絵本とおともだち、だったのか?

二子玉川の高島屋で「絵本とおともだち」というフェアをやっていました。

基本的には児童書出版社、福音館書店の「こどものとも」と、そこから生まれた絵本のフェア、という感じでした。本の展示即売だけでなく、ちょっとした体験ができるコーナーもあり、子どもには楽しい催しではないでしょうか? また「絵本ができるまで」として原稿やゲラの実物の展示も行なわれていました。入場は無料で5月7日までです。

で、絵本です。

 

記憶が残っていないだけなのか、あたしは幼いころに絵本を読んだという記憶がほとんどありません。もちろん全く読んだことがないというのではなく、いくつか記憶に残っているものはあります。会場で展示されていたものの中では『三びきのこぶた』と『おおきなかぶ』くらい、他の本は幼少時においては見たことも読んだことも全くないものばかりでした。

なにせ『ぐりとぐら』ですら、全く読んだことがないので、あたしの幼少時の絵本体験ってどんなだったのだろうと思います(汗)。

もちろん他にも読んだような記憶のある絵本はありますが、そもそも子供が絵本の出版社を意識するなんてことはありません。いや、親だって、出版社を意識して絵本を買い与えている人は多くはないでしょう。たまたまあたしの場合、福音館の絵本とはあまり縁がなかっただけなのかも知れません。

 

なので、いまだに出版社は知らないのですが、『手ぶくろを買いに』とか『ベロ出しチョンマ』などは、読んだことのある絵本として覚えています。確か、『ベロ出しチョンマ』は細かなストーリーは忘れてしまいましたが、悲しいお話だったような記憶があります。

まあ、こんな絵本体験の記憶しかありませんが、その後もずーっと本は好きで、いろいろ読んできました。かなりジャンルに偏りはあると思いますので、有名なものとか、その当時においては必読と言われたようなものをことごとく外しているかもしれません。それでもこうして出版社で働いているわけですから、人生って不思議なものです。

作品よりも著者本人の方が……

昨晩は下北沢のB&Bで、《エクス・リブリス・クラシックス》の新刊『キャサリン・マンスフィールド傑作短篇集 不機嫌な女たち』イベントでした。同書の訳者・芹澤恵さんと対談相手に山崎まどかさんをお迎えして、あっという間の二時間でした。

 

ところで、マンスフィールドはニュージーランド出身の作家で、同シリーズでは『潟湖(ラグーン)』のジャネット・フレイムもニュージーランド出身で、いみじくも同シリーズにニュージーランドの女性作家が似た里が収録されるという結果になりました。

が、作品世界は好対照です。『不機嫌な女たち』は誰もがきっと共感したり、「うん、うん」と思わず頷いてしますようなエピソード、オチが秀逸で、昨晩のトークでも、登場人物の気持ちを直接表現するのではなく、情景描写によって示すような書き方をしていて、非常に洗練された作品群である、との発言がありました。当時は相当玄人ウケしたようです。昨晩のメモを見返してみますと、梯子の外し方がうまい、といった発言もありました。

さて、本書ですが、編集を担当した鹿児島有里さんによりますと、芹澤さんの翻訳作業は比較的スムーズに進んだそうですが、どの作品を収録するかの選択に時間がかかったとのことです。

と言うように、本書は日本版独自の短篇集となっています。2015年にマンスフィールドの未発表原稿が数編見つかり、せっかくだからその中からも選ぼうということになったそうです。今回の翻訳のコンセプトが「女たち」に決まっていたので、大人向けに書かれていた一編「ささやかな過去」を収録したそうです(それ以外の作品は子ども向けだったそうです)。ただし、収録された本作は、マンスフィールドには珍しく、自伝的要素の強い作品で、これまで発表された作品の中にはなかったものだそうです。

ところで芹澤さん、山崎さんという女性お二人が、女性作家の、女性をテーマにした短篇集について語る、ということだからでしょうか? 会場のB&Bは予約で満席(40名弱)、なおかつ、その中に男性は3名しかいない、という極めて女性比率の高いイベントになりました。ただし、高校生や大学生のような若い層は見当たらず(もし会場にいらっしゃっていたらゴメンナサイ)、20代後半から30代と言ったところが中心だったでしょうか? やはり、『不機嫌な女たち』の世界を理解するには、多少の人生経験が必要なのかも知れません。だからこそ、背伸びしたい女子高生なんかにも読んでもらいたいし、たぶん、きっと、楽しめること間違いなしだと思います。

さて、今回のダイアリーのタイトルですが、いろいろな女性の機微を描いているマンスフィールドなんですが、実は本人の34年という短い人生の方がよほどドラマチックです。伝記は出ているようですが、ドラマとか映画にはなっていないようです。トークの中でも「BBCあたりが絶対映像化すべき」という話題も出ていました。ちなみに、マンスフィールドの記念館が日本にあります。

 

 

立ち食いそば屋でうどんを食べる

昨今は、はなまるうどんとか丸亀製麺など、うどん専門のお店も増えてきていますが、駅などにあるのはほとんどがそば屋です。なにせ「立ち食いそば」という言葉はあっても「立ち食いうどん」という言葉は、なくはないのでしょうが、ほとんど人口に膾炙していないと思います。

あたしの勤務先の近所には富士そばとか小諸そばがあり、たまに食べることはあります。この数年の営業回りですと、小田急線を担当しているので、箱根そばも時々食べます。

でも、食べるときはもっぱらうどんです。

あたしは、生まれも育ちも東京なのですが、小さいころからそばではなく、うどんが好きでした。「東京の人」と言うと「そばが好き」と思われがちですが、あたしはうどん党です。

で、時々思ってしまうのです。

立ち食いそば屋、特に店名が「●●そば」のような場合、そんな店でうどんを注文してもよいものか、と。もしかして、お店の主人は、「こいつ、おれの店でうどんなんか注文しやがる」と思っているのではないか、という風に、小心者のあたしは考えてしまうのです。

カップルが多いと感じるのは気のせい? それとも単なる嫉妬?

今宵は紀伊國屋書店新宿本店で「よんとも」でした。

「よんとも」って何? という方もいらっしゃると思いますよね。

書評家の豊﨑由美さんが毎回ゲストを招いてガイブンについて語るトークイベントで、今宵が第49回でした。隔月のイベントで、場所は固定されていません。紀伊國屋書店新宿本店で行なわれるのは、第46回の石倉三郎さんがゲストの時以来になります。そして、今回のゲストは今福龍太さん。クレオールをキーワードに熱いトークが繰り広げられました。

ところで、このところこういったイベントがちょこちょこありまして参加しておりますが、どうしても帰宅時間が遅くなります。それこそ、ふだんなら、もうとっくに家の布団に入って本でも読んでいるような時間までイベント会場にいたりすることもあります。翌日はツラいですが、イベント自体は楽しいので決して苦にはなりません。

が、そういう、帰宅時間が少し遅くなるときに駅やホーム、電車内で気づくのはカップルの多さです。ふだんの帰宅時間、いわゆる夕方のラッシュ時間に比べ、そういう二人組がやたらと目に付くように感じられます。

なんでしょう、単なるあたしの嫉妬なのでしょうか?

しかし、そういう時間って、たぶん二人でデートをした帰りですよね。ちょっとお酒なんか入っているのでしょうか? だから、二人ともちょっとテンションが高くなっているのか、夕方の時間帯よりはラブラブな様子が相俟って、イヤでも目に入ってくるのかも知れません。

実際のところ、どうなのでしょうか?

またまた増刷

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初めての方もぜひ!

勤務先のTwitterがリツイート(でいいんですよね?)しているので知りましたが、ジュンク堂書店滋賀草津店の《エクス・リブリス》フェア。

とはいえ、大がかりなものではなく、その中から短篇小説だけを選んだ、海外文学入門的なフェアです。この春のみにフェア企画として、書店に呼びかけているものです。

やはり短篇集は手に取りやすいだけでなく、読みやすいと思いますので、この機会にぜひどうぞ。

この短篇集フェアについては、このダイアリーでも以前ちょこっと触れましたが、毎日一作品。夏までに読破してみてください!

 

なお、企画した時点では未完だった『不機嫌な女たち』もお薦めです。

で、同店のTwitterに載っている写真の左上、『神は死んだ』の左側にチラッと写っているのは、このフェアのために用意した小冊子です。フェア・アイテムの紹介が載っています。って、本当は、あたしの個人的な感想なんです(汗)。

キーワードはユダヤ? 歴史?

先日の日本翻訳大賞授賞式。

選考委員の柴田元幸さんが、最終選考に残った作品群についてコメントされたのですが、曰く、祖父母の時代を自分の言葉で語り直したような作品が多かった、と。そして、通奏低音のようにユダヤ人というのがあったとも。

もちろん全部の作品がそうなのではありませんが、過半の作品に上に書いたような傾向が見られたのは事実だったと思います。また曰く、二世だと親の時代の歴史は生々しすぎるけれど、三世にもなると客観的に捉えることができるようになる。

海外の文学の潮流として、こういった作品がこの数年多くなっているのでしょう。そして、それらをわれわれ出版社も翻訳者の方と一緒になって鋭意刊行しているという流れなのだと思います。

で、自慢するわけではありませんが、あたしもこれまでに授賞した自社の三作品に対してですけど、歴史を語ったものが選ばれている、というような趣旨のことを少し前に書いていたので、その感覚が当たらずと雖も遠からずだったのは嬉しかったです。

今年も大盛況

昨日は、日本翻訳大賞の授賞式、そして懇親会。第三回となる今回の大賞は『ポーランドのボクサー』と『すべての見えない光』で、会場での書籍販売に行って来ました。

 

授賞式会場の一画でしたので、会場販売はかなりの盛況でしたが、それ以上に多くの方が来場し、昨年にも増して盛り上がった授賞式だったと思います。

 

上の写真が、あたしの勤務先の書籍販売の様子です。同時受賞の藤井光さんも、あたしの勤務先からは何冊も翻訳を刊行されていますので、それらも一緒に並べています。

右の写真がメインである『ポーランドのボクサー』です。会場特価で少し割引きしております。

こちらは、お隣で同じく販売していた新潮社ブースです。クレスト・ブックスは装丁がステキですね!

そして、パク・ミンギュ『カステラ』で第一回の翻訳大賞を受賞した斎藤真理子さんが韓国の文芸雑誌を販売されていました。

斎藤真理子さんは、来月、あたしの勤務先からパク・ミンギュの『ピンポン』を刊行予定ですので、お楽しみに!