Nancy Sensual World

このたび、「染井吉野ナンシーの官能世界」は引っ越しました。新しい世界はこちらになります。今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 自動では新しい世界に飛びませんので悪しからず……

新着ニュース

まもなく自著も刊行予定

今日も朝日新聞です。

元フィギュアスケート選手の町田樹選手が本を紹介している記事です。

この町田選手、近々あたしの勤務先から書籍を刊行いたします。それが『アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論』です。

フィギュアスケート選手時代の写真ではありません。タイトルからもわかるとおり立派な研究書です。アーティスティックスポーツというと、少し前から名称が変わったシンクロナイズドスイミングが有名など思いますが、こういった、誰にでもわかりやすい数値で順位や勝ち負けが判定されるのではなく、芸術性や表現力などを競う競技はなかなか奥深いものがありますね。

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最近のRockfield's Diary

パリの猫

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柴田元幸ゼミ?

午後から、ブックファースト新宿店で柴田元幸さん、小林久美子さんのトークイベントでした。柴田元幸さんは言わずもがな、シルバーウイーク明けにはミルハウザーの久々の翻訳『ある夢想者の肖像』がいよいよ発売になります。小林さんはそれに一ヶ月ほど先だって『生まれるためのガイドブック』を上梓したばかり。お二人に、この両翻訳書、並びに昨今のアメリカ文学について語っていただきました。

さて、イベントのスタートを待つ会場はこんな感じです。あとはお二人の登場を待つだけ。

もちろん、ミルハウザーの既刊や小林さんのもう一つの翻訳『ぼくは覚えている』もテーブルには並んでおります。これで準備万端ですね!

もちろん、先行販売の書籍もほら、この通り、しっかり用意してあります。ミルハウザーの新作を鶴首で待ち焦がれていたお客様にとっては、今日この会場で初めて目にするわけですよね。どんな感想を持っていただけるか、気になります。

さて、トークイベントの内容ですが、いらっしゃった方がブログやSNSなど書いてくれるのではないかと思いますので贅言はしません。それに、あたしのようなアメリカ文学ド素人には語れるほどの力量はございませんし……(汗) なので、ざくっとした感想を述べるに留めたいと思います。

一言で言って、小林さんと一緒に柴田ゼミを受けているような感じでした。最初の写真でわかっていただけるかも知れませんが、もし会場の椅子に小さなテーブルが付いていたら、ドラマや映画で見るような、アメリカの高校の教室のような感じです。小林さんと柴田さんの丁々発止のやりとりは、「ああ、たぶん柴田さんは大学出こんな風に授業をなさっていたんだろうなあ」と思わせるものでした。

そして、一番すごいと感じたのは、柴田さんの実に若々しい吸収力、飽くことなき好奇心です。柴田さんと言えば日本におけるアメリカ文学の第一人者であると誰もが認めている方ですが、その柴田さんが若い小林さんから、さらにいまのアメリカ文学について学ぼうという姿勢が見えますし、自分とは異なる小林さんの感じ方、読み方に感心してしきりと頷いていらっしゃいました。決して大先生としてふんぞり返るのではなく、誰からも教えを受けるという謙虚さ、これには頭が下がります。先生がこういう感じだからこそ、生徒である小林さんものびのびと思ったことを開陳できるのではないでしょうか。羨ましい師弟関係です。

そして、このトークイベントを聞いていて思いだしたのは、数年前に新宿のジュンク堂書店で行なわれた柴田さんと藤井光さんのトークイベントです。藤井さんも小林さん同様、柴田さんとは異なる視点からアメリカ文学をチョイスして日本語に翻訳紹介してくださっている方ですが、この時も柴田さんは藤井さんの話に熱心に聞き入り、あたしの記憶が間違っていなければ、「これからのアメリカ文学については藤井さんに聞かないと……」とまでおっしゃっていました。

若い研究者を前にして、決して偉ぶることなく、知らないことについては熱心に話を聞き、旺盛な知識欲でどんどん吸収していく。この謙虚さ、すごいです。たぶん今日のトークイベント、お客さんよりも柴田さんと小林さんが一番楽しんでいらっしゃったのではないか、そんな風な感じです。その楽しさに巻き込まれたからなのか、最後の質疑応答も、あたしの印象では、ゼミの学生が「先生、じゃあ、これはどうでしょう?」と質問を投げかけている感じを受けました。

さて、『ある夢想者の肖像』をご購入いただいた方、このシルバーウイークで読んでみてください! 長編だからこその面白さ、小林さんも力説されていましたし!

ジャスミンティーを飲みながら

今宵は東京堂書店神保町本店で行なわれた小倉孝誠さんと堀江敏幸さんのトークイベントに行って来ました。お題は、このほど完結した、マルグリット・ユルスナールの三部作「世界の迷路」です。

  

追悼のしおり』『北の古文書』『なにが? 永遠が』のうち、第二巻「北の古文書」を小倉さん、第三巻「なにが? 永遠が」を堀江さんが訳されているということで、お二人のユルスナールとの出会い、翻訳の作業について、この作品について、時間がまるっきり足りないほどの自由なトークでした。

会場はほぼ満席でしたので、恐らくいろいろな方が今宵のトークについてブログで、あるいはTwitterやFacebookに投稿されると思いますので、あたしもあたしなりに面白いと感じたことを思い出せるままに書きたいと思います。あたしは仏文科出身でもなければ、仏文に造詣が深いわけでもなく、それにフランス文学をよく読んでいるというわけでもない三重苦ですから、もしかするとまるで見当違いのことを書いてしまうかもしれませんが、門外漢は門外漢なりにこう感じた、という風に受け取っていただければ幸いです。

まず、小倉さんと堀江さんの年齢差から来る、ユルスナールとの出会いの差です。ユルスナールが一躍時の人となったのは1980年にアカデミー・フランセーズの、女性としては初の会員に選ばれたことだそうです。そのころ、小倉さんは初めてフランスに留学した大学院生。フランス語の授業の合間に街へ行き、時の人ユルスナールの本を買っては読みあさったそうです。ちょうどフランス語研修の教材にいち早くユルスナールが使われていたそうで、その文章に衝撃を受けたとのこと。一方堀江さんはそのころはまだ高校生。将来、仏文に進むなどとはまるっきり思ってもいなかった時代です。数年後、大学に進学してからユルスナールを翻訳で読み始めたそうですが、そのころはユルスナールの最晩年、当時はやっていたヌーヴォーロマンにかぶれつつも、ユルスナールも気になっていたそうです。

さて本作ですが、簡単に言ってしまえばユルスナールの自伝です。ただし、第一巻で母方の家系を辿り、第二巻では父方の家系を辿り、そして第三巻でようやくユルスナール自身の人生を描いたものです。が、第三巻は彼女の死により未完に終わっていて、その体調や周囲の状況のせいなのか、第三巻は第一巻、第二巻に比べると文体などもかなり異なるようです。そして、第一巻、第二巻が自分にとっては遠い存在であるために自由に創作する感じで書けているのに対し、自分の見知っている、あまりにも近すぎる人びとを描く第三巻は、非常に書きづらそうな印象を受けるとのことでした。

また小倉さん曰く、第一巻、第二巻は時代として19世紀を扱っているので、19世紀を彩る綺羅星のごときフランスの文学者たち、そして彼らの作品世界を彷彿とさせるものだそうです。挙がった名前としてはスタンダール、バルザック、ボードレールなどです。これらの作家の作品も読んでいないあたしにはとても歯がゆいものがありましたが、逆にこれから読む楽しみが生まれたとも言えます。

 

 

ユルスナールの作品では『東方綺譚』『とどめの一撃』『黒の過程』、そしてこれは絶対に外せない『ハドリアヌス帝の回想』なども何度もトーク中に名前が出ました。どれも未読なので、ますます楽しみが増えました! それにしても、約2時間弱のトークではまるで時間が足りません。やはり30日の渋谷の丸善&ジュンク堂書店の堀江さんのトークにも行かないとなりませんね。