天声人語だけでは終わらなかった

一部の界隈では、今朝の朝日新聞一面「天声人語」が大いに話題になっていました。それもそのはず、朝っぱらから岸本佐知子さんの名前が登場しているのですから。

筑摩書房から出ている『ねにもつタイプ』から、オリンピックに関する、岸本さんの文章が引用されています。同書の「裏五輪」です。

わが家に架蔵しているのは単行本ですが、現在はちくま文庫で刊行されていますので、この「裏五輪」以外の文章も抱腹絶倒間違いなしなので、是非お手に取っていただきたいです。

ところで、その岸本佐知子さんの最新刊は、あたしの勤務先から刊行されている『わからない』です。なんと1万部を突破して、まだ売れ続けています。

そんな本日は、店頭で『ねにもつタイプ』が売れているかなあ、などと思いながら営業回りをしていましたら、こんなチラシを発見しました。《文芸担当による2023年上半期ベスト10》です。

別に売上というのではなく、ご自身が気に入った10冊ということなのでしょう。その中に『わからない』がエントリーしておりました。「笑いを堪えるのが困難」「何度だって読み返したい」という嬉しいコメントをいただきました。これは、紀伊國屋書店小田急町田店の話です。

電車の中、バスの中で思わず噴き出したいという方(そんな人いるのかしら?)には、この『わからない』をお薦めします。ただ、カバンに入れて持ち歩くのに単行本はちょっとしんどいなあ、というのであれば、新書サイズの『気になる部分』などは如何でしょう? こちらも抱腹絶倒間違いなしです。

ちなみに、あたしが思うに、岸本佐知子さんはいずれ『別冊太陽』か『文藝別冊』で特集を組まれる方だと信じています。

 

今日の配本(24/07/26)

ウクライナ大飢饉
スターリンとホロドモール

アン・アプルボーム 著/三浦元博 監修/真壁広道 訳

ウクライナでは1932年から33年にかけて、400万人前後が餓死したといわれる大飢饉「ホロドモール」があった。飢饉はソ連全土を襲ったが、とくにウクライナやウクライナ人が多数住む北カフカースなどの被害が甚大だった。ソ連は当時もその後も長らくその事実を否定していたが、飢饉の原因は今日ではほぼはっきりしている。無謀な農業・産業政策と、ウクライナ農民の抵抗と民族帰属意識を弱体化させようとする意図が絡み、人為的につくられたものだった。大量の餓死は、未必の故意による人災以外のなにものでもなかった。さらに戦後、ソ連支配が強化されるウクライナで、ホロドモールの記録が隠蔽、改竄され、記憶からも抹消された経緯から、「民族復興の物語」としてのホロドモールに至る現在まで、長期にわたって検証する。

人生と闘争
清水幾太郎の社会学

品治佑吉 著

「社会学は人生から生まれ、人生に帰っていく」。華々しい活躍や転変の根底にあったものとは? 人生を問い続けた社会学者の軌跡。

スターリングラード(下)

ワシーリー・グロスマン 著/ロバート・チャンドラー、エリザベス・チャンドラー 校訂/園部哲 訳

『人生と運命』(みすず書房)の読者が待ち望んだその前編となる全三巻。人情味あふれる物語が居間のランプに照らされ、戦場の火炎に炙られる。市民と兵士に、さらにはドイツ兵にも同情の視線が注がれたポリフォニックな群像小説。 本書は1942年4月のヒトラーとムッソリーニ会談から、主人公の一人クルイモフがヴォルガ川を渡ってスターリングラードへ入る9月まで、5カ月未満の物語だ。