意外な盲点

あたしの部屋に掛かっている壁掛けカレンダーです。

写真がきれいなので選んだのですが、最近使っていて非常に使いづらいと感じるようになりました。何が使いづらいのかわかりますか?

今日は4月の29日なので、ちょうど5月にめくったところですが、だからこそ使いづらさが目立つようになりました。そうです、このカレンダー、月初めや月末に前の月、次の月の日付が入っていないのです。

デザイン性重視のカレンダーですとこういうタイプはよくあると思いますし、これまでもそれほど気に留めていませんでした。しかし、在宅ワークの時間が多くなり、月跨ぎの時季にカレンダーで日付を確認しようとしたときに非常に不便であることに気づきました。やはり小さい文字でも構わないので、該当月以外の日付も印刷して欲しいと思いました。

カレンダーなので使うと言うよりも見ると言った方が正確ですが、こういう日用品って、ささやかなところではありますが、痒いところに手が届く必要がありますね。改めて思い知った次第です。

確か買ってあったような……

本日の朝日新聞に載っていた広告です。CSの衛星劇場で来月から中国時代劇「鬼谷子」がスタートするというお知らせです。

鬼谷子ってご存じでしょうか? 実在すら疑わしい、中国古代の思想家です。諸子百家の一人と言えばそうなのですが、現在伝わっている『鬼谷子』という書物も、伝説の鬼谷子に名を借りた後世の作品です。そもそも、中国古代史などに造詣が深い人であれば知っているかも知れませんが、一般の方にはほとんど知られていない歴史上の人物になります。

そんな鬼谷子の生涯を描いたドラマ、中国で作られるのはよいとして、それが日本のCS放送で放映されるなんて、ちょっと驚きです。もちろん、あたしのような中国史好きにとっては狂喜乱舞のことですが、は多々して一般の視聴者の受け止め方はどうなのでしょう?

ちなみに、『鬼谷子』は日本ではまとまった翻訳は出ていなかったと思います。中国でも『論語』や『老子』『史記』『三国志』といったメジャーな古典に比べあまりにもマイナーすぎて、原書と呼ばれるものも出版されていなかったと思います。

その後は、ポツリポツリと現代中国語訳や注釈などを加えたものが中国大陸で出版されるようになりましたが、数はそれほど多いとはいなかったと思います。マイナーだからこそ、これから研究を進める伸び代があるとも言えますが、研究を進めるほどの材料が揃っているのか否か……

かくいうあたしも、以前、そんな現代中国語訳の『鬼谷子』を買っていたはずなのですが、書架を見ても見つかりません。どこかへ紛れ込んでしまったのか、あるいは買ったと思ったのはあたしの思い込みで、実際には購入していなかったのか……

本を買うという体験

勤務先にて、最近の問い合わせで多いもの、それは教科書の購入についてです。教科書と言っても、いわゆる小中学校で使われる、文科省検定の教科書ではありません。大学の一般教養、語学の授業で使われるテキストの話、業界では「採用品」と呼ばれています。

その語学の教科書、例年ですと大学内にある書店、大学生協とかブックセンターと呼ばれるようなところで買ってもらうわけです。しかし今年は多くの大学でオンライン授業になっていて学生は大学キャンパスへ入ることもできなくなっています。

オンライン授業用の電子テキストとか教材のウェブ公開については著作権の弾力運用だとか、いろいろ施策も出ていますが、とにかく学生としてはテキストを手に入れなければなりませんし、教員としてもテキストを手に入れてもらわなければ話になりません。この点は他の一般教養科目と語学科目の違いかも知れません。

で、例年なら大学内の所定のところへ行って授業名や教員名を言えば、迷うことなく「それなら教科書はこれです」と言われ、それを疑いもせずに買うわけです。それでよいのです。しかし、今年はそんな「所定のところ」へ行くことができません。大学生協によっては学生へ直送するサービスをやっているところがあるとか、ないとか……

しかし、多くの学生は教員からの指示に従い、自分で本屋へ行って所定の教科書を買うことになっているようです。「本屋で本を買ってこい」と言われて、そんなことをしたことない学生も、昨今だと多いのでしょうね。まずはアマゾンを覗いてみるようです。しかし、アマゾンは日用品優先になっていて、多くの出版社の書籍が在庫切れ、入荷未定となっています。

「アマゾンで在庫切れ=品切れ」と思い込んでしまう人があまりにも多くて、業界人としてはそこの誤解をまずは正していかないとならないのですが、大学授業用のものですから、アマゾンに限らず一般の本屋さんでも普段は置いてなんかいません。注文取り寄せというのが基本なのです。大学内の「所定のところ」はあらかじめ教員から指示されているので学生の人数分を揃えて待っているわけであって、それが非常に特殊な本の売り方だと、やはり学生の方々に理解してもらうのは困難なようです。

で、うだうだ書いてきましたが、大学へ行けない、アマゾンも品切れ、近所の書店へ行っても置いていない(否、近所の書店は休業中だった!)となると最後の手段は直接出版社へ連絡だ、となります。というわけで、このところ電話が多くなっているのです。

学生の方からすると不親切と思われるかも知れませんが、あたしの勤務先の対応は、まずはオンラインでもリアルでも書店にご注文くださいと案内します。学生さんがいう教材はほぼ間違いなく品切れになっていることはなく、潤沢に在庫がありますので注文すれば取り寄せることができます。しかし、アマゾンの在庫切れの呪縛がなかなかのもので、どうやったら買えるのか、というところで引っかかってしまうようです。

その次は、直接販売ということになるのですが、あたしの勤務先の場合、まず先に郵便振替で代金を支払ってもらう形を取っています。そして送料もかかります。この方法がベストではない、お客さんにとっては不親切だしハードルも高いというのは重々承知しています。改善しなければならない最大の障壁だという自覚はあります。しかし、こればっかりはすぐに明日から変えられるものでもなく、現状ではこの方法になります。

そこで郵便振替の口座番号などを伝えるのですが、そもそも自分で郵便局へ行って振り替えなんてやったことがない、振り替えの用紙なんて見たことがない、という学生さんも多いようで、こちらの言っていることが正確に伝わっているのか電話口で不安になることもあります。振替用紙同封でこちらから先に送るということはしていないのですが、これも早くテキストを手に入れたいお客さんにはもどかしいところでしょう。

今回のコロナウイルス騒ぎで、日常業務の不備というか至らぬところが見えてきたわけです。やはりサービス業ですから、どれだけ読者にサービスを提供できるかという点にもっと注力していかなければならないんだなあと改めて自覚した次第です。