渡邊大門 著
豊臣秀吉の実弟は温厚柔和な人物で、兄の天下統一に力を発揮した。兄の欠点を補ったこの弟が長生きしたなら豊臣政権は長く続いただろう……。羽柴秀長は、そんな印象で語られることが少なくない。だが「偉大なナンバー2」というイメージは作られたもので、一種の虚像である。本書は信頼できる研究や史料に基づいて、秀長が、秀吉の天下統一に果たした役割、豊臣政権内での仕事、大名としての領地支配の実態という三つの視点からその生涯をたどり、人物像に迫る。
風間喜代三 著
ヨーロッパ文明の礎であるラテン語とギリシア語。両言語の歴史から文字、発音、形態までを概観する、コンパクトにして本格的な案内書。
鶴ヶ谷真一 訳注
「学んだ知識を自分のものにしていく。そこに喜びがうまれてこないだろうか」。自由で愛にあふれ、厳しくも温かい孔子の人間像が、弟子たちとの迫真の対話を通して浮かび上がる。伊藤仁斎、荻生徂徠をはじめ、日本で長い間親しまれ、受容されてきた論語に新風を吹き込む現代語訳。仏訳、英訳、現代中国語訳『論語』などを踏まえ、かつてない世界文学的な視点からの果敢な註釈を添えて刊行。「生きるヒントとなる索引」付き。
R・H・ファン・フーリック 著/松平いを子 訳/柿沼陽平 解説
性愛とは〈道(タオ)〉であり、男性および女性の原理の均衡こそ生命力の源である――。性のマニュアル、後宮への務めから、纏足の風習、妓女との付き合い方まで。儒教・道教・仏教がせめぎ合うなかで出来しためくるめくエピソードを渉猟しつつ、先史より貫く中国文化不変の根幹を抉り出す。鬼才による中国性愛史研究「最初の完成」の書。カラー口絵つき。
後宮
殷から唐・五代十国まで
加藤徹 著
歴史は、夜にこそ動く。三千年以上も存続に成功した国家システム。巨大な密室から歴代王朝を見た、ありそうでなかった類書なき中国史。上巻は古代から五代十国まで。
哲学史入門IV
正義論、功利主義からケアの倫理まで
斎藤哲也 編
第4巻のテーマは倫理学! 複雑極まる現代を、私たちはどう生きるべきか。何が正しく、何が許されないことなのか。アリストテレスからはじまり、ベンサム、ミル、カントを経て、ロールズ、ギリガン、マッキンタイア、ヌスバウム、ピーター・シンガーまで、主要な思想家・ジャンルを網羅。特別章では、アナキズムと倫理の深いつながりに迫る。問答形式で哲学を学ぶ面白さを伝える、ありそうでなかった決定版入門シリーズ!
内海愛子 著
敗戦直後、GHQ占領下に開所したスガモプリズン。外の世界が大きく移り変わるなか、戦犯たちは獄中で何を思い、何を見つめていたのか。戦争裁判の実態、刑務所管理の構造、戦犯の自治や言論活動、そして朝鮮人・台湾人戦犯の問題。十数年に及ぶスガモ運営の全体像を描き、塀の向こうに置きざりにされた戦争責任を問い直す。
帝国陸軍
デモクラシーとの相剋
髙杉洋平 著
陰湿、粗暴、狂信的……と語られてきた大日本帝国陸軍。しかし実際には、建軍当初から、国際的視野を持つ開明的な将校などは多く存在していた。一九四五年の解体までの七十余年で、何が変化したのか――。本書は、日露戦争勝利の栄光、大正デモクラシーと軍縮、激しい派閥抗争、急速な政治化の果ての破滅まで、軍と社会が影響を与え合った軌跡を描く。陸軍という組織を通し、日本の政軍関係を照らす、もう一つの近現代史。
辻田真佐憲 著
日本はどこで間違えたのか? 掲げた理想はすべて誤りだったのか? 「大東亜」は日本をどう見ていたか? 戦後80年、今こそ問い直す「私たちにとっての戦争」とは。『「戦前」の正体』の著者が、右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす現代人のための新・日本近現代史!
井波律子 編
魑魅魍魎、夢幻泡影、奇々怪々! 幽霊譚から変身物語、異界訪問からファム・ファタルまで、六朝より中国に脈々と受け継がれてきた超現実的な怪奇・幻想小説の代表作26篇を収録。