
中国法
「依法治国」の公法と私法
小口彦太 著
中国法を理解することは、対中ビジネスを行ううえで不可欠なものである。認識の不十分さが深刻な事態を招いた事例は枚挙にいとまがない。そもそも中国法は、私法(物権法や契約法などの民法)と公法(憲法や刑事法など)とでまったく様相が異なる。例えば、経済の円滑な遂行を保証する中国契約法は、国際的な契約立法を取り入れた先進的な法である一方、憲法は立憲主義憲法とはまったく類型を異にしており、市民の精神的、身体的自由に対する公権力の容赦なき弾圧と拷問による自白強要が普遍化している。なぜ中国法はこのように複雑な相貌を有するのか。具体的な裁判例に即して、その謎を解いていく。

民主主義とは何か
宇野重規 著
トランプ大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。
民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。

デジタル化する新興国
先進国を超えるか、監視社会の到来か
伊藤亜聖 著
デジタル技術の発展は、新興国・途上国の姿を劇的に変えつつある。中国、インド、そしてアフリカ諸国は今や最先端技術の「実験場」と化し、スーパーアプリや決済などで先進国を超える面すら生じている。一方、デジタル化は良質な雇用を生まないのでは、権威主義国家による監視が強化されるのでは、と負の側面も懸念される。技術が増幅する「可能性とリスク」は新興国をいかに変えるか。そして日本はどうすべきなのか。

古代メソポタミア全史
シュメル、バビロニアからサーサーン朝ペルシアまで
小林登志子 著
人類初の文明は今から5000年前のメソポタミアに生まれた。灌漑農業、都市、文字など、現代の私たちにも必須な文明の要素は、すべてこのときにシュメル人が発明したものである。その後、「目には目を」で名高いハンムラビ王のバビロン第一王朝、初の世界帝国となった新アッシリアなど、数々の王朝が興亡を繰り広げる。本書は文明の起源からイスラームの登場まで、古代メソポタミア文明4000年の歴史を描く。

物語 東ドイツの歴史
分断国家の挑戦と挫折
河合信晴 著
一九四五年五月のベルリン陥落後、ドイツは英米仏ソの四ヵ国に分割占領された。四九年に東西に国家が樹立、九〇年に統一を果たすまで分断は続く。本書は、社会主義陣営に属し、米ソ対立の最前線にあった東ドイツの軌跡を追う。政治史を中心に、経済、外交、人びとの日常を丹念に描き出す。非人道的な独裁政治や秘密警察による監視という負のイメージで語られがちな実態に迫り、その像を一新する。

十五年戦争小史
江口圭一 著
満州事変、日中戦争、アジア太平洋戦争を一連の「十五年戦争」と捉え、戦争拡大に向かう曲折にみちた過程を克明に描いた画期的通史。解説・加藤陽子。

中東全史
イスラーム世界の二千年
バーナード・ルイス 著/白須英子 訳
キリスト教の勃興から20世紀末まで。中東学の世界的権威が、中東全域における二千年の歴史を一般読者に向けて書いた、イスラーム通史の決定版。

ペルシア帝国
青木健 著
なぜイラン高原の辺境から、世界史上に輝く二つの帝国が生まれたのか? ハカーマニシュ(アケメネス)朝とサーサーン朝、気鋭の研究者がその興亡を描く、世界史ファン待望の一冊!

中東政治入門
末近浩太 著
シリア内戦、「イスラーム国」、「アラブの春」、石油依存経済、パレスチナ問題……中東では今も多くの問題が起こっている。しかし報道や時事解説を通してこうした事実を「知る」ことはできても、「なぜ」起こったのか、その原因を「理解する」ことはなかなか難しい。本書は、中東政治学のエッセンスを紹介しながら、国家、独裁、紛争、石油、宗教という五つのテーマをめぐり、その「なぜ」を読み解いていく。中東という大きな課題に向きあっていくために必読の一冊。

名著ではじめる哲学入門
萱野稔人 著
本書は、近代の哲学者たちの名著を、「哲学」「人間」「国家」「政治」「権力」「存在」など、私たちが社会生活を営むうえで根幹となるものにグルーピングして、各項目3~5作品、1作品につき4、5ページのテキスト+イラストで構成します。著者は「哲学の効用とは、頭をよくしてくれること、そして物事をより明晰に理解させてくれることにある」と断言します。自分の住む世界とはいったい何なのだろうか……。名著を味わいながら、世界のしくみを新たな視点でとらえる哲学の実践的素養が身につく、至れり尽くせりの哲学入門書です。