統一とはどういうことか?

今日は新刊『統一後のドイツ』の見本出しです。配本は9月29日ですので、店頭に並ぶまでしばしお待ちください。では、本書はどういう内容なのかと言いますと、タイトルがズバリそれを表わしていますが、ウェブサイトの説明を引用しますと

ベルリンの壁崩壊から三六年、今秋十月にドイツ統一から三五年を迎える現在、「東西ドイツの差」は依然として様々な分野で残り続け、とりわけ東ドイツ各州では、移民政策に異を唱える右翼ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が多数の議席を獲得している。本書はこの現状への強い危機感のもと、統計やデータを駆使し、その背景にある東ドイツの社会的、政治的、文化的状況を統一前夜から現下まで論じる。

とありますように、東西ドイツ統一とは言いながらも、いまだに一つになりきれていない現実があるということのようです。では、そんな分裂時代はと言いますと、昨日のバーキンでも取り上げました河出書房新社から『壁の向こう側 東ドイツ知られざる生活 1949-1990』という本が刊行されます。なんと『統一後のドイツ』と同じ日の発売予定です。

しかし、分裂時代のドイツと言えば、あたしの勤務先だって『東ドイツ史1945-1990』という本を出しています。是非こちらも忘れずに併売していただけるとありがたいです。

バッグよりは断然安いはず!

こんな本が刊行されたのに気づきました。

ジェーン・バーキン 永遠のファッションアイコン』です。河出書房新社から出版されたばかりのようです。ウェブサイトには「いつまでもオリジナルな輝きを放つ、永遠のフレンチミューズの着こなしのすべて」と書いてあるので、タイトルどおりファッションに的を絞った一冊のようです。

この河出書房新社、バーキンが大好きなのか、12月には『ジェーン・バーキン日記』という本も刊行予定です。こちらは「完全限定生産スペシャルボックスセット」などと書いてありまして、予価はなんと19,800円(税込)だそうです。

まあ、バーキンのカバンを愛用するような人であれば、このくらいの値段はどうってことないのでしょう。ファンであれば値段も確認せずに「即買い」なのだと思います。そしてこの値段や造本からは、そういうファンを狙った本なのだと思われます。

ちなみに前者、『ファッションアイコン』の方は税込3,465円ですから、ずっとリーズナブルなお値段です。とはいえ書籍としては、まあまあなお値段です。翻訳書はどうしても高くなりがちです。

こんな2点に対して、あたしの勤務先も『ジェーン・バーキンと娘たち』という本を出しています。こちらはバーキン家族と40年来の親交がある日本人著者による書き下ろしです。税込2,970円ですので、まずはこの一冊から如何でしょうか?

すべてはここから始まった、ような気がします

今日は昼ごろから関東各地は激しい雷雨に襲われています。関東北部の山沿いだけでなく、都内もあちこちで被害が出るような雨になっています。かくいうあたしも、外回りで豪雨、雷雨に降られ、ビチョビチョになって帰宅しました。

そんな日ではありますが、朝は西の空に虹が出ていたのです。ほんの数十分か、十数分で消えてしまったようですが、あたしはきれいな虹を見ることができました。

写真の虹は朝の5時半ころ、わが家の玄関先で見上げた西の空にかかっていたものです。薄くて見えづらいかもしれませんが、白い月がちょうど虹と重なっているのがわかるでしょうか。

そんな9月11日といえば、ニューヨークのツインタワーがテロによって崩れ落ちた日です。本日ばかりは何を置いても『倒壊する巨塔』を推さなければならないでしょう。

この同時多発テロ、なんだかんだ言っても、現在に繋がる世界の混迷、不安定さのスタートではないかと思います。ここから戦争とは呼ばれない戦争、テロと呼ぶにはあまりにも大規模な争いが始まったように思うのです。いまこそ『倒壊する巨塔』から読み直し、深く考えなければならないのかもしれません。

雨に打たれ、雷鳴に怯えつつ、そんなことを考えておりました。

どれくらい効果があるものなのか

販促グッズは、各社が趣向を凝らしていろいろ作っているようです。お金をかければ、それなりのものが作れるのはもちろんですが、手作りでも手作りなりのものが作れます。

ということで、久しぶりに作ってみました。久しぶりということは、以前にも作ったことがありまして、もう何年前になるでしょう。

で、作ったものが最初の画像です。何だかわかりますでしょうか。簡単ですね。缶バッヂです。こういうのを好きな図柄で自作できるキットがあるのです。

最初の画像でわかった方には余計なことかもしれませんが、売行き好調の『本と歩く人』の缶バッヂです。表紙カバーの図柄をバッヂにしたものです。

手作りなので、ちょっと画像がずれてしまっているバッヂもありますが、これも手作り感が感じられてよいのではないでしょうか。製作キットが15個入りでしたので、ひとまず15個作ってみました。

少し前に15個作ったのですが、なかなか評判でしたので追加で製作したわけです。ものすごーく数に限りがありますので、書店員さんがエプロンに付けていたら、なかなか貴重な邂逅だと思います。

ただ、これが本の売り上げにどれくらい効果をもたらすものなのか。読者プレゼントではないですからね。

背筋が凍ることはありませんが……

ここ最近、『10:04』の注文が伸びています。最初のうちは「どうして?」と思っていたのですが、じきに理由が判明しました。著者であるベン・ラーナーの新刊が刊行になったのです。

本国で続刊が出ていなかったのか、詳しいことは知りませんが、『10:04』があたしの勤務先から刊行されたのが2017年の2月ですから8年半ぶりの邦訳刊行ということになります。その新刊とは明庭社の『トピーカ・スクール』です。同書の発売に合わせ、既刊も併売しようという書店が『10:04』を注文してくれているのでしょう。ありがたいことです。

さて、話は変わって書店回りをしていましたら、店頭で「こわい本あります」というフェアを見かけました。夏と言えば怪談、ホラーですから、こういうフェアが企画されたのでしょう。KADOKAWAが企画したフェアのようで、同社のサイトを見ますと全国津々浦々、かなり多くの書店で開催されているようです。さすがはKADOKAWAの営業力です。梯子をかけてもかないっこありません。

このKADOKAWAのフェアは本当に怖がらせるような作品がラインナップされていますが、あたしの勤務先でも幽霊などが出てくる作品はいくつか刊行しております。いくつかご紹介しますと、『モンスターズ 現代アメリカ傑作短篇集』『海峡を渡る幽霊 李昂短篇集』『大仏ホテルの幽霊』『トランペット』といった作品です。これらで「背筋が凍らない小説」フェアなどいかがでしょうか。

出世魚ならぬ出世鳥?

あたしの勤務先の刊行物、全部ではないのですが、裏表紙(カバー)の真ん中に鶏が描かれています。

右の画像に載っているのが、昔から使われている歴史ある鶏さんです。フランスのシンボルがニワトリ(雄鶏)だということはフランス好きの方であればご存じだとは思いますが、あたしなどは入社するまでまるで知りませんでした。否、入社してもしばらくは知りませんでした(汗)。

そして、長いこと使われているこの鶏さんも、何かの絵から取ったものだと先輩社員に聞いたのですが、誰の何という絵画だったのかまるで覚えていません。情けない限りです。

あたしの勤務先と鶏をキーワードにググってみるとこの一枚目の鶏も含めて、いくつかの鶏がヒットすることと思います。10年前の創業100周年のときに図案化した鶏マークが生まれました。

そして今年の110周年では更にキャラクター化した鶏が登場しています。ぬいぐるみにして売り出したら、そこそこの人気にはなりそうな愛らしさです。ただ、110周年版ニワトリを裏表紙に使うことはほとんどありません。やはり裏表紙も含めて装丁家がデザインしてくれているので違和感があるのでしょう。

そんな中、まもなく刊行される新刊『写本に描かれた本たち』の裏表紙が二枚目の画像です。これ、どう見ても鶏ではありませんよね。何の鳥でしょう。

ちなみに、カラー図版がふんだんに登場する同書の中に、この鳥が描かれている図版があります。何ページに登場しているのかは是非書店店頭でお確かめください。

ホライズンは地平線なのか、水平線なのか

横断歩道に着いている信号に「夜間押しボタン式」と書いてあることがあります。これはつまり夜間は押しボタン式です、ということですから昼間は一定時間で青になったり赤になったりするのでしょう。問題は夜間というのが何時から何時までなのか、ということです。

それはそうと、押しボタン式であるくらいですから、その横断歩道を渡る歩行者は極めて少ない、ということですよね。それが昼間になったからといって突然歩行者が多くなるとも思えません。一日中押しボタン式でよいのではないか、そう思えるような横断歩道があちこちに散見されます。

話は変わって、新書の新シリーズ「思想の地平線」ですが、『偶像の黄昏/アンチクリスト』『悲劇の誕生』『幸福論』に続いて『孤独と人生』がまもなく配本となります。どうぞお楽しみにお待ちください。このシリーズは、この後も哲学思想の名著を繰り出していきますので、この後のラインナップにも是非ご注目ください。

ところで地平線って「ホライズン」でよかったのでしたっけ。ホライズンって「水平線」だと思っていたのですが、「地平線」という意味もあるのでしょうか。日本語では水平線と地平線というように使い分けがありますが、英語にはそういう使い分けはないのでしょうか。

ふと、そんなことを考えてしまいました。英語以外の外国語ではどうなのでしょうね。

92頁です

『本と歩く人』を読み終わりました。はっきりと書いてはなかったと思いますが、舞台はドイツの町・ケルンですよね。それとも、モデルにした町はあるけれども、あくまで作品としては架空の町を舞台にしているのでしょうか。あたしがヒントになる部分を読み飛ばしてしまっているのですかね?

それはともかく、この『本と歩く人』は本をこよなく愛する人ならきっと好きになること間違いなしです。でも読み終わってみて思ったのは、いい年をしたおじさんとこまっしゃくれた少女の友情物語だったのではないか、ということです。

一人暮らしで、後は老いてゆくのみという、ちょっと寂しげな主人公カールと9歳の女の子が対等なパートナーとして、本を媒介に友情を育んでいく物語だというのが、現在の感想です。そしてカバーの画像も、92頁から96頁のシーンをそのまま映像化したと思われ、カバーを見ていると二人の会話が聞こえてくるような気がします。

そして2024年にはドイツで映画化されているこの作品、なんとか日本でも公開されないものでしょうか。ちょうど『アテネに死す』の映画版「ボイジャー」が現在公開されているタイミングなので、『本と歩く人』も日本で見られるととても嬉しいのですが。そのためには、まずはこの本が大ヒットさせないとなりませんかね。

コラボか併売できそうですか?

他社の新刊、近刊で一緒に売ったら面白そうな、相乗効果が出そうなものをいくつか挙げてみたいと思います。

  

まずは創元社の『マリー・アントワネットのお菓子』と『名前が語るお菓子の歴史』です。本当は『王のパティシエ』を並べたいところなのですが、現在品切れなので残念です。

 

続いては、未刊の岩波新書『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』と『メアリ・シェリー 『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ』です。前者の著者、小川公代さんが後者の訳者という繋がりで、通奏低音にフランケンシュタインがあります。

 

またまた岩波新書の『わかりあえないイギリス 反エリートの現代政治』と『裏切りの王国 ルポ・英国のナショナリズム』です。イギリス政治、社会を扱っているという共通項があります。

 

最後に平凡社新書の新刊『SNS選挙という罠  自分の頭で考え直すために』と3刷に入っている『ポピュリズムの仕掛人 SNSで選挙はどのように操られているか 』です。SNSと選挙というのが両書の共通項になります。

以上、新書が混じっているので単行本とは併売しにくいかも知れませんが、可能であればよろしくお願いいたします。

なかなか表示されないので

出版各社は自社のウェブサイトでいろいろな情報を発信しています。ちょっとした読み物的な記事やコーナーがある出版社のウェブサイトもありますが、なんといっても一番肝心なのは本に関する情報でしょう。

タイトルや著訳者名は、たぶんそこから検索して辿り着く人が多いと思うので当たり前の情報ですね。その次に気になるのはどんな情報でしょう。内容紹介でしょうか。

当たり前ですね、どんな本でもどんな内容なのかがわからなければ買うか買わないかの判断ができません。もちろんタイトルに惹かれて、と言う人もいるでしょうし、ジャケ買いということもあるでしょう。

さてまもなく配本の新刊『本と歩く人』は既に自社サイトで装丁が公開されているので見ていただけたかと思いますが、実は背にもちょっとした仕掛けがあるのです。

一枚目の画像をご覧ください。『本と歩く人』の背です。右がカバーをした状態で、左はカバーを外した背になります。気づきましたでしょうか。タイトル下の本が、カバーでは閉じているのですが、カバーを外すと開いているので。こんなところも楽しんでいただければと思います。

そしてもう一点、海外文学の新刊です。

まだ自社サイトで装丁が発表されていないので(旧Twitterは未確認)、楽しみにされている方も多いと思いますが、《エクス・リブリス》の新刊『ムーア人による報告』の装丁は二枚目の画像です。

世界史に詳しい方であれば、ムーア人と聞いても反応できるかと思いますが、一般の方にはちょっと馴染みのない名称ですかね。ぜひウィキペディアなどで調べてみてください。史実に基づいた小説ですので、歴史好きの方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。

物語の世界は16世紀、大航海時代の話のようですね。あたしもまだ読んでいないので、どんな物語が広がっているのか、これから読むのが愉しみです。もちろん『本と歩く人』も読むつもりです。