ベストではなくマスト

ジョン・レノンが暗殺された12月8日がまもなくです。調べてみると、もう45年が経つそうです。そして、その12月8日は真珠湾攻撃、太平洋戦争開戦の日でもあります。

そんなレノン暗殺が近いからなのか、あたしの勤務先のビートルズ本が今朝の朝日新聞読書欄で紹介されていました。

あたしはビートルズ世代ではありませんが、解散後もファンを増やし続けているスーパーバンドなので、世代であるかないかなど関係ないようです。とはいえ、あたしはビートルズを聴いて育ったわけではありません。特に影響を受けたという印象もなければ、これといった感想も感慨も持っていません。

あたしの場合、学生のころは80年代の洋楽華やかなりしころで、現役でマイケル・ジャクソンやマドンナ、デュラン・デュランにカルチャークラブ、トトにジャーニーといったアーチストの曲がラジオからも盛んに流れてきて、ビートルズを聴くような時間もなければ、興味も沸きませんでした。

そんな書評記事はさておき、紀伊國屋書店新宿本店の壁にこんなポスターが貼ってありました。「心理学専門書マスト100」フェアです。数日前に始まったところですね。人文会が協力しているようです。

この時季は「今年のベスト10」といった企画が行なわれる季節でもありますが、ベストではなくマストというところがさすがですね。心理学のジャンルではこういうリストが作られているのですね。

では他のジャンルではどうでしょう。文芸書などはその時々の新刊が売れますし、そもそも好きな作家やテーマが読者の側にもあるでしょう。他の人文ジャンルでもこういうリストって作れるものでしょうか。日本史や世界史でその年のベストは出せるでしょうけど、マストといったリストを作ることは可能なのでしょうか。なかなか難しそうです。

語学書であれば、マスト・リストは作れそうな気もしますが、言語によって冊数も変わってきそうですね。どのくらいが適切なのでしょうか。

今日の配本(25/11/28)

スパイたちの百年戦争(上)
東西の熾烈な諜報活動

カルダー・ウォルトン 著/松島芳彦 訳

ロシア革命から第二次大戦、冷戦、ソ連崩壊、新冷戦、ウクライナ戦争、ロシア・中国の策謀まで逸話満載、「陰の戦争」の攻防を追う。

新・学問のすすめ 研究者失格!
自伝 馬鹿は死んでも直らない

磯前順一 著

東大宗教学との出会いからオウム事件、安丸民衆史、酒井直樹・アサド・スピヴァクとのポストコロニアル研究に至るポスト戦後の精神史。

高校のカフカ、一九五九

スティーヴン・ミルハウザー 著/柴田元幸 訳

内気な高校生カフカの思春期の情景を描く表題作、梯子を天高く伸ばす熱に浮かされる町を描く一篇など、職人技が光る不可思議な9篇。

パスポート初級ヒンディー語辞典

町田和彦 編

使用頻度の高い基本6000語を収録。類義語や特徴的な活用形の提示、明解な語義と豊富な例文・用例を満載した待望の学習辞典。

カビリア

マリーナ・パレイ 著/高柳聡子 訳

ソ連崩壊前夜に新たな小説ジャンルを切り拓いた女性作家の初期三部作。体液や肉をもって描かれる、新しい「テクスト・ペテルブルク」。

孤独な散歩者の夢想

ルソー 著/佐々木康之 訳

生きていくことの喜びと哀しみ。『マルゼルブ租税法院院長への四通の手紙』も収録。解説=川出良枝。

今日の配本(25/11/26)

ヴィクトリア朝
ある時代の虚像と実像

マーティン・ヒューイット 著/田中裕介 訳

イギリス史においてもっとも重要で、日本でも人気の「ヴィクトリア朝」について世界的権威が簡潔に描くイギリス文化入門。

荷物はできるだけ少なくしたいのに……

先週の火曜から金曜まで、つまり三泊四日で関西ツアーへ行って来たわけですが、今回も書店でいろいろとゲットしてきましたのでご紹介します。

まずは関西とは何の関係もありませんが、平凡社ライブラリーのフェアを見かけ、そこに置かれていた小冊子です。平凡社ライブラリーも1000冊を突破したのですね。そんなに時が流れたのか、という思いがします。

あたしの印象では、平凡社は東洋文庫という函入りハードカバーの、玄人好みのシリーズをずーっと刊行し続けていて、そこから選んでソフトカバーのライブラリーに移していった、そんな感じです。もちろん東洋文庫がすべてライブラリーになったわけではありませんし、東洋文庫にはないものも平凡社ライブラリーには多数刊行されています。これはあくまであたしの印象なので……

続いても関西とは全く関係がないものです。書肆侃侃房の海外文学冊子です。毎年この時季に作っているのでしょうかね。後半は同社の図書目録も兼ねているような冊子です。

書肆侃侃房の海外文学と言うと、よくこんな作品を見つけてきたなあ、編集の人はどういうところにアンテナを張っているんだろうと感心させられることが多いです。装丁もきれいなものが多いですよね。ジャケ買い、タイトル買いしたくなる書籍が多数刊行されている、そんな出版社です。ちなみに今年の冊子では、あたしの勤務先でもお世話になっている、くぼたのぞみさんの文章が巻頭を飾っています。

さて、ようやく関西らしいものをご紹介します。2024年6月に第一号、25年1月に第二号、同6月に第3号が刊行された『』という冊子です。「羅」とかいて「うすもの」と読ませるようです。大垣書店コンテンツ事業部が作っている、無料の冊子です。

これを無料で配ってしまっていいの、と言うくらいよくできています。京都から発信していこうという気概も感じられる冊子です。

そして京都で大垣書店と言えば忘れてはいけないこの冊子、『KYOTOZINE』です。今回は第4号を買ってきました。こちらは無料ではなく、書店(大垣書店)で販売されている雑誌になります。

どうも次号からこの雑誌はリニューアルされるみたいなことがウェブサイトに書いてあります。いったいどんな風に変わるのでしょうか。京都を楽しむためのタウン誌なので、やはり住んでいる人が楽しめる雑誌だと思いますが、観光客も視野に入れるのでしょうか。あまりよその人に迎合しないでほしいですね。

今号の特集である「遊び」も、全然知らないところばかりです。年に数回訪れる京都ですが、決まった場所しか行かないので(営業回りなので当たり前ですが……)、なかなか足を延ばせないのが残念です。

それにしても、こういうのを手に入れてくるから、荷物が重くなるのですよね。

分断と統一と

関西ツアーから戻ってきました。そして土曜日は書評の日です。予告どおり、朝日新聞には『統一後のドイツ』が載っています。

この『統一後のドイツ』ですが、配本日のころに朝日新聞の一面と二面でドイツ統一後の東西格差についての特集記事が大きく掲載されていました。そしてその記事の中に本書の著者のインタビュー記事も載っていたのです。

朝日の記事担当者が本書の刊行(邦訳)をしっていたのかどうか、そこまではわかりませんが、これだけ大きな特集記事も載ったのだから、本書もきっと近いうちに読書欄で紹介されるだろうと、心の中で期待しておりました。

そんな今日の読書欄ですが、こんな本も取り上げられていました。集英社クリエイティブの『分断八〇年』です。こちらは朝鮮半島の南北分断を扱った一冊です。

この二冊が一緒に書評欄に載っているなんて、もちろん両書の刊行が近かったというのもあるでしょうが、それと共に朝日新聞側の意図も感じてしまいます。この両書の書評は併読することを是非お薦めします。

書店や図書館では、この両書はアジアとヨーロッパを扱った本なので、置かれる場所が少し離れているかもしれません。でも書評を読んでいただければ、この二冊は隣に並べておくべき本なのではないかという気がしてきました。

ちょっとはかすっているかも?

あたしの勤務先の刊行物とほんの少しだけ関わりがありそうな本が刊行されていましたのでご紹介します。

まずは『ナイフ投げ師』です。東京創元社の創元文芸文庫から刊行されました。

もともとの単行本は2008年にあたしの勤務先から刊行されたものです。それが画像の左側になります。その後、2012年には新書版のUブックスとして刊行されましたが、ここしばらくは品切れ状態でした。

続いてはアイルランド出身の作家クレア・キーガンです。日本で最初に刊行されたのは《エクス・リブリス》の『青い野を歩く』です。これは2009年に、今は亡き岩本正恵さんの翻訳で刊行されました。

その後、 鴻巣友季子さんの翻訳で『ほんのささやかなこと』が昨年刊行されたのも記憶に新しいところです。そしてこのたび、同じく鴻巣さんの翻訳で『あずかりっ子』が刊行されました。これは昨年日本でも公開になった映画「コット、はじまりの夏」の原作なのだそうです。

今日の配本(25/11/10)

ニューエクスプレスプラス ヒンディー語[音声DL版]

町田和彦 著

多言語国家インドで最大の話者を誇る公用語。固有の文字がわかれば、世界は一気に広がります。さあ、多彩で豊かなインドに触れてみよう!

ニューエクスプレスプラス カンボジア語[音声DL版]

上田広美 著

カンボジア語はクメール語とも呼ばれるカンボジア王国の国語。世界遺産のアンコールワットが有名で、近年発展めざましい国です。

ニューエクスプレスプラス ハンガリー語[音声DL版]

早稲田みか、バルタ・ラースロー 著

周辺のヨーロッパの言語とは文法も語彙も随分異なるハンガリー語。音楽や食など誇り高きマジャル文化に、言葉からふれてみませんか。

読書欄ではなくとも……

週末は新聞各紙で本が紹介されます。いわゆる「書評が出た」「書評欄に載った」というやつです。出版不況と言われ、本が売れないと言われるこの時代、新聞の読書欄で紹介されると、やはり売り上げが伸びるので、出版社にとっては関心を持たざるを得ない紙面です。

とはいえ、本が紹介されるのは読書欄、書評欄ばかりとは限りません。今朝の朝日新聞の「あなたに贈る本」という特集紙面で、あたしの勤務先の『カンボジアに村をつくった日本人』が登場していました。紹介してくださったのは法然院貫主・梶田真章さん。不勉強にも、法然院関わっているとは知りませんでした。

ちなみに『カンボジアに……』は2015年、いまから10年前に刊行された本です。今も活動は続いているようで、支援というのは一過性のものでなく、継続が大事なのだと改めて思います。

さて、本日の朝日新聞はこれだけではありません。「日曜に想う」のコーナーが井上哲次郎に関する記事でした。曰く、「明治期にもあった「日本人ファースト」」。幕末に攘夷があって、でも開国に踏み切って明治維新を迎え、殖産興業、富国強兵で外国に門戸を開いた日本ですが、やはりドッと外国のものが入ってくると国粋的な揺り戻しもあったのですね。

井上哲次郎って知らない方も多いと思います。簡単に紹介したような新書も刊行されていないと思います。そこでお薦めしたいのが、あたしの勤務先から刊行した『井上哲次郎と「国体」の光芒』です。当時のアカデミズムの雰囲気が伝わる一冊です。

この記事を読んだら「井上哲次郎ってどんな人なんだろう?」と思った方も多いはずです。そんな時にネットで「井上哲次郎」を検索したら、たぶんこの本が真っ先にヒットするのではないでしょうか。この機会に是非手に取ってみてください。