あまりに甘酸っぱい青春?

土砂降りの午後、東京の京橋へ出かけてきました。

何の用事かと言いますと、映画『ライ麦畑で出会ったら』の試写会を見に行ったのです。映画の公開は10月27日の予定です。

ストーリーは、いろいろ紹介されているように、監督自身のほぼ実話だそうです。ただ、どこまでが実際に起こったことなのか……

さて、高校時代、ちょっといじめられっ子だった主人公(つまり監督)が、そんな自分の境遇そっくりだとのめり込んでいたのがサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』です。そして校内の演劇コンクールで『ライ麦畑でつかまえて』を上演しようと思いつき脚本を書きます。

そしてサリンジャーに上演許可を求めようとエージェントを訪ね取次を頼みますが、物の見事に断わられます。その時にサリンジャーの住んでいる街を書いた雑誌をこっそり手に入れ、それだけを頼りにサリンジャー本人に許可を取るべく訪ねていくという話です。

住んでいるとおぼしき街へ着いても、住民が全員「そんな人、このあたりじゃ聞いたことないなあ」という反応。「みんなで口裏合わせをしているんだ」と判断した主人公は、それでも諦めずに探しまわります。

果たして、サリンジャーの住む家は見つかるのか? 見つかったとしてサリンジャーは会ってくれるのか? 会ってくれたとして上演を許可してくれるのか?

このあたりは実際に映画を見ていただくとして、実はあっと驚くようなどんでん返しはありません。ただ、とにかく映像といいBGMといい、非常に青臭い青春映画そのものです。青臭いというのは褒め言葉のつもりです。

個人的にはダスティン・ホフマン主演の映画「卒業」を思い出しました。古いと言われるかも知れませんが、最近の映画は知らないので、こんなグダグダした主人公の雰囲気は、「卒業」ほホフマンによく似ていると感じました。

主人公がサリンジャーを探しに行く時の風景もとてもきれいな映像で、上にも書いたBGMが非常にマッチしていて、懐かしさを覚えます。あたしのように『ライ麦』を読んでいなくても十二分に楽しめる映画でした。

来日時のインタビュー記事が載りました

《エクス・リブリス》の新刊『ここにいる』の著者、王聡威さんが少し前に台湾から来日されました。

トークイベントも東京で行なわれたのですが、そんな合間にインタビューを受けていて、その記事が土曜日の読売新聞夕刊に載りました。

それにしても、大阪で起きた事件に興味を持たれ、それをいろいろ調べ、舞台を台北に移して小説化するなんて、ネット社会だからこその作品という気がします。ネットで情報が世界中を駆け巡る時代だから、台湾在住の王聡威さんが大阪の事件を知ることができたわけですし、ネットがあるからその後の展開などを調べることもできたと思うのです。

そして、そんな環境があればこそ生まれた作品は、もとになった事件そのものが、誰とでもつながれるネット社会だからこそ起こったような事件で、いかにも今の時代の作品なんだと感じます。

未読の方はこの機会に是非!

ご自身の紹介記事と書籍の紹介記事が連続で読売に!

土曜日の読売新聞に別役実さんの記事が載っていました。

ちょうど『風の演劇 評伝別役実』が刊行されたばかりでしたので、非常にタイムリーでした。

その別役さん、闘病中とは聞いていましたが、読売新聞に掲載された写真でもずいぶんと痩せてしまっているような気がします。早くよくなってほしいものです。祈るくらいしかできませんが。

その別役さんの評伝、『風の演劇』は同じ読売新聞の日曜日、読書欄で紹介されました。

こちらのカバーはでは若かりし頃(?)の別役さんが格好よくタバコを咥えている写真です。

タバコはやはり体に毒ですよね。