重力と恩寵

重力と恩寵

シモーヌ・ヴェイユ 著/冨原眞弓 訳

たとえこの身が汚泥となりはてようと、なにひとつ穢さずにいたい──絶え間なく人間を襲う不幸=重力と、重力によって自らの魂を低めざるをえない人間。善・美・意味から引きはがされた真空状態で、恩寵のみが穢れを免れる道を示す。戦火の中でも、究極の純粋さを志向したヴェイユの深い内省の書。その生の声を伝える雑記帳(カイエ)からの新校訂版。

2023年3月2日

重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄

重力と恩寵
シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄

シモーヌ ヴェイユ 著/田辺保 訳

「重力」に似たものから、どうして免れればよいのか。―ただ「愚寵」によって、である。「恩寵は満たすものである。だが、恩寵をむかえ入れる真空のあるところにしかはって行けない」「そのまえに、すべてをもぎ取られることが必要である。何かしら絶望的なことが生じなければならない」。真空状態にまで、すべてをはぎ取られて神を待つ。苛烈な自己無化への志意に貫かれた独自の思索と、自らに妥協をゆるさぬ実践行為で知られる著者が、1940年から42年、大戦下に流浪の地マルセイユで書きとめた断想集。死後、ノート(カイエ)の形で残されていた思索群を、G・ティボンが編集して世に問い、大反響を巻き起こしたヴェイユの処女作品集。

2023年3月2日

満洲の日本人〈新装版〉

満洲の日本人〈新装版〉

塚瀬進 著

満洲事変まで、約20万の日本人が暮らした満洲。日露戦争を契機に、一攫千金を夢見てやって来た小売商や飲食業者、満洲権益を担った満鉄社員らの喜怒哀楽を描き、「満洲史のなかの日本人」という観点から暮らしぶりを復元する。名著『満洲国―「民族協和」の実像―』と並び、満洲の地域性にこだわりながら日本人の事跡を描いた注目作を新装復刊。

2023年3月2日

西洋書物史への扉

西洋書物史への扉

髙宮利行 著

中世の写字生、グーテンベルクをはじめとする印刷術の立役者、あるいは蒐集家、偽作者、伝統を守ろうとした改革者たち……。いつの時代にも、書物を愛し、あたかも書物に愛されて生きているような人々がいた。巻物から冊子へ、音読から朗読へ、書物と人が織りなす世界を楽しみながら、壮大な迷宮を旅する。カラー口絵四ページ。

2023年2月24日

「音楽の都」ウィーンの誕生

「音楽の都」ウィーンの誕生

ジェラルド・グローマー 著

ウィーンはいかにして「音楽の都」になったのか。十八世紀後半のウィーンでは、宮廷や教会などによる支援、劇場の発展、音楽教育の普及と聴衆の拡大、演奏会や舞踏会の展開など、多彩な要素が相互に作用しながら、音楽文化が重層的かつ豊かに形成されていった。膨大な同時代の史資料を駆使して描かれる「音楽の都」の実像。

2023年2月24日

ウクライナ戦争をどう終わらせるか 「和平調停」の限界と可能性

ウクライナ戦争をどう終わらせるか
「和平調停」の限界と可能性

東大作 著

ロシアによるウクライナ侵攻開始から1年。核兵器の使用も懸念される非道で残酷な戦争を終結させる方法はあるのか。周辺国や大国をはじめとする国際社会、そして日本が果たすべき役割とは何か。隣国での現地調査を踏まえ、ベトナム、アフガニスタン、イラクなど第二次世界大戦後の各地の戦争・内戦を振り返りつつ模索する。

2023年2月24日

ルポ 大学崩壊

ルポ 大学崩壊

田中圭太郎 著

教職員に罵声を浴びせて退職強要。寮に住む学生45人を提訴。突然の総長解任。パワハラ捏造。全国の大学で起きた信じ難い事件を取材し、大学崩壊の背景を探る。

2023年2月20日

友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観

友情を哲学する
七人の哲学者たちの友情観

戸谷洋志 著

友情とは、互いが友情を認め合うことで成立する関係である。ならば、互いが友情をどのように定義しているかによって、その関係性はまったく異なるものになる。いま、友情という関係性の多様さを知ることもまた、人生をいくらか豊かにしてくれるのではないか。アリストテレス、カント、ニーチェ、ヴェイユ、ボーヴォワール、フーコー、マッキンタイア――漫画が描く「友情」のあり方までも参照しながら、哲学者7人の友情観を探る。

2023年2月20日

貴族とは何か ノブレス・オブリージュの光と影

貴族とは何か
ノブレス・オブリージュの光と影

君塚直隆 著

不当な特権と財産を有し、豪奢で享楽的な生活を送る怠け者たち――このような負のイメージは貴族の一面を切り取ったものに過ぎない。古代ギリシャから現代イギリスまで、古今東西の貴族の歴史を丁寧に辿り、いかに貴族階級が形成され、彼らがどのような社会的役割を担い、なぜ多くの国で衰退していったのかを解き明かす。

2023年2月20日

日本語の発音はどう変わってきたか 「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅

日本語の発音はどう変わってきたか
「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅

釘貫亨 著

「問・母とは二度会ったが、父とは一度も会わないもの、なーんだ?」(答・くちびる)。この室町時代のなぞなぞから、当時「ハハ」は「ファファ」のように発音されていたことがわかる。日本語の発音はどのように変化してきたのか。奈良時代には母音が8つあった? 「行」を「コウ」と読んだり「ギョウ」と読んだり、なぜ漢字には複数の音読みがあるのか? 和歌の字余りに潜む謎からわかる古代語の真実とは? 千三百年に及ぶ音声の歴史をたどる。

2023年2月18日