オオカミの復権

鹿などが増えすぎているというニュースが新聞やテレビでもしばしば伝えられます。だからオオカミを復活させよう、という意見もありますが、そう簡単な問題ではないようです。

科学的な問題はいろいろあるのでしょうが、それとは別にオオカミに対する恐怖というのもあるかと思います。もし襲われたらどうしよう、人はともかく家畜が襲われた場合の保証はどうなるのか、といった問題です。

家畜についてはひとまずおくとして、人を襲うというのは、やはり童話赤ずきんちゃんの影響が大きいようです。しかし、これはたぶんに欧米社会のオオカミに対する偏見によるものだということは『オオカミ 迫害から復権へ』にも書かれています。本来、日本では「大いなる神」で「オオカミ」と呼ばれていたくらい畏敬の対象であったはずなのに、いつのまにか恐怖の対象に変わってしまったようです。

 

ところが、やはりそういったオオカミ観は修正すべきだということでしょうか、先日テレビを見ていたら『3びきのかわいいオオカミ』という絵本が紹介されていました。ヨーロッパの作品で、日本でもずいぶん前に翻訳版が出ていたそうです。知りませんでした。

この作品ではオオカミはやさしいです。むしろかわいそうな存在です。ウェブサイトで試し読みもできますが、豚があまりにも凶暴なのにドン引きです(笑)。

いままた、キリスト教?

書店店頭でこんな新刊を目にしました。

 

ゼロからわかるキリスト教』と『超図解 一番わかりやすいキリスト教入門』です。どちらもキリスト教入門といった性格の本でしょう。最近またキリスト教に注目が集まっているのでしょうか?

となると、あたしの勤務先の『キリスト教一千年史(上)』『キリスト教一千年史(下)』も一緒に並べてもよさそうではないでしょうか? まあ、できることならばキリスト教だけでなく、少なくとも兄弟宗教であるユダヤ教、イスラム教と合わせて学びたい、知識を得たいところですが、あまりにも範囲が広くなるので、とりあえずはキリスト教から初めてみませんか、というところですかね?

ピケティも注目してますよね? さんすくみ? トリレンマ?

あたしの勤務先のTwitterでも触れていますが、『グローバリゼーション・パラドクス』が地味に売り上げを伸ばしています。

そもそも新刊時にそれなりに話題になり、よく売れた本ですが、同書で中心的なテーマとなっている「民主主義」「国家主権」「グローバリゼーション」の三つは同時には成り立たない、どれか一つを諦めなければならない、という問題提起が、米国のトランプの大統領就任によって再び国際的なキーワードとして注目を浴びているからでしょう。

あたしなんかがゴチャゴチャ言うよりも同書を読んでもらった方がよいのですが、例えば、中国などは「民主主義」を放棄して、「国家主権」と「グローバリズム」を選択している国となります。その一方、EUは各国の「国家主権」を捨てるような取り組みです。これに叛旗を翻したのが、先日の英国のEU離脱騒ぎです。

さて、上の写真は朝日新聞で連載されているピケティのコラムです。直接トリレンマについて語ってはいませんが、読めば読むほど、この「さんすくみ」について述べているように感じられます。やはり『グロ・パラ』、必読の文献です。

ペアではなくトリオで!

近々『わたしはこうして執事になった』という本が刊行されます。下の写真の真ん中です。

同書の著者ロジーナ・ハリソンと言えば、大ヒット作『おだまり、ローズ』ではないでしょうか? 前著が自身と仕えた女主人との軽妙洒脱なやりとりを中心にしたものだったのに対して、今回の著作は彼女が見聞きした執事たちの世界です。

  

両書の翻訳や監修をしていただいた新井潤美さんの『執事とメイドの裏表』もこの機会にぜひ一緒に並べていただければと思います。

既刊も一緒にお願いします。

まもなく配本予定の新刊『カラー版 神のかたち図鑑』は『神の文化史事典』と対になる書籍です。

 

『文化史事典』が言葉によって様々な神について解説したのに対し、『かたち図鑑』は図像によって神々に親しんでもらおうという本になっています。

ご覧のようにフルカラー版です。これが最大の売りでもあります。

二つ揃えて、よろしくお願いいたします。

失敗の本質? 敗因分析? 商談会とは?

先日のBOOK EXPO 2016は盛況だったようです。確かに午前中から多くの方が来場されていたと感じました。東京の大商談会と比べてどうかと問われると、俯瞰的に見えていないのでなんとも言えませんが、少なくとも自社ブースの前を通る人は多かったと感じました、まあ、それも会場内のどこにブースを出しているかという要素も大きいと思いますが……

とりあえず、少し時間がたってしまいましたが振り返ってみたいと思います。

まず肝心の成果ですが、あたしの勤務先についていえば渋かった、厳しかったと言わざるを得ません。愚痴っぽくなりますが、そもそも商談会に来ている書店の方、お目当てはコミックや児童書、それに実用書といったところで、来場者名簿を見ても、知っている書店の名前はあっても、参加予定の書店員は知らない方だったりします。つまり、あたしが逢っている人文や文芸などの担当者ではなく、恐らく雑誌やコミック、児童書などの担当者が参加していたのでしょう。

どうしてそう言えるのか?

会場内の動きを見ていればわかります。そういう出版社のブースにばかり人が集まっているからです。ある書店の方に聞きましたが、これからクリスマスなどの商戦に向け、ふだんなかなか逢えない出版社のブースでクリスマス商戦向けの商品を注文するのが主目的だそうです。はっきり言って、絵本が目当てなんでしょうね。

ですから、専門書の出版社はほとんど出ていないか、出ていても閑古鳥が鳴くような有り様と言ったら言いすぎでしょうか? でも決して誇大な表現ではないと思います。紛れもない実感です。あたしのブースの前を通る書店の方、ブースに貼ってある出版社名を見て「あっ、ここは関係ない」という表情で通りすぎていきます。ほとんどがそんなところです。東京でも大阪でも、この数年参加していますが、これが実情です。

それがわかっていて、なんで参加しているの? 出展料だって払っているんでしょ?

というのはきわめて当たり前の疑問だと思います。それに答えるとすればこうなります。

町の書店でも、あたしの勤務先のような出版社の本を置きたいと思っている書店はきっとあるはずだ。でも、何もしなければ新刊も入ってこないし、何かフェアとかやりたいと思っても、コネも何も築けていない。この商談会で顔つなぎをして、少し置かしてもらえないか相談してみよう。

そんな風に考える書店の方が来てくれるのではないか、そう思って出展しているわけです。結果はどうかと言えば、まるっきりないわけではありません。過去に数件、そういう風に声をかけていただいて新刊案内を送るようになった書店もあります。配本するようになって売り上げが上がってきたお店もあります。

とはいえ、丸一日ブースを出しての成果としてはあまりにも低い、低すぎます。もう少しこちらも工夫をしないと、何の成果もないというに等しい状況がこれから先も続いてしまいそうです。ではどうしたらよいのか? すぐには答えは出ませんが、絶えず考えていきたいと思います。

話は少し横道にそれますが、数年前、東京の商談会に初めて参加したのは、似たような専門書数社で揃って出展したのがきっかけです。たぶん10社くらいで参加したのではなかったかと記憶しています。ブースを連ねて出展しましたが、われわれの一郭は見事に来場した書店の方に避けて通られました。その一方、東京国際ブックフェアでは、やはり10社くらいの人文系出版社でブースを連ねて出展していますが、会場内でも毎年一、二を争う盛況なブロックになっています。

同じような出版社のブースでありながら、書店はあまり寄ってこないのに、読者は群がってくるという好対照。もちろん東京国際ブックフェアは、2割引きでクレジットカードも使えるという、本好きにはお得な場であり、商談会と同列に論じることはできません。単純比較はできない両者ではありますが、出版社が商品をアピールするという点では同じです。この違いは何なのか?

そんな話を書店で専門書担当の方と話していたら、その方は「読者が求めているものと書店が求めているものがズレているのではないか、読者のニーズを書店がつかみ損ねているのではないか」という分析をされました、否、分析というよりも感想と言うべきでしょうか? しかし、この指摘は非常に示唆するものがあります。考えるきっかけをくれたような気がします。

なんとか天候にも恵まれ……

今日で関西ツアーも終わりです。晩は自宅で床に就くことになります。早かったなあと感じます。途中、火曜日にBOOK EXPOというイベントが挟まったからでしょうか?

今回のツアー、天候には恵まれました。唯一の雨天はそのイベントにあたり、終日屋内にいたので外の雨は関係あらず、でした。ただ、その雨のあとの後半は気温が下がり、やはり夕方になると寒いなあと感じました。コートもベストもカーディガンも持ってきていないので、ちょっと辛いです。

でもって、出張の成果は……

不景気ですね。それともあたしの営業努力が足りないのでしょうか?

来年の話をすると鬼が笑うと言いますが、再来年の話だと鬼はどうするのでしょう? という冗談はさておき、来年から再来年はちょっと左傾化したフェアがオススメかも?

来年がロシア革命百周年だということは既にご存じだと思います。なので、ロシア史のフェアは如何でしょう?

もちろんロシア史といってもそれなりに長いですので、やみくもにフェアをやっても焦点がぼやけてしまいかねません。そこで、たとえばロマノフ王朝・帝政ロシア、ロシア革命、スターリンの時代、ゴルバチョフのペレストロイカ以後、といった具合にテーマを分けてフェア展開するのがよいのではないかと思います。これらをどれか一つやるもよし、数ヶ月おきに断続的にやるもよし、だと思います。

まあ、ロシア革命百年ですから革命に絞るのが王道でしょうけど、実は来年は『資本論』の初版刊行から150年でもあります。昨今の格差社会、ピケティの大ヒット、マルクスの再評価などを合わせ考えますと、共産主義の光と影、失敗の本質というのを裏のテーマにフェアを企画するのもよいのではないかと思います。

というよりも、その方がフェアをやる現在的な意義があると思います。

なぜロシアや東欧の共産主義は失敗したのか、そしてそれはマルクの構想したものとどこが同じでどこが異なるのか、そういったことを考える、考えさせるようなフェアができればと思います。ちなみに、中国の共産主義も、ほぼほぼ失敗してますよね。

その中国、来年は党大会です。向こう五年の体制が決まるだけでなく、ポスト習近平の姿が見えてくる大会になるはずです。習近平体制は変わらないでしょうが、より一極集中が進むのか、それとも別な路が開けるのか。これはこれで面白いフェアになりそうですが、玉石混淆の本が山ほど出版されそうです。

閑話休題。

ロシア・フェア。上述のような感じでフェアをやったとして、つまり格差社会とか、共産主義の挫折とした視点を取り入れますと、そのまま2018年に繋がります。2018年は本家本元、マルクスの生誕200年です。いまさら共産主義ではないと思いますが、いまさらマルクスは十分ありだと思います。

なおかつ、2018年は1968年から50年です。1968年といえば世界史では重要な年です。世界的にさまざまな運動が起きたのが1968年です。左派運動という捉え方をすれば、ロシア革命やマルクスとも因縁浅からぬところです。もちろん関連書籍も既にいろいろ出ていますが、再来年に向けてさらに出版されることでしょう。

なんといっても、1968年に関心を持つ世代や読者は、本を最も買ってくれる人たちでもあります。それなりに盛り上がることは必至だと思うのですが……

これとこれ、あれとあれ

ロルドの恐怖劇場』を読了したのですが、書店でこんな本を見かけました。『妄想と強迫』です。文庫本と単行本との違いはありますが、併売するとよいのではないでしょうか?

 

ちょっと時代はズレますが、どちらもフランスが舞台ですので、一方に興味を持つ読者ならもう一方にも興味を持ってくれるのではないかと思うのですが……