大芦治 著
パヴロフの犬、ミルグラムの服従実験、マシュマロテスト、セリグマンの学習性無力感……。心理学の魅力は、精緻に練り上げられた実験手法と、それがあぶり出す人間の知られざる一面にある。「心」とそれにまつわる人間の活動を科学的に解明することをめざした近代心理学は、その当初から実験研究を重視してきた。本書では、そのなかから広く知られ、大きな影響力を持った30の実験をセレクト。それぞれの実験を心理学の流れのなかに位置づけ、その内容と影響を紹介していくことで、心理学という学問の歴史とその広がりを一望する。
松下憲一 著
中国の歴史は、統一王朝時代と分裂時代の繰り返しである。そして、漢族と北方遊牧民との対立と融合の歴史でもある。なかでも、秦漢帝国が滅亡した後の「魏晋南北朝時代」は、それまでの「中華」が崩壊し、「新たな中華」へと拡大・再編された大分裂時代だった。この「中国史の分水嶺」で主役を演じたのが、本書の主人公、拓跋部である。
長澤信子 著
36歳で著者が中国語を学び始めたとき、人は「ハダシでアルプスに登るようなものだ」「やめろ」と言った。「語学は若いうちに始めるほうがいい」かもしれない、しかし……。有言実行。学習を開始し4年、40歳で通訳になり、生涯中国語を仕事にした著者が、語学没頭の日々、効果的な学習法、人との出会い、言葉や文化の魅力を語る。中国語学習者だけではなく、語学を愛する人全員必読の名著。新たに写真を加え、1章を増補。
吉川幸次郎 著/高橋和巳 編
中国文学においてつねに主流・精髄と位置付けられてきた「詩文」。本書は、吉川幸次郎がその中国詩をめぐって書いた評論を選りすぐり、編者高橋和巳によって歴史順に編まれたものである。中国古典の世界に新たな風を吹き込んだ著者は、単に詩文の変遷を総覧するのみならず、ひとりの人間としての作者の心情に作品を結びつけ、現代日本の読者にいまいちど漢詩を生きた文学として読みなおしてみせる。先秦から唐宋を経て近代まで、長大な中国の歴史をつらぬく詩文の世界を、驚異的な学識をもって網羅し簡明に描き出した一冊。
楊双子 著/三浦裕子 訳
結婚から逃げる日本人作家・千鶴子と、お仕着せの許婚をもつ台湾人通訳・千鶴。
ふたりは底知れぬ食欲と“秘めた傷”をお供に、昭和十三年、台湾縦貫鉄道の旅に出る。
國分功一郎 著
自由は目的に抵抗する。そこにこそ人間の自由がある。にもかかわらず我々は「目的」に縛られ、大切なものを見失いつつあるのではないか――。コロナ危機以降の世界に対して覚えた違和感、その正体に哲学者が迫る。ソクラテスやアガンベン、アーレントらの議論をふまえ、消費と贅沢、自由と目的、行政権力と民主主義の相克などを考察、現代社会における哲学の役割を問う。名著『暇と退屈の倫理学』をより深化させた革新的論考。
稲田豊史 著
我々は、なぜかくもポテトチップスが好きなのか? 〈アメリカ〉の影、〈経済大国〉の夢、〈格差社会〉の波……。ポテトチップスを透かせば時代が見える。和洋折衷の完成形「のり塩」、洋食への憧れが育てた「コンソメパンチ」、団塊ジュニアを魅了した「ピザポテト」、ポテトチップスを軸に語る戦後食文化史×日本人論 。
奥田祥子 著
理想の女性に見下され、婚活に挫折した男性、育休をとったため、出世コースから巧妙に外された男性、生涯現役という甘い罠にはまり暴走した男性など、日本では多くの中年男性が「生きづらさ」を抱えているにもかかわらず、その苦悩がメディアに取り上げられることは少ない。本書では、恋愛・結婚から、定年後の生き方、職場での出世競争、わが子の育児、老親や妻の介護まで、人生の節目で男性たちが直面する問題を取り上げ、男性が背負わされている理不尽ともいえる現実をリアルにあばき出す!
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ 著/木下眞穂 訳
語り手は一匹のヤモリ。アンゴラの首都ルアンダで、フェリックス・ヴェントゥーラの家に棲みつき、彼の生活を観察している。ボルヘス、カフカ、ペソーアを彷彿とさせながら、アンゴラの非情な内戦が残した深い傷痕を、軽妙かつ詩的でミステリアスに綴る。25の言語に翻訳、2007年度インディペンデント紙外国文学賞受賞作。
赤染晶子 著
ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少女時代に読んだときは気づかなかったアンネの心の叫びが記されていた。やがて噂の真相も明らかとなり……。悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅を描く、感動の芥川賞受賞作。