Nancy Sensual World

このたび、「染井吉野ナンシーの官能世界」は引っ越しました。新しい世界はこちらになります。今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。 自動では新しい世界に飛びませんので悪しからず……

新着ニュース

まもなく自著も刊行予定

今日も朝日新聞です。

元フィギュアスケート選手の町田樹選手が本を紹介している記事です。

この町田選手、近々あたしの勤務先から書籍を刊行いたします。それが『アーティスティックスポーツ研究序説 フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論』です。

フィギュアスケート選手時代の写真ではありません。タイトルからもわかるとおり立派な研究書です。アーティスティックスポーツというと、少し前から名称が変わったシンクロナイズドスイミングが有名など思いますが、こういった、誰にでもわかりやすい数値で順位や勝ち負けが判定されるのではなく、芸術性や表現力などを競う競技はなかなか奥深いものがありますね。

› 続きを読む

最近のRockfield's Diary

翻訳の最前線?

昨日は四ッ谷にある韓国文化院翻訳フェスティバルでした。かなり大きなホールでしたが事前予約で満席という盛況ぶりでした。

第一部は「本が生まれる現場から」と題して、晶文社、新潮社、白水社、クオンの編集者が翻訳作品を作る、出版するにあたって考えなどを披瀝、第二部は「翻訳の仕事最前線」として5名の翻訳家の方が実際の翻訳作業について、翻訳という仕事について語りました。そして最後の第三部は「翻訳コンクール」の授賞式でした。どれも興味深く、楽しいひとときでした。

個人的には、やはり出版社の営業として、第一部の編集サイドの意見というのは面白く聞けるものの、営業としてはまた異なった立場、考え方もあるだろうなあと感じました。もし機会があるのであれば、同じ出版社の営業部の人に登壇してもらって、翻訳作品について語ってもらうのも面白いかも知れません。

さて会場は、場所や主催者の関係もあり、韓国語や韓国文学に興味のある方が多かったのでしょうか? 業界関係者も少なからずいたようですが、多くのは翻訳家の卵のような方が多かったのではないか、という印象を受けました。翻訳コンクールに応募したけど選には漏れてしまった方もいたのだと思います。

あたしのこの印象が正しかったとして、今回のイベントがそういう方々にとって「これからも翻訳を続けていこう」という励みになったのか否か。いきなり出版社に自身で翻訳したものを持ち込んでもほぼ採用されることはないということでショックを受けた方も多かったのではないでしょうか? ただし、出版社としてもいつまでも同じ翻訳家にだけ頼っていることはできません。こういっては失礼ですが、翻訳家の方だって年をとりますし、いずれはお亡くなりになります。死んでしまっては翻訳を頼むことはできませんから、新たな翻訳家の発掘は出版社としても死活問題です。

もちろん生前においても、若い作家の作品を年老いた翻訳家が翻訳するというのはどうなのか、登壇されていた金原瑞人さんも多少ニュアンスは異なりますが、そんなようなことを語っていました。感覚にしろ言葉遣いにしろ語彙の選択にしろ、若いからこそ出てくるものってあるはずですので、そういう意味でも出版社は多くの翻訳家の方を、キープという言い方は失礼かも知れませんが、知り合っておきたいと考えているはずです。

まあ、独りでコツコツと作業をしている人がどれだけいるのか知りませんが、たいていの方は翻訳家の方がやっている翻訳教室や翻訳講座のようなものに通っているはずですので、その翻訳家の方を通じて出版社の人間を紹介してもらうのが一番の近道ではないでしょうか。出版社としても、ふだん仕事をしている翻訳家からの紹介であれば無視もできないでしょうし。

個人的には、第二部の座談、五名の方はアメリカ、ドイツ、台湾、イタリア、韓国の翻訳を主に手がけている方々でしたが、アメリカを除けばやはり翻訳の世界では少数派です。このあたりの、同じ翻訳家と言っても立場の違い、市場の違いに対する意識のずれやギャップが面白かったですし、興味深かったです。必ずしも英米が恵まれているわけでもないんだなあと感じました。

「戦争を考える→戦争を読む」ガイブンの新刊2点

奥のほそ道』は未読なのですが『ぼくの兄の場合』は読了しました。一方を読んでいないのに語るなと言われそうですが……

 

実はこの二点、どちらも先の大戦をテーマにしている作品なのです。

ただ、そのアプローチはまるで異なります。

『ぼくの兄の場合』は戦争に行った兄と、その兄の残した日記を頼りに戦後、それを追体験する弟。戦争が身近でありつつも距離をおく弟の姿。カラッとしたものを感じます。

一方の『奥のほそ道』は泰緬鉄道の建設現場が舞台です。熱帯のジャングル、体にまとわりつくような湿度、捕虜の苛酷な状況。まさしく戦争という世界。

どちらも史実をベースにしつつもフィクションとして描かれています。「戦争を考えるフェア」と言うと人文書コーナーの専売特許のような雰囲気もありますが、こういう作品も混ぜてもよいかと思いますし、あるいはこういう作品を集め、文芸書コーナーで「戦争を読むフェア」をやってもよいのかも知れませんね。