このご時世にガイブンが売れているそうです

下の写真は、青山ブックセンター六本木店です。

何をやっているのかと言いますと、「編集者が選ぶ この海外小説が面白い! 2016」というフェアです。少し前にこのダイアリーにも書いた、ガイブンリーガーの方々がお薦めする海外小説がコメント付きで並べられています。

これだけ揃うと壮観です。一つ一つのポップを丹念に読んでいる方もいらっしゃいます。

お店の方曰く、予想以上に売れ行きで、補充が間に合わないくらいです、とのこと。ガイブンが売れないというこのご時世になんということでしょう!

ブームに乗っかったわけではない!

新刊『インド独立の志士「朝子」』の配本日だった昨日、朝日新聞にこんな一面広告が載っていました。

人気の朝ドラ「あさが来た」関連の書籍情報です。確かに書店を回っていても「広岡浅子」関連書籍は目に付きます。「あれ? あさこ? 発音だけは同じですね」などという冗談からブームにあやかろうというのではありませんが、こちらの「あさこ(朝子)」もかなりの人物です。

 

というわけで、紙面の上に書籍を並べてみました。もちろん、あたしの勤務先の「朝子」は広岡浅子とは何の関係もありません。むしろ『中村屋のボース』と並べていただきたい本です。

打率4割?

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唇を奪われる!

満員電車。

信号機故障か人身事故でもあったのか、とにかく久々の混雑。少し前、東京で雪が降ってダイヤが乱れた日、電車に乗り切れないほどの人がホームに溢れ、ホームに入りきれないほどの人が改札の外に溢れた、あの日を思い出させるような混み方。

とりあえず、あたしは車内。苦しい体勢ではありますが、なんとか立っていられる状態。もちろん、本を読んだりスマホをいじくるような余裕はありません。とにかく体勢の維持、倒れないよう、転ばないように気をつけるのが精一杯。なにせ手が動かせないので、手すりや吊り輪に掴まることもママなりません。

そんなあたしの目の前に若い女性。若いと言っても中高生と言うほどではなく、たぶん30歳前後のOL。この混雑なので、どちらが意図したわけでもなく、向き合うような体勢になってしまっていました。たぶん、恋人同士でもこれほど密着することはあまりないのではないか、と思われるほど体が密着していて、お互いに顔をどちらへ向けていればよいのか、困ったような感じで電車に揺られています。

が、次の瞬間、電車が揺れ、社内全体が波のように大きく動き、よろけた拍子に、なんと、あたしの口とその女性の口が重なってしまったではありませんか! 「えっ、キス? しちゃった?」

慌てて顔を離すものの、相変わらずの混雑ですから、その場を立ち去ることもかなわず、気まずいムードが……

(-_-;)

(-_-;)

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(-_-;)

(-_-;)

(-_-;)

という夢。

あたし、欲求不満でもたまっているのでしょうか?

鳴り物入り?

どうしたら本が売れるのでしょうか?

とにかくたくさん作って、たくさん作れば安くできるから、多くの書店に並べてもらって、多くの人の目に触れる機会を作れば売れるのでしょうか?

そんなわけないことは自分が一番よくわかっています。

安いにこしたことはないけれど、安ければ売れるというわけではないのも事実です。

でも弱小出版社の哀しさというか、僻みですね、どんな書店に行っても店内の目立つ場所にドーンと積んである他社の本を見ていると、そんな気にもなってしまいます。

でも次の刹那、「あんなに積んだからと言って売れるわけじゃないんだよね」という思いがフツフツと湧いてきます。前の週に山のように積んであった書籍が、翌週にはきれいさっぱりなくなっているのは日常茶飯事です。全部売れたということもあるでしょうが、多くは「それほど売れず裏の倉庫に仕舞われた、あるいは返品された」という運命のはずです。そんなに片っ端から売れていたら「出版不況」なんて、とうの昔に終わっているはずです。

ただ、書店で本がたくさん積んである場合、頼みもしないのに勝手に入荷した、出版社の人に頼まれてちょっと多めに仕入れてみた、自分で売れると判断したから大量に仕入れた、という三通りのパターンがあると思います。最後の例であればよい結果が生まれる可能性が高いわけで、「売れる」と判断してもらうためには、やはり営業マンの営業トーク力がものを言うのではないかと思います。となると、二番目のパターンに近いかもしれませんね。

それはともかく、積めば売れるというものではないけれど、ある程度見せる場を作らないと売れるものも売れなくなってしまうというのも事実です。しかし、見せる場を作るまではなんとかできても、つまり積んでもらうところまでは営業力でできるとしても、それが実際に売れるためには、更に何をしたらよいのでしょうか?

なんで、改めてこんなことを書いているかと言うと、ネットでこんなニュースを見たからです。

広瀬すず主演『ちはやふる』、期待はずれの4位発進!

出版ではなく映画業界、芸能界の話です。当然、出版業界とはかかっているお金の桁が違うはずですが、プロモーションにしろ、市場リサーチにしろ、相当入念にやっているはずです。それでこういう結果。もちろん、一週目だけで判断するのはよくなくて、本だって刊行からしばらくたってから売れ始めるものもたくさんあります。後からの巻き返しもゼロ・パーセントということはないでしょう。

でも、過去の例から見て、初週の動きで結果はだいたい判断できてしまうのでしょう。だから、こんな風に書かれるわけですから。当然のことながら、映画会社の営業マンは、われわれ出版社の営業なんかとは比べものにならないくらい営業努力をしていると思います。それでも、こんな結果。

結局、ブームというかヒットというのって、なかなか制作サイドの思うようには作り出せないということなんですよね。確かに本だって、事前の期待を裏切るものもあれば、さほど期待していなかったのに売れに売れるものがありますから。

新聞記事に絡めていくつか……

朝日新聞の記事から気になったものをピックアップ。

まずは地政学の記事。

参考文献には挙がっていませんが、文庫クセジュにも『100の地点でわかる地政学』という一冊があります。

世界のホットな100の場所を挙げて解説しているものです。クセジュですからフランス目線、それが日本人読者には新鮮なのではないでしょうか?

続いてはガンディーの記事。あたしが子どもの頃は「ガンジー」という表記だったはずですが……(汗)

それはともかく『アジア再興』はジャマールッディーン・アフガーニー、梁啓超、たごーるがメインのノンフィクションですが、実はガンディーも影の主役のように見え隠れしています。ガンディーが主人公ではないからこそ、ガンディーの存在が客観的に見えてくる、そんな本です。

そして最後に震災と書店の記事。

この記事の中の鹿島ブックセンターの鈴木さんには「人文会ニュース」の118号に寄稿していただいたことがあります。

この号には岩手・宮城・福島の書店員の方に震災後3年の現状を書いていただいた特集が掲載されていますので、是非ご覧ください。

風化させないと思いつつ……

うっかりしていましたが、昨日はあの地下鉄サリン事件の日。1995年のことですから、あれから21年になるのですね。確か阪神・淡路大震災と同じ年だったはず。

あたし自身は、その日は『白水社中国語辞典』の校正のため、今は亡き伊地智善継先生のご自宅へ向かう出張でした。場所は大阪の枚方市でしたので、事件が報道されるころには新幹線の中、社内のテロップニュースで東京の地下鉄車内で異臭騒ぎ、というのを見ていた覚えがあります。異臭騒ぎ、その程度の認識しか持たずに伊地智先生のお宅へ到着したのが昼ころでした。

玄関を開けると、まだご健在だった先生の奥様が「あなた、大丈夫だったの?」と血相を変えた様子。「何かありましたか?」という、事情を飲み込めないあたしに「東京が大変なことになっている」と告げると、しばらく三人で、先生のお宅のリビングで、テレビから流れるサリン事件のニュースを魅入ったものでした。まさか、新幹線の中で美大衆騒ぎがこんな大きな事件になっているとは……

いま考えると、東京の地下鉄のうち数路線が狙われたわけですが、あたしの勤務先でも通勤で使っている社員が複数名いる路線でした。幸いにも、あたしの勤務先の同僚で被害に遭った者はいませんでしたが、ちょっと出勤時間がずれていたら、そしてあの車両に乗り合わせていたら、間違いなく被害に遭っていたことでしょう。本当に不幸中の幸いだと思います。

そして、そんな路線。20年以上だった今では、何事もなかったよに日々乗っています。あたしは通勤では地下鉄は使いませんが、書店営業では毎日のように事件のあった路線に乗っています。ここ数年は、「社内で不審物を見かけましたら……」の車内、構内アナウンスは目立たなくなりましたが、事件以降、地下鉄や電車に乗れなくなった人も大勢いると聞きます。

後にも先にも、そして世界を見回しても、いわゆるテロ組織でも犯罪組織でもない(と思われていた)団体が、拳銃や火炎瓶などではなく、神経ガスを使った無差別大量殺人は、この地下鉄サリン事件以外は起きていませんよね? アルカイダやISがテロを起こしても、多くは拳銃や爆弾といった、ある意味古典的な武器ばかり。こういった毒ガス、それも一見したところ、ペットボトルの水がまかれただけのような殺人兵器を使った犯罪。怖いものです。二度と起こされないために、その後日本の警察はどんな対策を立てているのでしょうか?