かと言いますと、新刊『フラ語入門、わかりやすいにもホドがある![改訂新版]』のことです。

これまでの「改訂版」と並べてみましたが、その違い、おわかりになりますか?

こうして並べると一目瞭然ですが、それぞれだけを見たら同じように感じるかもしれませんね。長年愛されてきたベストセラーの改訂ですから、あまり大きく変えてしまうのもよくないし、かといって変わらなすぎるのもよくないし、そのあたりの微妙なバランスが難しいところです。

今回、中味もチョコチョコいじっていますが、最大の特徴は音源がCDだけでなく、スマホのアプリにも対応したという点です。これでCDプレーヤーをお持ちでない方にも活用していただけると思います。

いつの頃だったか……

突然飛び込んできた池内紀さんの訃報。あたしの勤務先でも、カフカの翻訳などたいへんお世話になっていました。

あたしがまず思い出すのは最初の画像です。

啓文堂書店吉祥寺店で行なわれた池内さんのサイン会です。たぶん、あたしの勤務先のカフカの翻訳が刊行されたタイミングで行なわれたものだったと思います。当時の同店は駅直結のユザワヤビルの地下にあり、なかなかの広さを誇ると同時に駅から濡れずに行ける書店として、全国の書店の中でも上位に位置する本屋でした。

そして同店のサイン会では、特に著訳者の先生が断わらなければ、記念にお客さんと一緒のポラロイド写真を撮ってくれるというサービスがあり、あたしも撮っていただいたのが画像に写っているものです。今の時代ならお客さん持参のスマホでパチリなのでしょうが、当時はそんなもの普及していませんでした。

そして、あたしはその時に講談社現代新書の『ニッポン発見記』を購入し、母親の名前でサインをしていただきました。池内さんはサインだけでなく、ご覧のような可愛らしいイラスト一緒に描いてくださるので、サイン会も意外と時間がかかりましたが、お客さんはとても喜んでくれたのを覚えています。

ご自身で色鉛筆を持参され、いくつかあるイラストを提示して、お客さんに「どれを描きましょうか?」と聞いて、お客さんが選んだものを扉や見返しなどに描いてくれました。とても優しかった表情と物腰を覚えています。

その数年後、リブロ吉祥寺店で行なわれた、西江雅之さんとのトークイベントにも出かけました。お二人の軽妙な掛け合い、なおかつ非常に高度な内容のトークに打たれたが昨日のことのようですが、たぶん10年以上前のことだと思います。

刊行即重版

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ちょうど一週間後です

9.11同時多発テロって、ついこの前のような印象がありますが、2001年に起きた事件だったんですね。もう18年になるのですか。

ということで、9月11日を前に『倒壊する巨塔(上) アルカイダと「9・11」への道』『倒壊する巨塔(下) アルカイダと「9・11」への道』のご案内です。書店の皆さま、もし在庫お持ちであれば、この一週間くらいは面陳にしていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

フェア、秋の陣

春と言いますか、主にゴールデンウィーク明けに開催していた《エクス・リブリス》フェアは、創刊10周年の記念冊子効果も相俟って、各書店で好評を持って迎えられました。

そして、実はこの秋から、同フェアを開催する書店が何軒かあるのです。

そもそも春に案内をしたときに「ちょっと場所が取れない」ということだったりしたのですが、その裏には「秋に、新潮のクレストのフェアやるときに一緒にやりたい」と言ってくれる書店が何軒もありまして、こちらもそれならと秋に向けて夏からいろいろと声かけをしていたという次第。

もしかしたら、あなたの近所の書店でやっているかもしれませんので!