子供がいたから孤独になったのか?

下北沢のB&Bでのイベントの感想をメモ的に。

川本三郎さんが対談相手でしたので、昨日とは打って変わり、いろいろと王聡威さんから聞き出してくださるような展開。

もしこの事件をノンフィクション作品としていたら、死んでいった主人公と子供の声を聞くことはできなかったわけで、小説というかたちを選んだからこそ、母親と娘(大阪の事件では母親と息子)の声を聞くことができたのかもしれない。

主人公は家庭を持ったがために、そして子供ができたから、余計に孤独を感じしてしまったのだろうか? 確かに、産後の鬱というのは最近よく聞く言葉でもあり、昼間子供と二人っきりで、ストレスなどの発散場所のない母親が悶々として、結局育児放棄になったり虐待に走ったりというニュースもしばしば耳にします。

後味の悪い作品と思ってもらえれば、作者としては作品が成功した証だとのこと。

やはり不可解

昨日は、虎ノ門の台湾文化センターで『ここにいる』の原作者・王聡威さんのトークイベントでした。書籍の会場販売に行って来ました。ちなみに本日午後にも、下北沢のB&B川本三郎さんとのトークイベントがありますので、お時間がある方はどうぞ。午後3時からです。

さて、昨日のイベントは訳者の倉本さんが最初に王聡威さんと『ここにいる』を中心とした王聡威さんの作品の解説をされ、その後約1時間、王聡威さんがお話をされるという流れでした。

まず王聡威さんについては、作品ごとに作風を変え、『聯合文学』の編集長として雑誌を刷新するなど、常に新しいことに取り組んでいる方でした。今回の『ここにいる』も全編、主人公とその周辺人物の独白(証言?)のみで成り立っている作品で、納得できるような客観的事実は提示されません。すべて発言者の思い(思い込み? 偏見?)であって、真相は藪の中という印象です。

ただ、考えてみますと、王聡威さんが着想を得たという大阪の母子餓死事件もネットで検索する限り、結局親子が餓死しなければならなかった状況にどうして至ってしまったのか、わからずじまいです。続報も見つかりません。SNSの発達した現代社会は、他人から縁を切られるのではなく自分から縁を絶ってしまうことも多いようで、そうなると第三者からは接触のしようもなくなるのかもしれません。

  

大阪の事件、現在の台湾も他人事ではないようです。王聡威さんが講演の中でNHKの番組に触れていました。どうもNHKスペシャルの「無縁社会」シリーズを指しているようです。台湾でもこういう問題が増えているのでしょう。台湾は昔からのしがらみが一方で日本以上に残っていそうなので、孤独もより深刻なものになってしまうのでしょうか。

で、結論と言いますか、感想としては、王聡威さんの他の作品も読んでみたい、ということです。あと、日本ではまだ刊行されて間もないですが、台湾では本作の感想、男性読者と女性読者とでは異なる傾向があるのか、そんなところが気になりました。

レシピではなく随筆、読んで味わうものです

本日の朝日新聞一面「折々のことば」に『隠し包丁』からの引用が紹介されていました。

もともとは単行本として刊行されたものですが、現在はご覧のようにUブックスになっています。

つきぢ田村の田村隆さんの著作としては『返し包丁』と『つきぢ田村の隠し味365日』がありますが、どちらも現在在庫僅少となっています。

料理人の本と言われれば、いわゆるレシピ本を想像されるかも知れません。確かに、他社からはつきぢ田村のレシピ本が刊行されています。ですが、本書はそういうものではなく

「いただきます」の期待感、「ごちそうさま」の読後感。つきぢ田村の三代目が、腕によりをかけ、うわさの料理の精神を豊かにつづった、創造への探求心あふれる33品のおいしいエッセイ

です。

たまにはこういうのもよいのではないでしょうか?

人気いまだ衰えず……

昨日の朝日新聞夕刊です。

あたしの勤務先でもたいへんお世話になっている宮沢章夫さんの記事が載っていました。

14歳の国」が再演されるそうです。

あたしの勤務先で刊行した、書籍版の『14歳の国』は現在品切れなので、せめて「こんな本でした」という写真だけでもご紹介いたします。

この作品、「高校の演劇部などから上演したいという声が今も寄せられる」そうなんですね。やはり、高校生にとって、いまだにリアルな、感情を揺さぶられる作品なのでしょう。

北欧は思いのほか売れるのです!

本日の見本出しはたくさんあるのですが、その中の《ニューエクスプレスプラス》は『スウェーデン語』『デンマーク語』『フィンランド語』という北欧の言葉が重なってしまいました。

既に刊行されている『ノルウェー語』と併せて、北欧フェアなどいかがでしょうか? 北欧の語学書って、思っている以上に売れ行きは悪くないものです。なんででしょうね?

北欧家具や雑貨、ムーミン、ノキア、オーロラなど、「あっ、そうか、それって北欧のものだったね」というものが、意外と身近にたくさんあるからでしょうか?

上掲3か国語が店頭に並ぶのは9月に入ってからですので、しばしお待ちを!

「信頼」を考える

 

新宿の紀伊國屋書店の人文書売り場でこんな小冊子をもらいました。

勁草書房の『信頼を考える リヴァイアサンから人工知能まで』を中心としたフェアのようです。

「信頼を考える」という書名がすごいですね。そして、この小冊子も小冊子と書きましたが、これかなりしっかりした一冊です。小冊子なんて読んだら叱られそうな濃い内容です。

で、肝心の該書を読んでいないので「信頼」とは何なのかよくわかりませんが、いまの日本の政治を見ていると一番失われているのは信頼ではないかと思います。別に『信頼を考える』がそういった内容の本だと言っているわけではありませんが(そもそも読んでいないので、そんなこと言えません)、何やらタイムリーに感じてしまうのはあたしだけでしょうか? ただ「リヴァイアサンから」と副題にありますし、内容的には政治や政治思想なども社手に入っているようではあります。

そうなると、あたしが思い出すのは孔子の言葉、論語・顔淵の「民信無くば立たず」です。

どんなに素晴らしい政策を打ち出そうと、やはりまずは民の信頼を得ていないとダメだと思います。最近の日本の政治家は「政治は結果責任」などと言って国民の信頼を損なうことを平気でやり続けていますが、果たしてそれでよいのか、いつか手痛いしっぺ返しを受けるのではないかと思っているのですが。

これで3分の2(4分の3)が揃いました!

予告通り、今朝の朝日新聞読書欄で『力の追求(上) ヨーロッパ史1815-1914』『力の追求(下) ヨーロッパ史1815-1914』が紹介されました。

本書は「シリーズ近現代ヨーロッパ200年史」という副題からもわかるとおり、ヨーロッパのこの200年を通覧する、全4巻のシリーズです。

既に『地獄の淵から ヨーロッパ史1914-1949』が刊行されていまして、これで1815年から1949年までが揃ったことになります。戦後から現在までの最終刊は来年刊行予定ですので、しばしお待ちください。

A5判という、やや大きめの判型で、ページ数もそれなりにありますので、お値段もちょっと張りますが、それに見合うだけの内容です。興味を持たれた方は店頭でぜひ実物をご覧になってください。