古典について

古典について

吉川幸次郎 著

日本書紀の時代から、この国の基盤には大陸から摂取した文明の影響がありました。営々と築き上げられてきた日本の漢学文化は、中国古典の碩学、吉川幸次郎(1904-80年)の目にどのように映じていたのでしょうか。ふとしたことで手にした本居宣長『うひ山ぶみ』によって、宣長の「信徒」となったと告白する著者は、江戸時代に日本の漢学の全盛を見ます。伊藤仁斎や荻生徂徠を生んだ元禄・享保期の儒学と、戴震や段玉裁、王念孫ら清朝の儒学に共通性を見出して、それを「近世の覚醒」と名付け、日本における覚醒が実は100年近くも大陸に先んじていたことを指摘します。江戸時代に頂点を極めた漢学が、明治になって文化そのものが根本から変容していくことを万葉集の偏重に象徴的に見る第1部「古典について」、古代から江戸末期にいたる日本の漢学受容という類のない通史をコンパクトに描いた第2部「受容の歴史」、そして著者が愛してやまない儒者たちを素描した第3部「江戸の学者たち」。日本思想の基層をなす漢学という視座から、この国の学問的伝統を再発見する極上の教養書です。

2021年4月15日

はじめての動物倫理学

はじめての動物倫理学

田上孝一 著

ベジタリアンやビーガンといえば、日本ではいまだ「一部の極端な偏った人」と思われる風潮があるが、世界では、肉食と環境問題は密接にリンクした問題として認識が広まっている。動物倫理学は功利主義の立場から動物解放論をうたうピーター・シンガーを嚆矢とし、1970年代から欧米で真剣な議論と研究が積み重ねられ、いまや応用倫理学の中で確固とした地位を占めるに至った。本書は倫理学の基礎に始まり、肉食やペットなど具体的な問題を切り口に、いま求められる動物と人間の新たな関係を問う、動物倫理学の入門書である。

2021年4月12日

安いニッポン 「価格」が示す停滞

安いニッポン
「価格」が示す停滞

中藤玲 著

「日本の初任給はスイスの3分の1以下」、「日本のディズニーの入園料は、世界でもっとも安い水準」、「港区の平均所得1200万円はサンフランシスコでは『低所得』」、「日本の30歳代IT人材の年収はアメリカの半額以下」……。ときには、新興国からみても「安い」国となりつつある日本の現状について、物価、人材、不動産など、さまざまな方面から記者が取材。コロナ禍を経てこのまま少しずつ貧しい国になるしかないのか。脱却の出口はあるか。取材と調査から現状を伝え、識者の意見にその解決の糸口を探る。

2021年4月12日

後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線

後期日中戦争
太平洋戦争下の中国戦線

広中一成 著

日本人は、日中戦争を未だ知らない。1937年の盧溝橋事件、南京事件や38年の重慶爆撃までは有名だ。しかし、41年12月の太平洋戦争開戦後、中国戦線で日本軍がどのような作戦を展開していたのかは、対米戦の陰に隠れ、意外な程に知られていない。主要作戦に従軍し続けた名古屋第三師団の軌跡から、泥沼の戦いとなった中国戦線の実像を描く! 新たな日中戦争史。

2021年4月9日

電車のおじさん

電車のおじさん

辛酸なめ子 著

総武線の通勤ラッシュに揉まれながら、今日もお茶の水の文房具会社に出勤するOL・玉恵。そんなある日通勤電車内で、玉恵は、突然知らないおじさんの怒鳴られる。玉恵は、そのむかつくおじさんのことを毎日毎日思いだし、いつしか脳内にそのおじさんの幻影を飼い慣らしてしまう。もう二度と会うことのない人だと思っていたおじさんを、たまたま街角で見かけた玉恵は、そっとあとをつけてみることに。そんなことを繰り返すうちに最悪な出会いを果たしたはずのおじさんが、気になる存在となり、玉恵の心を大きく占め始め・・・・。

2021年4月9日

グレゴワールと老書店主

グレゴワールと老書店主

マルク・ロジェ 著/藤田真利子 訳

見習い介護士の青年グレゴワールが、老人介護施設で元書店主のピキエ老人に出会い、まったく無縁だった本の世界に足を踏み入れることに。ピキエ氏から朗読を頼まれ、彼の道案内にしたがって、さまざまな本に出会い、読書の魅力を知り、人々と出会い成長していく。本と友情、本と愛情、本と人生を描いた傑作。

2021年4月9日

水滸縦横談

水滸縦横談

井波律子 著

物語の中から厳選したキーワードから、まったく新しい視点で“中国四大奇書” の一つの魅力を解き明かす。水滸伝の壮大な物語にちりばめられた数多くのエピソードの中からキーワードを厳選し、そこから水滸伝の背景にある当時の中国の風俗・生活習慣までを浮き彫りにする。

2021年4月9日