在庫が……

世界史の本を紹介させたら日本一(?)な印象もある出口治明さんの新刊『「都市」の世界史』は世界の十都市を取り上げて、出口さんがその来歴などを語るという一冊です。

なぜ、パリは「花の都」と呼ばれるほど美しい都市になったのか。なぜ、イスタンブルは「世界帝国の都」になったのか。なぜ、ローマは「永遠の都」と呼ばれるのか。イスタンブル、デリー、カイロ、サマルカンド、北京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、世界を牽引してきた10の都市の歴史から世界史を知る一冊。

PHP研究所のサイトでは、本書について上のように書いてあります。取り上げられている都市の一つにベルリンがありますが、参考文献には『 ベルリン陥落1945』が挙げてありました。

 

いやー、残念。この本、現在品切れなんです。復刊のリクエストも時々寄せられるのですが……

またまた増刷

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やはりメールじゃなくて手紙だよね?

書店店頭にこんな本が並んでいました。

井上ひさしから、娘へ 57通の往復書簡』です。

内容は読まなくてもわかる、タイトルそのままですね。ところで井上ひさしさんの手紙と言えば、こんな本を忘れてもらっては困ります。

 

初日への手紙』『初日への手紙(2)』です。

前者の副題は「「東京裁判三部作」のできるまで」、後者の副題は「『紙屋町さくらホテル』『箱根強羅ホテル』のできるまで」で、井上さんと劇場関係者との間のやりとりから、作品が出来上がるまでを追ったものです。

それにしても、手紙だからこそこうして残るし、このようにまとめて出版するということもできるわけですが、これからの時代、こんなやりとりはメールになってしまうのでしょうから、「本にする」「出版する」なんて夢のまた夢なのでしょうか?

それでもメールであれば、パソコンの中の受信箱・送信箱からコピペして、それなりの組み方をすれば本に仕立てることはできるかも知れません。もちろん、所詮はメールですから、内容が読むに耐えるものであるかは保証の限りではありませんが。

ただ、メールならまだ出来そうだと思うのですが、今の時代、更に進んでLINEですよね? そんなの本になるのでしょうか? そもそもどの程度スマホに保存されているのでしょうか?

と考えていたら、かつて映画化もされた『電車男』って、こういうタイプの作品だったのではないかと思い出しました。

 

違いましたっけ? 確かに一つの時代を象徴する作品ではあったかもしれませんが、読み物としては井上さんとは比較にならないですね。

一緒に並べれば売れるというわけではありませんが

もうじき刊行される、作品社の『ほどける』という作品。同社ウェブサイトの内容紹介には

双子の姉を交通事故で喪った、十六歳の少女。自らの半身というべき存在をなくした彼女は、家族や友人らの助けを得て、悲しみのなかでアイデンティティを立て直し、新たな歩みを始める。全米が注目するハイチ系気鋭女性作家による、愛と抒情に満ちた物語。

とあります。全くもって牽強附会、我田引水かも知れませんが、この紹介文だけを読むと、あたしの勤務先の『私たちが姉妹だったころ』が思い出されます。

ちなみに、同書の内容紹介は如下

ローズマリーはカリフォルニア大学で学ぶ22歳。無口で他人とうまく付き合うことができない。かつては心理学者の父と主婦の母、兄と、双子にあたる姉ファーンのいる、おしゃべりな子だった。だが5歳の時に突然祖父母の家へ預けられ、帰ってみると姉の姿が消えていた。母親は部屋へ閉じこもり、父は酒に溺れる。大好きだった兄も問題児になり、高校生の時に失踪してしまう。ローズマリーがこの大学を選んだのは兄の手がかりを捜すためだった。

幼少のころに姉を失う、というディテールだけは同じです。たぶん、前者とはまるで異なるテイストの作品なんですけど……

極めて個人的な感想を……

発表された、第三回日本翻訳大賞で『ポーランドのボクサー』が大賞を受賞しました。なんと、これで第一回から三回連続で大賞を受賞したことになります。

上の写真がその歴代受賞作です。一番右が今回の受賞作『ポーランドのボクサー』、そして右から第一回第二回のそれぞれ受賞作になります。

  

『エウロペアナ』は小説とノンフィクションをうまくミックスした二十世紀史で、刊行当初は本屋で「歴史」の棚に置かれているところもありました。コミュニズム、ナチズムに翻弄された東ヨーロッパの苦悩が、皮肉や冷めた笑いを交えながら語られます。

『ムシェ』はこれも実話のような物語。スペイン内戦を避けてベルギーへ疎開したスペインの子供たち。その一人を引き取ったムシェ。しかしヨーロッパ大陸はナチスが台頭して更に危険な情勢、子供たちは再びスペインへ戻ることになります。そんなムシェ氏は反ナチスのレジスタンス運動に加わり……

『ポーランドのボクサー』はナチスに迫害された中米に逃げてきたユダヤ人一家。その家の息子が自分のルーツを探すかのようにヨーロッパを訪れ、そこでヨーロッパで白眼視されているジプシーとさまざまな交流を通じ、自分や家族について考える物語。

と、こうしてみると、少なくともこの三作に関しては、ヨーロッパの一筋縄ではいかない現代史を巧みに文学に昇華させた作品が選ばれた、という感じがします。

やはり台湾が熱い? だから台湾華語が売れているのね?

店頭の目立つところに並んでいるので見かけた方も多いのではないかと思いますが、雑誌「an・an(アン・アン)」の最新号が台湾特集です。「an・an」に限らず、このところ雑誌で台湾特集が組まれることが随分と目につくようになりました。台湾ブームなのでしょう。

 

と思っていたら、こんどは雑誌「ミセス」の最新号でも台湾特集です。数えたわけではありませんが、この一年くらいで雑誌の台湾特集を数え上げたらかなりの数に上るのではないかと思います。

そして、これもまた正確なものではなく、あくまであたしの印象なのですが、女性誌での特集が多いような気がします。確かに、グルメ、エステなど女性が好みそうな要素が並んでいる特集ばかりです。

とすると、こちらの読者も女性が過半を占めているのでしょうか?

今日からはじめる台湾華語』です。刊行以来ずーっと売れ続けています。中国語ではなく台湾華語。語学書の世界では、大陸で使われている標準語を「中国語」と呼び、台湾で使われている中国語を「台湾華語」とか「台湾式中国語」と呼んでいます。

その違いを簡単に説明するのは難しいですが、例えば簡略化した漢字を使うのが大陸の中国語、昔ながらの難しい漢字を使うのが台湾の中国語です。発音記号的な補助手段としてローマ字のピンインを使うのが大陸の中国語、独自の記号「注音字母」を使うのが台湾の中国語、といったところでしょうか?

本書がこれほど売れ続けるのは、雑誌の世界に見られるような台湾ブームに支えられているのでしょう。では、なぜ台湾ブームなのか?

これも簡単には説明できませんが、旅行ということで考えると、「近いので安い」というのは大きな要素だと思います。だったら上海やソウルも選択肢に上るはずですが、ここ数年の反日・嫌日感情がネックになっている可能性はあります。それに加えて大陸中国は空気が悪いというのも旅行先として敬遠される理由だと思います。

また女性の旅行人気が高いヨーロッパはテロの危険があって、やはり敬遠されているようです。大学生協などで、卒業旅行先として当初はヨーロッパを考えていた学生がテロが心配なので行き先をアジアに変えたという話を複数聞きましたから、欧米を避けてアジアへという人はそれなりに多いのではないかと思います。

そんな人にとって台湾は親日的というイメージもあり、食べ物も美味しいからという点で都合のよい受け皿になっているのではないでしょうか?

初めて都会へ出て来て、明日から新生活がいよいよ始まるという女性へ

たぶん新年度が始まるのは明日からでしょう。大学などは始業がもう少し先かも知れませんが、新社会人の出勤は明日から、というところが大多数だと思います。初めて東京や大阪などの都会に出て来て、親元を離れ一人暮らしを始めた方、特に女性の方、慣れない生活で苦労しているのでしょうか、それとも都会生活を満喫しているのでしょうか?

 

そんな女性にお勧めなのがこちら、『ブルックリン』です。映画にもなりましたので、小説は読んでいないけど映画は見た、という方も多いのではないでしょうか? 確か主演の方がアカデミーにノミネートされたんですよね、惜しくもオスカーは逃しましたが。

ストーリーはアイルランドの田舎から大都会ニューヨークのブルックリンに出て来た少女が、都会での生活に悩みながら成長していくという、ありきたりといえばありきたりですが、そんな物語です。人との出会いやちょっとした恋愛要素も交え、少女がどのように大人の女性に成長していくのか、古典的なテーマだからこそ古びずに、手を変え品を変え、こうして新たな作品が作られるのでしょう。

ですので、たぶん同じようなテーマの作品は他にもたくさんあるでしょうし、別に海外文学で読まなくてもいくらだって日本人作家の作品があるはずです。この作品でなければならないと押しつけるつもりはありません。ですが、一応は自分の勤務先の出版物ですから、ふさわしい季節にお薦めしたいと思った次第です。書店で、こんなテーマのフェアをやるのであれば、是非とも本作もそのラインナップに加えてほしいものです。

それにしても、少ない読書体験からの勝手な推測ですが、この手の作品は女性が主人公のものがほとんどような気がしますが、どうでしょう?

読んだわけではないのですが、男性が主人公というと漱石の『三四郎』がそういう感じの内容ではなかったかと思い出せるくらいで、他にどんなのがあったでしょう?

まあ確かに、例えば「新生活応援小説フェア」というのを書店でやったとして、女性ならフェア台の前で足を止め、『ブルックリン』などを手に取ってくれるかも知れませんが、男性がこの手のフェアに食いついてくれるのだろうか、という気はします。それでも都会に出て来て悩んでいる、苦労しているのは女性だけとは限りませんから、男女それぞれが主人公の小説を並べてみるのが面白いと雄物ですが……

これとあれ、あれとこれ

岩波新書から『『レ・ミゼラブル』の世界』というタイトルの新刊が出ました。

 

この春にはまた舞台上演があるようですので、タイミングとしてはバッチグーですね。

で、新書は新書の棚に並ぶのでしょうけど、せっかくですから『対訳 フランス語で読む「レ・ミゼラブル」』と一緒に並べていただけると相乗効果なんか生まれるのではないかなあ、と思っています。

そしてもう一つ、これも岩波新書の新刊ですが、『中国のフロンティア』があります。

 

これは、もちろん『中国第二の大陸アフリカ』とのセット販売でしょう! 前者はすべてがアフリカの話題ではありませんが、アフリカを扱っている比重は高いです。取り上げている国が、両書で多少異なること、日本人の視点と外国人の視点、アプローチ方法の違いなど、比べて読むと面白いと思います。