徹夜をするなら!

書店の店頭にポスターが貼ってあるのを見て知りましたが、新潮文庫が「徹夜本」フェアをやっているのですね。「眠気が眠る面白さ!」というキャッチフレーズで展開中のようです。秋の夜長という表現はありますが、この時季ですと何でしょう? そろそろ暑さで寝苦しい夜、眠れないなら読書でも、という感じでしょうか?

新潮文庫の徹夜本フェア

ところで、このフェアのポスターの色、なんか見覚えがあるなあ、と感じないでしょうか? えっ、感じない? ではこの本をご覧になったことはないでしょうか?

先日来日したスティーヴン・ミルハウザーの『魔法の夜』です。どうですか? なんか、色合いがそっくりではないでしょうか? それにタイトルもシンクロしてます。

新潮文庫もお手軽ですが、本当に眠れない夜を過ごしている方、『魔法の夜』もオススメです!

懐かしい本たち!

少し前から、あたしの勤務先は会社の大掃除的なことをしています。ここ数年、定年退職の人が何人かいたり、この秋には社員募集で二人の増員があるので、席を用意しないといけないこともあって、この機会に要らないものだとか、デスク周りの私物も片づけようと、全社的におそうじモードです。

あたしも、数年ぶりに身の回りの片づけなんてしています。まるで会社を辞めるかのように(爆)。

そんな整理作業中に出てきたのが上の一冊、岸田國士訳の『にんじん』です。懐かしいですね。いや、懐かしいどころか、あたしが入社した時には品切れになっていた本だと思います。

続きまして、時々問い合わせはあるものの同じく品切れになっているUブックス。『黒い美術館』『黒いいたずら』『悲しき酒場の唄』『燠火』の4点。イーヴリン・ウォーなど、最近新しくだしているのもありますから、新装版として出せないものでしょうか?

上の青い4点よりは少し新しめ(刊行が古くない)のが上の2点。『10 1/2 章で書かれた世界の歴史』『フロベールの鸚鵡』です。2011年にジュリアン・バーンズがブッカー賞を受賞したときに、いくつかの書店から注文が入りましたが、その時には既に品切れでした。

うーん、残念。

たぶん、まだまだ本当にごく少部数なら需要もあるのでしょうけど……

映画公開に間に合いました

映画化されたブルックリン』、惜しくもオスカーこそ逃しましたが、アカデミー賞にもノミネートされただけあって、試写会を見てきた同僚の話ではとてもよい作品だったそうです。

さて、その原作邦訳はあたしの勤務先から刊行しておりまして、もちろん刊行当時は映画化なんて話は知らず、下の写真のような装丁でした。

が、このたび日本でも映画公開がきまりましたので、オビを新調いたしました。それが下の写真です。

いかがでしょう? 文芸作品ですから、それほど派手なけばけばしいものはふさわしくないでしょうから、作品世界を壊さないような、落ち着いた仕上がりですね。機会を作って、あたしも本編を見に行きたいですが、とにもかくにも、邦訳を読んだ感想を踏まえるなら、この作品は主演女優で決まると思います。

もちろん、主演女優賞にノミネートされたわけですから、そのよさは一定の評価を得ているわけで、だからこそ、とにかく映画も見てみたくなります。

指揮棒

文庫クセジュの新刊『100語でたのしむオペラ』をパラパラめくっていると面白いです。

その一つ、「指揮棒」は冒頭からこんな具合

十七世紀、リュリが演奏者の前で拍子をとったときに握っていたのは、文字通りの棒(フランス語で指揮棒のことをbaguetteと言うが、baguetteはもともと棒を指す)で、彼はこの太い棒のためにけがをしたほどである。

さらに

オーケストラの指揮はまさに力業であり、指揮者は自分のすべてを投入する。指揮者のエネルギーは、そのままオーケストラに伝わる。全体からよく見えることばかりを意識して、動作を大きくし続けていると、オーケストラの音もますます大きくなってしまう。当然のことながら、舞台で歌う歌手の声も聞こえにくくなる。

なんてことまで。挙げ句の果てに

とはいえ、指揮棒は絶対に必要というわけではない。ピエール・ブーレーズ、小澤征爾、あるいはヴァレリー・ゲルギエフは、小規模な楽器編成のバロック音楽を専門とする指揮者と同様、指揮棒なしで指揮をすることを好む。

とまで言ってしまっています。

他にも読んでいるとクスッとしてしまう、堅苦しさなんてまるでない、オペラミニ百科です。

始めに言葉ありき

昨日の朝日新聞です。アイヌの記事が載っていました。

日本は単一民族だ、といった政治家の暴言が出るたびに引き合いに出されるのはアイヌだと思いますが、文化などきちんと保存しておかないと失われてしまうでしょうね。

しかし、アイヌの文化を知るにはまずは言葉を知らないと!

  

そこで『ニューエクスプレス アイヌ語』はいかがでしょうか? たぶんCD付きのアイヌ語教材では日本で唯一ではないでしょうか?

その他にも『カムイユカラを聞いてアイヌ語を学ぶ』という本もあります。こちらもCD付きです。恐らく、このCD音源が、今となってはかなり貴重なもののはずです。

さらに『ニューエクスプレススペシャル 日本語の隣人たちⅡ』には「樺太アイヌ語」が収録されています。

台湾を知るなら白水社?

最近のあたしの勤務先、既にロングセラーとなっている『台湾生まれ 日本語育ち』、朝日新聞の連載の効果もあって追加注文も伸びている新刊の『蔡英文 新時代の台湾へ』と、気づくと台湾もののヒットが続いています。

 

そもそも台湾専門の出版社でもなければ、台湾や中国など中華圏を得意とする出版社でもありません。あえて言うなら、大学の教科書としての中国語教材はそれなりの売り上げがありますので、学生時代の第二外国語などで使っていたという方も多いのではないかと思います。その流れで『ニューエクスプレス中国語』『ニューエクスプレス広東語』『ニューエクスプレス上海語』、そして『ニューエクスプレス台湾語』というように、これまではこの程度の出版状況でした。

 

 

それがちょっと変わったと、今から考えると思えるのは『台湾海峡一九四九』の刊行がきっかけではないでしょうか?

 

本書は、日本に統治され日本人として大陸の中国人とは敵国同士という立場で干戈を交えることになった台湾の人、国共内戦に敗れ台湾に逃げ込んできた国民党や大陸出身の中国人などの歴史を描いたものです。この百年の台湾の歴史を知るにはもってこいの本です。

同書は著者・龍應台さんが、台湾のこれまでについて息子に語るという体で書いたものですが、より自分の家族の歴史について語ったのが『父を見送る』となります。

以上のに作品はノンフィクションですが、そんな台湾を小説に仕立てのが『神秘列車』と『歩道橋の魔術師』の二作品です。どちらも少し前の台湾の様子を生き生きと、抒情溢れる筆致で描いています。中国大陸の作品と、同じ中国人だなと感じる部分と、やはり大陸とは違うな、と感じる部分、どちらもあります。

 

そして、その台湾の現在ということで、最初に挙げた二作品。台湾についての紀行エッセイ、特派員や学者がまとめて新書や文庫などはいくつも出ていますが、ここに挙げた本を一通り読んでいただければ、かなり多角的に台湾について知ることができると思います。

対訳読み物の根強い人気

既に店頭に並び始めたころだと思いますが、『対訳 フランス語で読む「ゴリオ爺さん」』という新刊が発売になりました。名前からも類推できるように既刊『フランス語で読む「赤と黒」』に続く対訳シリーズ第二弾です。

上の写真のように、装丁もきれいに揃っています。『赤と黒』が刊行時、多くの書店員さん、読者の方から「こういうのを待っていた」という声をいただきました。個人的には新鮮な驚きでした。

実は、二十年ほど前、インターネットなどが盛んになりだしたころ、いろいろなテキストガネットで読めるようになり、新聞も直接海外の新聞社のサイトを閲覧できるようになりましたから、「文学作品を読む」「新聞で学ぶ」といった類の語学学習書の中級教材は大打撃を受けたのです。

しかし、そういった流れが一回りしたからでしょうか、ここ数年はこのような中級読み物が再び見直されてきましたし、需要も盛り上がっています。もちろんかつて出していたものをそのまま重版したのでは、今の読者には受けません。やはり年月が流れ、それなりに「今風」の工夫を凝らしたものでないと売れないのは当たり前のことです。

とはいえ、大きな流れの中で再び中級教材に日が当たるようになったことは、語学書の出版社としては非常に嬉しいことです。今回の『ゴリオ爺さん』も十分な手応えがあると予想しています。

そんなに需要があるならもっと出さないの、という声があるのももっともです。上の写真は『ゴリオ爺さん』のカバー袖です。続刊として『レ・ミゼラブル』『恐るべき子供たち』という作品が見えます。

はい、現段階では刊行予定は何月ですとは言えませんが、続刊を出しますので、しばしお待ちを!

ⅠとⅡだけではなく

来月上旬に『ジャック・デリダ講義録 獣と主権者Ⅱ』が発売になります。

獣と主権者Ⅰ』の刊行が2014年11月でしたから、1年半たってようやくというところです。ご覧のように、既に見本が出来てきました。

Ⅰの緑に対し、Ⅱは青です。書店員の皆さま、Ⅱだけでなく、Ⅰの注文もお忘れなきよう、よろしくお願いします。

が、それだけではありません。『デリダ伝』も是非是非ご一緒に、こちらもよろしくお願い申し上げます。

思えば、11月に『獣と主権者Ⅰ』が刊行になり、翌月には『デリダ伝』、折からのクリスマス商戦にはギリギリというタイミングでしたが、書店の方からは「クリスマスカラーだね」と言われたものです。いみじくもそんな感じなりましたが、クリスマスプレゼントとして買ってくれたお客様はいたのでしょうか?

そして今回の青。このトリコロールはどんな意味があるのでしょうか?

読者サービス

店頭でやってもらうフェア。自社単独のものもあれば、数社共同でやるものあります。こちらから書店に持ちかけるものもあれば、書店企画のフェアもあります。

本を並べているだけでは、見る人が見ればわかるのかもしれませんが、一般には「ただ本が並んでいるだけ」で見向きもされない可能性があります。だから、まずは看板などで「フェア、やってます」ということをアピールするわけです。

でも、それだけはやはり弱いでしょうか? いや、ジャンルによってはそれで十分なのかもしれませんが、やはりもう少し何かおまけ、拡材が欲しいところです。よく見かけるのは、書籍一点一点に付けられたポップ。興味のある方には自明かもしれませんが、それでも簡単な内容紹介とか、お薦めの言葉とがあると、「あっ、面白そう」「ちょっと読んでみたいな」という気にさせられます。なによりもポップですからお客さんの目を惹きます。

次にありがちなのは、展示書籍のリストです。このリスト、もちろん書店員さんが「あれ、何か売り切れていないかな?」と、並んでいる本をチェックするときにも重宝しますが、お客の立場からすると、「今回はこの本を買うけど、お金に余裕ができたら、他にも買いたい」というときに、しばらくたってから「あの時、あそこに並んでいた本は何だったっけ?」という疑問に答えてくれるので便利です。うろ覚えで結局見つからない本って結構あるものです。

さらにフェアのおまけとしては、そのフェア用に編集した冊子、ガイドのようなものです。上に書いたリストをもう少し充実させた程度のものから、かなり本格的なものまであります。文庫の夏100などでもミニ冊子が配られていますよね。白黒だったりカラーだったり、ページ数もまちまちですが、結構熱いものがたくさんあります。

さて、そんな中、ただいま人文会で展開しているフェアが、木村草太さんの選書によるフェアです。4月に発行された「人文会ニュース」の123号に寄稿いただいた「15分で読む 憲法と国家権力の三大失敗」をベースに、そこに挙げてある参考文献を並べたフェアです。既に始まっているところ、これから始まるところを合わせると、全国で20店舗以上の書店、大学生協で開催されます。

そのフェアの会場で配布しているのが上の写真の小冊子です。「人文会ニュース」の木村さんの原稿部分を取り出して、抜き刷りのような形にしたものです。ここに、木村さんの選書の意図が書かれていますし、フェアそのものもよりも、木村さんの文章が非常にためになります。必読です。

さて、次に紹介するのは、あたしの勤務先が主催の《エクス・リブリス》フェアの拡材です。今回は二種類作りました。

まず写真の左は小冊子。『歩道橋の魔術師』の呉明益さんと『ミニチュアの妻』のマヌエル・ゴンサレスさんのインタビュー、それと《エクス・リブリス》の一覧で構成された、12頁に及ぶ、なかなか立派な小冊子です。

 

写真の右側は、知る人ぞ知る「にゃわら版」の今回のフェア特別号です。内容は阿部賢一さん、小野正嗣さんに海外文学をレクチャーしてもらうという形になっています。上のリンク先にPDF版が公開されています。

さて、こうした拡材。もちろん読者サービスであり、基本的に無料です。少しでもフェアを盛り上げられれば、という意図から作っているものです。「フェアを盛り上げる」というのは、ぶっちゃけてしまえば「そのフェアをやっている書店にお客さんがたくさん来て、そして本を買ってくれる」ことです。「あの冊子が欲しいからフェアに行ってみた」という動機付けの一助になれば、と考えているわけです。

こういう拡材、おまけをフェアの場で配布していることは、もちろん出版社みずからがツイッターなどで発信することもありますし、書店が「フェア、やってます」というツイートで触れてくれることもあります。最近では読者の方が「某々書店のフェアで、こんな冊子を配ってた」とブログやツイッターで紹介してくれることもあります。

それでフェアがさらに盛り上がれば万々歳ですが、時々、「うちの近所ではフェアをやっていないので、冊子だけ欲しいのですが」という問い合わせがあります。もちろん、冊子などが残っていれば、そういう読者の方の要望にはお応えしますが、時々考えてしまうことがあります。

フェアの会場に足を運んでもらうための拡材なのに、それだけを直接お客さんに送ってもよいのだろうか、と。

おまけは、そのお店に行かないと手に入らない、という稀少が価値がよいわけで、むやみやたらと配布してしまってもよいのだろうか、という気もするのです。

ただ、実際にはそうではないと思います。

わざわざ連絡してきて冊子などを欲しがるという読者は、そのフェアやそこに並んでいる本に対して、相当高い関心がある方です。熱心なファンと言ってもよいでしょう。ですから、そういう方がおまけを手に入れて、そこから購買意欲が生まれ、フェアこそやっていないけど近所の本屋さんに本を買いに行くという可能性が極めて高いと思います。

となると、巡り巡って書店にお客を呼び込む、売り上げを上げることに繋がっているわけですから、拡材として働きは十分にしていると言えますね。ということで、「冊子が欲しい」というお客様にも快く応じているわけです。

もちろん、そういう読者の方の住所を聞いて(送るわけなので送付先を聞きます)、もし比較的近所でフェアをやる予定があれば、あるいはやっていれば、それを教えてあげることも積極的にしていきたいと思います。

 

振り返って昨日の夕刊から

朝日新聞は自宅で講読しているので簡単に写真が撮れますが、それ以外の新聞は会社に行かないと見られません。が、今日は別件があって会社にちょっと行って来たので、他紙の状況を確認してみました。

まずは日本経済新聞。夕刊一面にカラー写真入りです。

続いて読売新聞。こちらも夕刊の一面、カラー写真も。

毎日新聞は一面ではなく、中面で伝えていますが、写真はモノクロでした。