ジャック・ロンドン 著/辻井栄滋 訳
20世紀初めのアメリカ西海岸オークランド。若い船乗りマーティン・イーデンは、裕福な中産階級の女性ルースに出会い、その美しさと知性に惹かれるとともに文学への関心に目覚める。生活をあらため、図書館の本を読み漁り、独学で文法と教養を身につけたマーティンは作家を志し、海上での体験談、小説や詩、評論を次々に書いて新聞や雑誌に送るが一向に売れず、人生の真実をとらえたと思った作品はルースにも理解されない。生活は困窮し、絶望にかられ文学を諦めかけたとき、彼の運命は一転する。
志水宏吉 著
現在の日本は「ペアレントクラシー」(親の影響力が強い社会)という言葉で表現できるほど、生まれた家庭によって、その後の人生に大きな格差が生じる社会となっている。親の経済力と子どもの学力の相関関係は年々高まり教育の場が階層固定の「装置」となりつつあるのだ。教育社会学の泰斗である著者が、生徒、保護者、学校、教育行政の現状と課題を照射し学校現場の実相を描き、教育公正の実現に求められる策を提言する。
奥泉光、加藤陽子 著
戦争を知り尽くした小説家と歴史家が、日本近代の画期をなした言葉や史料を読み解き、それぞれが必読と推す文芸作品や手記などにも触れつつ、徹底考察。「わかりやすい物語」に抗して交わされ続ける対話。「ポツダム宣言」「終戦の詔書」を読む解説コラムも収録。
黒川祐次 著
ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながらも、独自の文化を失わず、有為の人材を輩出し続けたウクライナ。不撓不屈のアイデンティティは、どのように育まれてきたのか。スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍から、一九九一年の新生ウクライナ誕生まで、この地をめぐる歴史を俯瞰。人口五〇〇〇万を数え、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い国土を持つ、知られざる「大国」の素顔に迫る。
小林章夫 著/新井潤美 解説
イギリスの貴族は、国の主導者として法律を作り、政治を司り、軍隊を指揮する一方で、宏壮な邸宅では社交、狩猟、スポーツに熱中した。今では世界中に広がる「英国的」な文化にも、彼らエリートが育んだものが多い。イギリスを知るには、貴族への理解が不可欠なのだ。とはいえ、そうした貴族の実態は、多くのイギリス人にとって謎に包まれてきた。たとえば、貴族の身分はどのように決まるのか、カントリー・ハウスでの豪奢な生活はどのようなものか。貴族と紳士の違いは何か。どのような社会的役割を果たし、他方で社交に興じていたのか。そもそも、貴族の起源とは? 多くの事例とともに、軽妙な語り口でわかりやすく紹介する好著。
游珮芸、周見信 著/倉本知明 訳
一九五〇年、無実の罪で逮捕された蔡焜霖は、激しい拷問に遭い、自白を強要され、政治犯として収容される。出獄までの長くつらい十年間、支えになったのは家族の手紙や、収容された人びととの友情だった。
游珮芸、周見信 著/倉本知明 訳
一九三〇年、日本統治時代の台湾に生まれた蔡焜霖は、教育者になることを夢見て育った。戦争の色濃い時代は日本の敗戦で終わったが、戦後は国民党政権による新たな支配が始まり、ある日憲兵が訪ねてきて……。

満映秘史
栄華、崩壊、中国映画草創
石井妙子、岸富美子 著
社史すら存在しない封印史。満洲崩壊後、いったい何が起きたのか? 最後の満映社員が遺した衝撃の「事実」の数々。
宝樹 著/大森望、光吉さくら、ワン・チャイ 訳
《三体》の熱狂的ファンだった著者・宝樹は、第三部『死神永生』を読み終えた直後、喪失感に耐えかねて、三体宇宙の空白を埋める物語を勝手に執筆。それをネットに投稿したところ絶大な反響を呼び、《三体》著者・劉慈欣の公認を得て、《三体》の版元から刊行されることに……。ファンなら誰もが知りたかった裏側がすべて描かれる、衝撃の公式外伝(スピンオフ)。
森田健嗣 監訳/台湾中央研究院デジタル文化センター 訳
台湾で人気を博したベストセラー書籍「台北歴史地図散歩」の日本語版がついに登場。台北の歴史と文化、街の移り変わりを、貴重な記録写真や古地図でたどります。台北のなりたちから始まり、経済の発展、日本統治時代の庶民の文化・風俗まで……。現在の地図と古地図を照らし合わせ、さまざまな側面から台北の変遷を紹介します。また、本書と連動するアプリを使えば、実際に台北の街を歩きながら過去の街の姿をスマートフォンで見ることができます。