全5巻がトレンド?

数日前にこのダイアリーで取り上げた、河出書房新社の「韓国文学クラシックス」ですが、これは全5巻なのですね。多ければ多いほどよいわけではないでしょうが、かといって少なすぎては網羅性が犠牲になります。そのあたりの塩梅が難しいところです。

個人的に韓国文学については、女性作家の作品ばかりが翻訳され、男性作家はいないのか、もっと男性作家の作品も読みたいと思っていたので、このシリーズには男性作家の作品も多数収録されるようで、とても楽しみです。

もちろん、これまでにも『カステラ』や『ピンポン』のパク・ミンギュ、『マテニ10号』のファン・ソギョンなどが翻訳されていますが、女性作家の圧倒的な翻訳料に比べると微々たるものだという気がします。

さて、あたしの学生時代は中国学を専攻してきたわけですので、韓国文学のことばかりを語っているわけにはいきません。そこでもう一つ気になるのが集英社から刊行予定の「中国現代文学ギャラリー」です。これも全5巻のようです。やはり、それくらいの分量がちょうどよいのでしょうか。興味を持っている読者も、全10巻、20巻などと言われると怯んでしまいますが、5巻くらいですと毎回発売されたら買い揃えようという意欲も湧くものだと思います。

そんな目で眺めると、このたび刊行がスタートした《ハン・ガン コレクション》も今のところは全5巻の予定です。ただし、このコレクションはハン・ガンさんの新刊が刊行された場合、それもコレクションに加えていく予定ですので、最終的に6巻になるのか、7巻になるのか、現時点では未定です。

それにしても、こうして韓国や中国の現代文学シリーズが相継いで刊行されるようになるとは、時代が変わったものだと思います。あたしが学生の頃にも中国文学のシリーズは出版されていましたが、古典文学がほとんどでした。魯迅などは既に古典の域に入りそうでしたので、今まさに流行っている文学作品をまとめて紹介するような叢書はほとんどありませんでした。よい時代になったものです。

今日の配本[26/07/13]

西洋中世写本を愉しむために
写本・初期印刷本の歴史と鑑賞

松田隆美、駒田亜紀子、徳永聡子、池田真弓 著

総論・本を形づくる要素の解説・具体例の三部構成で、どこに注目して鑑賞すればよいかを、書物史と美術史の両面から紹介する。

イタリア語のABC[音声DL版]

長神悟 著

日本で一番長く売れているイタリア語文法書のスタンダード。基礎から中級までイタリア語文法の総まとめ+練習問題でよく身につく。

今日の配本[26/07/10]

隅から隅まで外国語
黒田龍之助エッセイ・セレクション111

黒田龍之助 著

知らない言語の話でもクスッと笑えるエッセイ集。目次や著者略歴だって楽しい。外国語の世界を旅する白水Uブックス新レーベル創刊。

101語でわかるパタフィジック

コレージュ・ド・パタフィジック 著/合田陽祐 訳

パタフィジックの創始者アルフレッド・ジャリの詩的発明を継承しつつ独自の活動を展開してきた、20世紀後半の前衛集団、コレージュ・ド・パタフィジック。だがその全体像はこれまで十分に紹介されてこなかった。本書ではその全貌に迫るべく、ジャリはもちろん、デュシャン、クノー、ヴィアン、エーコ、覆面作家ジュリアン・トルマらに加え、文学実験集団ウリポなども紹介し、「想像上の解決」「クリナメン」「例外」などの中心概念を解説する。さらに役職制度や機関誌『ヴィリディス・カンデラ』、奇想天外なエピソードの数々まで、100と1語を通してパタフィジックの迷宮をたどる。