柴田元幸、小島敬太 編訳
謎マシン、謎世界コンタクト、謎の眠り……。朗読劇『銀河鉄道の夜』で10年にわたって共演し、文学的感性が共鳴しあう柴田元幸と小島敬太が贈る魅惑の〈謎SF〉アンソロジー。中国・広州に活動拠点を移した小島は、SFブームに沸く中国に滞在中に買いあさり読みあさってきた中から、柴田はアメリカの現代文学最前線をさらに掘り進め、選りすぐりの面白いSF作品を披露しあう。知性が閃き、弾けるユーモア、謎めいた想像力が漂い出る、本邦初の書籍化・全7作品の共演。
デニス ジョンソン 著/藤井光 訳
1963年、ケネディ大統領暗殺がラジオで報じられるシーンから物語は始まる。日本軍の捕虜になった経験をもち、戦争が人生のすべての元米軍大佐サンズと、その甥スキップによる、ベトナム戦争での情報作戦を中心に展開する。兵士として従軍するヒューストン兄弟、児童支援の看護師キャシー、大佐に付き従う軍曹ストーム、ベトナム人情報員グエンやチュンなど、大佐やスキップに惹きつけられ、翻弄され、戦争に憑かれていく登場人物たち……。作戦の全体像が見えないまま、物語はゆるやかに、うねるように進んでいく。中盤の「テト攻勢」の戦闘シーンをはじめ、荒々しい迫力をもつ描写、生き生きとした会話、凄みのある心理的内面が、随所にちりばめられる。大佐が密かに進める、<煙の樹>と呼ばれる情報作戦とは何なのか? かれらが長き旅路の果てにたどり着いた先に、果たして「救済」はあるのか?
神田茜 著
1967年生まれの理夏。19歳の頃バイトをしていたパン屋さん「アンゼリカ」が閉店すると聞き、30年ぶりに下北沢を訪れた。コーポ服部で過ごしたバイト仲間の秋子、元住人のちはると日々は楽しい時間だったが、やがて秋子に恋人ができ、すれ違い、バラバラになってしまい・・・・・・
ヴィルジニー デパント 著/齋藤可津子 訳
パリの調査会社に勤めるルーシーは、30代半ばになってもぱっとしない自分の生活や仕事に嫌気がさしていた。ある日、素行調査をしていた15歳の少女、ヴァランティーヌが行方不明になる。途方に暮れたルーシーは、裏社会で名をはせる凄腕の女性私立探偵、ハイエナに助けを求める。ヴァランティーヌの家族や友人に聞き込みを重ねるうち、少女がバルセロナに向かったことを知る。ルーシーとハイエナの凸凹コンビは一路、車で同地へ。ヴァランティーヌを見つけ出し、任務は完了したかのように思えた。あの日、あの事件を知らされるまでは――。
チョン・セラン 著/斎藤真理子 訳
女性への暴力や不条理が激しかったころ、美術家として作家として、時代に先駆けて生きたシム・シソン。ユーモアを忘れずにたくさんの仕事をし、二度結婚して四人の子供を育て、世の評判をものともしなかった人。そんな〈家長〉にならい、自由に成長してきた子供と孫たちは、彼女の死後十年にあたり、ハワイでたった一度きりのちょっと風変わりな祭祀を行うことにするが……
林田愼之助 訳
農耕生活を営みながら、農村の諸風景を詩のなかに写しとる才の見事さ。〈人の命はつなぎとめる根も蔕もなく、さっと散ってしまう路上の塵のようなもの〉と世のはかなさを詠じての余情――。六朝時代最高の詩人・陶淵明の作品は、古来多くの人に愛されてきた。しかし、詩人はたんなる田園の人ではない。儒教的理念がかなわぬことへの憤り、人生や社会との葛藤を内に抱えた人でもあった。「閑情賦」「帰去来兮辞」「桃花源記」をはじめとする、清新で奥行きのある文学世界のすべてを、味わい深い訳文と行き届いた語釈とともにおくる。待望の新訳注書。
閻連科 著/谷川毅 訳
千年に一度の大日照りの年。一本のトウモロコシの苗を守るため、村に残った老人と盲目の犬は、わずかな食料をネズミと奪い合い、水を求めてオオカミに立ち向かう。命をつなぐため、老人が選んだ驚くべき最後の手段とは? ノーベル文学賞の次期候補と目される、現代中国の巨匠が描く、《神話の世界》。本書は中国で、第二回魯迅文学賞、第八回『小説月報』百花賞、第四回上海優秀小説賞を受賞。数多くの外国語に翻訳され、フランスでは学生のための推薦図書にも選定。
出口治明 著
人類史を一気に見通すシリーズの第四巻。征服者が海を越え、銀による交易制度が確立、大洋を舞台とするグローバル経済が芽吹いた。大帝国繁栄の傍らで、宗教改革と血脈の王政が荒れ狂う危機の時代へ。
濱田麻矢 著
近代を迎え、学校という時限つきの楽園で高等教育を受けるようになった中国の少女たち。自己決定の希求。理想かつ強迫観念ともなった恋愛。女性同士の友情――。野心を胸に自分の居場所を探して冒険した女学生の二〇世紀を、女学校を経験した作家や女学生をまなざした男性作家が著した多彩なものがたりから読み解く。
神田桂一 著/川島小鳥 写真
2010年代の台湾には、日本の1960年代のように、人びとが「自由」を求め、自分なりの表現に取り組む熱気が渦巻いていた――。日本の企業社会に嫌気が差し、海外放浪の旅に出た著者は、その途上で訪れた台湾に魅せられる。そして現地の人びとと交流するうちに、台湾の対抗文化やDIYシーンの取材にのめり込んでいく。