パンダが来た道

今日、3月11日は日本人なら忘れられない一日です。ただ、申し訳ないですが、今日のダイアリーでは東日本大震災ではなく、パンダ発見について語ります。

そうです。今日3月11日はパンダが発見された日なのです。1869年のことですから156年前になります。そのあたりの事情はあたしの勤務先から出ている『パンダが来た道 人と歩んだ150年』を読んでいただければと思います。前にも書きましたが、パンダ(もちろんジャイアントパンダのことです)ってあれほど特徴的な模様をしているのに中国の歴史書には登場しません。記録魔である中国人が見つけていたら記録しないはずがないのに、歴史書の中には登場しないのです。

パンダって発見される前は、四川の山奥ではなく、もっと違う場所に生息していたのでしょうか。そうでなければ、中国の史書に出て来ない理由がわかりません。しかし、発見されてからは中国の友好外交の一翼を担って、八面六腑の活躍をしてきましたね。日本にもパンダ好きは多いです。多いどころの話ではないかもしれません。

そんなパンダ発見の日なのですが、日本でパンダの日というと10月28日だそうです。これは最初のパンダが来日した日によるそうです。これはあまりにも日本ローカルな記念日ですね。

話は変わりまして、この日曜日のお昼にマクドナルドのてりたまをいただきました。こういう季節のバーガーはついつい食べてしまいます。

どうして? どうして? どうして?

出版社にはそれぞれカラーというのがあります。もちろん、さまざまなジャンルを出している大手出版社もありますが、中小の出版社であれば、それなりに独自のカラーというものがあるものです。

そんな中、あたしの勤務先に対して世間の方はどんなイメージを持っているのでしょうか。小さいながらもいろいろなジャンルの本を出しているので、かなりバラエティー豊かなイメージを持たれているのかもしれません。そんな勤務先の最新のウェブサイト、トップページが右の画像です。

トップページには最近刊行された本が書影と共に並んでいます。一般書と語学書の二本立てで並んでいるのですが、そのうちの一般書の方が、あたしの見立てではなにやらおかしなことになっているような気がするのです。

一般書の新刊、6点が並んでいますが、そのうちの半分、3点がロシア関係の書籍なのです。チェルヌイシェフスキーは帝政ロシアの思想家、『暴走するウクライナ戦争』と『厨房から見たロシア』は言わずもがなでしょう。

振り返ってみますと、昨年の12月に『ドイツ=ロシアの世紀 1900-2020(上)』、今年に入ると1月に『ドイツ=ロシアの世紀1900-2022(下)』、そして上掲の3点が続きました。3月には『ロシア革命と芸術家たち1917-41』、4月と5月には『革命と内戦のロシア 1917-21(上)』『革命と内戦のロシア 1917-21(下)』が刊行予定です。このロシア率、何があったのでしょう?

ニュースとガイブン

世間でどれだけ話題になっているのかわかりませんが、あたし個人としては、乃木坂46三期生与田祐希の卒業コンサートに、盟友である大園桃子がサプライズ登場し、二人のデビュー曲「逃げ水」をWセンターで披露したことが、本日最大の関心事です。ネットにアップされているコンサート写真を見ますと、やはり桃子はセンターで輝く逸材だったと思います。

それはともかく、ドイツの総選挙の結果がほぼ判明しましたが、移民反対派の極右が大躍進ですね。ある程度予想はついていたこととはいえ、今後のドイツはどういう方向に進むのでしょう。

幸いなことに、まだまだ多くの移民受け入れ派、人種差別的な政策に反対する勢力が多数いることがドイツの良心を感じさせてくれます。それにしてもドイツはここ数年景気が悪いそうですから、人々の気持ちにも寛容さが失われているのでしょうか。衣食足りて礼節を知るとはよく言ったものです。

さて、そんなドイツの移民問題、政治経済の話ではなく、もっと庶民目線で理解できないものかという方にお薦めなのが『行く、行った、行ってしまった』です。引退した大学教授がドイツに辿り着いた難民との交流を深めていく物語です。この機会に是非一読していただきたい一冊です。

そして話は元へ戻って乃木坂46です。38枚目シングルが3月26日発売されるとのこと。そしてそのタイトルが早々と発表になりまして、「ネーブルオレンジ」だそうです。

このタイトルを聞いて真っ先に思い出したのが、《エクス・リブリス》の最新刊、『ブリス・モンタージュ』のカバー画像です。これがネーブルオレンジなのか否か、詳しくないあたしにはなんとも言えませんが、そうだと言ってもあながちハズレではないでしょう。

同書には、短篇が八つ収録されていまして、その中の一つに「オレンジ」という作品もあります。どんな作品かは、是非本書でご確認ください。

最後のおまけ。日向坂46の楽曲「君を覚えてない」が、冠番組「日向坂で会いましょう」で取り上げられていましたが、上掲の《エクス・リブリス》には『ぼくは覚えている』という一冊があります。こちらもなかなかに個性的な作品ですので、是非どうぞ!

翻訳者有志の会

横浜の紀伊國屋書店で、文芸担当の方にこんな小冊子をいただきました。タイトルは『ダリタリア・リブリ』とあります。

イタリア語はサッパリなあたしには、タイトルの意味はわかりかねますが、そのタイトルの上には「イタリアの本と読者を結ぶフリーペーパー」とあります。タイトルをネットで翻訳させると「イタリアの本から」と和訳されました。一つ勉強になりました。

この冊子を作っているのは、イタリア文学翻訳者有志の会だそうです。たぶん記念すべき冊子の第一号だと思いますが、22の邦訳作品と三つの未邦訳作品が紹介されています。その中には、あたしの勤務先の『まっぷたつの子爵』もありました。

とはいえ、この冊子を手に取って感じたのは、「最近、あたしの勤務先、あまりイタリア文学の邦訳を出していないなあ」ということです。世界各地の文学を満遍なく、バランスよく刊行するのはたいへんなことですね。

時代背景はあの名作コミックと同じころです

あのベストセラー『おだまり、ローズ』が白水Uブックスになりました。ちょっとページ数はありますが、新書判なのでより親しみやすくなったのではないでしょうか。

ところで本書の著者、ローズ(ロジーナ・ハリソン)が仕えのはアスター子爵夫人、ナンシー・アスターです。彼女は1879年生まれで、1964年に亡くなっています。ローズは1899年生まれなので、子爵夫人よりも20最年少ということになります。

このアスター子爵夫妻はカズオ・イシグロの『日の名残り』のモデルとも言われていますが、子爵夫人は二度の大戦をくぐり抜け、その間1919年にはイギリスで初の女性下院議員となる、英国史上ではそれなりに知られた人物です。

ローズは子爵夫人が亡くなるまで35年間仕えたということなので、アスター家に来たのは1929年ということになります。戦間期で、世界大恐慌が起きた年ですね。ほんの少し時期がずれますが、あたしが子供のころにテレビでアニメが放送されていた「キャンディ♡キャンディ」は似たような時代を扱っています。

主要登場人物の一人であるステアが戦死したのは第一次世界大戦で、そのころまでに学生生活から看護婦を目指した主人公のキャンディは、子爵夫人よりは年下で、著者のローズより少し年上なくらいだと思われます。アスター家でメイドとして働き出したころは、既に「キャンディ♡キャンディ」の描く時代よりは後になりますが、同じような時代を生きていた女性として、個人的にも親近感を覚えます。

この見出しはつまりあたしのことよね?

いよいよ今年の仕事もあと一週間というところまで来ました。そんな穏やかな日曜の朝刊に、どうみてもあたしのこととしか思えないような記事が載っていました。それが一枚目の画像です。

「子いない独居高齢男性」「孤独死の懸念も」といった見出しが躍っていますが、これってまるっきりあたしのことです。2050年の時点であたしがまだ生きているのか、それとも既に物故しているのか、それはわかりませんが、生きているとしたらほぼ間違いなく独居老人となっているでしょう。

それって、自分が選んだ人生ですから、後悔するかも知れませんが、もう諦めて受け入れる心の準備はできているつもりです。妹のところの姪っ子や甥っ子が、どれくらいあたしのことを心配してくれているのか、すべてはそれにかかっています。いまのうちに、出来るだけよくしてやらないとなりませんね(笑)。

さて、数日前に新潮文庫の『私にふさわしいホテル』と、白水Uブックスの『山の上ホテル物語』を併売してい欲しいと書きましたが、正直なところ難しいのではないかと思っています。やはり新潮文庫は書店でもしっかり専用のスペース、棚があって、新潮文庫がズラリと並んでいて、そこに白水Uブックスを紛れ込ませるスペースはありません。可能性があるとしたら、映画化書籍コーナーに二点並んで置かれることくらいでしょうか。

それに比べると、二枚目の写真の二点は間違いなく書店で並んで置かれていることでしょう。どちらも単行本ですから文芸書の海外文学のコーナーに並んでいるはずです。あるいは文芸評論などの「本に関する本」のコーナーでしょうか。

どちらにせよ、この二点は紛れもなく正編と続編の間柄ですし、四六判の単行本ですからスペース的にも並べやすい二点でしょう。新発売の「2」はドサッと積んでいる書店が多いと思います。「1」の方は散々売れた本なので、いまさらドサッと積むほどではないかもしれません。でも「2」の隣に一冊くらいは並んであったら嬉しいなあと思います。

やはり併売してほしい

数日前に、書店店頭における併売について書きました。今の時代、併売は流行らないのか、と書きましたが、やはりこの二冊は併売して欲しいと思うので書いてみます。それがこの二冊です。

新潮文庫の『私にふさわしいホテル』が映画化され、この暮れに全国公開となります。確か12月27日からのはずです。小説の内容は

文学新人賞を受賞した加代子は、憧れの〈小説家〉になれる……はずだったが、同時受賞者は元・人気アイドル。すべての注目をかっさらわれて二年半、依頼もないのに「山の上ホテル」に自腹でカンヅメになった加代子を、大学時代の先輩・遠藤が訪ねてくる。大手出版社に勤める遠藤から、上の階で大御所作家・東十条宗典が執筆中と聞き――。文学史上最も不遇な新人作家の激闘開始。

といったもので、書いてありますように舞台は山の上ホテルです。

今年、惜しまれつつ閉館した山の上ホテルの歴史は、あたしの勤務先から『山の上ホテル物語』として刊行されていますので、言うなれば、この二冊はセットで読むべきものだと思うのです。なおかつ『私にふさわしいホテル』の奥付前には、参考文献として『山の上ホテル物語』が挙げられていますので。

たぶん『私にふさわしいホテル』を読んだ人が、このページを見たら「ここに書いてある『山の上ホテル物語』も読んでみたいなあ」と思うのは自然の流れではないでしょうか。

これが分厚くて、値段も高い本であれば手が伸びないかも知れませんが、新書サイズのお手軽な一冊ですから、横に並べておけば買ってくれる人も多いのではないでしょうか。

ちなみに、一枚目の写真に写っている『私にふさわしいホテル』は映画宣伝用カバーなのか、ほぼ全面オビなのか、いずれなのかはわかりませんが、主演ののんが写っているものがかかっています。このカバーを外すと文庫本本来のカバーが現われます。それが三枚目の写真です。

こうして見比べますと、映画用のカバー(オビ?)は、実際の山の上ホテルの外観を取り入れ、まさに『山の上ホテル物語』と併売するのがふさわしいものになっているではありませんか。

とりあえず、映画を見に行くかはまだわかりませんが、この年末年始に小説の方は読んでみたいと思います。

並べてもらうことは可能でしょうか?

このところめっきり寒くなってきました。昼間はまだしも、朝はずいぶんと冷え込んでいます。いや、このところ昼間も寒い日が多くなってきましたね。

そんなわけで、わが家でも朝はストーブを使うようになりました。まだ早いかと思いつつも、やはり寒さには勝てません。それにあたしは早起きなので3時半くらいには起きているのですが、気温はそこから下がっていくのですよね。あたしが家を出る6時ごろがたぶん最低気温を記録する時間帯だと思います。

それはさておき、新潮選書から『ロベスピエール』という本が発売されました。著者は高山裕二さん、あたしの勤務先でも著訳書を何冊も出されている方です。

そして、あたしの勤務先からも同名の『ロベスピエール』という本を出しています。新潮選書の方は

フランス革命で政敵を次々と粛清、最後は自らも断頭台で葬られたロベスピエール。「私は人民の一員である」と言い続けた元祖〈ポピュリスト〉は、なぜ冷酷な暴君に堕したのか。誰よりも民主主義を信じ、それを実現しようとした政治家の矛盾に満ちた姿から、現代の代議制民主主義が抱える問題の核心を鋭く問う画期的評伝。

という内容です。一方、あたしの勤務先の方は

恐怖政治によって革命を破滅に追い込んだ独裁者でもなく、共和政の美徳を謳いあげた「清廉の士」でもなく。等身大のロベスピエールへ。

という内容です。どちらも「彼は巷間語られているような、狡猾な独裁者ではないぞ」というスタンスの本のようです。現在のロベスピエール研究ではそういう評価なのでしょう。興味深いものです。

書店では、新潮選書は新書・選書コーナーに置かれていると思いますので、あたしの勤務先の『ロベスピエール』と併売するのは難しいかも知れませんが、世界史のフランス史の棚で併売していただけたらとても嬉しいです。

そしてもう一点、地平社から4月に『世界史の中の戦後思想』という本が出ていたことを知りました。

自由民主主義と資本主義のシステムが揺らぐなか、私たちはどのような思想に依拠できるのか。世界システムの歴史的展開をたどり、その文脈から日本の「戦後思想」を再考する。

という内容の本なのですが、似たようなタイトルの本が、あたしの勤務先から出ていました。それが『「戦後」の思想』です。こちらは

ヨーロッパを揺るがしたナポレオン戦争、普仏戦争、第一次・第二次世界大戦、そして現在、カントからハーバーマス、デリダにいたる思想家は戦後、いかに戦争について思考していったのか。

という内容です。

積み上げました!

新刊『ぶち壊し屋』の見本が届きました。アメリカのトランプが大統領だった時期を描いたノンフィクションです。22に配本予定ですが、これは下巻になります。

一か月ほど前に上巻を出した時点では大接戦とはいえ、ハリスの方がやや優勢で、多くの人が「もしトラ」は起こらないだろうと思っていたことでしょう、あたしもそうです。なので上巻も、アメリカ大統領選関連書籍のコーナーを作っている書店店頭で並べていただいていましたが、そこまでの注目ではなかったと思います。

ところが、この下巻の刊行を前に大どんでん返しでトランプが次期大統領に決まりました。本書も俄然注目が集まり始めました。いろいろな媒体での紹介も増えてきそうです。まさに絶好のタイミングでの刊行となりました。

ところで、新刊の見本が続くので、置く場所を節約したいと思い、高々と積み上げてみました。社内では「トランプタワー」と呼ばれています。まあ取次に見本出ししたり、関係各所に贈呈したりしますので、このタワーも二階建て程度の家屋に成り果てるのも時間の問題でしょう。

どこが変わったのでしょうか?

韓国の作家ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞して以降、ハン・ガン以外の作家、そして韓国文学にも注目が集まっているようです。まあ、書店に行っても肝心のハン・ガン作品が売り切れで並んでいないので、それ以外の韓国文学を並べるしかないという事情もあるかもしれません。

ハン・ガン作品は、月末までには書店に並び始めると思いますが、あたしの勤務先の事情で言えば、注文があまりにも多くて、すべての注文には応えられず、一冊も入ってこないという書店も多数出て来ると思います。申し訳ありません。

さて、そんな韓国文学ですが、『フィフティ・ピープル』が新しくなって再登場しました。もともとは2018年に刊行された作品で、あたしも読みましたがとても面白くて読みやすい作品でした。それがこのたび「新版」として再び発売されたのです。

手に取るまでよくわかっていなかったのですが、これは訳者が旧訳に手を入れて新しく出し直したのではないのですね。原書が新しくなって韓国で発売されたので、それを底本にして新たに日本語訳も出したものだそうです。訳者のあとがきによれば、原書では八割以上のページに何かしらの手が入っているそうで、表現にもかなりの変更が加えられているそうです。

そうなると、読後感は変わってくるのでしょうか。たぶんあたしなら、いますぐに新版を読んだとしても、旧版の読後感を鮮明に覚えているわけではないので、違いに気付かないと思いますが(汗)。