
北魏史
洛陽遷都の前と後
窪添慶文 著
3世紀初めからの約400年、中国は巨大な分裂期であった。その中で鮮卑族拓跋氏の建てた北魏王朝は、前身と後継政権を含めるとほぼ同じに近い長い期間、国を維持する。その間、1草原の部族連合国家→2華北を支配するものの胡族支配の色彩を濃厚に残す帝国→3胡漢を一体化して中華の地を統治する帝国と、大きくそのあり方を変える。2から3への劇的な転換の舵を切ったのが孝文帝である。本書は改革を象徴する洛陽遷都を序章に置き、五章に分けて、改革の内実、それに至る12、改革の結果という順序で叙述する。そして終章として、秦漢と隋唐という二つの統一帝国の間にあって北魏という「異民族」政権がいかなる意義をもっていたかを考察する。

眠れる美男
李昂 著/藤井省三 訳
元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷は、行きつけのフィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。少数民族の出身で、眉目秀麗な彼―パンの、色白の肌の下に潜んだしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。そしてある夜、パンを別荘に招いた殷殷は、彼に眠り薬を盛るのだった・・・

いまこそ「社会主義」
混迷する世界を読み解く補助線
池上彰、的場昭弘 著
コロナ禍で、セーフティネットの大事さを誰もが知った。格差の極大化と、中間層の貧困への転落は世界的にすすみ、
米国のサンダース現象が示すように「社会主義」に熱狂する若者も多い。経済成長オンリーから、幸福を感じながら暮らせる社会へ。世界の潮目が変わろうとしている。「社会主義」を考えることは、私たちの明日を考えることなのだ。

世界哲学史 別巻
未来をひらく
伊藤邦武、山内志朗、中島隆博、納富信留 編
『世界哲学史』全八巻では、古代から現代までの哲学史を総勢一〇二名の知を結集して叙述してきた。それを踏まえてこの別巻では、まず編集委員が全八巻で明らかになった論点を検証し、論じ尽くされていない課題を明らかにする。さらに追究すべき非西洋の哲学や、宗教思想と哲学の間の問題、西洋哲学自体で見過ごされてきた論点などの残された課題を、編集委員と一三人の専門研究者で考察していく。哲学の未来に向けての課題を幅広く論じる。『世界哲学史』のシリーズ総決算。

アメリカ黒人史
奴隷制からBLMまで
ジェームス・M・バーダマン 著/森本豊富 訳
奴隷制が始まって以来、黒人は白人による差別や迫害に常に遭ってきた。奴隷船やプランテーションでの非人間的な扱いを生き延び、解放され自由民になっても、「約束の地」である北部に逃れても、彼らが人種差別から解放されることはなかった。400年にわたり黒人の生活と命を脅かしつづけてきた差別と、地下鉄道、公民権運動、そしてブラック・ライヴズ・マター(BLM)に至る「たたかい」の歴史を、アメリカ南部出身の著者が解説する。名著『アメリカ黒人の歴史』(NHKブックス)を大改訂、新たに2章を書き下ろしして刊行。写真など図版も大幅に追加。

特別な友情
フランスBL小説セレクション
ロジェ・ペールフィット、アンドレ・ジッド、ロジェ・マルタン・デュ・ガール、マルセル・プルースト、ポール・ヴェルレーヌ、アルチュール・ランボー、ラシルド、ジャン・コクトー、ジャコモ・カサノヴァ、ジャン・ジュネ、ジョリ= カルル・ユイスマンス、マルキ・ド・サド(サド侯爵) 著/芳川泰久、森井良、中島万紀子、朝吹三吉 訳
ラベンダーの香り立ちこめる寄宿舎の暗がりで、栗色の髪の高貴な僕と美しい君は、神の目を盗んで今夜結ばれる。ランボー、コクト ー、ジッド……。憧れの人との初恋が幼い心弾ませるブロマンスから、固く組み敷かれた受難の小羊が、甘い罰に呻くハードコアまで。輝かしいフランス文学の一隅に息づく、美少年たちの「友情以上の熱い関係」の物語を耽美な新訳で味わう、あなたを満たす12篇。

人新世の「資本論」
斎藤幸平 著
人類の経済活動が地球を破壊する「人新世」=環境危機の時代。気候変動を放置すれば、この社会は野蛮状態に陥るだろう。それを阻止するためには資本主義の際限なき利潤追求を止めなければならないが、資本主義を捨てた文明に繁栄などありうるのか。いや、危機の解決策はある。ヒントは、著者が発掘した晩期マルクスの思想の中に眠っていた。世界的に注目を浴びる俊英が、豊かな未来社会への道筋を具体的に描きだす!

みんなの民俗学
ヴァナキュラーってなんだ?
島村恭則 著
民俗学が田舎の風習を調べるだけの学問というのは誤解だ。キャンパスの七不思議やわが家のルール、喫茶店モーニングやB級グルメといった現代の日常も、民俗学の視点で探ることができる。本書ではこれらの身近なものをヴァナキュラーと呼んで〈現代民俗学〉の研究対象とした。発祥の経緯やその後の広がりを、数々のユニークなフィールドワークで明らかにする。

『三国志』の英雄 曹操
林田愼之助 著
本書は、『三国志演義』などによって形成された「悪人」曹操という虚像を排し、当時の常識的な思考を超越した武将、また時代に突出していた詩人としての曹操の実像を鮮明に描き出した、最新の書き下ろし作品である。

『三国志の英雄』 劉備玄德と孫権
林田慎之助 著
『三国志』の時代に覇業を達成したのは、魏の曹操、蜀の劉備玄德、呉の孫権である。本書は同一著者による『三国志の英雄』の第2弾で、劉備玄德と孫権が覇者たり得た人間的魅力をつぶさにみる。