いまとなってはビギナーです

各社いろいろな文庫を出していまして、それをさらに売り伸ばそうと必死にアイデアを出しているようです。一発大ヒット作が出れば、文庫レーベルの知名度も上がり、書店の棚の占有率も上がるのでしょうが、そんなうまいこと狙って出来るものでもありません。

何かを仕掛けるとするならば、(文庫ではありませんが)《エクスプレス》が累計で150万部を突破したとか、《エクス・リブリス》が通巻100冊目になった、といったような節目を利用するというのが効果的ではないでしょうか。そんな節目の一つに創刊何周年というものがあります。

そこで文庫の話題に戻って角川文庫です。角川文庫は超有名、ヒット作もたくさんある、押しも押されぬ文庫界の雄です。その角川文庫とは別に「角川ソフィア文庫」というレーベルがあります。角川文庫に比べると「ソフィア」と名乗るとおり、ちょっと学芸色が強いラインナップです。

そんな角川ソフィア文庫の中の「ビギナーズクラシックス」が創刊20周年を迎えたそうです。それを記念して書店店頭にパンフレットが置いてありました。用意されているパンフレットは「ビギナーズ古典MAP」で中国編と日本編の二種類です。あたしは、一応は中国学で大学院修士を出ていますのでビギナーと言うことはないと思うのですが、この中国編をいただいてきました。

自宅の書架を眺めますと、ソフィア文庫はこのくらい架蔵していまして、その中でビギナーズクラシックスも数冊混じっています。すぐ上でビギナーではないと書きましたが、ここ数年感じるのは、出土文物の研究が進み、あたしが大学院で学んでいた時代とは学問・研究の前提がガラリと変わってしまっている、ということです。中国古典や中国史に関する文庫や新書を読んでいると、そのことを非常に強く感じます。

電子文献も整備され、古典の用例を検索するなどという作業はあっという間に終わります。どの文献が初見だといったことは何の研究成果にはならない時代です。あたしはそんな時代が訪れるギリギリのタイミングで就職し、学問の世界から離れました。ですので、時間的なブランクもそうですが、内容に関しても、既にあたしは中国学の専門家を名乗れるような資格はなく(元からなかったわけですが……汗)、全くのビギナーなのだと思い知らされています。

2026年10月23日 | カテゴリー : 罔殆庵博客 | 投稿者 : 染井吉野 ナンシー