4月 2015のアーカイブ
グロいのと軽いのが……
日本翻訳大賞を受賞した『エウロペアナ』を読んだとき、次の部分で衝撃を受けました。
グダンスクでは一人のドイツ兵が発狂したという。戦前に付き合っていた女性がユダヤ人であることを知らなかったばかりか、その彼女はアウシュヴィッツの強制収容所へ連行されていたのだ。友人たちは彼をからかおうとして、こう言った。グダンスク解剖学研究所の所長から聞いた話だけど、お前がこの一週間のあいだ体を洗っている石鹸はお前の彼女の死体から作られたものなんだよ、と。その後、兵士はドイツ国内の精神病院に収容された。(P.33)
からかったとありますが、実際にこういう事例はあったのではないでしょうか? この描写の直前にも収容所に送られたユダヤ人がどうなったかについて、かなりグロテスクな描写があります。
しかし、本書での筆者の筆致は実に淡々としています。上掲のような描写も、だからどうなのだ、という感情がほとばしり出るのではなく、ただあったことをそのまま書き連ねているだけのように感じます。
感情を失ってしまったのか、あるいは戦後の平和な時代を生きている自分たちが、ありきたりの感情で描写したとしても所詮あの悲惨さを表現しきれるものではないと諦めているのか。
いや、ここまで来ると悲惨という言葉も何か違うような気がします。むしろ絶望に近いかも知れません。それでもそんな時代をくぐり抜け、いま自分たちは生きている、どうやってあの絶望から立ち直ったのか、本当に立ち直っているのか、そんな問いかけを受けているような気もしました。
そして、こういう目を背けたくなるような描写と隣り合わせで、実にユーモラスな記述が挟み込まれているのが本書の特徴です。この揺れ幅の大きさ、それがそのまま二十世紀という時代の振幅の大きさに当てはまるのではないでしょうか?
春画に見る江戸老人の色事
日本翻訳大賞受賞
野蛮なロシア?~『クリミア戦争(上)』~
まだあげ初めし前髪の
いきなり島崎藤村ですが、朝の通勤BGMの影響です。
このところ、朝の電車内ではほぼ毎日のように乃木坂46の「透明な色」を聴きながらの出勤だったのですが、久しぶりに沢田聖子を聴いたのです。
沢田聖子と聞いても知らない人ばかりだと思うのですが、名前がちょっとだけ異なる松田聖子とデビューは同い年。だから、あたしが中学生のころだと思います。沢田聖子はテレビに出るアイドルと言うのではなく、当時の言葉で言うところのニューミュージックというジャンルの歌手と位置付けられていたと思います。そもそもが「イルカの妹」という触れ込みでのデビューでしたから、若干フォークな香りもありましたけど、そろそろフォークが古臭いイメージが付いてきて、ニューミュージックという言葉が生まれたのだと思います。有名なところではチューリップとかオフコース、荒井由実といったところもニューミュージックに括られていたと思います。
で、あたしは、それほど音楽を聴いて昔を懐かしがるタイプではないのですが、沢田聖子だけは別で、彼女の曲を聴くと、どうしても中学高校時代、彼女の曲を聴きまくっていた時代にタイムスリップしてしまいます。そうなると、これもまた必然的に高校時代に大好きだった乾さんのことが思い出され、今回のタイトルに結びつくというわけです。
えっ、高校時代が初恋? と言われてしまうと、実はよくわかりません。もしかすると、いまだに恋なんてしていないのかも知れませんし、初恋はどれだったかなんて確定的に言えるものなのでしょうか?
そんな沢田聖子の曲の中でも、たぶんファンの間でも人気は上位に入る一曲がこのシオンです。彼女の師匠イルカの作詞作曲で、男の子が好きになった女の子をシオンの花にたとえて歌った曲です。もちろん自分の気持ちを伝えることもせず、遠くから見ているだけの関係なのですが、そんな青い感じが当時はたまらなく好きでした。確か、優木まおみがカバーしていたと思います。(優木まおみって歌手だったでしょうか?)
そう、あたしは高校時代に、やはり自分も乾さんをこのシオンになぞられていたのです。もちろん同じクラスでしたし、席が近かったので話をする機会はよくあったので、歌の世界のように遠くから見ているだけ、ということはなかったですが、思いを伝えられない、という意味では同じだったかも知れません。
いや、口では毎日のように「乾さん、大好き」と言っていましたが、日常的な挨拶と受け取られていたようです。全く本気にされませんでした。
と、そんな連想が駆け巡る朝の通勤電車。こういう妄想に明け暮れていると、ふとした弾みで痴漢行為に奔ってしまうのでしょうね。気をつけなければ! あたしは健全にも、イメージは飛んで跳んで、島崎藤村の「初恋」へと向かったのでした。
われわれの戦争責任について
今日の配本(15/04/10)
行ってみる?
日本橋の高島屋で鳥獣戯画展関連のイベントが行なわれています。「鳥獣戯画グッズショップ」です。もちろん、東博で4月下旬から始まる展覧会に合わせてのイベントです。
東博の展覧会はもちろん見に行くつもりですが、こちら高島屋の方もちょっと気になります。だって、ネクタイが売られているようなので……(汗)
しかし、高島屋限定とはいえ、ちょっと高いですね。これなら、東博のミュージアムショップで売っている、そして既にあたしは買っている鳥獣戯画ネクタイの方がお手頃だと思います。「ものが違う」のでしょうが、既に東博で手頃な価格のものが売られているのに、あえてこんな高いものを出してくるなんて、高島屋に勝算はあるのでしょうか?
とまあ、あたしはだいたいグッズショップへ行くとネクタイがないか、それが気になります。既に始まっているマグリット展も行くつもりですが、マグリットの作品をモチーフにしたネクタイが売られていないか、もちろんお手頃価格でですけど、そんなことを期待しています。先日の若冲と蕪村ではそういったグッズは売っていなかったので残念です。
この手の展覧会グッズ、タオルとかTシャツといったものはよくあるのですが、ネクタイはほとんど見かけないですよね。やはり作るのが面倒だからでしょうか? 確かにスカーフは時々見かけますから。あとは需要の問題、これが一番大きいのでしょうか? 確かに「誰がそんなネクタイするの?」と言われて自信を持って「あたしよ」と答えられるのは、数えるほどしかいないでしょう(笑)。
そうそう、ネクタイは関係ないですが、原宿の乃木坂46カフェも、行きたいところの一つです。ちなみに、「乃木坂カフェ」というのもあるみたいですね。こちらは乃木坂46とは何の関係もないようですが。
実は原宿なら、春華堂が手がける「うなぎパイカフェ」にも、亀屋万年堂が手がける「Anovan」にも行ってみたいんですよ。どれも期間限定ですから……
本屋の小説
放送スタートまで一週間を切ったので、別に宣伝するわけではありませんが、こんな企画はどうかなと思いました。
と、その前に、何が放送スタートなのかと言いますと、フジテレビ系の新ドラマ「戦う!書店ガール」です。AKB48のまゆゆこと渡辺麻友主演、いや稲森いずみとW主演でしたね、とにかくそのドラマのことです。いま本屋さんに行くと、原作本が目立つところに並んでいるのではないでしょうか? もちろん、まゆゆのオビがかかった状態で。
原作本はこちら、碧野圭さんの『書店ガール』(続刊に『書店ガール 2
』『書店ガール 3
』があり、近々『書店ガール 4
』も刊行予定?)です。
舞台は老舗書店ですが間もなく店を閉めることになり、最後に一花咲かせようと主人公の女性二人が奮闘するという話。「2」と「3」はその二人が別のチェーンの書店に移り、そこで書店を盛り上げようと頑張るストーリーです。こちらは閉店しそうにないので、「4」も同じ書店が舞台でしょう。わかる人はわかりますが、「1」は立川のオリオン書房、「2」以降は吉祥寺のジュンク堂書店がモデルとして描かれています。ここで声を大にして言いたいのは「小説の中でペガサス書房は閉店となりますが、オリオン書房は閉店なんかしていません」ということです。
さて、ドラマが始まるから、それも書店が舞台のドラマですから、本屋さんが活気づくのは当然で、この本が目立つところにドーンと積まれているのも当たり前だと思います。でも、それだけではつまらないので、もう少しアイテムを増やしたいところです。と、そんな話を仲良しの書店員さんとしていて、名前が挙がった書籍はこんな感じです。
まず、「本屋に関する本」というのは、実はエッセイや業界裏話的なものを挙げていくと、結構あります。書店員が書いたものもありますし、作家や評論家の書いたものもあります。でも、今回はあくまで本屋が舞台のドラマなので、<本屋の小説>ってことにこだわりたいと思いました。
すぐに思いついたのは『本屋さんのアンソロジー』です。これは短篇集なので読みやすいのではないでしょうか? 『ビブリア古書堂の事件手帖
』もよいかと思うのですが、新刊書店ではなく古書店が舞台ですよね? それにあくまでミステリーなので、こういったものを加えるか否かはフェアの規模次第ではないかと思います。
さて、他に何かありますでしょうか? 翻訳物も何か加えたいところですね。思いついたのは『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』『シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店
』あたりです。あれ? 後者は小説ではなくノンフィクションでしたっけ? 前者もそう考えると小説仕立てのノンフィクションでしたよね?
うーん、なかなか浮かびません。小説ではなくコミックに逃げてしまいますが、『番線』『暴れん坊本屋さん・完全版~棚の巻~
』『暴れん坊本屋さん・完全版~平台の巻~
』なんてのも面白いと思います。
もう少しストーリーのあるコミックでしたら、著者急逝のために未完の作品ですが、『上京花日』がお薦めです。
コミックは第7巻まで出ています。
うーん、しかし、やはり、もう少し純然たる小説があった方がいいですよね? 何かないでしょうか? 誰かお薦めがあったら教えてください!
あと、こういったジャンルの本も最近よく出ていますね。『世界の美しい本屋さん』といったタイトルのビジュアル本です。ただ、こういうのは上に挙げたような小説世界の本屋さんとはまるで異なるので、どうなのでしょう?
こんなサイトもご参考に。ウィキペディアでも立項されていますね。