イヴリン・ウオー 著/富山太佳夫 訳
「あなたも学校の先生におなりで。猥褻行為で退学の学生さんは大半がそうですから」。学友の乱痴気パーティに巻きこまれ、あげくに放校処分をくらってしまったポール・ペニフェザー君。わけ知り顔の門番の言葉におくられ、教職斡旋所の門をくぐるが……。かくして我らが主人公の多事多難な人生航路が始まる。抱腹絶倒の滑稽小説。
イヴリン・ウオー 著/富山太佳夫 訳
「あなたも学校の先生におなりで。猥褻行為で退学の学生さんは大半がそうですから」。学友の乱痴気パーティに巻きこまれ、あげくに放校処分をくらってしまったポール・ペニフェザー君。わけ知り顔の門番の言葉におくられ、教職斡旋所の門をくぐるが……。かくして我らが主人公の多事多難な人生航路が始まる。抱腹絶倒の滑稽小説。
サド 著/植田祐次 訳
孤児になり、修道院を追われたジュリエットとジュスチーヌのふたり。姉は美貌を利用しすすんで淫蕩に身を任せ、やすやすと出世を果たすが、純真な妹ジュスチーヌは、美徳をかたく守りつづけたために、くりかえし悪徳にもてあそばれる。バスチーユの牢獄の中で執筆され、革命後パリで刊行された思想小説。本邦初訳。
残雪 著/近藤直子 訳
若き絶世の美女であり皺だらけの老婆、煎り豆屋であり国家諜報員――X女史が五香街(ウーシャンチェ)をとりまく熱愛と殺意の包囲を突破する!世界文学の異端にして中国を代表する作家が紡ぐ想像力の極北。カフカやピンチョンと並ぶ天衣無縫の想像力。現代中国の鬼才による代表作が、ついに文庫化。X女史の年齢は諸説紛々二十八通りあり、ピンは五十歳からキリは二十二歳まで。容姿は「皺だらけ」とも「性感(セクシー)」とも噂され、小さな煎り豆屋を営みながら、裏で五香街(ウーシャンチェ)の住人たちを狂気へと誘う……。
松本はる香 編著
アメリカのペンス副大統領による「新冷戦」演説(2018年10月)は世界中に衝撃を与えた。この演説が重要なのは、トランプ大統領の対中スタンスにとどまらず、米国全体の不満を代弁したからである。この流れは、米中貿易戦争やコロナ禍を経て、いっそう強化されている。ポンペオ国務長官が20年7月、これまでの対中関与政策を全面否定し、「新冷戦」演説からさらに踏み込んだ発言を行ったのは記憶に新しい。「戦争前夜」(グレアム・アリソン)とも形容される米中関係が時代の基調となるのは間違いない。他方、「大国の論理」という眼鏡だけでは現状を大きく見誤るだろう。安易な陰謀論や中国脅威論はその産物であるが、いつも現実はより複雑である。本書は、北東アジアという観点から中国外交を再検証する試みである。この地平から眺めると、「新冷戦」は全く異なる相貌を帯びてくる。「一帯一路」でロシアの顔をうかがい、北朝鮮を制御できず、安倍外交を警戒する中国の姿がそこに浮かぶ。緊迫する中台関係も「翻弄されたのは中国か台湾か」見極めが難しい。アジア経済研究所による、覇権争いの「罠」に陥らないための最新の分析。
私はゼブラ
エクス・リブリス
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ 著/木原善彦 訳
「文学以外の何ものをも愛してはならない」。父から教え込まれた家訓を胸に、若き文学至上主義者ゼブラが、文学に時に救われ、時に囚われながら、度重なる亡命で分裂した自己を取り戻し、新たな愛に目覚めていくピカレスク小説。主要メディアが絶賛、イラン系アメリカ人作家による現代版『ドン・キホーテ』。独学・反権力・無神論の3つの柱を掲げ、冒頭の教えを家訓とするホッセイニ一族。その末裔として生まれたゼブラは、5歳のとき、サダム・フセインが仕掛けた戦争で混乱したイランを脱出する。トルコ、スペインと亡命を重ね、最後に渡った“新世界”アメリカでも父娘に居場所はない。22歳になったゼブラは、父の死で天涯孤独となり、一大決心をする―亡命生活で分裂した自己を取り戻すため、亡命の旅路を逆からたどり直そう、と。アメリカでの唯一の師の力添えで、ゼブラは“亡命の大旅行”をスタートする。バルセロナで彼女を出迎えたのは、イタリアから亡命してきた若き文献学者のルード・ベンボ。二人はすぐに惹かれ合うが、愛に臆病なゼブラは文学の鎧―過去の偉大な作家たちの言葉―で身を固め、ドン・キホーテのごとく不条理な奮闘を続ける……。
宮崎紀秀 著
2019年末、武漢ではすでに奇妙な肺炎の存在が確認されていた。しかし、警鐘を鳴らした医師たち、現場で真相をルポしたジャーナリストたちは、共産党によって沈黙させられる。おりしも年末から春節へと向かう時期。浮かれ気分で危機感皆無だった習近平指導部の初期対応で、新型コロナウイルスは全世界にばらまかれることになる──。猛烈な危機の拡大とその封じ込めの過程で、共産党中国は何を隠し、何を犠牲にしたのか。北京在住の記者による戦慄のレポート。
シルクロード世界史
講談社選書メチエ
森安孝夫 著
かつて、「歴史」を必要としたのは権力者だった。権力者は自らの支配を正当化するために歴史を書かせた。歴史家は往々にして、権力者に奉仕する者だったのである。しかし、近代歴史学の使命は、権力を監視し、批判することにこそある。近代世界の覇権を握った西洋文明を相対化し、西洋中心史観と中華主義からの脱却を訴える、白熱の世界史講座。近代以前の世界では、中央ユーラシア諸民族の動向が、歴史を動かしていた。騎馬遊牧民はどのように登場し、その機動力と経済力は、いかに周辺諸国家に浸透していったのか。シルクロードのネットワークを媒介とした「前近代世界システム論」とは。ソグド人やウイグル人のキャラバン交易や、キリスト教の最大のライバルだったマニ教の動向などを、ユーラシア各地に残る古文書、石碑の読解から得たオリジナルな研究成果をもとに解明していく。そこから見えてくるのは、あらゆるモノは歴史的所産であり、文化・言語・思想から、政治・経済活動まで、すべては変化し混ざり合って生み出され、純粋な民族文化や普遍的な国家など存在しない、という真実である。さらに、近年日本で発見されて世界的な注目を浴びるマニ教絵画から、日本伝来の史料で明らかになるシルクロードの実像まで。「興亡の世界史」シリーズ最大の話題作『シルクロードと唐帝国』の著者による、待望の書下ろし。
方方 著/飯塚容、渡辺新一 訳
新型コロナウイルス蔓延による1100万都市の完全封鎖。2020年1月25日、封鎖の2日後から、武漢在住の作家・方方(ファンファン)が自身のブログ上で武漢の実情を伝える日記を書き始めた。⾝近な⼈が次々と死んでいく悲惨な状況、⾷料品やマスクの不⾜、医療現場の疲弊と焦燥……未曾有の災厄に対して個⼈はどうあるべきかを真摯に綴り、不安を抱える⼈々に「真実」を知る⼿がかりや大きな⼼の慰めを与え、深夜一二時の更新を待ち望む読者は「億単位」とも⾔われた。前例のない都市封鎖下、称賛と批判の嵐のなかで発信し続けた〈真実〉の記録、混迷のいまを生きるすべての人へ贈る希望の書。
柴崎友香 著
大根のない町で大根を育て大根の物語を考える人、屋上にある部屋ばかり探して住む男、周囲の開発がつづいても残り続けるラーメン屋「未来軒」、大型フェリーの発着がなくなり打ち捨てられた後リゾートホテルが建った埠頭で宇宙へ行く新型航空機を見る人々……この星にあった、だれも知らない、だれかの物語。人間と時間の不思議がつまった33篇。作家生活20周年の新境地物語集。