2010年9月16日

ヤングアダルトパパ

夏前の関西出張で、大阪の仲良し書店員さんに勧められ、買っておいたのに読む時間がとれなかった『ヤングアダルト パパ』、ようやく読了。

中学生がパパに、という設定が驚きで、初めは「それはたぶん、キャッチコピーであり、読んでいけば、やむを得ず赤ん坊を育てることになってしまった中学生の物語だろう」と思いながら読み始めました。ところが、あにはからんや、本当に中学生がパパになってしまうのですね。誰か他の人の子ではありません。間違いなく主人公である中学生の子供です。

だからといって、中学生がセックスをするだのといったエロチックなシーンが描かれるわけではなく、直接的な性描写は皆無といってよいでしょう。むしろ、子供を産んだ大人の女性が出て行ってしまい、もうじき夏休みが終わって学校が始まるのに、この赤ん坊をどうやって育てていけばいいのかと、途方に暮れながらも必死に解決策を探そうとする中学生の悩みながらの奮闘の物語です。

設定が設定だけにリアルさが感じられませんが、ほのぼのとした作品にするには成功しています。これがもし主人公は高校生という設定にしてしまうと、却って逆にあまりにもリアリティがありすぎて、エロスモード全開のストーリーになってしまう恐れがあったかもしれません。

しかし、読んでいて、主人公は一生懸命赤ん坊、つまり自分の息子の世話を焼くのですが、焼いているのに子供に対する愛情が文面からは伝わってこないのです。あたしの感じ方がおかしいのでしょうか? そう、たぶん年の離れた弟の面倒を見ているお兄ちゃんという感じでしかなく、そこには絶対的な父性が欠如している、そんな風に思えるのです。

さらには、この主人公の実生活での優柔不断というか、煮え切らない言動。読んでいるとフラストレーションがたまります。本当に優しい、素直で純なよい子なんでしょうけど、だからそれが何(?)と言いたくなるようなタイプです。

で、結局この作品は何を言いたいの? 訴えたかったの?

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