コラボか併売できそうですか?

他社の新刊、近刊で一緒に売ったら面白そうな、相乗効果が出そうなものをいくつか挙げてみたいと思います。

  

まずは創元社の『マリー・アントワネットのお菓子』と『名前が語るお菓子の歴史』です。本当は『王のパティシエ』を並べたいところなのですが、現在品切れなので残念です。

 

続いては、未刊の岩波新書『ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる』と『メアリ・シェリー 『フランケンシュタイン』から〈共感の共同体〉へ』です。前者の著者、小川公代さんが後者の訳者という繋がりで、通奏低音にフランケンシュタインがあります。

 

またまた岩波新書の『わかりあえないイギリス 反エリートの現代政治』と『裏切りの王国 ルポ・英国のナショナリズム』です。イギリス政治、社会を扱っているという共通項があります。

 

最後に平凡社新書の新刊『SNS選挙という罠  自分の頭で考え直すために』と3刷に入っている『ポピュリズムの仕掛人 SNSで選挙はどのように操られているか 』です。SNSと選挙というのが両書の共通項になります。

以上、新書が混じっているので単行本とは併売しにくいかも知れませんが、可能であればよろしくお願いいたします。

なかなか表示されないので

出版各社は自社のウェブサイトでいろいろな情報を発信しています。ちょっとした読み物的な記事やコーナーがある出版社のウェブサイトもありますが、なんといっても一番肝心なのは本に関する情報でしょう。

タイトルや著訳者名は、たぶんそこから検索して辿り着く人が多いと思うので当たり前の情報ですね。その次に気になるのはどんな情報でしょう。内容紹介でしょうか。

当たり前ですね、どんな本でもどんな内容なのかがわからなければ買うか買わないかの判断ができません。もちろんタイトルに惹かれて、と言う人もいるでしょうし、ジャケ買いということもあるでしょう。

さてまもなく配本の新刊『本と歩く人』は既に自社サイトで装丁が公開されているので見ていただけたかと思いますが、実は背にもちょっとした仕掛けがあるのです。

一枚目の画像をご覧ください。『本と歩く人』の背です。右がカバーをした状態で、左はカバーを外した背になります。気づきましたでしょうか。タイトル下の本が、カバーでは閉じているのですが、カバーを外すと開いているので。こんなところも楽しんでいただければと思います。

そしてもう一点、海外文学の新刊です。

まだ自社サイトで装丁が発表されていないので(旧Twitterは未確認)、楽しみにされている方も多いと思いますが、《エクス・リブリス》の新刊『ムーア人による報告』の装丁は二枚目の画像です。

世界史に詳しい方であれば、ムーア人と聞いても反応できるかと思いますが、一般の方にはちょっと馴染みのない名称ですかね。ぜひウィキペディアなどで調べてみてください。史実に基づいた小説ですので、歴史好きの方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。

物語の世界は16世紀、大航海時代の話のようですね。あたしもまだ読んでいないので、どんな物語が広がっているのか、これから読むのが愉しみです。もちろん『本と歩く人』も読むつもりです。

今回は併売は無理です

角川新書で『天才作戦家マンシュタイン』がまもなく刊行されるそうです。マンシュタインに化する本というのはいくつか出ていると思いますが、また刊行されるということはそれだけ人気のある人物なのでしょう。

あるいは、マンシュタインにはそれだけ謎が多いということなのでしょうか。それほど昔の人ではありませんから、記録なども十分に残っていると思うのですが、ナチ崩壊の時に資料が破却されたのでしょうか。

そしてこの本は新書サイズのコンパクトなもので、日本人が書いたものですが、もちろん翻訳書もあります。まずは作品社『マンシュタイン元帥自伝』です。自伝ですから、それはそれで貴重な記録ではありますが、客観性に疑問が生じることもままあります。語られていることの真偽はきちんと見分けていかなければならないと思います。

さて、こんな新刊が出るわけですから、当然併売してもらいたい書籍がありまして、それが『ヒトラーの元帥 マンシュタイン』です。こちらは評伝になります。なんと全二巻、上下本です。

しかし残念ながら『ヒトラーの元帥 マンシュタイン』は現在品切れなのです。並べて欲しくても並べていただけません。残念ですが、こればかりは致し方ありませんね。この機会に復刊するということもありませんし……

ちなみにマンシュタインは1887年生まれ、1973年没ですので、今年が特にアニバーサリーというわけでもありません。復刊というのは何かしらきっかけがないと難しいですし、アニバーサリーだとしても日本でどれほども盛り上がるのか、予想も期待もできませんから。

パンダ日和?

世間ではゴールデンウィークに入っているそうですが、あたしは暦どおりの出勤です。明日が休みなのは嬉しいところですが、後半の水木金が三日連続で出勤というのはちょっとツラいです。できることなら、休みが水曜であれば、二日仕事して一日休み、また二日仕事して週末となって、気分的にも乗ってくるのですが……

そして今日も外回りに行って来ましたが、訪れたアカデミア港北店ではこんな感じで本を並べていただいております。あたしの勤務先のBOXフェアというちっちゃなフェアです。今回のBOXテーマは「昭和100年」です。

売行き絶好調の『陽だまりの昭和』を先頭に、昭和を感じさせる書籍を集めてみました。古きよき昭和、懐かしい昭和といった感じの本ばかりです。

ところで配本日はゴールデンウィーク明けになりますが、本日から上野の書店で先行販売が始まったのが『中国パンダ旅』です。それを意識したわけではありませんが、たまたま本日はパンダ柄のブラウスに、パンダ柄のネクタイというコーディネートだったので、本を手に写真を撮ってみました。

如何でしょう。このいでたちで営業回りをしたら、注文も伸びるでしょうか? いや、格好や衣装だけで本が売れるなら、毎日この格好をしますけど、そんなわけはないですよね。

でも、いかにもパンダの本を売る人っぽく見えませんか。やはりこの期間はパンダ柄を集中的に身につけようと思います。

今回は薄いですが……

人文会の機関誌『人文会ニュース』の最新号である149号が出来上がりました。ここ数年は年に三回発行するルーティンになっていますが、今号は研修報告や会務報告がないので、最近では最も薄い『人文会ニュース』になりました。

とはいえ、ページ数が薄くとも内容が薄くなっているわけではありません。今年生誕150年のユングをテーマとした「15分で読む」は力の入ったものになりましたし、図書館レポートの上智大学中世思想研究所は専門の方以外にはあまり知られていない研究施設ではないでしょうか。そういうものを紹介できたのは非常によかったと思っています。

ちなみに「編集者が語る」は、あたしの勤務先から出ている「ロシア語文学のミノタウロスたち」シリーズについてです。シリーズの中では『穴持たずども』が異例のヒット作となり、海外文学ファンの間で話題になったのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

そんな風にあたしの勤務先は多くの海外文学作品の邦訳を刊行していますが、その一方で海外文学のベースである外国語の学習書も負けず劣らずたくさんの種類を刊行しています。ですから、街中で外国語の看板や掲示物を見ると気になってしまいがちです。

横浜の伊勢佐木町で見かけたこんな掲示も、ついつい写真に収めてしまいたくなるのは職業病でしょうか。これは横浜吉田中学校の校舎です。そこに「あいさつはとても素敵な共通言語」として日本語のほか、英語、中国語で「おはよう」と書かれています。

右下の「Magandang umaga」がたぶん東南アジアの言葉だろうなあとは思ったものの、具体的にどこの言葉かわかりませんでした。帰宅後に調べてみたところフィリピノ語でした。編集部時代にマレー語とベトナム語の本を担当したことがあり、それとはちょっと違うなあと思っていたのですが、フィリピノ語だったわけです。

これがタイやカンボジア、ミャンマーだと、また面白い文字で表記され、それはそれで楽しい掲示になったことでしょう。それにしても韓国語がないのが不思議ですね。この中学校の児童の構成比から、これらの言葉が選ばれたのでしょうか?

風が吹けば桶屋が儲かると言うのとはちょっと違うのですけど……

先月くらいから広東語の売り上げが急進しています。あたしの勤務先で広東語と言えば『ニューエクスプレスプラス 広東語』くらいしかないのですが、これがよく売れているのです。

少し前に中公新書で『広東語の世界』が刊行され、これがよく売れているとのこと。同書とうちの「広東語」は同じ著者なので、その影響もあるのかなと思ったのですが、実はもっと大きな波が到来していたのです。

それがこちら。紀伊國屋書店新宿本店の芸術書・建築書売り場の一角で展開されていた「九龍城砦」コーナーです。九龍城ってご存じですか? あたしが学生のころはまだ香港にあったと思いますが、その後取り壊された建物です。

写真集や九龍城に関する本はいくつか出版されているので、それを集めてちょっとしたフェアになっています。そして、なぜいま九龍城なのかと言いますと、映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」が大ヒットしているからなのです。

どうしてこの映画がヒットしているのか、ネットを検索していただければ、熱く語っている人がたくさんいらっしゃいますので、それを読んでみてください。この映画のヒットを受けて広東語の学参が売れているのです。

振り返ってみますと、ビジネス目的がメインとはいえ、三国志やシルクロードの流行があって中国語学習者が増え、冬ソナ以来の韓流ブームに乗って韓国語の学習者が増えました。ここ数年では、BLドラマの影響でタイ語の学習書も売り上げが伸びています。そんな流れがあれば、ヒット映画の影響で広東語が伸びるというのも当然と言えば当然のことでしょう。

話は変わって、本日は各種情報番組でも取り上げられていますが、虎ノ門ヒルズの中の本屋、magma booksの開店日です。午後から訪問してきました。2フロアあって、下のフロアはテーマごとの棚になっていて、上のフロアは比較的オーソドックスな棚構成となっていました。しばらくは物珍しでやってくるお客も多いのでしょうが、一か月後、二か月後にどういう客層になっているのか、そしてどういうジャンルの本が売れているのか、とても興味があります。

そして、そもそも近隣にはジュンク堂書店のプレスセンター店、虎ノ門書房という本屋がありますが、やや距離があります。周辺人口に対する書店の少なさは、地方の「書店のない自治体」の比ではないのが東京の都心部です。このあたりのサラリーマンやOLは昼休みにちょっと立ち寄れる書店に飢えていたのではないでしょうか。

書店と言えば、少し前に立ち寄った町田の久美堂本店で、ちくま文庫のフェアが大きく展開していました。久美堂のフェアも始まって数年、しっかりと地元のお客様だけでなく出版社にも定着してきましたね。やはり、これだけ揃えて並べると壮観です。

嘘と言うか、偽と言うか、詐欺と言うか

今日は4月1日、エイプリルフールです。日本の企業はあまりやらないようですが、海外の企業ですと、思いっきり嘘の広告や告知、SNSでのつぶやきを発信して、世間の人々を惑わせる、なんてことをやって楽しんでいるようです。そういう嘘の広告に見事に引っかかってしまう通信社も過去にはあったりしましたね。

というわけで、嘘の告知ではありませんが、勤務先の刊行物で嘘に関わる書籍をいくつかご紹介します。

まずは『偽りの来歴』です。これは実話です。ドキュメンタリーでして、刊行当時、NHKだったかでも話題にしていた世界的なニュースを扱ったものです。そのため非常によく売れたという記憶が残っています。

続いては小説、『過去を売る男』です。これも小説だと書きましたが、実はこういうことって、海外ではしばしばあるようです。たとえばヨーロッパなどではナチに関わった過去を消すために、全くでっち上げの履歴を作ってくれる組織のようなものがあるそうです。本書も、ほのぼのとしたヤモリの語りで進むのですが、徐々にサスペンス色が強まってくる、非常に読んでいて楽しい一冊です。

そして最後にご紹介するのは、こちらも小説、『詐欺師の楽園』です。東欧の架空の国を舞台に繰り広げられる、贋作者の物語ですが、これもまたスリリングでもありつつ、非常にコメディ要素もある楽しい作品です。

詐欺師であり、贋作者であるというところは『偽りの来歴』に通じるものがあります。200頁程度の本なので、あっという間に読み終わってしまうことでしょう。

というわけで、エイプリルフールにオススメの三点でした。

確かに文庫では読めませんが……

最近、こんな本を見つけたので買ってみました。青弓社の『世界文学全集万華鏡』です。同社のサイトには次のように紹介されています。

本書では世界文学全集に収録され、かつ一度も文庫化されていない海外文学作品70点を厳選して紹介。河出書房の「世界文学全集」や筑摩書房の「世界文学大系」など37の全集をもとに、イギリス、ロシア、ドイツやラテンアメリカの作家の貴重な作品を案内する。

この紹介の後には同書の目次が載っていまして、どんな世界文学が文庫化されていないのかがわかります。眺めていますと、あたしのようなド素人には知らないタイトルばかりが並んでいるのですが、確かに各社の文庫で見覚えのあるような作品はないですね。文庫化されていないわけですから当然ですけど(汗)。

そんな中で目に付いたのが、比較的最初の方、イギリス文学の中にあった「ジョージ・エリオット「フロス河の水車場」」です。ジョージ・エリオットならほとんど文庫化されていそうな気がしますが、エリオットはこの他に『ロモラ』も挙がっていますので、まだまだ未文庫化の作品があるのですね。

話は戻って『フロス河の水車場』ですが、画像をご覧ください。タイトルが「水車場」から「水車小屋」にちょっと変わっていますが、エリオットの『フロス河の水車場』です。

そうです。白水Uブックスで登場したのです。もう書店に並び始めていると思いますので、「登場した」と過去形で書いても大丈夫だと思います。そして同書は過去の文学全集に収録されていたものをUブックスにしたのではなく新訳です。

確かに文庫では読めませんが、新書サイズであれば許してくださいませ。ちなみに、新書サイズではありますが、各400ページ超えの上下本です。お手軽に手に取ってくださいと言えるようなボリュームではありませんが、是非どうぞ。

そして、今後も同書に挙がった「文庫で読めない世界の名作」がUブックスで読めるようになることがあるのでしょうか?

パンダが来た道

今日、3月11日は日本人なら忘れられない一日です。ただ、申し訳ないですが、今日のダイアリーでは東日本大震災ではなく、パンダ発見について語ります。

そうです。今日3月11日はパンダが発見された日なのです。1869年のことですから156年前になります。そのあたりの事情はあたしの勤務先から出ている『パンダが来た道 人と歩んだ150年』を読んでいただければと思います。前にも書きましたが、パンダ(もちろんジャイアントパンダのことです)ってあれほど特徴的な模様をしているのに中国の歴史書には登場しません。記録魔である中国人が見つけていたら記録しないはずがないのに、歴史書の中には登場しないのです。

パンダって発見される前は、四川の山奥ではなく、もっと違う場所に生息していたのでしょうか。そうでなければ、中国の史書に出て来ない理由がわかりません。しかし、発見されてからは中国の友好外交の一翼を担って、八面六腑の活躍をしてきましたね。日本にもパンダ好きは多いです。多いどころの話ではないかもしれません。

そんなパンダ発見の日なのですが、日本でパンダの日というと10月28日だそうです。これは最初のパンダが来日した日によるそうです。これはあまりにも日本ローカルな記念日ですね。

話は変わりまして、この日曜日のお昼にマクドナルドのてりたまをいただきました。こういう季節のバーガーはついつい食べてしまいます。

どうして? どうして? どうして?

出版社にはそれぞれカラーというのがあります。もちろん、さまざまなジャンルを出している大手出版社もありますが、中小の出版社であれば、それなりに独自のカラーというものがあるものです。

そんな中、あたしの勤務先に対して世間の方はどんなイメージを持っているのでしょうか。小さいながらもいろいろなジャンルの本を出しているので、かなりバラエティー豊かなイメージを持たれているのかもしれません。そんな勤務先の最新のウェブサイト、トップページが右の画像です。

トップページには最近刊行された本が書影と共に並んでいます。一般書と語学書の二本立てで並んでいるのですが、そのうちの一般書の方が、あたしの見立てではなにやらおかしなことになっているような気がするのです。

一般書の新刊、6点が並んでいますが、そのうちの半分、3点がロシア関係の書籍なのです。チェルヌイシェフスキーは帝政ロシアの思想家、『暴走するウクライナ戦争』と『厨房から見たロシア』は言わずもがなでしょう。

振り返ってみますと、昨年の12月に『ドイツ=ロシアの世紀 1900-2020(上)』、今年に入ると1月に『ドイツ=ロシアの世紀1900-2022(下)』、そして上掲の3点が続きました。3月には『ロシア革命と芸術家たち1917-41』、4月と5月には『革命と内戦のロシア 1917-21(上)』『革命と内戦のロシア 1917-21(下)』が刊行予定です。このロシア率、何があったのでしょう?