申し訳ないことですが、同一人物に見えませんでした

掃除婦のための手引き書』が大ヒット(?)したルシア・ベルリンの新刊が刊行されました。

今回も「ルシア・ベルリン作品集」という副題が付いていて、同じ装丁で揃っていますね。いい感じです。

あたしが『掃除婦のための手引き書』を読んだときは、なんとなく勤務先から出ていたサンドラ・シスネロスの作品にちょっと似ているなあと思いながら読みました。著者の力強い生き様に共通するものを感じたのだと思います。

そんなルシア・ベルリンですが、『掃除婦のための手引き書』が文庫になり、書店の方から「もうじき新刊も出るらしい」と聞いていたので楽しみにしておりました、それがこちら、『すべての月、すべての年』です。

最初にも書きましたが、装丁の雰囲気は揃っていますし、著者本人の写真を印象的に使っているところは同じ路線ですね。ただ、この写真の二人、よーく見ると理解できるのですが、パッと見たときには同じ人だとは思えませんでした。

写真って、写り方(撮られ方)で全然違った印象になりますが、これはずいぶんと違いませんかね? 印象的な目元、意志の強そうな表情がルシア・ベルリンの魅力なのでしょう。ほぼ自分のことを書いているとおぼしき作品世界の主人公に相応しい顔であり、雰囲気をまとっていますね。

目に青葉、山ホトトギス、初鰹

昨秋、近所のイチョウの黄葉をご紹介いたしました。東京では神宮外苑などが有名ですが、秋になると黄金色に輝くイチョウですが、この時季はこんな感じなんです。

新緑が瑞々しいです。これから夏に向けて太陽の光と熱を浴び、秋には真っ黄色に色づくのでしょう。イチョウと言えば黄葉ですが、たぶん植物としてはいま、そしてこれからが盛りなのでと思います。

あたしも秋の黄葉は見上げて堪能することはありますが、この時季のイチョウに注目したことはなかったのですが、ふと青空に緑の葉が映えていたので、つい写真を撮ってしまった次第です。

読書欄もウクライナの影響を受けている

今朝の朝日新聞読書欄です。

トップの特集は、やはりウクライナ情勢関連です。核についての記事の中に『チェルノブイリ 「平和の原子力」の闇』が取り上げられていました。

本書は、ちょうどロシアのウクライナ侵略が始まったタイミングで刊行されたのですが、それは全くの偶然で、1986年ですから今から36年も前の原発事故を検証したノンフィクションがどれくらい日本で受け入れられるのか、正直なところ多少の不安を抱いていました。

ところが、この一か月、二か月でこそウクライナやクリミア半島の歴史、プーチンに関する書籍が奔流のように刊行されましたが、当初はこれといった関連書籍も少なく、本書が〈ウクライナ情勢を読み解く〉的な書店のフェア台で存在感を示していました。

それでもあたしなどは「今回のロシアによる侵略とチェルノブイリ事故は関係ないんだけど……」と思っていたのですが、ロシア軍によるチェルノブイリも含めた原発への攻撃が行なわれ、俄然注目の一冊となってしまったわけです。皮肉なものです。しかし、欧米というのは、数十年経っても、丹念に資料を博捜し、こうした骨太な検証本を刊行する姿勢が羨ましいです。日本人って、やはり熱しやすく冷めやすい国民性だと感じます。

さて、ここまで読書欄は全国の朝日新聞で同じ紙面だと思いますが、次の記事はどうでしょう、「多摩版」とあるので、たぶん「東京23区」の紙面にも載っていると思いますが、神奈川や埼玉、千葉の版だと載っていないのではないかと思います。

何かと言いますと、東京外国語大学がウクライナ語の講座をオンラインで開いたという記事です。日本にも多くの避難民がやって来ていますから、日本側でも少しはウクライナ語ができるようになると、来日した人も安心するのではないかと思います。

記事の中でコメントを述べている中澤英彦さんは、あたしの勤務先から出ている『ニューエクスプレスプラス ウクライナ語』の著者です。ウクライナ語の学習書は、それほど多くはないので、本書もこの数ヶ月注文が殺到しているところです。

こういう事態で本が売れるというのは、なんとも言えない気持ちになります。本が売れることは出版社の人間として嬉しいことですし、ウクライナ語に興味を持ってくれる人が増えることも、語学の出版社としては喜ばしいことではあります。しかしその一方、毎日毎日たくさんの人が亡くなっている現実を思うと心が重くなります。

ハシビロコウが学習のお手伝いを致します?

来週には配本になる新刊『みんなの疑問に答える つぶやきのフランス語文法』は、既に刊行されている『1日5題文法ドリル つぶやきのフランス語』の姉妹篇です。

そもそも毎日少しずつフランス語の問題にチャレンジしよう、という趣旨で勤務先のTwitterでスタートしたのが『1日5題文法ドリル つぶやきのフランス語』でした。1日に5問なら続けられるでしょう、というのが狙いでした。

そして問題を解いたら、どうしてそういう解答になるのか、その理屈が知りたくなるのが人情というものです。そこで次に企画されたのが、新刊『みんなの疑問に答える つぶやきのフランス語文法』です。

ですので、両書に共通する「つぶやき」とは学習の過程で学習者がブツブツと独り言をつぶやくのでもなければ、先生が生徒そっちのけでボソボソと聞こえない声でつぶやいているのでもありません。Twitterのことです。

そしてさらに両書に共通するのは表紙カバーにも登場している鳥、ハシビロコウです。本文中にもポイント、ポイントでハシビロコウのイラストが登場しますので是非お楽しみに!

姪っ子に推薦する予定?

営業回りの移動の電車の中で『親王殿下のパティシエール』を読み始めました。もともとは姪っ子に買ってあげようと思って選んだ本なのですが、舞台が清朝の親王邸ということもあり、まずは自分で読み始めてしまいました。

ちなみに、あたしに妹のところには娘(つまりあたしから見たら姪っ子)が二人いまして、一人(上、今年中三)は犬が大好きで、将来は獣医か、それがダメでも犬に関わる仕事がしたいらしいです。なので、犬に関するエッセイや小説を見つけると買ってあげています。

そしてもう一人(下、今年小六)はお菓子が好きで、将来はパティシエになりたいと、いまのところは言っているので、パティシエとかお菓子に関する小説などを買ってあげています。ただ、犬の小説はそれなりにありますが、お菓子やパティシエがテーマの小説はやや少ないですね。そんななか見つけたのがこの作品でした。

そして、この作品の参考文献として挙がっていたのが、あたしの勤務先の刊行物『王のパティシエ』でした。こんなところで見覚えのある本が出てくるとは、なんとも不思議な気分です。ただ、現在この本は品切れなんです。

さて、まだ読み始めたばかりなのですが、本書は母親が漢族であるフランス人の少女が、フランスに来ていた清朝の親王と共に中国へやって来て、その屋敷の調理場でお菓子作りをするという話のようです。

まだお菓子を作るところまでは行っていませんが、そんなストーリー展開らしいです。お菓子作りはともかくとして、清朝の皇族の暮らしや当時の中国の様子がどのように描かれるのかが非常に興味深いです。既に文庫本が数冊刊行されているようなので、面白ければ、続巻も買って読んでみたいと思いますし、小六の姪っ子でも楽しめる内容か否か、判断したいと思いながら読んでいます。

短篇の名手?

郊外のフェアリーテール』を購入しました。

亜紀書房の《ブックスならんですわる》シリーズの第二弾です。第一弾は『青と緑』で、副題にもあるとおり、ヴァージニア・ウルフの短篇集で、今回の第二弾はキャサリン・マンスフィールドの短篇集です。

亜紀書房のこのシリーズは、女流短篇集で行くのですかね? 第三弾も楽しみです。

ところで、キャサリン・マンスフィールドと言いますと、あたしの勤務先からも『不機嫌な女たち』という一冊を出しております。非常に面白い短篇が集められていました。

そして新潮文庫にもそのものズバリ、『マンスフィールド短編集』という一冊があります。あたしも自宅の書架に備えておりました。

ちなみに、マンスフィールドは来年、2023年の1月9日が没後100年にあたります。それまでに各社から何冊か作品集が刊行されるのでしょうか?