ピップ・ウィリアムズ 著/最所篤子 訳
第一次世界大戦下の英国。オックスフォード大学出版局製本所で双子の妹とともに働く女工ペギーは、夜になると工場から密かに持ち帰った不良(ヤレ)本をむさぼるように読み、大学で学ぶことを夢見ていた。だが、労働階級の彼女にとって学問は決して手の届かない高嶺の花だ。戦争は日に日に激化し、街にベルギー難民が押し寄せ、疫病が流行し、社会は変わっていく。ペギーは、障害のある妹への責任やベルギー負傷兵との恋に悩みながら、大学を目指す――。
蔦屋重三郎と吉原
蔦重と不屈の男たち、そして吉原遊廓の真実
河合敦 著
吉原に生まれた重三郎は、吉原大門の前に本屋をかまえ、吉原のガイドブック「吉原細見」を販売・出版。やがて人気の黄表紙作家・朋誠堂喜三二の作品を出版するなど事業を拡大していった。時はあたかも田沼意次が政権をになう時代。そんな自由な時流にのって重三郎は、黄表紙や人情本、浮世絵などを次々と手がけ大ヒットを生み出していった。
千田嘉博、平山優 著/鮎川哲也 編
懸川城、浜松城、小牧城、駿府城、江戸城、大坂城──歴史を変えた合戦の舞台となった城で何がわかってきたのか。研究を牽引する二人が城の見どころを熱く語り、通説を徹底検証。信長、家康、信玄、秀吉ら武将の戦術と苦悩を城から読み解く。
森浩一 著
神話はその舞台となった土地と驚くほど一致していた。イザナきとイザナミの「国生み」、実見を許されない「三種の神器」の推定、水上交通拠点としての地形があった「古代出雲」、南九州から近畿への「神武東征」……そこには古代人の先進的な海洋民文化の影響が読み取れる。「物語」を考古学の成果に照らし合わせ、ヤマト朝廷誕生以前の日本古代史を見通す、「古代学」の第一人者による名著。
ルポ 虐待
大阪二児置き去り死事件
杉山春 著
二〇一〇年夏、三歳の女児と一歳九カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるようにして死んでいた。母親は、風俗店のマットヘルス嬢。子どもを放置して男と遊び回り、その様子をSNSで紹介していた…。なぜ幼い二人は命を落とさなければならなかったのか。それは母親一人の罪なのか。事件の経緯を追いかけ、母親の人生をたどることから、幼児虐待のメカニズムを分析する。現代の奈落に落ちた母子の悲劇をとおして、女性の貧困を問う渾身のルポルタージュ。
杉山春 著
年間10万件を突破し、今なお児童虐待は増え続けている。困窮の中で孤立した家族が営む、救いのない生活。そこで失われていく幼い命を、なぜ私たちの社会は救うことができないのか?
小宮正安 著
型破りなスケールと斬新な構成で西洋音楽史を塗り替えてしまった「第九」。音楽以外の世界にも様々な影響を与えると共に時代の流れに翻弄され、数奇な運命を辿った。初演から200年、今なお人々の心を捉える「名曲」のすべて。
エカ・クルニアワン 著/太田りべか 訳
オランダ植民地時代末期にジャワ島南部の架空の港町ハリムンダに生まれた娼婦デウィ・アユとその一族を襲った悲劇。植民地統治、日本軍による占領、独立、政変と弾圧といった暴力の歴史を軸に、伝説、神話、寓話などが渦巻く奇想天外な大河小説。世界35カ国以上で刊行されたマジックリアリズム文学の傑作。
中野剛志 著
「創造的破壊」という言葉を聞いたことはありませんか。「創造的破壊」というのは、例えばスマホがガラケーを駆逐したように、新しい製品や組織が生まれて旧い製品や組織を打ち負かすという、イノベーションの姿を表したものです。この言葉を広めたのは、ジョセフ・アロイス・シュンペーターです。シュンペーターは、今日もなお、イノベーションの理論家として、大変人気の高い経済学者です。
小松謙 著
日本人にも馴染みの深い「四大奇書」の『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』。出版バブルを迎えた明代後期は、人々が規範や常識を超えて、自分らしい人生を求めた、熱狂の時代だった。いかにして話し言葉による「白話小説」は生まれたのか。なぜアウトローが主人公で、反体制的なのか。作品を刊行した真の狙いとは何だったのか。元代から清代まで辿り、政治史・世界史からのアプローチも用いて、中国文学史の謎を解き明かす。